ゲーマー日日新聞

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『FF15』は何が変わった?田端ディレクターにインタビュー

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(Eurogamerより転載)

ファイナルファンタジー』の期待のヒーロー、田畑端にインタビュー


ファイナルファンタジー』は、世界を救おうという責任を背負えるキャラクターに事欠いたことがないが、新作における主人公たちは一つ期待できそうだ。

ところで、初期版『FF14』から新生『FF14』への復活を支えた、スクエア・エニックス吉田直樹氏によれば、彼の挑戦は実に困難だったらしい。

というのも、現実的な『FF14』の新作、つまり一から作品を作ることは、既存の作品を再建することに比べて費用がかかりすぎたため、費用と再建の両面から調整せねばならなかったからだ。

しかし、吉田氏の『FF14』再建は、長年の『ファイナルファンタジー』開発の中で、徐々にファンからの期待から失われたスクエア・エニックスの信頼を回復するために、欠かせないものだっただろう。



一方、『FF15』においても、別のスクエニ社員、田端端氏が、この英雄的とも言える再建に取り組んでいる。

彼はかつて『FF7』の監督であったと同時に、外伝『クライシス』『クライシスコア』、そして新作『零式』の監督も務めており、およそ8年間、停滞しがちなスクエア・エニックスで、重大な責務を果たしてきたのである。

そして、彼は『FF13』の監督であり、今では『キングダムハーツ3』の開発も請け負っている野村氏の後釜として、『FF15』の監督を引き受けたのである。



我々取材班は、スクエア・エニックスの新宿本社において、およそ1時間に渡り田畑氏とインタビューを行ったことで、彼こそ『FF15』に最適な人材だと思えた。

彼の印象は、『FF14』を再建させた吉田氏と同じように、ここ数年のスクエア・エニックスのスタッフたち、北瀬佳範氏や鳥山求氏とは対照的な印象だった。

一方で、かつて北瀬氏らの作った『FF13』は、現代の要素など一切含まない、およそ我々が馴染めそうにない完全な近未来を舞台としており、『FF13-2』頃になると、多くのファンの静止など振りきって、傲慢とさえ取れるような世界観を構築したものである

 

 

 


FINAL FANTASY Versus XIII Trailer 2011 - YouTube

 

 


その点、田畑氏には彼らのような強烈な個性は見られない。

性格は温和で、紳士的な振る舞いを忘れず、そしてファンからの忠告に対して熱心に耳を傾けていた。

何故彼はファンを大切にするのか。それは、吉田氏が考えていたように、ファンがゲームの評価における鍵であり、ゲーム制作における最も有効な手段だと確信しているからであろう。

それもそのはず。世界中のファンの後押しによって、『零式』のHDリマスターを世界規模に拡大できたのだから。



「『零式』は、一部のファンから強烈な声援があったんですよ」

「プレイヤーは開発において本当に重要です。出来ることなら、私は意見をくれた一人ひとりのファンの方々に頭を下げて回りたいですし、日本に限らずヨーロッパのファンの所まで行きたいぐらいで」



それはスクエア・エニックスに『FF15』の体験版を『零式』に付属させることも受け入れたファンへの敬意だった。

「大体2年前に企画に参加したんですけど、その頃にはPS4とかXbox Oneみたいな新世代機も出てきて、それに対応したコンテンツや仕組みを組み込むために、スタッフが総入れ替えだったんですね。」



「我々は申し訳なく思っています。本当に長い間ファンの方々を待たせてしまったわけですから。現状、大体55%くらいは完成していて、長らく待ってくれたファンの方々の期待に答えるためにも、バグの修正やクオリティの向上に日夜奮闘しています。少なくとも、『零式』に付属させる体験版で仕上がりは確認してもらえると思います」

 

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ティーザーイメージが先週の東京ゲームショーで公開されたことで、我々は『FF15』の開発状況の進歩を確認できた。

長い一本道が続いた『FF13』と比較して、『FF15』では広大なオープンワールドで、妙に車高の低い独特な車に乗り込み、流れるようなアクションを体験できる。

野村氏が開発していた頃の名残も、キャラクターや世界観、2011年に公開された『versus 13』バージョン(訳注:『FF15』の初期タイトル)で見られた戦闘システムから散見されるものの、新たに改良された点も多く見受けられる。



