ゲーマー日日新聞

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【これが】至高のサブクエストを5本選んだ【お使いゲーだ】

 

※この記事には『TESV: Skyrim』『Demon's Souls』『S.T.A.L.K.E.R. Call of Pripyat』『Red Dead Redemption』『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』に関するサブクエストのネタバレを含みます。

 

昨今は次世代機の表現力と相まって、広大なオープンワールドが展開され、大量のサブクエストを楽しめるAAA級作品も少なくない。

しかし、そこに散りばめられたサブクエストはプレイヤーをがっかりさせるものも少なくない。似たような内容、一面的な攻略、乗り気になれない世界観、いわゆる「お使いゲー」と揶揄されるアレである。

だが、サブクエストの中には、「サブクエストだから表現できた」優れたものも多い。そこで、理想的なサブクエストについて考えてみよう。

 

The Elder Scroll V: Skyrim 【シシス万歳!】

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豊富なサブクエストが自慢のゲームといえば、『TES』シリーズを避けて通る事はできないだろう。中でも『Skyrim』におけるこの【シシス万歳!】は、メインクエストに匹敵するクオリティとボリュームだ。

旧作で名を轟かせた暗殺者ギルド、「闇の一党」。しかし、本作ではシシスへの信仰も形骸化し、簡易的なパターナリズムが支配する組織に成り下がっており、彼らと出会ったプレイヤーは、自ずとその再興に手を貸すことになる。

そこで試されるのが、主人公の選択だ。徐々に力を取り戻す組織は、やがて分裂の危機を迎える。かつての信仰を取り戻すべきか、或いは新たな体制のために変化すべきか。

『TES』シリーズの醍醐味である重厚な世界観をベースに、滅び行く者たちの熱い鎮魂歌が重なる。プレイヤーの生き様を試す自由なオープンワールドだからこそ、より映えるクエストだ。

 

Demon's Souls 【メフィストフェレスの依頼】

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アクションRPGとして高く評価された『Demon's Souls』は、サブクエストまで素晴らしいクオリティだった。

それは物語の終盤。突如として、プレイヤーに友好的なNPCを次々と殺害されるイベントが発生する。何とか関係者を問いただし、その犯人だった暗殺者ユルトに復讐すると、彼の依頼人であったメフィストフェレスなる女が姿を現す。

驚くことに、彼の口から出てきた言葉は「お前が殺した暗殺者の代わりに、他のNPCを殺してくれないか?」というもの。ユルトの代わりにプレイヤーは暗殺の任を負うこととなる。

常識で考えれば、味方であるNPCを殺害するなど正気の沙汰ではない。大抵の人物はプレイヤーに気さくな態度で接してくれるし、ちゃんとアイテム販売や協力プレイでも助けてくれる、この狂気地味た世界の最後の光なのだ。

だがメフィストが提示する報酬もまた、どこから手に入れたのかと問い詰めたくなるような逸品ばかり。とりわけ、強力な武器を強化する上で須らく要求される「色のないデモンズソウル」は、プレイヤーが喉から手が出るほど欲しがる報酬だろう。

メフィストに出会ったプレイヤーは、報酬と良心を天秤にかけることになる。効率的なプレイを求めるなら彼の命令に従って暗殺するのが最適かもしれない。だが、かくも魅力的な仲間を戸惑いなく暗殺できたプレイヤーは、どれほどいただろうか。

 

S.T.A.L.K.E.R. Call of Pripyat  【Mercenary Camp】

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原発事故から数十年経過したウクライナを舞台としたFPS、『S.T.A.L.K.E.R.』の最新作『Call of Pripyat』は、旧作のシビアなゲーム性をそのままに、サブクエストや探索のボリュームを大幅に改善した続編となっている。

中でも、序盤から受注できる【Mercenary Camp】は非常に高いクオリティだ。巨大な廃工場に立てこもった謎の傭兵集団「Mercenary」から、情報端末を奪い取ってこいという内容だが、まず戦闘がとても面白い。

廃工場は奥行きが数十メートルはあるかという広さがあり、更に哨戒用の窓や手すりがそこら設置されており、内部には数十名の武装した傭兵たちが立てこもっている。対するこちらは自分一人だけで、まともに戦って倒せる規模の相手ではない。

そこで、まず隠密作戦が有効になる。幸いにも廃工場には入り口になりそうな裂け目はいくらでもある。巨大なパイプや干上がった川床を使えば、敵の監視の目を掻い潜って潜入することが出来るし、有利なポジションから一方的に銃弾を浴びせることが出来る。トライ&エラーでルートを開拓していくのはとても面白い。

