ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

Steamサマーセールで抑えたい傑作 -「深イイ」部門

今回は「深イイ部門」と称して、ガッツリ腰を据えて遊んで欲しいゲームを紹介するよ!

本稿における奥深さは、単にボリュームが多いという意味に留まらず ボリュームが多い上に、遊べば遊ぶほど、違った世界や面白さが見えてくる、そんな魅力を「奥深さ」としました!

 

 

XCOM ENEMY UNKNOWN -司令官としての責任と没入感


 

XCOM ENEMY UNKNOWN $16.49(-67%)(complete edition) オススメ度:☆☆☆ 奥深さ  :☆☆☆☆ 協力プレイ:N/A 新鮮さ  :☆☆

本作は自分の軍隊を育て、武器を開発し、各国に散るエイリアンを掃討する、RPG要素の強いストラテジーゲームだ。

ストラテジーといっても、RTSとは違ってターン制なので、ゆっくり考えながら遊ぶ事ができる。 とはいえ、プレイヤーにはただ戦略だけでなく、予算の経理、開発の順序、兵士の育成など、経営学のセンスも問われる。その両立の困難が「奥深さ」を形成するのだ。

 

 

 しかし、自分が育てた兵士が、身銭を切って開発した兵器を持ち、美しいビジュアルやカットインで次々と敵を葬る爽快さは、正に無類。

前作からのファンには厳しい声もあるが、それでも美しいグラフィックでダイナミックに展開される戦場は、

このゲームのキモである「自分こそ司令官だ」という責任と没入感を、これ以上なく高めてくれるので、私としては旧作でなく本作を遊ぶ価値は多いにあると思う。

なんかこう書くと、某艦隊ソシャゲを思わせるが、美少女は出てこない。あしからず。

 

Max Payne 3 -「やられる前にやる」スタイルの爽快な銃撃戦


 

Max Payne 3 $5.99(70%off) オススメ度:☆☆☆☆ 奥深さ  :☆☆☆☆ 協力プレイ:N/A 新鮮さ  :☆☆☆

正直、「奥深さ」となれば、筆者の好みもあってストラテジー尽くしになってしまうところを、この名作はしっかりカバーしてくれた。

本作は元刑事マックスとなり、ピストルやライフルを使いながら、単独で犯罪組織を壊滅させていくTPS(三人称シューター)だ。 本作では自動回復はなく、有限の鎮痛剤を用いて回復する上、敵の攻撃は正確かつ強力なので、多少の被弾が致命傷になる。

代わりに本作では、一時的に時間を止めるバレットタイムに加え、TPSならではの広い視野、速やかな視点移動で、 「やられる前にやる」という、近年では珍しい大変アクティブなシューティングゲームに仕上がっている。

 

このような勇猛果敢なシューターは楽しいのだが、同じくアクティブな作品のDOOMやSeriousSamでは人型のエネミーと戦えない運命にあった。

というのも、人類の用いる武器はライフルやピストル等、どれも即着弾の武器ばかりで、早撃ちや回避によって被弾を避けることが出来なかったためである。 逆にモンスターの体当たりや、吐き出した火の玉なら、攻撃を見てから安心して避けることもできる。しかし、モンスターとの戦いは現代のリアル志向とは相性が悪い。

一方、MaxPayneはリアルで魅力的な人型のエネミーと環境を用意しながらも、様々な独自要素で、DOOMのような快適かつハードなシューターを確率した。

とにもかくにも、何周でも遊べる「奥深さ」を持った傑作である。

 

Farcry 2 -「闇の奥」を体感する恐怖


 

Far Cry 2 $2.49(75%off) オススメ度:☆☆ 奥深さ  :☆☆☆☆☆ 協力プレイ:N/A 新鮮さ  :☆☆☆☆

 

このリスト中では評判の悪い作品かもしれないが、私にとって未だに忘れがたい記憶、それがFarcry2だ。

本作は北アフリカで働く傭兵の一員となり、悪名高い武器商人ジャッカルを追い詰める、箱庭型FPS

ぶっちゃけ本作はボロカスに叩かれた。同じような荒野を走り、不毛な殺し合いを続け、一方的な組織への服従を強いられるゲーム性が、あまりに退屈だったためである。

ミッションの目標達成以外で報酬は得られず、道中執拗に追いかけてくる傭兵をいくら殺しても無駄。そもそも、最終目標のジャッカルを殺す理由も今ひとつわからず。 ぶっちゃけ、サービス精神の欠片もないゲームだ。

しかし、不毛だからこそいい。目的もなく報酬もなく、殺しを続けるその理由が、最後に明かされるからだ。

 

この不毛なゲームの目的は、本作の最終面のマップ名称「Heart of Darkness」(コンラッドの小説「闇の奥」のこと)で読み解ける。

小説「闇の奥」は、植民地時代のアフリカで莫大な財を築いたカーツという男が、徐々にアフリカの奥地で手下と共に自分のための帝国を造り、その帝国で突如として絶命するという話。 これらを解釈した作品で、多くの点で共通していることは「財も人材も手に入れた後に、何故か自殺する」ということ。

つまり、人間のむき出した野性的な欲望は、達せられて尚留まるところを知らず、己の中で膨れ上がり続け、それに自分の理性さえ飲み込まれる恐怖を描いた作品なのだ。 そこで、本作は、ストーリーだけでなくゲーム性さえもが、この「闇の奥」に組み込んでしまった。

 

プレイヤーは主人公補正という無双の力を手に、好きなだけ殺戮し、それによって報酬を得て、更なる殺戮のためのおもちゃを手に入れる。 確かに好きな武器で殺しをするのは楽しい。

このゲームは銃撃戦のクオリティは高く、更に銃もリアルで豊富だ。まして報酬まで手に入るなら尚更楽しい。 しかし一度、殺しが正当化されると、もう殺し以外の手段で、問題を解決できなくなる。 更に、自分の同胞を殺した主人公に報復すべく、彼らは執拗に追いかけてくる。名も無き黒人を殺したところで、罰も報酬もない。

徐々にプレイヤーは、殺しの虚しさと息が詰まるような抑圧感を感じ始める。 そして、Farcry2という欲望と殺意に満ちた帝国の正体に気付いた主人公に、なんと殺すはずだったジャッカル自らが現れるのだ。

そこでジャッカルが提案した案とは? 闇と殺意に飲まれたプレイヤーは、自由と善意を取り戻せるのか? あとはこの、「糞ゲー」とも「リアルな地獄」とも呼べる、本作をプレイしてから、その目と腕で体験してほしい。

Farcry2は、現実のアフリカ紛争の正体である、欲望の最果てにある世界を、プレイヤー自らが体験できる、稀有な傑作である。