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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

『ダークソウル』から『ブラッドボーン』まで、大好きなボスをランキングで紹介する

 

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大ヒットしたアクションRPG、『Souls』シリーズの第一人者にして、最新作『Bloodborne』のディレクターでもある宮崎氏が、「シリーズで一番好きなボス」について解答した。

彼は『Demon's Souls』の「黄衣の翁」について、シリーズでデザインした数々のエネミーの中で、とりわけ気に入っているボスとして答え、新たに導入したマルチプレーシステムと組み合わせたボスだが、それだけ様々なコンフリクトが発生し苦労したと理由を述べている。

彼の言うとおり、「黄衣の翁」は素晴らしいボスだ。だが私は一人のファンとして、他にも素晴らしいボスを紹介したい。ここで挙げたものは、「ゲーム」に求められる様々な観点から評価したものである。

 

(ソース:Bloodborne director’s favourite boss fight is from Demon’s Souls | VG247

 

5位/刑吏のチャリオット

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登場作:DARK SOULS 2

マップ:不死刑場

有史以来、人間に愛され続けた動物といえば、犬、猫、そして馬だろう。美しい毛をはためかせ、鍛えあげられた筋肉を十全に動かし、飛翔するように走り回るその姿は、世界中の画家に描かれ続けてきた。

当然、ゲームでも「馬」は好まれる題材だ。『Red Dead Redemption』『ゼルダの伝説』『Mount and Blade』『The Elder Scrolls』… あらゆる作品で、馬は人間の友として登場する。

で、それでは物足りないと訴えるのが、この『ダークソウル2』。不気味なドーナツ状の処刑場に誘われた主人公を待ち受けるのは、馬の甲高い喊声と共に、鳴り響く車輪の轟音。

車輪に備え付けた巨大な刃を回転させ、プレイヤーを圧殺しようと駆けつけてきたボス、「刑吏のチャリオット」だ。

「馬」ならではの勇ましさもさながら、様々な攻略法を用意されたステージも印象深い、素晴らしいボス。惜しむらくは、このステージをスルーしてしまう(攻略せずともクリア可能なため)プレイヤーが多いことぐらい。

 

4位/ガスコイン神父

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登場作:Bloodborne

マップ:ヤーナム市街

シリーズの新作をプレイする上で、プレイヤーが一番困惑するのは「前作と何が違うのか」という点だ。既存のプレイスタイルに何を加えれば、このゲームを攻略できるのか察することは、思いの外難しいのである。

ガスコイン神父は、まさにその「シリーズ新作としてのチュートリアル」としての役割を果たす。

一切躊躇のない剣舞のデンプシーに、容赦の無い散弾の嵐から、プレイヤーは「相手の攻撃を受け流した後、自分の攻撃を入れる」という既存のセオリーが役に立たないことを察するのだ。

『Bloodborne』ではアクションゲームとしての素質も問われる。そう察したプレイヤーは、リゲインや銃パリィを駆使して戦うことを考え、『Bloodborne』の楽しみ方を見出すだろう。

ついでに、「セリフを喋る」「サブイベントに繋がる」「銃を使う」という従来作にない、人間的性格を備えたボスが、二番目に登場するという点も見事だ。ガスコイン神父はさしずめヤーナムの水先案内人といったところか。

 

3位/貪食ドラゴン

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登場作:DARK SOULS

マップ:最下層

「ドラゴン」という単語は、『DARK SOULS』におけるキーワードの一つである。ドラゴンは不死の肉体を持ち、人間が火を灯す以前の支配者とオープニングで説明される。つまり、ドラゴンは自然そのもののメタファーのように思える。

とはいえ、『DARK SOULS』がそのドラゴンを滅ぼした文明もまた、滅んだ後の世界を描写している以上、ドラゴンはとっくに駆逐されてしまっていて、神話の中に語られるだけだ。

そんな中、ロードランの市街地、不死街の最奥にて、巨大な牢獄の中でプレイヤーが出会う相手が、この「貪食ドラゴン」である。

かつて辛うじて生き残ったドラゴンが、人間によって閉じ込められていたのだろう。単に封印したかったのか、或いは恐ろしい人体実験の被験体になっていたのかもしれない。

だが、そのドラゴンは、ファンタジー小説で描かれるような美しい姿ではない。悠久の飢餓に悩まされながら、不死の肉体故に死ぬことを許されなかった彼は、空腹の苦しみを思わせる肥大した腹を持ち、胃袋はまるで巨大な口のように大きく裂けてしまっている。これがドラゴンの末路だというのか。多くのプレイヤーは驚愕するだろう。

