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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

『COD:AW』が「タイタンフォールのパクリ」ではない3つの展望と反省

攻略&考察

 


Official Call of Duty®: Advanced Warfare ...

 

 

毎年恒例の『Call of Duty』(以下COD)の新作トレーラーが公開されましたね。

皆さんお待ちかねのマルチプレイヤーの初動画、とあって筆者も期待していたのですが…。市井の反応はあまり反応は芳しくないようです。

中でも『TitanFall』や『Crysis』との類似点を指摘された方は多かったようです。

確かに、近未来の設定に、ステルスモードや高度ジャンプは、FPSプレイヤーにとってさほど新鮮とは言えないのもわかります。

 

ここはむしろ、「パクリ」を「接点」と解釈し、『TitanFall』等の先駆者たちの反省を活かし、新作CODについて展望する、新たな機会と捉えた方が生産的ではないでしょうか。

なぜ、新作CODは「タイタンフォールのパクリ」へと舵を切ったのか。その根源と展望について『COD:AW』を述べていこうと思います。

 

 

  1. ゲーム性から …「移動」の変化によるゲーム性の原点回帰
  2. デザインから …「近未来化」のデザインはミリオタに対する裏切り
  3. 過ちから …「アンロック」とインフレ兵器による不平等性

 

 

 

 

 

 

①:ゲーム性から …「移動」の変化によるゲーム性の原点回帰

 

 

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COD』の開発スタジオが「パクリ」という声も予想されるにも関わらず、あえて近未来という場を選んだ目的は、CODという「ゲーム性」の拡張だと思います。

事実、『TitanFall』は『COD』をベースに「移動」を加えることで、新たな「ゲーム性」を切り拓きました。

そもそもFPSの「ゲーム性」とは何か。まずFPSの源流を遡ってみましょう。

 

マルチプレイFPSの元祖は『Quake』ですが、Quakeは未だに最高峰と誇れる程に複雑かつ高度な「ゲーム性」を有しています。

即着弾か否かの武器、立体的で戦略性に富んだMAP、心理をついたアイテムの奪い合い、際限なく自由に動き回れる「移動」の複雑さ、などなど。

しかし、それらの「ゲーム性」、特に「移動」と「射撃」の複雑さは、FPS市場の拡大と共に消滅していったことを、以前Blogで述べました。(拙稿「移動と射撃の変遷」

正直なところ、その「ゲーム性」の制限に継ぐ制限の果てが、CODシリーズであることは否めません。

もちろん、CODにもFPSとしての魅力は多く残っていますが、

CS機のコントローラーに合わせた開発や、若年層への門戸開放により、『Quake』にある古典スポーツ系FPSにある複雑な要素は、どれも削ぎ落とされたのも現実です。

 

 

 

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*1

 

 

しかし、制限だらけの平凡な「ゲーム性」では、もうCODシリーズを続けることは出来ない。と開発のSledgeHammerは判断したのでしょう。

そこで、彼らはFPSの古典『Quake』に習い、「移動」の「ゲーム性」の一部を取り入れることにしたのです。

例えば、今作の特徴であるジェットパックによる高い機動性は、『Quake』のような古典FPSへの「原点回帰」と私の目には映りました。

同じことは、『TitanFall』や『Crysis』にもいえます。これらの作品は、流行のCODをベースに、かつての『Quake』を思わせる高い機動性の「移動」を取り入れたのは言うまでもありません。

だからこそ、SledgeHammerは伊達や酔狂で「近未来性」という無謀な「Advance Warfare」を進めたのでなく、「ゲーム性」による巧妙な「Classic Warfare」に専念したといえるでしょう。

(便宜上『Quake』を例にしただけで、優れたスポーツ系FPSは他にも存在しますし、『Tribes』のように細々と受け継がれていたりします)

 

 

 

②:デザインから 「近未来化」のデザインはミリオタに対する裏切り

 

 

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先ほどは、『COD:AW』の「近未来性」を「古典FPSへの勇気ある原点回帰」として肯定的に評価しました。

確かに、飽和したFPSのゲーム性を、大御所COD自らが変革と学習を行うことは英断ですし、多くの「FPSゲーマー」は歓喜することだと思います。

しかし、この「近未来性」は大きなリスクを伴います。

なぜなら、CODをプレイするファンの多くは、高いゲーム性を求める「FPSゲーマー」であると同時に、クールなミリタリー・デザインを求める「ミリオタ」でもあるからです。

筆者自身も、CODで描かれる多種多様なライフルや、リアルな戦場描写は、「ゲーマー」としてより「ミリオタ」として楽しんでいました。

正直、本作のマルチプレイヤーにおける銃器はどれも似たような性能で「ゲーム性」に大して影響はないものの、デザインに惚れる「ミリオタ」には大きな違いだったのです。

また、ネット界隈においても、CODの新作アナウンスの度に、「どんな銃器が収録されるのか」「89式はよ」などといった声で盛り上がったものです。

 

 

 

