ゲーマー日日新聞

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【評価】『Besiege』の感想やレビュー 誰でも楽しめる工学ゲーム

 

最高のマシンを作ろう

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このゲームでは、いかに優れた攻城兵器を組み立てるかが問われる。

マシンのために用意されたパーツは、車輪やギアといった基本的なパーツに、カノン砲や回転刃といった兵器、更には羽や気球まで用意されており、

これらのパーツを、レゴブロックのように組み合わせることで、自由にマシンを作ることが出来る。

また、本作にはチュートリアルを兼ねたキャンペーンモードと、自由にマシンを作れるサンドボックスも用意されており、こちらでは何の制限もなく思う存分好きなマシンを試作することも出来る。

 

さて、こう説明しても、「難易度が高そう」と構えてしまう人も多いだろう。

実際、こういったサンドボックス型のゲームは、ある程度ルールやロジックを覚えないと何が楽しいのかわからず、早々に投げ出してしまうパターンは少なくない。

しかし、本作は中世の攻城兵器をモチーフにしてるだけに、パーツの一つ一つはとてもアナログな造りになっており、構造自体は至ってシンプル。

複雑な電気回路はなく、基本は歯車と車輪の仕組みさえ理解できれば十分。初心者でも安心して楽しめるのだ。

勿論、仕組みを理解さえすれば、ヘリコプターや戦車まで作ることが出来る。理工学に自身のある諸兄も、知識を総動員して挑戦出来るぞ。

 

サンドボックスとレールの組み合わせ

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本作の魅力は、ただマシンを作れる自由度に留まらず、そのマシンを存分に活かせるキャンペーンモードにあるように思う。

例えば、「武装した敵の城を陥落せよ」みたいな典型的なものから、「岩を運べ」「地雷原を突っ切れ」など、キャンペーンでは様々な課題が待ち受けている。

プレイヤーは、武装した戦車から万能のトラクターまで、目標に応じて様々なマシンを組み立てていくフレキシビリティを要求されるのだ。

いきなり「自由に作れ!」と言われて困惑することの多いsand boxだが、この変化の富んだ目標が、新たなアイディアを生む潤滑油にもなっている。

 

ここで面白いのは、このマシンの組み立てに対し、ほとんど制限がない点だ。

マシンの規模に上限があるとはいえ、使用できるパーツの種類や量には制限がなく、存分にプレイヤーのアイディアを試すことが出来る。

この、Sand Boxならではの高い自由度と、キャンペーンに用意された一定のレールが、ちょうど楽しみながら学習できる絶妙な塩梅で組み合わさっていると言える。

 

誰でも楽しめる「理系インディーズ」

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インディーズゲームは、AAA級のゲームと比べて、ある程度のニッチ、それも少しアカデミックな客層を狙って成長してきた文化だ。

例えば、『Dear Esther』は難解な文学的が展開され、『Limbo』でもモノクロのアートが目玉になっていた。このような、ゲームに渋い芸術を落としこむ作品は、さしずめ「文系インディーズ」と言ったところだろう。

一方、『Space Engineer』に代表されるサンドボックス系や、複雑な操作を楽しむシム系、『Minecraft』のレッドストーン回路等は、理工学的なメカニズムをゲームに落とし込んだ「理系インディーズ」と言える。(理工学に限った話ではないが)

 

で、特に後者の「理系」の場合、やはり最大限楽しめるゲーマーは限られてくると思う。

『Minecraft』のレッドストーン回路なんか、そのまんま論理回路なわけで、まともに取り組もうと思ったら高等教育で予備知識を得ることが前提となる。

シム系にしてもそうで、この手のインディーズは未知の面白さが眠っている一方で、相応のリテラシーを要求される、ハードルの高いゲームだった。

 

ところが、この『Besiege』は、しっかり工学のギミックがゲーム性に反映されていながら、誰でも楽しめる寛容性も備えている。

特に、中世の時代を舞台にしているのがいい。現代の電子回路が理解できずとも、中世のカタパルトぐらいなら高校生レベルの知識でも何とかなるからだ。

そして、この自由度の高いキャンペーンがいい。Sand Boxにキャンペーンなど邪道だ!と思う人もいるだろうが、やはり目標とある程度の筋道があることで、何気なく始めたプレイヤーでもゲームの仕組みをちゃんと理解できる。

 

ただ一つ、まだベータ版ということもあって、キャンペーンのボリュームがとても少ない点が残念だ。現状の定価はたった698円だし、値段相応ではあるが、とても面白いゲームなので是非もっと拡張した完成品を遊びたいところ。