個人的に、『DARK SOULS』の世界観やストーリーは、シリーズの中でも最も洗練された作品という印象を抱いているが、中でもこの哀れな龍ほど、印象深いボスはいない。

 

2位/塔の騎士

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登場作:Demon's Souls

マップ:ボーレタリア王城

散々、マゾゲーマゾゲーと喧伝されたこの『Souls』シリーズ。ところが、シリーズ最初の作品である『Demon's Souls』は、ぶっちゃけ「ぬるい」ゲームだと言い切れる。(ただし一周目、ソウル傾向が白の場合に限る)

それは、この「塔の騎士」が端的に表している。精悍な佇まい、塔のように高い盾、増援として無数の弩兵。どう考えても攻略不可能に思えるが、実は外壁に登ることで弩兵を倒すことも出来るし、「塔の騎士」本体もかかとを斬り続ければぶっ倒れて、弱点の頭部を晒してしまう。

つまり、さっき挙げた特徴は、すべて脅しのためのブラフに過ぎないのだ。槍も盾は巨大すぎて使い物にならず、ちょっとのコツを掴めばあっさり勝利できてしまう。

それでいて、本作は「パズルゲー」に落ち着いていない。トリックがわかれば簡単だが、実はゴリ押しも出来るし、他のトリックがわかれば更に簡単になる。頭を使いながら、最低限のトライアンドエラーで攻略できるように作られている。

『Demon's Souls』は本当に素晴らしい作品だが、これほどプレイヤーに譲歩する寛容さがありながら、決して達成感や攻略の幅を狭めるような事はしない点が、シリーズの中で「最高傑作」と呼ばれる所以だと思う。

 

1位/薪の王グウィン

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登場作:DARK SOULS

マップ:最初の火の炉

「ラスボス」は、言わずもがな、ゲームで最も重要なシーケンスの一つだ。

何時間、何十時間と苦労した末にようやく辿り着くフィナーレ。マリオの「クッパ」、ゼルダの伝説の「ガノンドロフ」、System Shockの「SHODAN」・・・ 名作ゲームは、常にラスボス共々記憶に残っているもの。

では、『Souls』シリーズ最高のラスボスは誰か? 私は「薪の王グウィン」だと思う。

 

さて、『DARK SOULS』はシリーズの中でも、特に難解なストーリーがベースになっている。

まず、ゲームを取り巻く世界は瓦礫の山と化したが、なぜそうなったか語ってくれる人物もおらず、むしろ大抵のNPCは終末の時を自明の理として平然と受け止めている。そもそも、プレイヤーは何のために奔走し、デーモンやら不死人やらを抹殺して周っているのかもわからない。

プレイヤーががむしゃらに答えを求める中、ただ一人の元凶、「ラスボス」として鎮座するグウィンは、口を開いて説明するどころか、薪のように燃える肉体を奮い立たせ、勇猛果敢に剣で挑んでくるのだ。答えを求めた旅路の果ては徒労に終わり、プレイヤーも応戦する他ない。

 

伝承によれば、グウィンは消え逝く文明の「火」を継ぐために、わずかな部下と共に旅立ったという。少なくとも、ラスボスとして相対した王の、灰のように焦げた姿を見たところ、その目的は達せられたらしい。罪を償うために自らの肉体を火に焼べた、宮沢賢治の童話に登場する蠍のように。

では、プレイヤーにとってグウィンとは誰だろうか。単なる敵とも映るし、自己犠牲の精神からプレイヤーの分身にも思える。煤けた王冠、煌々と燃え上がる剣、沈黙を守る表情、ピアノだけの寂寥感漂う音楽。ある意味、彼は『DARK SOULS』そのもののメタファーとも言える。

『DARK SOULS』は難しいが、素晴らしいゲームだ。その数十時間の行軍の先に、「薪の王」に触れたプレイヤーが抱く印象は、一人一人のナラティブに基づいた、オリジナルの「ラスボス」であり、私にとっては最高のラスボスの一人だった。