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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

2014年のゲームを振り返る マルチの復活とシングルの没落

ゲーム業界について

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さて、本日は2014年のゲーム業界がどのような進歩を遂げたのかを、作品を中心に展望していこうと思う。

まず、大手レビューサイト「metacritic」における「Best Video Games of 2014 - Metacritic」から、メタスコア上位作品を抜粋した。

 

(PCのメタスコアトップ25)

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(全ハードのトップ10本)

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こちらのスコアを「世間的基準」とした上で、私個人の見解を述べる。

 


ゲーム業界全体


正直言って、今年は格段に冷えきった年だった。

2013年に話題作があらかた発売され、次世代機も発売されて間もないということもあり、今年はある種の「狭間」として大人しくなってしまったかもしれない。

しかし、必ずしも全ての作品が退屈というわけでなく、ある程度冷え込んでいた「マルチプレイヤー市場」が活気を取り戻したのは印象的。

対照的に、「シングルプレイヤー市場」においては、ビッグタイトル、中堅タイトル、インディーズ、和ゲー、それらが少なからず停滞する結果に終わってしまったと思う。



マルチプレイヤー市場

 

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まず好況となったマルチプレイヤー市場について言及する。

さて、2013年までのマルチプレイヤーは『Dota 2』『LoL』『HoN』といった「MOBA」と呼ばれるF2Pタイトルが占拠し、既存のストラテジー・FPSプレイヤーが激減する冬の時代であった。

特に、「MOBA」はアクションとストラテジー、ソーシャル要素を優れた塩梅で取り入れることで、あらゆるジャンルのゲーマーを惹きつける万能なポテンシャルを見せ付けたのだ。

実際、『Star Craft 2』や『Counter Strike』といった既存のe-Sportsタイトルで活躍していたプロチームが、「MOBA」へと移行することは珍しくなかったほどである。


だが、2014年において状況は一転する。Blizzardの新たな刺客『Hearth Stone』は、「MOBA」とはまた異なるゲーム性ながらも、奥深く新鮮なゲームプレイが評価された。

FPSにおいては、『Titan Fall』が古典的競技FPSを思わせる立体的なゲームプレイを表現し、あの『Call of Duty: Advanced Warfare』までもが、既存のシリーズから脱却し、大きくゲーム性を変化した。

Counter Strike: Global Offensive』は、発売当初は惨憺たる評判だったが、2014年に大きくバランスが調整され、更にガチャ要素がカジュアル層に受け、今では多くのプレイヤーに愛されている。

一方、インディーズからも『Depth』『Strike Vector』のようなユニークな対戦FPSが発売され、『Rust』『7 Days to Die』のようなサバイバル系マルチプレイFPSの亜種も続々と誕生した。


総じて、2007年辺りから少しずつ「弱っていた」マルチプレイヤー市場は、今年になって格段に見なおされたと言っていい。

ほぼ進歩のない暗黒時代が終わり、様々な方向で、独自の魅力をもたらそうとする、群雄割拠の時代が再び訪れたことは、何よりも望ましいこと。

実際、優れたタイトルも数多く生まれ、初心者として参加出来るゲームが多いことも素晴らしい。

同時に、シングル中心だったインディーズも本格的にマルチプレイヤー市場に切り込んでくるようになり、更なる展望が望めると言えるだろう。



シングルプレイヤー市場

 

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次は不況となったシングルプレイヤー市場について言及する。

一応、少し批判的な内容であるので、そういう内容が苦手な方は、ある程度ご了承願いたい。

さて、シングルプレイヤー市場は大きく分けて、メディアの露出も大きい「AAA級タイトル」、マイナーながらもフルプライスの「中堅タイトル」、安価ながら尖った「インディーズタイトル」に分けられると思う。

で、端的に言ってしまうと、これらのどのタイトルにおいても、客観的な評価と私個人の評価の両方において、評価された作品はかなり少なかった。


まず「AAA級タイトル」だが、こちらはそもそも頭数が足りなかった印象。

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今年はそもそもタイトルが少なかったことに加え、何より去年の『The Last of Us』が強烈過ぎて、まず2014年のタイトルの印象が残らない人間も多かったのではないだろうか。

日本でも『NEW 3DS』に合わせた、『モンスターハンター 4G』『ポケットモンスター: ORAS』『大乱闘スマッシュブラザーズ』、期待の続編『Dark Souls 2』が登場したが、これらはシリーズに依存した大変保守的な内容に終始した。

