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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

Neverending Nightmares ネタバレ全開なストーリー考察 「夢と現の終着点」

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この記事は多分にネタバレを含んでいます。

極力回避しておりますが、画像に一部グロテスクな表現がございます。ご了承ください。また、全ての考察は私個人の独断によるものです。


「Neverending Nightmares 考察」で訪問される方が何人かいらっしゃったので、投げっぱなしだった考察を真面目に書いてみる。

まず、物語自体はややこしいだけで、大して難しく無いと思う。

レビューでも批判したが、元々「作者の体験をゲームにした」と宣伝したために色々と考察したくなるが、恐らくこの宣伝は半分ウソで、実は本作のストーリーは、作者の体験とは別の「創作ホラー」何だと思う。

 

 


目次

  • 登場人物
  • エンディング
  • 考察案①「近親相姦したら人生狂っちゃいました説」
  • 考察案②「全部、中二病の妄想でした説」
  • 考察案③「主人公はサイコパスでした説」

 

 

登場人物

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さて、考察にあたってまず登場人物を整理する。

主人公(トーマス)。喘息持ちで悪夢に悩まされている。自分のことを語るシーンは無いが、自殺行為に走って悪夢から覚める(新たな悪夢に悩まされる)ということを繰り返す。

妹。主人公が「My Sister」と呼ぶ。ゲームの後半では自殺した妹の死体がしばしば登場する。

妻と娘。エンディングで登場する。娘は金髪で妹と似ても似つかないが、妻は妹と瓜二つ。娘は何らかの理由で他界し、それが原因で妻と分かれることとなった。

奇形児。道中のエネミー。よく見ると顔つきは赤子のようで、おむつらしい履物が印象的。知能は低く、また殴打で攻撃せず、抱きしめるように攻撃する。

目の潰れた囚人。道中のエネミー。一見主人公とは無関係と思えるが、この世界は主人公の夢なので、確実に主人公の知る人物。(=主人公?)

旧約聖書詩篇よく「神よ、どうして私を見捨てられたのですか?(why have you forsaken me?)」というメッセージも登場する。

ロケーションには、家、精神病棟、墓場。それぞれ幼少期の記憶、錯乱状態の記憶を表しており、墓場は何かのターニングポイントを象徴していると思う。


エンディング

 


エンディングは三種類。

一つは「Wayward Dreamer(彷徨う夢人)」。幼児の主人公が、寝ている妹にキスをするエンディング。文字通り、悪夢に抜け出せなかったエンディング。

二つは「Final Descent(最後の堕落)」。落下死の末に、妻らしき人物に「起きて」と呼ばれて、病院のベッドで目覚めるエンディング。

三つは「Destroyed Dreams(悪夢の破壊)」。恐らくこれが一番重要なエンディング。

悪夢の末に胎盤らしき場所に辿り着いた主人公。目覚めると、妻から「我々の子供は死んだが、もうこれ以上一緒にいられない。あなたを愛していた。頑張って乗り越えてほしい」といった旨の手紙が届く。

 

考察案

 

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さて、そろそろ考察に入ろう。ここからは完全に推測なので、その点はご了承願いたい。

まず案としては大きく分けて3つある。



1つは、「近親相姦したら人生狂っちゃいました説」。

 

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このゲームに登場する要素を素直に組み合わせれば、まず最初に行き着く考察。

まず、最初の悪夢でトーマスは「妹」の墓場に辿り着く。それからというもの、続く悪夢では次々と「妹」の姿が浮かび上がる。

最初は元気に「お兄さん」と慕っていた「妹」も、悪夢が深まるに連れて「ナイフで自殺した妹」「縊死した妹」「血まみれの妹」へと変化していく。

これを素直に捉えるなら、「現実」においてトーマスは肉親である妹の死を経験したと考えられる。



更に、「奇形児」「胎盤」「妹へのキス」といった性を連想させる表現、極めつけに隣の妻を見て「どうして同じベッドで寝ているんだ?」と驚くトーマスのセリフも、男女の営みを思わせるものだ。

また、「妹」の死を事故死や他殺とも捉らえる人もいるが、それでは縊死したり飛び降りたりして、自殺する理由はないはずだし、

他人が殺したとしても、その殺人犯を思わせるオブジェクトが登場せず、代わりに「奇形児」のみ具体的な敵として登場するのは何故だろうか。

そもそも、本作の悪夢における具体的な脅威は、主人公と妹だけ。ここから、主人公の深層心理におけるトラウマが、悪夢として再現されたのではないだろうか。

 

そして、自殺した「妹」の亡霊から逃げるように、主人公は普通の人生を歩もうとする。そして「妹」そっくりの妻と結婚したものの、不幸にも妻との間に出来た娘は早死し、妻も逃げられてしまう。