このサブクエストには何ら面白いドラマや会話はないが、純粋な戦闘だけでこれほど面白い内容に仕上がっている。メインクエストでは物足りない上級者のため、チャレンジ要素としてのサブクエストを用意するのも悪くないだろう。

 

ゼルダの伝説 ムジュラの仮面  【牧場のウシを守れ!】

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自由にサブクエストやフリーローミングを満喫できるのは、何も海外産のゲームに始まったことではない。任天堂の『ゼルダの伝説』シリーズの中でも、とりわけ本作、『ムジュラの仮面』は豊富な寄り道が用意されている。

舞台となるロマニー牧場はタルミナ平原の郊外に位置しており、クリミアとロマニーという幼い姉妹が経営している。一見何の変哲もない牧場だが、ロマニーの話を聞けば夜中に「おばけ」が勝手に牛を拐うというので、主人公は用心棒として雇い入れられる。

そして、ロマニーと共に主人公が目にするのは、フラットウッズ・モンスターそのまんまな造形のエイリアンだ。敵のビジュアルがやたらにリアルな上、弓矢以外のダメージを受け付けないこともあり、難易度的にも雰囲気的にもシビアなクエスト。何とか撃退しきれば万事解決だが、問題は失敗した時である。

何とクエストを失敗するとロマニーは宇宙人たちに誘拐されてしまい、半ば廃人と化した状態で帰ってくるのだ。プレイヤーは自分の無力さを呪い、ゲームプレイに大きな変化をもたらすだろう。

サブクエストに「ゲームオーバー」はない。だからこそ表現できる、プレイヤーによる「失敗」の辛酸だろう。

 

Red Dead Redemption 【Remember my family】

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サブクエストが豊富で自由度が高い!こう喧伝されるゲームで最も有名なのは、Rockstarが送る『GTA』シリーズだろうが、彼らの新規IPとして開発された『Red Dead Redmption』は、ゲーム性、脚本、テンポ、発想、全て揃った極上のサブクエストが多数用意されている。

中でも、この【Remember my family】ほど印象強いものはない。保安官の陰謀によって主人公が殺された3年後、息子のジョン・マーストンはかたきを討つためだけに、エドガー保安官の跡を追うというクエストだ。

クエスト自体は至って平凡である。ただ一人の人物を追い詰めて、決闘で殺せば良いだけ。しかし殺す人物は、最後の最後まで主人公を顎で使い、そして無残に銃殺した憎きヒールである。数十時間のゲームプレイで、これほどプレイヤーの殺意が疼く相手もいないだろう。

このクエストの恐ろしいところは、エドガーの妻や兄弟といったNPCがエドガーの居場所を教え、しかも無防備に立ち尽くしていることだ。まるでプレイヤーの憎悪をぶつけろと言わんばかりに存在する彼らを、プレイヤーは存分に殺し、切り刻むことが出来る。(勿論、クエストをクリアするにはエドガー本人を殺すだけでよい)

大抵のプレイヤーはこのクエストを完遂するだろう。だが全てを終えたプレイヤーには何もなく、ただ荒野が広がるのみである。本作の素晴らしいところは、「復讐」遂げるのかどうかという主人公の人生観を左右する選択を、サブクエストという形態にして、完全にプレイヤーの自由に任せている点なのだ。

 

 

 

いかがだっただろうか。他にも素晴らしいサブクエストは数え切れない程あったが、この5つのクエストのうち、1つでも共感して頂けるものがあったなら幸いだ。

私にとって、優れたサブクエストとは「サブクエスト」の性質を十全に活かしたものだと思う。

【シシス万歳】であれば、広大なスカイリムの影を担う「闇の一党」としてのロールプレイを楽しめるし、【メフィストフェレスの依頼】であれば、デモンズソウルの優れたキャラクターを活かして葛藤を作っている。

また、【Mercenary Camp】であれば、通常クエストで満足できない上級者用としての難易度を実現しているし、【牧場のウシを守れ!】であれば、プレイヤーの成功と失敗を対比している。復讐の是非を問う【Remember my family】については言うまでもないだろう。

 

もしメインクエストの縮小版のようなクエストばかりなら、サブクエストも「お使いゲー」と揶揄されて然るべきだろう。だが、オープンワールドだからこそ、サブクエストだからこそ、実現できるエクスペリエンスは確かに存在する。

あなたが新作ゲームで大量のクエストログを見た時、「まーた手抜きクエストかよ」と溜息をつく前に、是非一度「サブクエスト」ならではの魅力を探して欲しい。