ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

ゲームの元ネタになったおすすめ映画10本

 

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ゲームのレビューで、「このゲームの元ネタは『○○』って映画らしいね」「『××』みたいな演出がよかったな」みたいな話を聞きませんか?

そう、現代ゲームは多分に映画の影響を受けたものが多いです。「映画のようなゲーム」なんて評価もしょっちゅう耳にするぐらいですからね。

そこで、知っておくとよりゲームが楽しめるような、ゲームに敷衍した表現のルーツを辿ってみましょう。

 

※作品は年代毎に紹介。基本的にネタバレは控えています。あくまでゲームと類似した映画を紹介する記事なので、ラインナップはシンプルめにしました。

 

 

2001年宇宙の旅

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公開:1968年

監督:スタンリー・キューブリック

ゲーム:EVE Online・Space Engineers・FTL他

 

本作は、名匠キューブリック監督の作品の中で、最も難解な作品とも言われる、大宇宙を舞台にしたSF映画だ。

モノリスに触れて進化する猿と、人工知能と戦う宇宙飛行士、そして精神の超越者を描く途方も無い物語が、観る者を圧倒する。

そして驚くは、その脚本を見事に再現する映像である。とても40年以上前の作品とは思えない程に、ビッシリと描かれた宇宙船はリアルで、CG技術の可能性を広げた。

言うまでもなく、数えきれない程のゲームや映画がこの作品に影響されている。宇宙を舞台にしたSFものは当然、人類史を俯瞰する視点も外せない。

 

ワイルドバンチ

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公開:1969年

監督:サム・ペキンパー

ゲーム:Red Dead Redemption・FEAR・ビューティフル・ジョー他

 

アクション映画の巨匠、サム・ペキンパーの代表的な作品と言うと、やはり『ワイルド・バンチ』ではないだろうか。

20世紀に入ったばかりのアメリカ。アメリカの居場所を失ったカウボーイたちが、メキシコに渡り、強奪した武器を密輸する。

サム・ペキンパーの映画といえば、あの熾烈なアクションシーンは有名だ。悪人同士の情け容赦のない銃撃戦は、挿入されるスローモーションとフォーカスで彩られ、観る者さえも戦場に引き込むような迫力を魅せてくれる。

現代のアクションゲームでも幅広く用いられるスローモーション。特に『Red Dead Redemption』は脚本まで『ワイルドバンチ』そっくりで、本作のファンなら是非観て欲しい。

 

ゾンビ(Dawn of the Dead)

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公開:1978年

監督:ジョージ・A・ロメロ

ゲーム:バイオハザード・Left 4 Dead・Dead Rising他

 

ゾンビはあらゆる娯楽作品で重宝される題材だが、それを具体的な文化として築き上げた人物は、ジョージ・A・ロメロを置いて他に居ないだろう。

突如として米国で広まったゾンビの異常発生と闘いながら、脱出を目指す市民の様子を描いた作品。

「ゾンビ」という設定に、綿密な設定を与え、それに日常的な世界観を噛みあわせた構造が、極上のホラーを形成している。

もはや、ゾンビなきゲーム文化など考えられない。日々、ゾンビを撲殺しているゲーマーなら、この古典的作品には思わずニヤリとしてしまうはずだ。(走るゾンビが好きなら『28日後』も抑えておこう)

 

地獄の黙示録

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公開:1979年

監督:フランシス・フォード・コッポラ

ゲーム:Farcry 2・Spec Ops: The line・Homefront他

 

暴力や支配といった衝動の本質を抉りだす作品、それがコンラッドによる小説『闇の奥』であり、その難解な文学を映像化しようと試みたのが、コッポラによる『地獄の黙示録』だ。

ベトナム戦争の後期、米軍を裏切って離脱したカーツ大佐を抹殺するために送り込まれたウィラード大尉。しかし、荒廃したベトナムの戦場に蝕まれた大尉が、奇妙なまでにカーツ大佐の思考とリンクしていく、という話。

これまで紹介した通り、映像という媒体で先行している以上、映像文化に影響されたゲーム作品は多い。だが、この『地獄の黙示録』(『闇の奥』)の場合は、「影響」どころではない。原作がそっくりそのまま、プロットからゲーム性にまで浸透している。

ゲームとは暴力に依存する運命にあり、『闇の奥』が暴力を省みる作品である以上、洋ゲーが好きな人は、原作も映画版も両方確認しておきたいところだ。

 

ブレードランナー

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公開:1982年

監督:リドリー・スコット

ゲーム:スナッチャー・Deus Ex・Transistor他

 

今でこそ、SFの定番となった「サイバーパンク」だが、それを映像という媒体で具現化したものといえば、『ブレードランナー』を置いて他にいない。

2019年のアメリカ。6人と逃亡した人造人間を追跡する刑事が、最後に辿り着いた真相とは。

『ブレードランナー』といえば、あの独特の世界観と、それを見事に再現する映像美は有名だ。巨大な光り輝くピラミッド、妖しく光るサイネージ、妙にオリエンタルな屋台。

その表現は、数多のゲームのみならず、『攻殻機動隊』を代表としたマンガやアニメにも大きな影響を与えた。

一方で、原作の幻惑的な文脈をベースに作られた、硬派な刑事ものの脚本も捨てがたい。SFに大々的にハードボイルドを加えた発想も、ブレードランナーの偉大な貢献の一つだ。

