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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

【正直】 Destiny PS4版 感想・レビュー 【神ゲー】

ゲームレビュー

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Destinyを軽く遊んだ。

結論から言えば、destinyは面白かった。次世代ゲームに相応しい、素晴らしい未知なる体験を、我々に約束してくれた。

また、本作最大の魅力は、「大衆が期待していた夢の神ゲー」のような派手さではなく、ゲーム性とストーリーの塩梅からなる立体的構造にあるのであって、この点について留保していただきたい。(指摘して頂いた友人に感謝)

 

 

 

 

 

  • 『Destiny』ってどんなゲーム?
  • Borderlands』=平面なゲーム、『Destiny』=立体なゲーム
  • なぜ我々はゲームを遊ぶのか?
  • 『Destiny』における道とは?
  • 総論

 

 


『Destiny』ってどんなゲーム?



まず本作にほとんど触れてない方に向けて、ざっと『Destiny』の概要を説明しよう。

本作は、ハック&スラッシュを基本に、操作性はFPSを中心に据えた、オンライン専用のゲームだ。

ハック&スラッシュというのは、「次々にクエストを受注し、その道中や報酬で新たな武器を手に入れ、更に難度の高いクエストに挑戦する…」というタイプのゲーム。



このような、「ハクスラFPS」の先駆者と言えば、やはり『Borderlands』だろう。

Borderlands』は、「ハクスラ」の基本システムに、「FPS」のアクション性を加えた点が特徴であり、

ハクスラ」にある「同じことのくり返し」による倦厭を、「FPS」にある「狙い撃つアクション性」によって相殺するために、「ハクスラFPS」は生まれた。

このシステムをいち早く具体化した『Borderlands』は高く評価され、既に続編も2作作られている。


 


Borderlands』=平面なゲーム、『Destiny』=立方体なゲーム

 

 

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しかし、私は『Borderlands』に今ひとつハマれなかった。その懸念は、同じようなゲーム性を抱える『Destiny』まで持ち越された。

確かに、私は何十時間も身内と『Borderlands』を遊んだだけに、基本的によく出来たゲームであることは認める。

では何故つまらなかったのか。それは、今ひとつ「作業ゲー」っぽい、淡白な世界観・ストーリーが合わなかったのである。



Borderlands』の世界観は、あくまで「ハクスラFPS」というゲーム性を維持するために作られた、「インスタントな世界観」だ。

つまり、悪人面をした「倒されるべき敵」が用意され、「何の脈絡もないフィールド」に飛ばされ、「邪魔しない程度の軽いストーリー」が展開される。

これは欠点ではない。むしろ、ゲーム性という主のために、徹底的に従として作られたストーリーは、潔い割り切りだと言えよう。インスタントであっても手抜きではないのである。



だが、それでは所詮「佳作」止まりとしか思えない。

私が本作に期待していたのは、広大なフィールドや膨大な武器は当然として、それらの要素がストーリー等の「道」によって交差し、結び付けられた一つの立方体のような作品である。

Borderlands』は面白い。しかし、それは個々の要素が面白いが、それは「サラダボウル」的に雑居するだけであって、それらを結びつける因果が、世界観やストーリーが足りない。

ゲームを「能動的体験」のうちに収斂するには、「どう遊ぶか」だけでなく、「何のために遊ぶのか」と考えさせるような、全ての要素を共有する「道」が不可欠なのだ。

 

 

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Borderlands』のような「ハクスラ」系のゲームは、そのリソースの量で勝負する。末永く遊べるコンテンツと、かつ長く遊ぶための工夫なら、いくらでも替えが利く。

しかしそれでは、どこまでいっても「縦と横の平面の世界」でしかない。「縦と横」に対し「高さ」が加わった、立方体のゲーム性こそ必要とされるべきだ。

私が膨大なコンテンツを有するゲームに求めるのは、その膨大なコンテンツと同じ量だけ用意された、コンテンツの間を結ぶ「膨大な道」である。

(これは物量重視の『Borderlands』に限らず、演出重視の『COD』でも脚本重視の『Witcher』でも言えること。偏ったゲームは佳作どまりだ。)



 

 


なぜ我々はゲームを遊ぶのか?