最も、オープンワールド戦線においては、UBIの主力艦隊『The Crew』『Watch_Dogs』『Assasin's Cred: Unity』、待望の続編『Dragon Age: Inquisition』が果敢に反撃し、こちらはかなり優れた作品が多かった。

結論として、今年は作品の質以前に、UBIと一部のジャンルを除いてそもそも作品が出てないパブリッシャが多く、高騰する制作費とアイディアの行き詰まりを感じる一年と言える。


次は「中堅タイトル」。こちらはかなりガッカリな内容。

 

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今年は『FEAR』を作ったMonolith、『Riddick』を作ったStarbreezeというPCゲーム界の二大巨頭から新シリーズの発売ということで、業界の「中堅」に対する注目度はかなり高かった。

しかし、Monolithの『Middle Earth: Shadow of Mordor』はオープンワールドにゲーム性を落としこむことに集中した点は新鮮だったもののアクションの出来など不満点も多く、期待に応えるほどではなかった。

 

Starbreeze(MachineGames)から制作された『Wolfenstein: The New Order』は更に厳しく、『Wolfenstein』という古典的な名作の続編ながら、体力計算などの古典要素はファンを惹きつけたものの、レベルデザインから世界観といった作り込みが甘く、総合的には佳作未満といった評価に終始した。

 

結局、PCゲームというデリケートなラインのゲームの産出国として主力を担った「中堅」は、今ではかなり勢力を落としており、今後はインディーズとAAA級の二大政党制はますます強まることだろう。

 

最後に「インディーズ」だが、こちらは昨年からの勢いを更に加速させたものの、一方で他ジャンルと同じく行き詰まりを感じさせる点もあった。

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まず、『Never Alone』や『This War of Mine』『The Vanishing of Ethan Carter』といったストーリーテリングやテーマ、技術力に優れた野心的な「インタラクティブメディア」が生まれたものの、総合的なゲームとしての体験としてみればあと一歩なために、既存の作品との差別化が厳しかったタイトルも多かった。

 

別にゲーム性に特化する必要もないだろうが、少なくとも「偏り」すぎた作品、或いは「偏り」きれない作品が生き残るのは難しいだろう。

 

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相対的に、『Door Kickers』のような古典作品のゲーム性を復活させる作品や、『Super Time Force』『OlliOlli』『Crypt of the NecroDancer』『Dangerous of Endless』のようなゲーム性を拡張することも視野に入れつつ、アートやストーリーを含めてコンパクトに優れたタイトルもあり、「インディーズ」の可能性はまだまだ広がっているようだ。

 

全体的にインディーズは、ここ数年で注目度が飛躍的に向上して資源が潤い、より多くの名作が生まれた分、クリエイター側にも技術やテーマで押し切る緩みと二番煎じなどの限界が生まれ、一部で歪みが生じているのは否めないと思う。

 

今まで希望ある「フロンティア」とされたインディーズだが、続々と登場する優れた作品によって開拓される中で、ただ闇雲に作っただけの作品の新鮮味が失わてしまい、より複雑な「近代化」の波が押し寄せているように思える。(アーリーアクセスや『Minecraft』のゴタゴタも然り)

 

2015年への展望

 

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総合的に見て、今年はゲーム業界の限界を思わせる面が多かったと思う。高騰する開発費、新作へのアイディアの枯渇もさながら、企業もレイオフでベテランの人材を消耗しており、インディーズにおいても、増えすぎた新作が逆に開発側の緩みを生み、作品の差別化が偏りを生むなど、今まで希望的な未開地は、進歩と共にハードルが上がりつつある。

 

一方で、2013年に発売された次世代機の可能性は素晴らしく、『AC:U』など荒削りながら別次元の表現力を発揮したし、インディーズにおいても『Unity』など開発キットの普及で更なる可能性を広げつつある。『Oculus Rift』などのVRハードもかなり現実的なものになってきた。

 

マルチプレイヤー市場が2007年辺りの「頭打ち」を、「MOBA」や『COD』などで新たなゲームプレイのきっかけとしたように、シングルプレイヤーもただ悲観的になるだけでなく、むしろこの停滞を糧として、更なる進歩が期待できるのではないだろうか。

 

私は、むしろシングルプレイにおける「限界」が、新たな次元のゲームプレイの転機へと昇華されると考えている。

 

 参考文献

Best Video Games of 2014 - Metacritic