 

マッドマックス2

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公開:1982年

監督:ジョージ・ミラー

ゲーム:Fallout・メタルマックス.・DayZ他

 

砂粒が吹き荒れる荒野、ソウド・オフのショットガンを片手に、犬を連れた筋骨逞しい男のシルエット。『マッドマックス2』は既存のポスト・アポカリプス的世界観に大きな衝撃を与えた。

戦争によって文明が失われた荒野、銃火器で武装したギャング同士が資源を求めて争う中、マックスは最後の楽園に向けて激しいチェイスを繰り広げる。

本作が『北斗の拳』の元ネタであるのは、ファン同士の有名な語りぐさだが、それ以外にもこの映画は「ポストアポカリプス」の模倣となり続けた。

既存の西部劇から引用された技法、ハードボイルド小説を踏襲した脚本、文明の遺物で武装した蛮族たち、狂気を生き抜く奇抜なファッションという構造は、終末的世界観のテンプレートとすら言えるだろう。

 

エイリアン2

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公開:1986年

監督:ジェームズ・キャメロン

ゲーム:DOOM・XCOM・Half Life他

 

エイリアンといえば、ゾンビと肩を並べてゲームに貢献し続けたヒール役として有名だが、その元を辿ればやはり『エイリアン2』だろう。

コロニーに侵入したエイリアンを討伐すべく、様々な近未来装備で武装した海兵隊員たち。犠牲を重ねた末に、死闘を制したのはどちら側か。

『エイリアン2』の特徴といえば、とにかく「人間が強い」ことに尽きる。今までのエイリアンものは、一方的に人間が狩られるホラー色が強いものが多かったのだが、この作品ではエイリアンを好敵手として、様々なアクション俳優が投入され、高度な戦いが繰り広げられている。ゲームにおけるエイリアンの扱いは、大抵こちらだろう。

 

グッドフェローズ

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公開:1990年

監督:マーティン・スコセッシ

ゲーム:Grand Theft Auto・Hotline Miami・Saints Row他

 

日常的な犯罪を描いた映画は多岐に渡る。そこであえて一つゲームに影響を与えたものを挙げるなら、私はこの作品を推したい。

貧しい移民の家庭で育った一人の男が、ドラッグや暴力に溺れながら、少しずつマフィアの世界で出世していく。

一見するとありふれた筋書きだが、本作にはここにたっぷりとユーモアを詰め込んでいる。難しい哲学に向き合うことなく、ただ己の欲を満たしたいがために動く主人公は、マフィアというよりチンピラである。

悪徳をユーモアに昇華させ、そこにオシャレな演出や音楽、理想の生活、シニカルを見出す本作は、ゲームにおける娯楽的な暴力に大きな影響を与えたと私は思う。

 

ヒート

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公開:1995年

監督:マイケル・マン

ゲーム:Payday・APB・Battlefield他

 

誰もが一夜にして億万長者になることを夢見たことがあるだろう。計画を立て、銃器を揃え、その夢を本当に実現しようと試みてしまう。その瞬間を描いた作品が、この『ヒート』だ。

巨大なギャング組織を率いる無法者と、その影を執拗に追いかける警察。そして実行に移された銀行強盗の計画が、両者を未曾有の銃撃戦へと飲み込んでしまう。

マイケル・マンらしい無情ながら丁寧な描写と、アル・パチーノとロバート・デ・ニーロの夢の共演が、警察と犯罪者という両者の性質を浮き彫りにしていく。

『Battlefield』の最新作が同じ「警察VS犯罪組織」の構造で開発されたのは記憶に新しいが、銀行強盗というシチュエーションはゲーム業界のホットワードになるかもしれない。

 

プライベート・ライアン

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公開:1998年

監督:スティーブン・スピルバーグ

ゲーム:Medal of Honor・Call of Duty・Company of Heroes他

 

「戦争」は、それ自体がジャンルになるほど、映画業界において注目される題材であるが、この『プライベート・ライアン』はそんなプレッシャーのなかで戦争映画の金字塔へと上り詰めた。

ノルマンディー上陸作戦の死闘のなか、何とか生き残った兵士たちが、とある一等兵を連れ戻すために危険な行軍を強いられる。彼らは何のために戦ったのか。

『プライベート・ライアン』といえば、オマハ・ビーチの凄惨な様子を、POVや手ブレ、最新のCG等を駆使して描き切ったことで有名だ。

『Medal of Honor』などスピルバーグ監督を雇って、そっくりそのままゲーム化してしまうほど。「撃たれる恐怖」を描く上で、この映画がどれほど参考にされたかは想像に難くない。