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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

【評価】『バトルフィールドハードライン(BFH)』の感想やレビュー 個人化から脱却したBF

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ゲーム概要

DICEとVisceral Gamesから開発されたマルチ/シングルプレーのFPS。発売日は2015年3月19日。

ミリタリー中心の世界観から「警察VS犯罪組織」の構造へ変化したことが特徴として挙げられる。開発チームは『Dead Space』で有名な「Visceral Games」。

 

マンネリ打破となるのか

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『Battlefield』といえば、あの大人気シリーズ『CoD』と並んで、現代のFPSシーンを飾る二大巨頭の一つである。

しかし、彼らは「マンネリ化」という共通する問題を抱えていた。

そこで『Call of Duty: Advanced Warfare』が打ち出した革新は、ずばりキャラクターの強化と、プレイアビリティの向上であり、こちらはまずまずの評価を得たと言える。

 

時を同じくして、『Battlefield』もまた一つの革新を進める。

マンネリ打破のために、別チームのVisceral Gamesまで起用し、世界観も「Battlefield」とは遠い、身近なアメリカの犯罪抗争へと移した。

ではこれらの試みは、「『BF』への食傷」を回避しつつ、「前作にも劣らない『BF』」を完成させたのだろうか?

結論から言ってこれは完成したと言っていい。見事に今までのバランスを見直しつつ、新たなゲームバランスを成立させているのだ。

 

個人化から脱却するBF

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まず目に見えて変わった点として、各プレイヤーの能力が衰微している点が挙げられる。(興味深いことに、これは『COD:AW』とは真逆の進化だ)

元々、『Battlefield 1942』の時代の兵士たちは、ライフルは当たらない、スプリントは出来ない等、とにかく弱かった。

しかし、『Battlefield 3』辺りからクラスは大きく統廃合され、一人のプレイヤーが出来る仕事が増えた。『Battlefield 2』までのエンジニアは修理と地雷敷設しか出来なかったが、『BF3』ではそれに加え対戦車兵器まで使用できるようになったのだ。

一方、本作の兵士は軒並み前作より弱体化した。エンジニアの場合、ロケット砲の代わりにグレネードランチャーを装備するなど、クラスに装備できるガジェットは少なからず減らされてしまった。

これにより、プレイヤー毎の仕事量が減った代わりに、各プレイヤー同士の連携協力が一層要求されるデザインとなったと言えるだろう。

 

また、ビークルに関しても大きく能力が削がれた。

ジェット戦闘機、主力戦車、攻撃ヘリといった強力な軍事兵器はごっそり削除され、代わりにソフトスキンの自動車やスポーツカーが導入されたことはもちろん、

残ったビークルも、基本的にドライバーとガンナーの役割が分かれる輸送ヘリのような、二人以上で真価を発揮するビークルが増えた。

つまり、単純にビークルが弱体化しただけでなく、加えて二人以上の「連携」が要求されるようになったのである。

元々、ビークルはソロ/歩兵戦はチームといった具合に、ある程度住み分けがされたものだが、本作ではそのビークルさえも「集団化」の範疇になり、積極的な連携を仰ぐアグレッシブな調整が施されたのである。

これらの調整は人それぞれだろうが、私は既存の「個人戦」ありきの『BF』シリーズは新鮮味を感じなかったので、本作のオッサン同士がオッスオッス協力する本作は中々に魅力的だった。

 

改革の絶妙な着地

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これらのアイディアは魅力的だし、実際にゲームとしても上手く機能しているように思えたが、

中には「こんなの『BF』じゃない!」と思う人がいるかもしれない。

少なくとも、ゲーム性を変革するということは、既存のファンに対してある程度の寛容性を要求することである。

そこで、Visceral Gamesはただ変化を押し付けるのでなく、様々な趣向で「改革」を着地させた。

 

まず、世界観をガラッと変えた点は良い。

今までの中国→アラブ→ロシアのローテーションには、少し飽々していたというのが正直なところで、本作の西部劇らしいアメリカ大陸の砂原は、新たな戦場としてもってこいだ。

その上、犯罪組織や警察では「それっぽい」演技で「警察だ!武器を下ろせ!」とか、「クソッタレのポリ公め!」などのボイスチャットを使ってくれる等、新たな世界観に対する細かな配慮がとても良い。

マップ上に点在するオブジェクトも拘っており、マップ毎に新たなテクスチャを配置するなど、感情移入するための工夫が数多くある。

 

また、Visceral Gamesのパクリ芸、もとい既存作の再構成は本作では発揮され、

『Tactical Intervation』に影響されたようなドライブバイの銃撃戦では、見事に「殺されそうで殺されない」バランスを保っていて、映画のように撃ちあうことが出来るし、

半ば死蔵された『Battlefield 2』の追加パック『Special Force』から、グラップリングフックやワイヤーを拾ってくる辺り、彼らの嗅覚はさすがと言ったところだ。

(因みに、キャンペーンでは『Farcry』そのまんまのギミックがある)

 

Visceral Gamesは、肝心のコンセプトは「個人化から脱却するBF」という新鮮さを維持したまま、従来作のレバレッジと、世界観の細かな描写を組み合わせ、違和感なく伝統ある『BF』を再構成することに成功した。

『バトルフィールド ハードライン』は実際面白い。既存のファンも、新規のゲーマーも獲得できる魅力がある。

ただ、まだまだゲームバランスは甘いし、アンロックがやたらとマゾい点は酷い。

特に、警察と犯罪者では使える武器が違う(両サイドで使うには1000キル以上が必要)というのは何かのハラスメントと思うレベル。