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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

ゲーム初心者の「人権」 初心者は保護すべきなのか?

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私は対戦して楽しめるマルチプレーのゲームが好きだ。

しかし、どのマルチプレーゲームにも、ある問題が共通して存在している。それは、初心者と上級者の軋轢だ。

格闘ゲームやFPS、昨今流行りのMOBA系などで顕著になりつつある両者の対立。中には、ジャンルが衰退したのを上級者や初心者の責任にする者もいる。

なぜ軋轢は生まれたのか。いい加減な偏見ではなく、客観的な視座で初心者と上級者、そしてメーカーの責任を検討したい。

 

作品、メーカーとしての責任

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元々アーケードなど、実際に地元の人間が顔を合わせてゲームを遊ぶ時代は、やがて世界中の人間がインターネットを活用して、1つのゲームを共有して遊ぶ時代へと変化した。

これは著しい「対戦ゲーム」の進化を促した。誰もが知る名作、『Quake』や『Age of Empire』、『Warcraft 3』はこのようなインターネットの進歩と共に生まれたからだ。

 

しかし、これらの優れたゲーム、そう現代のゲームと比べてもむしろ奥深いと評されるこれらのゲームには1つの課題があった。

端的に言って、『Quake』も『AoE』も難しいゲームだ。例えばFPSの『Quake』だが、武器にはどれも癖があり、更に高速で移動するジャンプテクなど、最初は1kill取るのも一苦労する。

この結果、多くの初心者は覚えるべき最低限の技術の多さに絶望し、ゲームをアンインストールしてしまったことだろう。その結果、プレイヤーの人口も減って、ゲーム自体も衰退した。

 

ただし、この点は極めて重要なのだが、これらの「難しさ」という「欠点」は、そっくりそのまま「奥深さ」という「魅力」へ直結していることを忘れてはならない。

既に挙げたゲームがいかに難しかろうと、何年もの間、多くのゲーマーに愛され、世界中でLAN大会が開かれたことからも明らかなように、無数の「初心者」がこれらのハードルを克服し、その後「上級者」として、その先にあるシビアな駆け引きを楽しんでいたのだ。

これは、コンシューマ機で1年ほどで消費される量産型のマルチプレーFPSにはないものであり、カジュアルなゲームとシビアなゲームは、それぞれの魅力と課題があると考えるべきだろう。

 

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結論として、このように「初心者」と「上級者」がくっきり分かれてしまう、高難易度のゲームにおいては、その奥深いゲーム性をそのままに、初心者でも楽しめる配慮が、「メーカー」側に要されるだろう。

例えば、わかりやすいチュートリアルや記号、またゲーム性とは別に個性豊かな世界観やキャラクターなどの魅力だ。昨今流行りの「MOBA系」や『Hearthstone』はこれらを両立しているし、格闘ゲームやリズムゲームも、後者の条件を達成している。

メーカー側の一層の配慮により、プレイヤーを獲得しつつ更なる競技性あるゲームも作ることは、両立可能なのである。

 

逆に、フレームや隠しステータス、膨大なデータのような、整理されず肥大化した情報、特定の者にしか公開されない技などの存在は、決してメーカーは用意すべきではない。

STGや格闘ゲームには未だに根強く残っているこれらの文化だが、こういったシステムは即座に合理化すべきであり、なるべくプレイヤーに平等な条件で遊べる作品を目指すべきだ。

 

プレイヤーの責任: 初心者とエゴイスト

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とは言え、「MOBA系」やFPSなどの、チーム戦を重視したゲームにおいてよく問題となるのが、初心者と上級者が直接ぶつかってしまう軋轢だ。

先ほど挙げた問題は、メーカー側とプレイヤー側の意思が噛み合わない話だった。つまり、メーカーが用意したゲームの難易度が高すぎるあまり、プレイヤー側(初心者)がそれについていけなくなってしまう問題だ。

しかし、仮にゲーム自体がカジュアルであっても、初心者と上級者の格差が浮き彫りとなる事例がある。それは、プレイヤー同士の連携を重んじ、個人の目標よりチームの目標を優先する、マルチプレイゲームなのである。

 

世界で最も遊ばれているオンラインゲームにして、最も有名な「MOBA系」の一つ、『League of Legends』では、特にこの問題が深刻化している。

従来、MOBA系はRTS『Warcraft 3』のMODとして生まれた5vs5の対戦ゲームで、元のゲームと比べてルールもシンプルなので、初心者も活躍できる比較的カジュアルなゲームだ。

しかしながら、自分が敵プレイヤーに倒されると経験値とゴールドが奪われてしまい、それらのリソースで自らを強化した敵プレイヤーが、他の仲間のプレイヤーまで倒してしまう、所謂「feed」が発生する。