最後のエンディングでは、結局自分が妹と結ばれようとした罪は、一生消えることがないのかと、主人公は苦しみ続ける…。

以上から、本作は『オイディプス王』から代々描かれてきた、典型的な「禁断の恋」を描いた作品と言える。

 


2つは、「全部、中二病の妄想でした説」。

 

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このゲームは文字通り、延々と悪夢が続くゲームであって、主人公の心象世界を描いたゲームに過ぎない。

ということは、実は「妹」や「自殺」「奇形児」「自傷」といった行為は全て根拠のない妄想で、単に痛いおっさんの妄想ではないか。と言う話。


本作は大半が「悪夢」によって占められ、確実だと断定できる「現実」部分はとても少ない。

確実に現実だと断定できるシーンは、エンディングである「起きてトーマス」と「妻」に呼び起こされるものと、「娘は死んだ。もう一緒にいられないわ。」と「妻」の手紙を読むもの。

つまり、現実世界に「妹」は一切出てこない。それどころか、トーマスが精神科医を「妹」だと錯覚したり、悪夢のなかで妻に「妹なんていないわよ」と指摘されるシーケンスもある。

(唯一妹が存在するエンディングを「Wayward Dreamer」とつけてるぐらいだから、上の二つのエンディングは悪夢でなく現実だと考えていいだろう。)



そして、「妹」が存在しないなら、当然妹は自殺しないし、奇形児もありえない。要するに、主人公の悪夢は何の根拠もなく、文字通りの「夢」に過ぎない。

悪夢における中核を担うのは「妹」だが、彼女が最初から存在しないなら、悪夢に出てくる他の有象無象は、文字通り単なる「悪夢」だったのかもしれない。

「現実」であるエンディングの話、つまりトーマスが飛び降りたことと、トーマスの娘が死亡したことは、「悪夢」であまり指摘されない。

そう考えると、現実に起きた「娘の死亡」というショックに耐えかねて、現実逃避に悪夢へ逃げ込み、「自分は気の毒なキリストである」と思い込もうとしたのではないか。



皮肉な話だが、この説を適用すると、私が以前「事前に告知された、作者の体験した鬱病とゲームの悪夢が無関係ではないか!」という批判もかわせる。

ひょっとすると、ゲームが売れずに生活に貧窮する作者も、トーマスのように妄想の妹に執着する悪夢を観ていたかもしれないからだ。



3つは、「主人公はサイコパスでした説」。

 

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これは2番めの説同様、「実は主人公に妹はいない」という設定を引き継ぎながら、そこにフロイトの「夢分析」を応用した説である。



さて、軽くフロイトについて解説しよう。

心理学の第一人者として有名なジークムント・フロイトは、全ての人間の意識や動機は、実は「無意識」に束縛されたものでないかと考えた。

例えば、仮に男性が英雄的な振る舞いをしても、当人のビジュアルが並なら、無意識のうちに期待した英雄像が裏切られ、ガッカリしてしまうという、いわゆる「※ただしイケメンに限る」だ。

だが、どうすれば人は「無意識」を意識することができるのだろうか。「無意識」である以上、人はそれを知り得るのだろうか。

そこで、フロイトは「夢」こそ、人の「無意識」が最も効率的に発露すると考え、患者の「夢」を分析すれば、彼の「無意識」も発見できると考えた。それが、夢分析である。



ここまで言えばおわかりだろうが、要するに本作の悪夢は、主人公の無意識における欲望の発露であるとするのが、この説である。

主人公は恐らく立派な社会人で、結婚して子供までいる。実に健全な家庭であろうが、だからといって男の欲情が尽きるわけではない。

それなりに歳を取って、性交渉する機会も減ってくると、主人公は内に眠る「小さな女の子を支配したい」というリビドーを滾らせていたのではないか。

悪夢に登場する「妹」は、「幼い妻」を強姦したいという、ロリコン的な欲求の象徴で、

さらに、その「幼い妻」のグロテスクな死体が点在する辺り、女性を暴力でもって虐げたいという、猟奇的な性欲すらも伺わせる。

 

結局、これは「悪夢」というよりは、主人公が内心望んでいるどす黒い情欲を満たすための「楽園」だったのかもしれない。


ーーー


さて、今の私に思いつく考察はこの程度である。

個人的には順当に考えるなら1番目の説で、深く考えるなら2番目か3番目といったところではないだろうか。

正直、単純にテクスト量も少なく、またゲームシステムが特にユニークでもないので、これ以上の考察は「考えすぎ」になりかねない。

本作の続編が発売されれば、より練られたストーリーが楽しめるのだろうか。いずれにせよ、他の方の考察も参考に、この悪夢をエンジョイしていただきたい。