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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

【前篇】11年前のFPSに何が起きたか。 -2004年の王政復古と瓦解、革命

ゲーム業界について

 

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さて、今年はあの名作FPSが続々と生まれた2004年から、もう11年が経過したことになる。

当時はコンシューマとPCでプレイできるゲームは区切られており、さりとて2000年以前ほどにアングラなゲームが多かったわけでもなく、

見事に、「現代ゲーム」と「レトロゲーム」の過渡期にあった時期でもある。

そんな2004年のゲームを振り返り、現代のゲーム界隈と比較してみようと思う。

 


王政復古の激震

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で、2004年に最も期待されていたFPSと言うと、やはり『DOOM3』だろうか。

FPSと言えば、「idのDOOM」であり、そのDOOMの待望の新作というのだから、当時のゲームファンの熱狂ぶりは推して知るべし。

さて、現代では少し意外かもしれないが、恐らくこの『DOOM』はゲームもさながら、そのグラフィックにも大いに期待されていた点を言及しておこう。

当時のid Softwareといえば、世界で初めて3D対応したFPS、『Quake』を生み出した企業として名を馳せていた。

その中心にいたのがジョン・カーマック。ゲーム業界で伝説的な偉業を残し、現役でOculus VRの開発に取り組んでいる、超人的なプログラマーだ。

彼が全力で取り組んで作った、最大の遺産。その一つが、2004年に発売する『DOOM 3』に使用された「id Teck 4」だろう。

(因みに、現行の『CoD』シリーズのエンジンである「IW engine」も、元を辿れば彼の制作した「id Teck 3」に行き着く。)

引きずり込まれそうな奥行きを感じる影。躍動するように動くラグドール。滑り止めの一本一本まで描かれたテクスチャ。

正に「規格外」と呼ぶに相応しいそのクオリティは、既存のゲームを打ち壊し、新時代の「PCゲーム」を再定義したのである。

 

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また、古き良き「戦争ゲーム」においても「王政復古」を掲げる老王が現れた。

彼は『Medal of Honor: Pacific Assault』。

Call of Duty』の起源とも言うべきゲームであり、第二次世界大戦をダイナミックに描いたことで著名な、シングルメインのFPS

本作では、従来作が西部戦線におけるドイツ軍との戦いを描いたのに対し、太平洋戦線における日本軍との戦いを描いたのが特徴的だ。

ゲーム性も改められ、Ghost Reconのような分隊システム、密林における日本兵の待ちぶせ、銃の命中率の低下、敵の攻撃力の向上など、全体的にリアル系FPSのようなバランスに変更された。

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一方、マルチプレイにおいても、新たな「王政復古」が期待されていた。

それは『Unreal Tournament 2004』。

FPSのマルチプレイの最盛期において、『Quake』と取っ組み合いの戦いを繰り広げた、あの『UT』の続編である。

前作『2003』は、要求スペックの向上や、バランスの練り込み不足と相まって、初代『UT』のプレイヤーを惹きつけることは出来なかった。

一方、この『2004』では、手厚いMODのサポートや、人気モードAssaultの追加も相まって、強い関心が寄せられていたのだ。

多くのプレイヤーは、この新たなエンジンで描かれた美しい世界で、ドッジジャンプで空を駆け、Shock Rifleを敵めがけてブチ込むことに、さぞ思いを募らせていたことだろう。

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そうそう、シングルFPSにおける革命児『Half Life』シリーズの待望の続編、『Half Life 2』と、彼のエンジンで蘇った傑作マルチ『Counter Strike: Source』も外せない。

Valveはカーマックの「id Teck 4」に対抗するために最終兵器、「Source Engine」を引っさげ、皇帝id Softwareに挑戦状を叩きつけたのである。

「Source Engine」は、影や質感を重視した重厚な雰囲気を醸し出す「id Teck 4」と比較して、むしろ光や空気を重視することで、フォトリアルかつ幻想的な雰囲気を描くことに成功している。

勿論、両者の対決はエンジンのみならず、ゲームそのものまで飛び火する。

Doom 3』が相変わらずシビアなバランスと、一進一退の攻防をフラッシュライトシステムで実現したのに対し、

Half Life 2』は前作の「サバイバル」寄りのバランスを一新し、乗り物シーケンスや仲間との共闘、物理エンジンを活かした武器など、更なる多様性を盛り込んだ。

そこに、当時最もプレイ人口が多いと言われた『Counter Strike』の新作まで動員し、マルチ・シングル共に支配する心意気でValveは侵攻を開始した。

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こんな具合に、2004年に発売された名作を並べてみた。

やはり、「王政復古」というに相応しいほどの名作揃いで、2015年から見てもその充実ぶりに驚いてしまう。

特に『Half-Life』と『DOOM』の最新作の一騎打ちなんて、今では考えられない。11年経った今年でも、『Half-life』の続編の話は噂段階で、『DOOM』すら名前しか公表されてないのだ。

 

…さて、これらの大作が実際に発売された後、予想もつかない結末が生じるのだが、それはまた【後編】を読んでくれると嬉しい。

 

余談だが、こうしてスクリーンショットを見比べると、この時点でかなりグラフィックに「格差」が生じてるように思う。

今思えば、この年が現代ゲーム業界における「ハリウッド化」の発端だったのかもしれない。

 

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Gecko Stream

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