読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

【評価】『Into the Gloom』の感想やレビュー 在りし日の擬似3D

 

f:id:arcadia11:20150409221829j:plain

開発:earrgames

対応:Steam

発売日:2015年1月30日

ジャンル:ホラーアドベンチャー

 

ゲーム概要

earrgamesから開発された、『Minecraft』のようなピクセルアートが特徴的なホラーゲーム。

プレイ時間は1時間程で、価格も安価。ゲームプレイは古典的で、閉鎖された空間から脱出することが目標。

元々はDesura出身で、そこからGleenlightを経てSteamで販売されたらしい。

 

短いが充実した内容

f:id:arcadia11:20150409221846j:plain

何のメッセージもなく、唐突に病室に放り出された主人公。

「これは夢か、はたまた悪夢か?」

とりあえずモノクロに染められた廊下に出てみるが、そこには謎の死体しかない。そして次々に起きる怪奇現象。プレイヤーは脱出を試みて、次の扉を目指す。

 

本作は低ボリュームのゲームらしく、謎の施設に閉じ込められ、そこから脱出を志すという王道が展開される。

特に小難しいパズルやアクションもなく、展開そのものは至ってスムーズ。たまに面倒くさい仕掛けもあるが、基本的にはストレスなく遊べるバランスと言えるだろう。

特徴は何と言っても、昔のFlashゲームのようなピクセルアート。これがうまい具合に不気味な雰囲気を醸し出していて、本作を盛り上げてくれる。

内容こそ短いものの、ロケーションやトリックは中々凝っていて、オチまでしっかり用意されている。1コインで楽しめるゲームにしては、十分すぎる内容だろう。

 

在りし日の擬似3D

f:id:arcadia11:20150409221938j:plain

しかし、私が本作に触れるに連れて、恐怖心の代わりに何か別の感情を抱くようになった。

そう、ピクセルアートで再現された本作の楼閣を歩いているうちに、在りし日の擬似3Dの記憶を、あの懐かしい記憶を思い出したのだ。

 

本作の、ほぼ唯一といって言いウリである「ピクセルアート」。これが昔のゲームを思い出させるのである。

例えば『DOOM』。グラフィックはおもちゃのように稚拙だったが、それでも彼らは粗いグラフィックを逆に利用し、妙に不気味な火星基地を再現していたものだ。

今考えれば、昔のゲームはどれも「ピクセルアート」だったのではないか。彼らは、現実的な描写が出来ない代わりに、抽象的な描写で世界観を描いていた。

もちろん、その芸術性に到達した、今でもプレイに耐える「アート」なゲームは殆ど残っていないが、それでも『DOOM』に登場するMarineの死体が醸す絶望感は、今でも記憶に焼き付いている。

ちょっと前、『Minecraft』に「Herobrain」なる敵NPCがプレイヤーを襲うというデマが拡散して、一時期大騒ぎになったけど、あれもマイクラが持つ抽象的なグラフィックならではの恐怖感だったのかもしれない。

(逆に『DayZ』のリアルなゾンビは、あんまり怖くなかったり)

 

いずれにせよ、本作が持つ独特な印象は、「ピクセルアート」に秘められた、在りし日のレトロゲームが描いたアヴァンギャルドな芸術。もっと言うなら、偉大な先人たちの記憶を掘り起こしたことに所以するのだと思う。

古典的なゲームの持つロストテクノロジーを、インディーズゲームが発掘して現代のゲーム性と適合する、というのはよくある話だが、「擬似3D」の芸術を再現したのは個人的に印象深かった。

もしあなたが、『DOOM』や『Duke Nukem』『Shadow Warrior』といった渋いゲームの雰囲気を好むゲーマーなら、一度触れる価値は十分ある。