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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

2分で読める映画批評 庵野秀明『シン・ゴジラ』

エッセー

 

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「2分で読める映画批評」は、最近記事が長めになりがちな当紙において、よりコンパクトで読みやすい文章を提供するためのカリキュラムも兼ね、流行の映画をすごく雑に紹介するコラムです。

 

プロパガンダ×バカ=最高の娯楽映画

まず最初に申しておくと、私は特別、「ゴジラ」「庵野秀明」「東宝映画」に入れ込んでいない。

そんなわけで、全く期待せず観た『シン・ゴジラ』。めちゃくちゃ面白かった。いや常時笑いが止まらなかったという意味でだ。

最初っから飛ばしまくる本作。未知の怪獣に対して、閣僚は皆全く理解が追いつかず、かろうじて「それは歩行できるのか?」「いや魚には無理だろ」みたいな会話。

古典的な邦画によくあった間のとり方、それっぽい喋り方が合わさって、立派なコントであり、シリアスな笑いを誘う。北野映画みたいだ。

 

素晴らしいのは、常にこのシリアスでハードボイルドな笑いがずっと続くこと。

常に真面目なんだけど、それを基本はリアリティを貫きつつ、ところどころにノイズ(ゴジラという超常現象、昔の邦画らしい台詞、脇役がやたら死ぬ)を入れることで、熱さと笑いを両立している。

また作中には至る所にオマージュがあって、本家ゴジラリスペクトはもちろん、庵野のエヴァネタ、東宝映画の時代劇&右翼映画ノリ、欧州映画特有の会議シーンなど、とにかく映画好きなら笑えること間違い無し。

 

もう一つ気になったのが、清々しいまでの「プロパガンダ映画」らしさ。自衛隊全面協力は伊達じゃなく、現代の邦画では考えられないスケールのアクションシーンを収録。兵器のディティールも本物譲りで、ミリオタなら垂涎もの。(個人的に戦車だけじゃなく榴弾砲も使ってたのが○)

その一方、自衛隊の存在感は抜群。実際にどうかはともかく「日本は本気だしたらやべぇぞ!」という意地を感じる。対ゴジラ作戦も終始自衛隊頼みで、最後の平和的な手段を取る段階ですら自衛隊出動。そして殉職。

登場人物も嫌味な奴は全くいないし、自衛隊は一糸乱れず統率できてるけど官僚はバラバラみたいなシーンも多々。自衛隊も同じ行政組織なはずが、凄まじい贔屓。

相対的に描かれるのがアメリカ。電話一本で東京に核をぶち込むぞと脅し、B2を夜の東京上空に差し向けて、しかも撃墜される。

言わずもがな、WW2の東京大空襲の意趣返しなんだろうけど、ハリウッド映画の日本兵より扱いが酷い。ついでに中国とロシアも脅迫するけど、この描写、完全に監督の思想だろと。

 

そんなこんな含めて全部、笑えて熱くなれて、よく出来てると感心できる名作。ゴジラ好きより映画好きが観るべし。

特に無人在来線爆弾。