ゲーマー日日新聞

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『MGSVTPP:メタルギア5ファントムペイン』のストーリーをネタバレ全開で考察&要約する①

 

ようやくクリアした。最近のゲームではトップクラスのボリュームじゃなかろうか。それでも最後までほぼ面白さが失速しなかったのは、さすがと言える。

そんなわけで、今回はやっとストーリーの考察に手がつけられそうだ。「悪に堕ちる」とのキャッチコピーから伺える通り、暗闇がどこまで広がるようなストーリー、そして驚愕のラスト。これは何を表したかったのか。

 

本稿では主に、「ストーリー概要」「元ネタ考察」「個人的解釈」の順で考察をしていく。

当然ながらネタバレ全開だ。まだクリアしてない人には、最後のミッションまでクリアすることをオススメする。

 

追記:続編を書きました

『MGSV:ファントムペイン』をネタバレ、解説、元ネタ考察する②【メタルギア5:TPP】 - ゲーマー日日新聞

 

ストーリーを振り返る

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(既に全編プレイしており、ストーリーを把握した人は読み飛ばしてもらって結構です。)

「Vが目覚めた。」

この台詞とともに、プレイヤーは病院で目覚める。医者は自分に「あなたは9年昏睡していた」と告げ、「あなたの覚醒を望まない者もいる」として顔と名前を新たに作ることになる。

そして次に目覚めた時、プレイヤーの目の前には既に女兵士がナイフを持って自分を殺そうと近づいている(因みに、彼女は後のクワイエットだ)。BIG BOSSを暗殺するため、サイファーの部隊が動いたのだ。しかし、見知らぬ包帯男の援助もあり、女兵士を撃退する。

この包帯男は自分を「イシュメールと呼んでくれ」と名乗り、そして自分に「お前はエイハブだ」と言う。

だが、襲い来る「XOF」の兵士たち。更には、炎に身を包んだ巨人と、中に浮かぶ少年まで加わり、脱出は困難を極める。

何とか「オセロット」の手を借りて病院から脱出するが、あの「包帯男」はどこかへ消えていた…。

 

これがオープニングであるが、実はこれが全ての始まりであり、終わりである。

まず結論から述べると、プレイヤーを助けてくれた「包帯男(イシュメール)」の正体こそ「BIG BOSS」本人。

そしてそのBIG BOSSと共に逃亡したプレイヤーの分身、「ヴェノム・スネーク(エイハブ)」の正体は、9年ぶりに目覚めた「BIG BOSS」の影武者に仕立てられたほぼ無関係の衛生兵。

たまたま、『Ground Zero』でスネークのヘリに同乗していた兵士だ。

つまり、自分が今まで操作していた「BIG BOSS」の正体とは、即ち単なる一兵士であり、影武者に過ぎない。この事実を覚えておいて欲しい。

 

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・・・さて、影武者こと「ヴェノム・スネーク」は、それとは知らされずにかつての友「ミラー」を救う。ミラーによれば、自分はお前が昏睡している9年の間、新たなマザーベースを作ったという。それがダイアモンドドッグスだ。

ミラーはヴェノム・スネークを問い詰める。「俺達はサイファーに復讐する!」と。そう、彼らは前作『PW』で巨大な兵士たちの楽園を築いたが、次の『Ground Zero』で「サイファー」なるCIAの特殊部隊に襲撃され、その基地と戦友たちを一挙に失い、9年間昏睡する重症さえ負ったのだ。

そしてアフガンで拠点を拡大する傍ら、サイファーの弱点を探るミラーとヴェノム・スネーク。すると、前作で自分たちの基地へサイファーを呼び寄せたかつての仲間、「ヒューイ」を発見。彼を尋問したところ、サイファーは恐るべき兵器を作っているらしい。

彼らはサイファーの核兵器、「メタルギア・サヘラントロプス」を発見するが、ヒューイによれば、その新兵器はそれよりも恐ろしいものだという。

 

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それを聞いたスネークは、アフガニスタンから南部アフリカへ拠点を移動する。少年兵を保護する一方、「イーライ」と呼ばれる少年兵も回収。BIG BOSSのクローンを生み出す「恐るべき子供たち計画」の生き残りかと疑われたが、DNA検査の結果はシロだった。

…が、最初に説明したとおり主人公はBIG BOSSではなく一般人なので、DNA検査の方が実は誤っており、彼は紛れも無くBIG BOSSのクローン。後の『MGS1』のラスボス「リキッド・スネーク」である。

そんな後、スネークはアフリカで「悪魔の巣窟」なるサイファーの実験施設を発見する。大量の人体実験の被験体が並ぶ中、どの被験体にもチューブを差し込んだカセット再生機と、白く膨れ上がった肺があった。

これがサイファーの新兵器、「声帯虫」だった。声帯虫は、患者の肺に潜り込む寄生虫で、患者が特定の言語を話すことで交尾を繰り返し、やがて肺を食い荒らしてしまうのだという。そしてマザーベースにも、同じく特定の言語を話す者のみ死亡する事件も発生。

何とかこの生物兵器によるパンデミックを防ぐべく、ヴェノム・スネークはサイファーの協力者である「コードトーカー」と接触。彼はサイファーの研究者だったが、彼も同時にサイファーに脅迫された人間だった。

