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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

感想 『Plants vs Zombies Garden Warfare』 アンロックは楽しめるか?

ゲームレビュー

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「競技性」より「娯楽性」が求められる現代ゲーム 

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ゲーマーのなかでも、特にFPSゲーマーにとっての近年の課題と言えば、やはり「アンロック」だろう。

「アンロック」について説明すると、1つの試合で目標を達成する毎に、プレイヤーには少しずつポイントが加算され、それによって新たな武器や防具を「アンロック」するシステムのことである。

近年、『COD』を代表に、多くのFPSやTPSにはこの「アンロック」が導入されている。

同時に、この「アンロック」はしばしば議論の種となる。

 

「私は、対戦ゲームは本質的なところで「競技的」であってほしいと考えている。プレイヤー間で切りうる手札に差があるべきではない。「レベル上昇やチャレンジ達成による装備や能力のアンロック」制度は、この考えと真正面から衝突してしまうものだ。」

引用:AUTOMATON



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仮に「競技性」を追求するだけならば、普通に考えて「アンロック」は不要だ。

恐らくそれは、ゲーマーが偉そうに高説垂れる以前に、開発者側ですら容易に理解し得る事実だろう。

しかし、ネットで意欲的に議論するハードなゲーマーを除いて、他のカジュアルなゲーマーは「FPSの競技性」だけを求めていないのである。

彼らは「アンロック」のない「FPSの競技性」の代わりに、「アンロック」のある「FPSの娯楽性」を求めている。

普段から学校や会社に務め、休日は友人とスキーやゲーセンに勤しみ、そして残った、本当にごくわずかな1時間程の休憩時に、フラッと遊ぶ。

それが、「FPSの娯楽性」を求めるカジュアルなゲーマーの正体だ。(決してハードなゲーマーをバカにしているわけでない)



しかし、時代が変化することによって、その時代を「利用」して新たな文化を生み出そうとするアーティストは、いつの時代も存在する。

それが、この『PvZ』だ。

「アンロック」を娯楽にできないか? 

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往々にして、開発者は「アンロック」を何とか薄めよう、誤魔化そうと努力する。

最初からそれなりに強い武器は使えるし、武器の代わりに迷彩をアンロックさせ、あくまで「競技性」をアピールしようとする。



しかし、この『PvZ』は、そんな「罪悪感」を一蹴し、最初っから「このゲームはアンロックを楽しむゲームだ!」とプレイヤーにぶっちゃけるのである。

というのも、我々が『PvZ』を遊ぶ際に必須な、「ポット」と呼ばれるゲームの中核を担うアイテムや、新たなキャラクターは、一つとしてアンロックされていないのだ。

いわゆる、「初期クラス」というのは一つだけ。タワーディフェンスゲームを元ネタにしておきながら、肝心のタワーは一切与えられない。

ではどうするのか。プレイヤーには「ブースターパック」が最初に配られるのである。

「ブースターパック」については、遊戯王とかMTGみたいなカードゲームを想像して欲しい。

プレイヤーは、最初に6つ程のパックを所持して、それらを一つ一つ開封した後で、初めて試合を始める事ができるのである。



勿論、これは「競技性」もへったくれもないアイディアだ。「運がいい奴」は高性能な装備を最初から所持し、「運が悪い奴」は最初から不利な状態で戦うしかない。

この塩梅が実に見事で、「運がいい奴」はしっかり「運」を実感できる。(なんと、アイテムのレア度が決まっている。当然レアなアイテムほど強力)

いずれにせよ「配られた手札のみで勝負する」という面白さはかなり良い。

その上、その初手から徐々にパックを購入し、「開発による予定調和的」な順番ではなく、「自分による運」で手に入れたアイテムで、自らの装備を強化するのは新鮮だ。

 

「アンロック」と「パック」を両方採用するのは辞めろ

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このように、開き直ったようなアンロックシステム、「パックシステム」を導入した点が、『PvZ』の醍醐味と言える。

また、最近『Battlefield 4』等が似たシステムを採用したが、ガチガチの「アンロックシステム」も平行して採用されており、プレイヤーは二重苦を味わった。

時間を掛ければ確実にアイテムが手に入る「アンロック」、運さえよければ一瞬でアイテムが手に入る「パック」。

その二つは異なるアンロックシステムであり、二重に労働をプレイヤーにせまった『BF4』は失敗と言わざるをえない。(「パック」でないと手に入らない強力なアイテムもある…)



そして、それは『PvZ』においても完全に否定することはできない。

なぜなら、『PvZ』は圧倒的に「パックシステム」に比重が置かれているものの、プレイヤーのアビリティなどの一部は、未だ「アンロックシステム」に依存しているためである。

これには大きく失望した。「パックシステム」を大々的に取り上げた点が、私が最も気に入っていた点だったのだが、何だかんだと「アンロックシステム」から脱却出来ずにいたのだから。



『PvZ』の「パックシステム」によって、アンロックの苦行を娯楽に転換する努力を行った点は、確かに素晴らしい。

しかし、これは「アンロックシステム」と平行させれば、娯楽どころか単に苦行が増えただけである。

そして、『PvZ』の意志を継ぐように、近年では『BF4』『CoD:AW』を始めとする多くのFPSが、「パックシステム」の採用を検討している。

これには懸念を抱かざるを得ない。「パックシステム」はアイテムの大半がパックで手に入るのだから実現する面白さということを、『COD』の開発は配慮して欲しい。