ゲーマー日日新聞

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FPSにおける「良い銃」とは何か? -CS:GOで学ぶ「銃」の哲学 【翻訳】

 

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「PC GAMER」で面白い記事を見つけた。

FPSの数ある要素の中でも「銃」に注目して、面白いFPSとは何か述べられている。


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What makes a good game gun?

Evan Lahti Dec 16, 2014


つくづく、ゲームの「銃」について書かれた記事は少ないと思う。

いや、私は何もリメリックやソネット(詩)について、ありがたい説教をしようというわけでなく、

純粋にあるゲームの「AK-47」が、他のゲームの「AK-47」と比べてどう優れたものになっているかを捉え、掘り下げていきたいのである。



まずゲーマーの世論において、FPSにおける「銃」を賞賛するに当たって、「射撃感」という一義的な表現がしばしば用いられてきた。

私が読んだFPSやTPSのレビューにおいても、大抵が「いい射撃感」「力強い射撃感」という表現が使われるのみで、「銃」は説明されてきた。

もう少し機転が利くライターなら、SMGの射撃感を表現するのに「パンチの効いた射撃感」みたいに表現するのだろう。

私もまた、この6年「PC GAMER」で勤務してきて、かなりこの罪深い表現を使い、「銃」について表面的なレビューをするのみに留めてきたのだ。

 

 



しかし、これはクリエイターに酷な話ではないか。FPSの「Shooter」を作るにおいて、設計があり、アニメーション作りがあり、バランス調整まであるのだ。

だからこそ、我々は少し何が良い「銃」を生み出すのか、考える時間を設けてもいいのではないだろうか。


まず、我々が一般的に考えるほどに、銃のビジュアルデザインに時間が割かれることはないと私は思う。

そもそも、「銃」はどのように作られるのだろうか。

まず、開発者はプレイヤーである我々の視点を考慮した上で、銃撃やリロードアニメーション、SFX、画面揺れ、パーティクルエフェクト、そして死んだ時に銃を落とすアニメーションまで、美学の粋を「銃」に詰め込むべく計画を練る。

これらの行程が完璧に仕上がり、ようやくゲーム内の「銃」が我々を楽しませてくれるわけだ。しかし、本当にその外観的な美だけで「良い銃」を定義できるだろうか?

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私はそうとも限らないと思う。例えば、多くのFPSからの敬意を集め、象徴的かつ(性能的に)悪名高いスナイパーライフル、『Counter Strike』の「AWP」はどうだろう。

この銃は、オリーブグリーンの塗装、平坦なボディ、単調なアニメーションと、ランボーのような派手な銃撃シーンには使えそうもない。

せいぜい、唯一の美学的特徴と言えば、「ズーン」という小うるさい射撃音ぐらいのものだ。

そのくせ、「AWP」のスコープの性能を調整するとValveが発表するや、ゲーマーによって1000コメントも集まる議論が紛糾したのである。

 

では、外見上は地味な「AWP」の何が、彼らをそこまで熱中させたのか。


CS:GO - Na´Vi GuardiaN - YouTube

 

素晴らしいゲームのおける「銃」は、他のゲームを作りにあたって参考になる重要な共通項を持っているように私は思う。

だが、銃の見た目や銃声への好みには個人差がある以上、いくら「銃」がかっこよくても、ゲームが面白いとは限らない。

例えば、『CS』の「AWP」は、一撃で敵を倒せる破壊力を秘めているが、リスポーンなしのハイリスクなルールを前提にしているために、ゲームバランスを壊さずにプレイヤーに爽快感を与えている。

要するに、『CS』の「AWP」が優れた銃であるのは、銃だけでなく『CS』のルールも優れているからであって、「命中させれば確実に仕留められるが、自分も動くわけに行かないから無防備だ。しかも死んだらリスポンできない…」という、リスクを引き換えにした破壊力を秘めた「銃」なのである。

更に、『CS』では死ぬと試合中に購入した武器を落としてしまうので、それを敵チームに奪われた日には、敵は4750ドルを丸儲けした上に、略奪した獲物として自慢気にぶっ放してくるのだ!

この要素は『CS:GO』で更に強調され、新たに導入された「名札付き」のカスタムスキンが元々の持ち主を教えてくれるので、試合を観戦するプレイヤーは「AWP」をみすみす敵にくれてやった「戦犯」を容易に認識できてしまう。

そんなわけで「AWP」を購入したプレイヤーは、サーバー中のプレイヤーに「俺はどんな高級装備も敵に奪われない程に実力はあるぜ!」と主張するような責任が付きまとうのだ。

これらのすべての要素が合わさり、「AWP」という「銃」を定義している。それに加え「AWP」のボルトアクションならではの欠点、「ノンスコ」と呼ばれるようなハイレベルな曲芸も相まって、なお「AWP」のアイデンティティを強固なものとしている。

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次は、『Tribes: Ascend』の「Spinfusor」を紹介しよう。このゲームの「銃」は、本作の特徴であるダイナミックな「移動」とよく結びつき、FPSの面白さを引き立てている。

本作の「Spinfusor」は「AWP」と同じく一見地味な「銃」である。これは放物線を描くディスクを打ち出すのだが、やはりアニメーションもSFXも慎ましいものだ。

だがこの「銃」は、高速で滑走しつつ撃ちあう、ゲームのコンセプトに見事にフィットするようデザインされている。

プレイヤーのミスをカバーする程度に広いスプラッシュダメージと、思ったより遅い移動速度によって、プレイヤーが思うより簡単に的に当てることが可能で、テンポの早い戦闘を楽しめる。

これはちょうど、バスケットボールでスリーポイントを狙う具合で、実際に「Spinfusor」を使ってみると「これ入るか?やっぱ無理だろ… …ちょおおお、入った!」と興奮すること間違いなし。

また、同作の「Fusion Mortar」も同じように放物線を描く「銃」で、「Spinfusor」に負けず劣らず人気が高い。

更に、これらの「銃」はいずれも、高速で空中を飛び回ることで回避しやすくなるので、プレイヤーを空中の戦闘に誘うデザインにもなっている。

いずれの例においても、移動、ダメージ、マネーシステムのような、ゲームのコアとなるシステムと密接に結びついており、それこそが「良い銃」を形作っているのではないだろうか。

 


Tribes Ascend (BETA) Montage - LANDIS - YouTube


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(引用元)