しかし、「ゲーム性」を拡張しマンネリ感を払拭する「近未来性」は、同時に「ミリオタ」を切り捨てることになってしまいます。

企業から国家まで架空の「近未来性」の世界に、銃器だけAK47やM16のような現実を持ち込むわけにいかないからです。

ミリオタは現存する銃器を愛する人種です。「自分たちが普段から知ってる武器」がゲーム内でも使えるという、現実と非現実の交錯を評価するのです。

例えば、普段乗れないようなコルベットとかアストンマーチンのような高級車に乗れるからこそ、レースゲームは売れるのと同じです。

故に、「近未来性」を新作に導入することは、「ゲーム性の拡張」と「ミリオタへの裏切り」のトレードオフ(交換)になってしまいます。

そこで、『COD:AW』では「ミリオタへの裏切り」の代わりに、ミリオタさえ取り込めるとなるような、優れたデザインのセンスが求められるでしょう。

一方で、『TitanFall』は新規タイトルであり、最初から「ミリオタ」からの期待でなく、「ゲーマー」からの期待に応えて成功しました。

少なくとも、CODとミリタリーはセットで認識されてたわけですから、『TitanFall』と同じようなデザインでは「CODというブランドの濫用だ!」とファンの怒りを買うでしょう。

 

 


③:過ちから …「アンロック」とインフレ兵器による不平等性

 

 

 

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①、②において、『TitanFall』を肯定的な部分を述べて、『COD:AW』がいかにそれに応えるのかという展望を述べました。

しかし、『TitanFall』や『Crysis』には大きな問題が指摘されました。

それは「アンロック」システムと、インフレした性能の兵器との相性の悪さです。

 

本来、「アンロック」システムは、『COD4』によって大々的に広まったのがきっかけです。(起源は『BF2』とも言われています)

COD4』の時代から、ゲームと無関係な要素が「ゲーム性」を大きくスポイルしている点が指摘され、「アンロック」は多くのヘビーゲーマーに不評なシステムでした。

一方で、PCではなくCS機をターゲットに絞り、「アンロック」を含めたカジュアルさによって本作は爆発的に売れ、ゲーマーも溜飲を下げざるを得なくなります。

その上、元々カジュアルだった『COD』には複雑な「ゲーム性」が期待されず、「アンロック」の有無に関わらず、どの武器も似たような性能だったのも大きいでしょう。

 

しかし、それから4年後に『Crysis2』が発売されると、「アンロック」の評価も大きく揺らぎます。

『Crysis2』は『COD』ベースのゲーム性に加え、高性能スーツによるステルスモードや高速スプリントが可能な、「近未来性」の伴うFPSでした。

問題なのは、その高性能スーツの性能が「アンロック」によって大きく向上したことです。

特に、ステルスモードの消費エネルギーを半減するモジュールはとても強力で、余程のことがない限り、常に透明な状態で敵と戦えます。

アンロックするには「ステルスモードで350回キル」と、その道のりも険しく、

このモジュールを持っていない初心者は、『COD』など比べ物にならないほど、著しく不利な状況で他のプレイヤーと戦う他ありません。

言うまでも無く、こんな不公平なゲーム性がプレイヤーに歓迎されるはずもなく、『Crysis2』のマルチプレイヤーはあっという間に閑古鳥が鳴くようになりました。

『Crysis2』よりマシとはいえ、『TitanFall』でも同様に、目玉要素のTitanの武装にさえアンロックは及び、初心者は満足に遊ぶことができなかったのです。

 

 

 

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*2

 


ここからわかるのは、平凡な銃器がアンロックされるのは大差ないものの、「近未来性」で拡張した「ゲーム性」にアンロックを適用すると著しく「ゲーム性」に不公平が生じることです。

そもそも、あえて「近未来性」を「ゲーム性」のウリにしている以上、追加された武器や要素はどれも強力で当然です。

そこにアンロックを持ち込むなど、一髪千鈞を引くごとき危険な行為。

CODの「アンロック」が暗黙のうちに許されたのは、武器同士の性能に大差なかったというゲームバランスありきなのです。

COD:AW』には様々な「近未来性」に合わせた高性能な装備がフィーチャーされています。だからこそ、一層「アンロック」の扱いに気をつける必要がありそうです。

 

 

 

以上、『TitanFall』から鑑みる『COD:AW』の接点と、そこから導かれる反省と展望でした。

どうして天下の『COD』が、『TitanFall』をパクるに至ったかは、やはりマンネリズムの打開とゲーム性の変革にあったのは上記の通りです。

しかし、①で述べたように、『COD:AW』の変革は、『TitanFall』への短絡的な「パクリ」というより、『Quake』を初めとするFPSの起源に回帰する運動であり、これは現FPS界においても注目すべき事象と思われます。

少なからず、『COD』はファンからも飽和状態への不満があったわけですし、

袋小路に行き詰まったFPS界が、新たな方角へ向けて歩み始めたことそのものは、「ゲーム性」を求めるゲーマーにとって好意的に受け止めてもいいでしょう。

一方で、デザインを求める「ミリオタ」層を切り落とす背任行為は、『COD』ブランドで売り出す以上、怒りを買うことも当然といえますし、

いくら新たなゲーム性を取り入れても、悪名高い「アンロック」システムの暴走が、逆にゲーム性を無為にする可能性もあります。

「ミリオタ」を納得させるほどのデザインと、初心者も不公平性なく存分に新要素を楽しめる「アンロック」の塩梅の、両方が『COD:AW』に期待されます。

そして、それらの課題を解決することで「TitanFallのパクリww」という汚名を晴らし、新たな『COD』を打ち立てることを期待したいです。

 

 

 

 

*1: 参照:QuakeLive

*2:参照:Crysis2