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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

【おすすめ】新・午前十時の映画祭で確実に抑えるべき10本の名作映画を選んでみた

芸術/映画/文学

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もはやすっかり定例イベントと化した、全国の映画館で開催される「午前十時の映画祭」。

要するに、昔の名作映画を最新のスクリーンで楽しもうという企画だが、取り上げられるタイトルはどれも秀逸で、マイナー過ぎずベタ過ぎないと評判だ。

おまけに、本来の入場料(大人:1000円)より安く楽しめるとあって、待ち合わせまでの暇潰しとか、ぐっすりと休める仮眠タイムにも最適である。そこで、今回はそんな映画祭の中から、とりわけ色んな人に観て欲しい作品を10本紹介しよう。

 

ニュー・シネマ・パラダイス

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監督:ジュゼッペ・トルナトーレ

出演:フィリップ・ノワレ、ジャック・ベラン

公開:1988年

戦争で家族を失った少年トトと、町の映写技師であるアルフレードによる、儚い青春と一生を描いた作品。

アルフレードと映画の出会いを通して成長する少年は、繊細な感性を持ち、また少しオタクな側面があるのもあって、日本人でも感情移入しやすいのか、日本でも評判の高い本作。

太陽に照らされ、きらきらと輝く地中海の町並みもまた美しく、幅広い層が楽しめる一本になっている。

 

ひまわり

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監督:ヴィットリオ・デ・シーカ

出演:ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ

公開:1970年

 『自転車泥棒』など、ネオリアリスモの嚆矢として知られるヴィットリオ・デ・シーカのロマンス映画。第二次世界大戦により引き裂かれた夫婦の絆と、色欲と純潔の間で揺れ動く人物像を描く。

この映画、ある意味では「戦争映画」であるが、そこで描かれるのは、戦争という巨大なバックグラウンドを利用して立ち回ろうとした人生。ソ連政府が協力したという美しいロシアの大地と相まって、その不条理な人生が明るみに出る。

数あるイタリア映画の中でも紛れも無く名作であり、硬派な恋愛映画としても面白い作品。

 

風と共に去りぬ

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監督:ヴィクター・フレミング

出演:ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

公開:1939年

南北戦争の最中、高貴な生まれの娘スカーレットと、孤独を好むバトラーとの恋愛を、崩壊する南部文化に即して描いた作品。

もはやこの映画の魅力は、論壇で散々語られ尽くした程にあるのだが、中でも、「女性らしさ」を誰より誇り、女としてのタフさと傲慢さを併せ持つ、スカーレットの人物像は印象深い。

既存のジェンダー観を嘲笑うかのような「伝統的な」世界観が、南北戦争のように燃え上がる恋を通して描かれる様は圧巻の一言。

 

アフリカの女王

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監督:ジョン・ヒューストン

出演:ハンフリー・ボガート、キャサリン・ヘプバーン

公開:1951年

第一次世界大戦下のコンゴ。戦火で兄を失ったローズと、植民地でボロ船の船長を務めるチャールズが、不思議な出会いと共に危険なコンゴを縦断するロマンス映画。

実際にアフリカでロケをしただけあり、様々な動物が潜むジャングルの造形にまず目が奪われる。そして、その闇の奥で出会った二人が下す、最期の決断とは。

海外では中々有名な一方で、逆に日本では知名度の低い作品だが、アドベンチャーとしてもロマンスとしても、何よりヒューマンドラマとして観ても楽しめる、正に模範的映画として興味深い一本。

 

八月の鯨

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監督:リンゼイ・アンダーソン

出演:ベティ・デイヴィス、リリアン・ギッシュ

公開:1987年

毎年鯨を見るため別荘に訪れる老姉妹、サラとリビー。そこで同じくして出会う老人たちの、ハートフルな旅を描いた作品。

白内障を患った姉など、年老いた肉体に縛られる彼女たちだが、沈黙の中に会話し、人間的な弱さの中に親切心を見出すなど、長年生き続けた人間たちの逞しい人生観を見出している。

一見地味そうな、というか実際に地味な作品だが、観れば観る程に脚本とロケーションに引き込まれる映画。

 

ショーシャンクの空に

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監督:フランク・ダラボン

出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン

公開:1994年

殺人の罪で投獄された銀行家と、刑務所の囚人たちとの数奇な出会いと成長を描いた、スティーブン・キング原作の群像劇。

本作の素晴らしい点は、何と言っても「キングらしさ」である。一見すると道徳を説いただけのありきたりな作品に思えるが、観るほどに疑問符が付くようなシーンが多い。アンディは本当に冤罪なのか、囚人たちは本当に改悛しているのか。投げかけられた正義は、掴みきれない不安定な物質で構成されている。

日本で有名すぎることもあって、逆に敬遠されがちな本作。だが二度三度の鑑賞に耐えうる程、本作はスティーブン・キングの持つ「アク」を見事に再現している。

 

赤ひげ

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監督:黒澤明

出演:三船敏郎、加山雄三

公開:1965年

江戸時代の小さな養生所に務めることになった、若い医師の成長と道徳を説いた映画。

今になって観返すと、少しベタすぎる程の人間愛が主題となった作品だが、むしろそこが魅力なのだろう。不器用な人間たちが、ストレートな言葉で、様々な逆境と戦う姿には、古き良き日本の道徳観が伺える。

黒澤明が私財を投じて作り上げた、3時間に及ぶ集大成的な作品。三船敏郎、加山雄三といった俳優陣にも注目だ。

 

ラストエンペラー

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監督:ベルナルド・ベルトルッチ

主演:ジョン・ローン、ピーター・オトゥール

公開:1987年

欧米列強の介入によって弱体化する清朝、その最後の皇帝である愛新覚羅溥儀の一生を描いた作品。

歴史というデリケートな話題にして、複雑な背景を上手く活用しながら、あくまで一人の皇帝がどのように生き、そして振り回されてきたのかを丹念に描いている。

「欧米がアジアの歴史を描く」という困難な話題に正面から向き合い、同時に中国の文化的な魅力を引き出した、ラスト・スペクタクル。

 

死刑台のエレベーター

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監督:ルイ・マル

出演:モーリス・ロネ、ジャンヌ・モロー

公開:1958年

社長の夫人と不倫関係にある従業員が、自殺に見せかけて社長を殺害した帰り、何故かエレベーターに閉じ込められてしまう、というサスペンス映画。

ヌーヴェルヴァーグの代表的な作品だけあり、手に汗握るサスペンスの背後に、常に影を落とす背徳心、そして刹那の情愛が、モノクロの映像と共に表現されている。

巨匠、ルイ・マルの代表的な作品にして、サスペンスの金字塔。これほど白と黒の世界を上手く活用した作品はないだろう。

 

東京物語

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監督:小津安二郎

出演:笠智衆、原節子

公開:1953年

自分の子供の顔を見ようと、広島から上京した老夫婦が居場所のない東京を彷徨う、家族の喪失と再生を描いた作品。

戦前と戦後の違いとは何か。家族と他人の違いとは何か。「わたし」と「わたしたち」の違いとは何か。人間と人間を結ぶ、あらゆる絆が解れ、そして繋がる様を、純粋にして清純な映像で見事に描き切った、至上の傑作。

あまり下手なことは言いたくないのだが、少なくともこの作品を自分たちの祖国の言語と文化で楽しめることは、何よりの名誉だと私は思う。