ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

Notchは何に失望したのか。『Minecraft』の知られざる裏側とは?

f:id:arcadia11:20141120213145j:plain

 

 

 

以前、『Minecraft』で一世を風靡したNotch氏が、一時的に身を引くことについて、本人の声明文を翻訳しました。


『Minecraft』のNotch、Mojang買収に言及【全文翻訳】 - ゲーマー日日新聞



この騒動は、ゲーマーの間に波紋を呼び、彼に同情するゲーマーもいれば、彼を無責任だと非難するゲーマーもいました。

ですが、その背後に「『Minecraft』にまつわる闇」があったことは、あまり知られていません。

彼が抱えていた怒りや失望とは結局なんだったのか? 以下の文章が参考になれば幸いです。








Literally worse than EA

June 14th, 2014



 






注意:これは私の個人的見解であって、Mojangの公式声明ではない。というのも、これは私が自室で特に全容を考えぬままに、狂熱に浮かされて書いただけの理論だからだ。

ーーー

Mojangは、私が手に入れた幸運と、それ以上の制御しきれない何かを抱える『Minecraft』によって成立している。

Mojangの社員は、営業、税理士、弁護士、会計士、そして大部分がゲーム作りに携わっている。同じように、彼らがゲームに関わる仕事を楽しむことで、Mojangは機能している。

そして、『Minecraft』の大ヒットと、大勢の情熱的で友好的なファンによって、我々は莫大な利益を得た。もちろん、我々はそれに幸運と喜び見出していて、それが会社の原動力の一部にもなっていた。



ただし、Mojangの目標が、一流企業に成り上がることではないのは確かだ。私自身、この会社の主要株主として、それを断言できる。

確かに、企業が大きな資金を得ることで、更に大金を稼ぐチャンスが増えるわけだから、我々だって興奮しないわけではない。

それでも、我々は最終的に商品のためになるような最善の選択をしてきたし、Mojangにとってもゲームに関わっているうちが、最も楽しいと思える瞬間だった。



Minecraft』の規約には、「第三者が『Minecraft』によって発生した利益を享受することを禁ずる」とある。

とは言え、ゲームの根幹を担う要素を除き、もしMODを作るなら無料で公開しなければならないし、自分のハードウェアでサーバーを断ててもよいとしている。

かつてYoutubeや配信が流行しつつあった頃など、「(Youtubeによって)このゲームに関するコンテンツで得た収益を全て認める」との特例まで出した。

ところが、MinecraftのサーバーでXPブーストなどの課金アイテムを無断で販売し、一部はそれで大儲けする人間もまた、多数現れるようになった。

一方で、「私の息子が勝手に課金した数百ドル相当のアイテムを返金してくれ!」という両親からのメールが、私のもとに数えきれない程に押し寄せたのである。(そんなサーバーはMojangが関知してすらいないのに)

当然こんな課金アイテムは我々も許可していないが、他のコンテンツの開発に忙殺されていたのもあって、とても取り締まることはできなかった。



あるユーザーが、これらの非合法サーバーは規約にある「お客様はインゲームアイテムを販売することは出来ません」という点に反するではないかと、Mojangの社員に問い合わせた。

それに対する我々の返答は「規約に反しています。ただ守られていないだけです。」だった。

それでも、ただ非合法サーバーに対抗するために、我々が規約を変更すると発表すると、誤解した多くのユーザーによる怒りの声がぶつけられ、規約の変更は認められなかった。

また、多くのユーザーは各々の懸念を口走り、一部のユーザーは嫌悪を露わにした。中には、「マジ、MojangはEAよりひでえぜ!」と言う者までいたのだ。





そこで、我々は内部で議論の場を設け、最終的に「Minecraftの革新性を担っているのは、ユーザーのサーバーを運営。むしろサーバーの運営に対する報酬を享受する権利を付与しよう」とまで妥協した。

(課金アイテムで報酬は受け取れないが、サーバー運営で報酬を受け取れるようにする)

これで、我々が重要視する「一度購入したら無料でゲームを遊べるよ!」という点を失うことなく、本作のメカニズムを維持できるのである。

ここに非公式ながらも文章を投稿した。(余談だが、我々の弁護士はこの奇っ怪な文章を公式文に推敲する時、さぞや笑い転げるのだろう)

これがMinecraftの規約における新たな例外項目だ。これで規約は一層、寛大になったのではないか。


Let’s talk server monetisation!






それでもまだ人々が初期の規約に戻せというなら、もう嘆くほかない。



ああそうだ、Herobrineについて訊かれることが多いけど、そんなもの実在しない。いいね?




---



最初、彼の引退に関する声明を読んだ時、私は純粋に混乱しました。どうして、インディーズゲームのヒーローとして尊敬されていた彼が、唐突にそんなことを言い出すのかと。

同時に、彼の引退と共に投げかけられた、クリエイターへの崇拝とも取れる大勢の同情にも、私は違和感を覚えました。

そして、この「Literally worse than EA」を読んで、自分の考えは大きく改めさせられました。

まず、ここまで日本と海外において、『Minecraft』の影響力がここまで違うと知らなかったこと。

そして、インディーズゲームを成功させた後に継続することも、苦労の連続であるということ。

いずれにせよ、今後のインディーズゲームを考える上で、彼の言葉は参考になりそうです。

 

 

f:id:arcadia11:20141120184922j:plain