読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

何故ダウンロードサイズは肥大化するのか?Steamにおけるゲーム販売の瑕疵

ゲーム業界について 翻訳記事

f:id:arcadia11:20150415234520j:plain

 

現代のPCゲームにとって、もはやSteamを始めとしたダウンロード販売サービスはなくてはならないものとなっている。便利で安価なことは確かだが、小規模なインディーズ開発陣にとって容易に流通経路を確保できる点でも、大きな魅力がある。

しかし、このダウンロード・サービスに大きな影が差している。それはダウンロードサイズの肥大化だ。今のAAA級では、数十ギガバイトレベルのサイズのタイトルは珍しくなく、それがゲームの技術的進歩に必要だとしても、多くのゲーマーのユーザビリティを削いでいるのではないか。

一方で、ゲーマー側のハードはどうか。ハードディスクのような記憶媒体を拡張するには限度があり、ダウンロードに使用する回線速度の改善は困難で、しかもユーザーの住居によっても左右される。つまり、ゲームの肥大化に対して、一部のユーザーが打てる手立てが少ないのだ。

 

ダウンロードサイズの肥大化は、AAA級パブリッシャによる群雄割拠が激化する、主に2007年から顕著になった。

2008年に発売された『Assasin's creed』9GB必要だったのが、最新の『Assasin's creed Unity』40GBとなった。『Call of Duty』シリーズが15GB『Wolfenstein: The New Order』40GB、更に2013年にXboxOneやPS4のような次世代機に合わせた作品が発売されることで更に悪化。極めつけは先日発売された『Grand Theft Auto V』で、こちらは何と60GBである。

おまけに、セールやFree Weekend時による回線の混雑等も考慮すれば、ユーザーがダウンロードにかける時間は尋常ではなく、10時間以上はザラになるだろう。

 

「Repack」と「パッケージ販売」

f:id:arcadia11:20150415235219j:plain

呆れた話ではあるが、ゲームを違法ダウンロードする海賊たちもまた、この問題に直面しており、それに則して彼らは独自の問題解決を見出している。

それは「Repack」と呼ばれる手段で、テクスチャやサウンドといったゲームのデータを改めて圧縮したり、英語以外の言語データを削除した上で、独自のインストーラーを付属させて配布しているのだ。

例として、『Wolfenstein: The New Order』が40GBだったのが15GBで配布されたり、25GBの『Battlefield 4』が17GBで配布されていたりする。最もこれにも問題はあり、一部のデータが欠損している場合もある。

 

回線混雑を回避するためなら、物理的媒体、つまりパッケージによるダウンロードも選択肢として有力だ。

ただし、現代におけるゲーム流通の90%はデジタル販売によるものということもあって、パッケージ特有の問題も少なくない。

まず、流通量が少ない以上、セールによる割引は期待できない。更に、その莫大なデータ量から、ダウンロードには複数のDVDを交代で挿入する手間が必要となる。

例えば、『Wolfenstein』のリテール版では4枚のDVDが、『Call of Duty: Advanced Warfare』では6枚もDVDが付属しており、これらを何時間もかけてインストールすることは楽ではない。PS4やXbox Oneなら最適化された一枚のブルーレイディスクで快適に遊べるというのに。

 

一方、インターネット回線のコンディションもまた一様ではない。Steamを例に挙げると、おおよそアメリカや西ヨーロッパにおける回線速度が30Mbpsまで平均で出力するのに対し、日本や韓国といった東アジアでは40~50Mbps、そしてオーストラリアでは7Mbps、ブラジル等の南米やポーランド等の東ヨーロッパに至っては5Mbpsしか出せないのだ。(最も、これは正確な公式ソースではないし、一定以上のユーザーは除外しているため単なる平均値ではない。)

以前、アメリカにおける、過半数のユーザーが100Mbpsを叩き出す一方で一部のユーザーは3Mbpsも出せないという、「回線格差」が問題になったことがあるが、上記の通り、それが世界規模で発生している事自体が明らかで、「ダウンロードサイズの肥大化」はそのゲーマー同士の格差に拍車をかけている。

 

肥大化の未来

f:id:arcadia11:20150415235502j:plain

アメリカ議会によって設立された連邦通信委員会、通称FCCによって、ダウンロード販売サービスが問題視されたことがある。

より健全で平等な機会をブロードバンドにもたらす視座から、今までも、映画のストリーミングサービス「Netflix」等、一部の配信企業に対する懸念を明らかにする等、一般利用と商業利用が競合が問題となる一方、「Google Fiber」等のインフラが急ピッチで整備されるなど、インターネットにおけるダウンロード販売は、一つの瀬戸際にある。

 

f:id:arcadia11:20150415235533j:plain

 

いずれにせよ、暫くの間はダウンロード販売への支持が失われることはないし、『Witcher 3』が40GB、『Star Citizen』には100GB必要となることが示唆されるなど、サイズの肥大化も収まりそうもなく、またディベロッパー側がその点を考慮するということもなさそうだ。

対策として、まずプレオーダーによるダウンロードを浸透させることが重要だろう。一週間前からデータの大半がダウンロードできるようになれば、発売しても半日待たされることは減るはずだし、単純にSteamやOriginの負担が減って他のユーザーが楽になる。

ただし、プリロードしても、一部のデータがダウンロード出来ない商品が多く、コンソール機のようにゲームプレイしながらインストールやダウンロードが出来ないのも、(Blizzard製を除いた)PCゲームの弱点である。

正直、一番手っ取り早い対策は、回線速度の改善だ。今やアメリカ全土で拡大している「Google」「Comcast」「Cox」のようなインフラ企業もさながら、オーストラリア政府も、数年後におけるインターネット拡大の方針を打ち出している。

ただし、いくら素早くダウンロード出来るようになっても、巨大な容量がハードウェアを圧迫する点が改善したわけでないし、ゲーマーはしばらくこの問題と付き合わねばならないだろう。

 

 

ソース

PC Gamer

本記事は以上の内容を一部抜粋したものである。