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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

『Company of Heroes 2』 感想・レビュー ”RTSユーザーの罪”

ゲームレビュー

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『Company of Heroes 2』を遊んだ。といっても、プレイ時間の大半はキャンペーンで、後はフレンドと軽い対戦やCOOPで遊んだくらい。

よって、マルチプレイヤーではなく、キャンペーン中心の批評となることを断っておく。

 

 

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『Company of Heroes』(以下COH)は手堅いRTSシリーズとして有名だ。

プレイヤーは第二次世界大戦における、ソ連陸軍に所属する中隊(Company)の指揮官として、兵士や戦車に命令を下し、史実通りにドイツ軍と戦っていくことになる。


まず本作の魅力と言えば、美しいグラフィックで描かれた迫力ある戦場、簡単な操作に、内政なしで即座に戦争が出来るシンプルなシステム、良く練られたキャンペーンと、RTSの初心者でも十分楽しめるように作られている点も見逃せない。
 

兵士の受難、下士官の葛藤(『COD』との比較) 

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さて、個人的に面白いと感じた、本作のストーリーは、一見して『COD:BO』のパクリである。


プレイヤーは、第二次世界大戦で活躍したソ連軍の中隊長、Isakovichだが、どういうわけか国家反逆罪によって収容所に拘置されている。

そこに、彼の元上官Polivanovが現れ、何故Isakovichが拘置されているのか、何故Isakovichが反逆を起こしたのかが、彼らの回想によって徐々に明らかになる… というストーリーだ。

これは言うまでもなく、『Call of Duty: Black ops』を意識したものである。

主人公は同じソ連兵で、上官との回想、戦争における狂気、反逆により拘置された状況… 正に『COD:BO』のMasonとReznovを足して二で割ったようなストーリーと言えよう。

 

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しかし、一見似たようなストーリーでありながら、描かれる視点は真逆だ。

それは、戦争という悲劇の中で、『COD』のプレイヤーが「利用される側」の兵卒らば、本作のプレイヤーは「利用する側」にもなり得る下士官だからである。

つまり本作は、高い没入感がウリであるFPSが、「利用され、殺されそうになる、兵卒の受難」を描いてきたのに対し、

RTSが神のように、強大な軍団を自由に操る点に着目し、「利用し、殺させる、下士官の葛藤」を描いた、ストラテジーゲームの新たなストーリーテリングなのだ。


「ストラテジーゲーム」ならではのストーリーとは(前作との比較)

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では、「下士官の葛藤」とはいかなるものか。

まず、前作におけるストーリーと比較してみよう。

前作『CoH』のキャンペーンは、高度なタクティクスや、多様なシチュエーションもあって、キャンペーンだけでも楽しめる程のクオリティに仕上がっていた。

一方ストーリーは、序盤から終盤まで、映画『プライベート・ライアン(Saving Private Ryan)』や、ドラマ『バンド・オブ・ブラザース(Band of Brothers)』を、思わせる造りで、既視感の強いストーリーだったことは否めない。
 

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一方、『CoH』は徹底的に「下士官」である点に注目した。

主人公Isacovichはあくまで中隊長であり、いわばソ連軍における中間管理職である。つまり、上官の命令をこなしつつ、兵士に命令を与えねばならないのだ。

そこで、より大きな国家に尽くす「上官な命令」のために、より小さな兵士や人道は犠牲になる選択を迫られる。

例えば、ドイツ軍の猛攻を防ぐために、残存する友軍ごと村を焦土にしたり、友軍と思しきパルチザンを抹殺する命令を受けることもある。

 

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プレイヤーはその立場故に、これらの命令を手動で行わねばならない。つまり、彼らに狙いを定め、「撃て!」の命令と共に右クリックせねばならないのだ。

これは中々に堪える。上官の命令とは言え、自分が大切に守ってきた兵士に、非人道的な命令を下すのだから。

(以上から、本作を強いて映画で例えるなら、『プライベート・ライアン』よりも『戦場のレクイエム(原題:集結号)』と言えよう。名作なので是非観て欲しい。) 


上官と同じ罪を背負った主人公

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では、『CoH2』のストーリーは、純粋に「ソビエト連邦は非人道的な国だ!」と言いたかっただけなのだろうか。