そうなると、「田畑らしいFF」とは何か?と疑問に思うかもしれない。

その答えは彼のキャリアにある。確かに、彼は携帯機のゲームばかり開発していたにも関わらず、彼は確かにゲーム全体に共通するノウハウもまた会得しているのである。

「日本においては、ゲーマーが徐々にカジュアルなゲームに傾倒しつつあります(訳注:ソシャゲのような)」

「個人的に、私はガッツリしたゲーム(原文:core-centric games)を好んで研究してきましたし、私は何とかそのノウハウを守り、そして可能な限り最高の形で後世に残すべきだとも思っています」



そう、田畑の作品には確かに背骨が通っているのだ。より頑強な世界観を持つ『零式』、より直感的な戦闘が出来る『クライシスコア』、そこで培ったノウハウを、どうして『FF15』でも応用出来ないといえるだろう。

「我々が作品にメスを入れるとき、我々は野村氏が残したゲームと向き合いつつ考えています」

「私はもっとリアルな方面を持って行きたい。例えば、ベヒーモスのような強敵と戦うのであれば、プレイヤーは攻撃を避けるために正面に立とうとはしないでしょう。
 だから、攻撃を回避しつつ、敵に食らい付こうと思えば、敵の側面を取るなり何なりして頭を使って立ち回らなければいけない。


 このように、実際の野獣と戦うような緊張感を帯びながらも、一方で操作そのものは簡単で、演出もドラマチックにしたい。
 私が本作で見出そうとする「リアル」とはそういうことなんです。」



また、田畑氏は『FF15』に忍ばせたもう一つの要素についても話してくれた。

オープンワールドは西欧のゲームではさして珍しいものではないが、そもそも『FF』における何よりの楽しみと言えば、このオープンワールドの探索であり、

この『FF15』においても、主人公たちはGTAを意識したような車に乗り込み、素晴らしい大草原を駆けるシーンを見せてくれた。

田畑はこの反響に対して好意を寄せている。

 


FINAL FANTASY XV TGS 2014 TRAILER - YouTube

 



「私がPS4やXboxOneに向けて、FF15のポジションを定めてから、私の独断で判断を下すことが増えました。例えば、どの部分に海外ゲームを取り入れるべきか、戦闘とビジュアルのどちらを優先すべきかとかです。」

「私は洋ゲーが好きですが、単に洋ゲーに影響されるだけでなく、いかに洋ゲーのノウハウをゲーム内に取り込んでいくかが大切だと思いました。」



また、田畑は『FF13』のような前作を変革しすぎることなく、それでいて幅広いファンにも受け入れられるような作品を目指した。

「『FF15』において、とにかくカジュアルにしたかったんです」

「勿論、ゲーム性の奥深さも追求します。しかし、私はカジュアルにすることで、より手軽にゲーム性の奥深さの容易にプレイヤーに知ってほしいのです。」

ゲーム内には様々な選択肢が用意される。ゲーム内において、プレイヤーは車を操縦することもできるし、或いはNPCに任せて後ろの席に座っててもいい。

わざわざプレイヤーの手で動かせるようにしたのは、彼らにより奥深く、『FF15』の世界観に触れてほしいという願いからだ。



「戦闘においても同じことが言えます。」

「次世代機の性能によって、敵にしろ武器にしろ、様々な選択肢を用意できるだけの可能性を手にしました。


 ですが、私は何よりシンプルにすべきだと思います。
 基本的に一つのボタンで操作できて、直感的にAIから満足の行く反応を、プレイヤー引き出せるようなゲームにする。


 たった一つのボタンに触れるだけで、プレイヤーに充足感を与える。


 私自身、もう若くないですからね。あれこれ混乱しながらボタンを押したくはないわけです。
 つまり、私は次世代機の優れた性能を、それによって生じる複雑さや混乱を回避できるように、合理化したいんです。」



最近では、すっかり『FF』の最新作は、ファンに見捨てられてしまった。

しかし、田畑氏は無駄を省く一方で、近年の『FF』シリーズで失われつつあった素晴らしい冒険を取り戻し、この『FF15』に詰め込もうと努力している。

スクエア・エニックスにとって重要なのは、『FF15』に必要とされるあらゆる要素を、彼がここ10年間で開発し続け、それを『FF15』に盛り込む事が出来るという能力が証明されていることである。

彼が『FF』のメインシリーズを開発する経験に近年乏しかったとしても、田畑氏の情熱にその焦りは見えない。

 

 

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「個人的に、私は『FF15』に今まで開発してきた中でも最も情熱を注いでいます。」

「私の目標は、人々に『FF15』がかつてプレイした中で最も素晴らしい『FF』だったと認めてもらうことですね」

彼は1時間に渡るインタビューを、こう締めくくった。



参考文献

 


Meet Hajime Tabata, Final Fantasy's latest saviour • Eurogamer.net