仲間に加わったコードトーカーは、「寄生虫の寄生虫」を作ることで感染を阻止。何とかマザーベースは救われたが、それでも生物兵器の脅威を抑えるため、スネークはサイファーの首領「スカルフェイス」の元へ急行。

 

そこでスカルフェイスはスネークを諭す。「確かに、アメリカとサイファーは声帯虫により様々な敵国の言語を死滅させようとしている。だが、私はサイファーを裏切り、逆に「英語」だけを死滅させる声帯虫をバラ撒く。これにより、人々はむしろサイファーやアメリカの支配から解放されるのだ」と。

元々、サイファーは『MGS3』の「ゼロ少佐」が作った部隊。少佐は自分の仲間だった「ザ・ボス」の最期の言葉「世界を1つにする」を信じ、言語や情報を支配することで、絶対的な統治システムを完成させ、強引に世界を統一しようとしていたのだ。

だが、同じサイファーの「スカルフェイス」はゼロ少佐を裏切り、むしろ自分が元々東欧のマイノリティであり、ドイツ軍やソ連軍による差別や虐殺への報復として、核兵器や生物兵器によって世界をバラバラにしようと(彼の言葉では「解放」)考えていた。

だがその瞬間。サイファーの虎の子核兵器「サヘラントロプス」が突如暴走。スネークやXOFの兵士、果てはスカルフェイスさえも半殺しに。スネークは辛うじてこれを撃退し、一度は生物兵器や核兵器の脅威から世界を守ったことになる。

 

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しかし謎が1つ残る。何故サヘラントロプスは暴走したのか。そして、スカルフェイスの側近でもあった宙に浮く少年はどこへ行ったのか。またスカルフェイスは死の間際にこういった。「英語を覚えた寄生虫はもう1匹ある」と。

実は宙に浮く少年は、元々ソ連で実験されていた超能力を見出した子供であり、「第三の子供」と呼ばれていた。彼は他人の「報復心」を拠り所とし、その「心」を具体的な「力」へと変換することで、超常現象を作っていたのだ。

サヘラントロプスが暴走したのは、スネークが連れていた少年兵「イーライ(リキッド)」の怒りに彼が魅了されたため。そして、イーライはスネークに復讐を遂げるため、彼と協力してサヘラントロプスの残骸を強奪、「蹶起」を実行する。

これを手引していたのはエメリッヒだった。それまでも数々の裏切りを重ねていたエメリッヒは、更にかつての同胞「ストレンジラブ」も殺害していたことが明らかになり、ヴェノム・スネークによってマザーベースから追放されてしまう。

 

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そして最後の英語株。それは「クワイエット」に仕込まれたものだった。クワイエットは元々スカルフェイスの命令、或いはかつて病院で焼き殺されそうになった報復のために、マザーベースに潜入していた。

しかし、彼女はボスとマザーベースにおける言語を介さずとも実現した「繋がり」から報復心を失い、決して喋らない人間「クワイエット」としてヴェノムに忠を尽くし、人知れず離れることを決心する。

ヴェノムは彼女を追跡するが、彼女と共にソ連軍の追撃を振り切る際に瀕死に追い込まれ、更に砂嵐により救護ヘリも送れなくなる。

その時、彼女は初めて「ボスを助けて」と無線を送り、ボスの命を救う。だが、マザーベースでは既に声帯虫が突然変異する事件が起きており、クワイエット自身の英語株もまた変異する可能性を考え、彼女は「また静寂へ帰る」と言って今度こそ本当に消失する。

 

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最後のミッションは「世界を売った男」というもの。先述した盛大なネタばらし、すなわち自分の操作していた「スネーク」は誰もが知るBIG BOSSではなく、BIG BOSSの影武者たる「ヴェノム」に過ぎなかったことが判明し、

改めてBIG BOSSから「お前のおかげで俺はもう1つの世界を生き延びた。お前は影武者なんかじゃない。お前がBIG BOSSだ」と伝えられる。

すると、ヴェノムは自分の顔が写った鏡を叩き割り、不気味に笑うのだった。残されたカセットテープは「operation intrude N131」。そしてMSXの起動音。そしてヴェノムは初代『メタルギア』の世界へ旅立つのだった。

 

最後に、ゼロ少佐やオセロットの心情がカセットテープを通じて語られる。

ゼロ少佐は『Ground Zero』で捕縛された「パス・オルテガ」の密告によりスカルフェイスに暗殺されたこと。

パラメディックによる恐るべき子どもたち計画は順調であること。

マザーベースを襲撃したのはスカルフェイスの独断であってゼロ少佐ではないこと。ゼロ少佐はスネークとの和解を期待し、スネークを安全な病院へ移した後、オセロットとミラーに協力を申し出たこと。

真のBIG BOSSは「独立武装国家(アウターヘブン)」を作っていること。

ミラーは自分を捨てたBIG BOSSではなくヴェノムとしてのBIG BOSSを、そして「恐るべき子供たち」を育て、やがてBIG BOSSと戦うと決意したこと。

 

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以上で物語は終りを迎える。と言っても、極めてザックリと説明した上に、脇役の説明は特に省いているので、漏れがあったら申し訳ない。

それにしても予想外に長くなってしまった。さすがメタルギアといったところか。

次の記事では本格的に「元ネタ比較」と「考察」を進めていく。

 

※記事の続き

『MGSV:ファントムペイン』をネタバレ、解説、元ネタ考察する②【メタルギア5:TPP】 - ゲーマー日日新聞

 

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