 

 

 

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さて、随分前置きが長くなってしまった。これから『Destiny』の評価に移ろう。

私が「ハクスラ」系のゲームが持つ、大量の武器やマップに見られる、膨大なリソースに求めるものは、そのリソースとつなぎ合わせるような「道」だと答えた。

そして、この『Destiny』には「道」がある。

まず、巨大な「道」として、『Destiny』全体を取り巻く、謎に満ちたストーリーがある。「何故人類は滅亡しかけたのか」「トラベラーとは何か」最初から疑問だらけだ。

これらは単なる勧善懲悪のストーリーではない。このストーリーでは、文字通り人類の「運命」(=『Destiny』)を巡る、善も悪もなく、滅亡寸前の人類が、ウォーロック、ハンター、タイタンとなって立ち向かうのみ。


ここにはわかりやすい悪役は存在せず、静かに、かつ確実に、「誰か」が「我々」を蝕み、「我々」の燈火が潰えようとしている。ただそれだけのリアリティが存在する。

この、奥深い、それでいてミステリアスなストーリーに、完成されつつもオリジナリティが伺える世界観を、『Destiny』はゲーム性に内包しているのである。



少し話は逸れるが、凡百の「ハクスラ」を遊んでいる時、「何のためにレア武器を自分は集めてるのだろう」と、ふと虚しくなることはないだろうか?

しかし、『Destiny』に虚しさはない。広大な宇宙と、人類の悲劇的運命が横たわる限り、「レア武器収集」という虚しい行為は、「末期の地球探索」という無常感が垣間見る悲しき冒険へと昇華するのだ。

そのゲーム性、ゲーム行為の「解釈」に必要な「道」こそ、この謎の満ちた、それでいて無常観漂う世界観なのだ。



同じことは有名FPS、『STALKER』にも言える。『STALKER』に敵は存在せず、自分がゲームを遊ぶ理由は、自分で見つけなければならない。

そして、そのためのヒント、「道」がゲーム内に散りばめられている。廃墟やミュータント、そしてモノリス。「何のために冒険するのか」という前提は、ここから各々の解釈によって導き出すのだ。


 

 

 


『Destiny』の「道」とは?



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さて、せっかくなので『Destiny』を支える「道」となるコンテンツを紹介しよう。

まず『Destiny』で評価されるべきオードブルは、優れたサウンドだろう。

普段は乾いた環境音で「ハクスラ」らしい、ある種の日常性を演出しつつも、ボス戦や戦闘では壮大な舞曲が盛り上げてくれる。



ストーリーも素晴らしい。全体で言えば、キューブリックの『2001年宇宙の旅』を思わせるような、簡略化した説明が却って宇宙の壮大さを描くだけでなく、
映画ではカットされるような細やかな設定も、アイテムの説明文を用いることで示唆し、決して「雰囲気ゲー」で流さずに説明しようと試みている。



また、グラフィックは本作最大の醍醐味だ。これは『Borderlands』を含め、他のハクスラに致命的に足りなかった点である。

単調になりがちな「ハクスラ」に、美というスパイスをもたらすだけでなく、『Destiny』の抱える「人類は何故滅びつつあるのか?」という盛大な哲学に「訴求力」をもたらしている。

例えば、地球に広がる廃墟のスクラップヤードと、月に広がる荒野の自然の対比から、私は人類の無力さを痛感した。

つまり、極限まで突き詰められたグラフィックによる表現は、「地球」と「月」、「文明」と「自然」の、明瞭な対比を描き出しているのだ。

私が好きな作品、『FF4』にて同じような「地球」と「月」にまたがるテーマが展開されたが、あのファミコンの表現力では、到底届くことのなかった「訴求力」である。



また、個人的に感心した演出は、本作は太陽系全域を冒険するストーリーでありながら、チュートリアルは地球と始まる演出である。

最初に「地球」の「旧ロシア」からストーリーを始めることで、馴染み深い地球でプレイヤーを誘いながらも、「何故地球が消滅したのか?」と疑問をもたせることに成功している。

SFというアクの強いジャンルである本作に、ミステリー的な興味と共に、このゲームの抜本的な哲学にも引きずりこむのだから、この手法は上手いと思った。






総論




ハクスラに求められる「膨大なコンテンツ+膨大な道」を結実させた傑作。

Bungieは、『HALO』で築いたノウハウ通りに、「道」を造り、ミクロな素材からマクロな背景までをリンクさせ、一つの作品に収斂させた。



『Destiny』は、確かにテキストチャットの不在や、(ハクスラとしては)コンテンツの少なさなど、欠点もいくらか抱えているが、それでもプレイするべき、素晴らしい作品と言えるだろう。

大量の武器に、優れた射撃性といった「基本のゲーム性」に対し、美麗なグラフィック、重厚なストーリーといた「従属の背景」を備え、

それらが独立するでなく、「ゲーム性」と「背景」がそれぞれをリンクすることで、立体の構造を伴った一本のゲームへと完成したのだ。



大量の武器、ハードなゲーム性、映画のような演出、それぞれが一つ一つ輝くゲームは多くとも、

本作のように全てが一つの「ゲーム」という目的のために収斂することで、「能動的体験」としての面白さを持つ作品は稀である。

さすが、「約束された神ゲー」は伊達ではないということか。

 

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個人的にハンター+投げナイフで、「エピタフ」「ゴゼンC」「信玄」「イクリプスV」辺りで立ちまわるのが最高

スキルは「ブレードダンサー」+「ストーカー」が鬼性能。