私はそうとは思わない。何故なら、主人公はソ連や国家への反省よりも、「真実を伝える」ことに固執するからだ。


ゲーム序盤にこんなシーンがある。

主人公のソ連軍は、ドイツ軍の猛攻を受けて撤退している。そこで、脱出の際に、橋を爆破して敵軍を足止めすることにした。

しかし、一部の味方兵士が橋の向こうに逃げ遅れたため、「味方を救って橋を敵に渡すか、味方を犠牲にして橋を爆破するか」、という二択を主人公は選ぶ必要に駆られる。

そこで、主人公は苦渋の選択の末に、橋を爆破する命令を兵士に下した。それでも対岸では、逃げ場を失った兵士が、なおもライフルで抵抗している…。

つまり、ソ連の上層部など何の関係もない、純粋に戦争に勝つために、味方を犠牲にする必要もあるのだ。

 

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また、ソ連軍上官のPolivanovは確かに非情だが、決して不毛な命令を下してるわけではない。

ドイツ軍の電撃戦を前にした焦土作戦、武器を持つパルチザンの処刑、連合軍を相手にしたベルリンの争奪戦。これらは全てソ連軍の勝利に必要不可欠なものである。

故に、本作のストーリーは、ソビエト連邦を中傷するものでも、戦争の責任を上層部に押し付けるだけの、陳腐なものでもない。

もし、本当に「ソビエト連邦はサイテー」と煽るなら、映画『遠すぎた橋』のように、作戦の失敗などの「無残な結果」を描き、上層部の無能ぶりをヒロイックに立証すれば良い。

 

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いずれにせよ、本作は「下士官」という立場における、

上層部の非情な命令をこなしつつ、敵兵との困難な戦闘を回避し、時には自らの手で味方を犠牲にするといった、様々なジレンマによる葛藤を、

「ゲーム」という能動的なメディアを通して体験することの出来る、素晴らしい作品だった。

 

総論

近年、PCゲームの開発は、ある種の過渡期に達している。

特にRTSの場合、コンシューマ機での開発が難しく、ゲーム性も複雑であってか、新作の情報はあまり見られない。

故に、本作において「RTSならではの、下士官というプレイヤーの視点」を、ゲーム性とストーリーの間に落としこんでいた点は見事で、RTSの可能性を思わせるものだった。

不満がないわけではない。ソ連軍の描写はそれでも偏見を感じるし、純粋にボリュームも少ない。

更に言えば、ストーリーの変化に対して、あまりゲーム性は変わっておらず(一部印象的な処刑シーンもあったが)、まだまだ改良の余地はあると言える。

(最も、これは『COD:BO』においても同じ不満があった。いくら小難しいムービーを流しても、プレイヤーはマシンガンをぶっ放すだけだ)

しかし、それでも私が、パルチザンを処刑した時、手塩にかけて育てた部下を砲弾の誤爆で殺した時、タイガー戦車を辛うじて歩兵の連携で倒した時、

私が「指揮官」として感じた様々な感情や責任と、中隊を上手く指揮出来たときの達成感は、他のゲームで代用できるものではない。

本作は前作を遥かに上回る「RTSならではのストーリー」から、素晴らしい体験を提供できたと言えよう。


オマケ:『Compnay of Heroes 2』のキャンペーン攻略

RTSという複雑なゲーム故に、キャンペーンさえ攻略にはコツがいる。

一人でも多くの方にプレイして欲しいので、そのコツの一部を紹介しよう。


1:Shiftキーで好きなユニットを同時選択できる。更に、Cntlキー+テンキーで、好きなユニットの組み合わせを、任意のテンキーに登録できる。これで、ユニットを効率よく動かすことが出来る。

2:大抵の敵の位置が固定されるキャンペーンモードにおいて、「Mortor Squad」は無類の強さを誇る。ただ攻撃力は低いので、複数合わせて運用したい。

3:敵の対戦車砲が厄介な場合、上述した「Mortor Squad」に加え、「Shock Troops」によるグレネードが有効。スモークグレネードと合わせて対戦車砲に接近し、破壊した後、更に戦車を突入させれば完璧。

4:ミッション毎に派遣される特殊なユニット(例:「ISU-152」)は、飛び抜けて強力なので積極的に活用すべし。同じく、砲撃や空爆といったアビリティも、ケチらず使うべし。

5:「Combat Engineer」は制圧したエリアに「Munition/Fuel Structure」を設置できる。これにより、貴重な石油リソースを確保し、それによって戦車を大量に運用できる。