そのため、チャット欄では「noob」や「what fk are you doing」と罵声が飛び交い、現に初心者は「デス」を重ねることで、敵プレイヤーを強化してしまう事態が起きる。

(大抵のMOBAではランクマッチが整備されているにも関わらずだ)

MOBAだけではない。人気FPS『Call of Duty』においても、連続で敵を倒すと「キルストリーク」と呼ばれる強力なアビリティが使えるため、安易な自己の「デス」は利敵行為となるし、『機動戦士ガンダムEXVSFB』においても、やはり「デス」が仲間のリソースを食い潰す。

 

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さて、ここで改めて最初の議論に戻りたい。すなわち、この時の初心者に責任はないのか?という話である。

答えはノーだ。チームで戦うゲームである以上、一人の初心者の失敗が、仲間の足を引っ張っているのはれっきとした事実だ。

仮にゲームであっても、貴重な時間と労力を投入し遊んでいるゲームが、誰かの失敗によって台無しにされれば、どんなプレイヤーにも怒る権利はあるし、初心者は「初心者」という特権に甘んじることは許されない。

もちろん、「誰もが最初は初心者」とも言うし、あらゆる失敗に目くじらを立てるべきでない。まして初心者の失敗が、初心者への暴言を肯定する理由にもならない。

しかし、初心者であれ上級者であれ、自らの意思でその「チーム連携が楽しめるゲーム」を選び、実社会で生きる人々と一緒にゲームを遊ぶことを選んだ以上、自助努力する責任がある。

ハードなテクニックを覚えることは難しくても、Wikiや公式サイトをチェックして、ゲームを進める最低限のマナーを覚えることは、ほんの数十分で出来る。

まして、「お客様」気分で努力を放棄し、その点を非難されるや否や、「このゲームはいずれ衰退するぞ」「初心者を大事にしろ」など責任転嫁する人間は、初心者以前にどのゲームでも相手にされないだろう。(相手にされなかったからネガキャンしてるんだろうけど)

 

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また、これは上級者にも見られるが、「初心者」とは別に「自己中心的なプレイヤー」も存在する。

FPSで言うなら、オブジェクトを放置して自分のキルに集中したり、MOBAであれば、味方と連携せず自分のデスだけ守り続ける人間、また多くのゲームで「ネタ装備」を使って実際に倒されるプレイヤーなどが、これに当たるだろう。

多少の失敗なら、誰もが起こしうるものだ。しかしながら、エゴを丸出しにしたプレイヤーを弁解する余地はない。

自己中心的な性格を丸出しにしながら、「エンジョイ勢」だ「初心者」だと安全地帯へ逃避する人間がいるが、彼らが非難されるのは「技術」でなく「性格」だ。こういった人間は非難されて当然だと思う。

(たまに「楽しいから良い」「これは遊び」という人間がいるけど、それなら同じ思想の人間同士で組んで遊んで欲しい。少なくとも、自分にとっての「面白さ」が他人にとっても「面白い」とは限らないはずだが。)

 

プレイヤーの責任: 上級者と名人様

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では上級者や平均的なプレイヤーにみられる、プレイヤー間の軋轢について検討したい。

まず、技術が他のプレイヤーより優れている(或いは、優れていると思い込んでいる)ために、マナーや言動に問題が見られるプレイヤーが一定数いることは、私の経験上からも確かだ。

 

典型的な例は、「指示厨」と呼ばれる人間だろう。チームで遊ぶゲームでありながら、それぞれのプレイヤーが、自分の思惑通りに動かないことに憤る人間。彼らは赤の他人であれフレンドであれ、よく煙たがられる人間だ。

もちろん、最低限のルールというものがあるから、全く自分勝手に動くプレイヤーは糾弾されても仕方ないし、一定の領分で指示するのもありだろう。

だが原則として、プレイヤーは自分の選択やプレイスタイルで遊びたいと考えているものであり、彼らが干渉されることを嫌うのは当然だ。他人をAIのように考えるのでなく、むしろ他人の選択を楽しんでこそ、マルチプレーのゲームの醍醐味と言える。

また、「何故○○を使わないんだ」「××が最強なのに」と主張するのであれば、「相手は△△を使っているから、○○なら相性が良い」のように、何らかの根拠を出すべきだ。まして、掲示板やtwitterで鵜呑みにした情報を、ただそれだけでぶつけるなどリテラシーが疑われる。

一方、せっかくマルチプレーのゲームなのだから、アドバイスは積極的に交わす価値はある。フレンドであれ野良であれ、論理的な説明で、かつ押し付けない程度の口調で説明すれば、それは相手にとっても有益なアドバイスだ。

結局のところ、自分が上級者としての力量を、仲間にも発揮したいのであれば、そのゲームの力量と同じだけのコミュニケーション能力が問われると言えるだろう。

(最も、そもそも命令したり暴言を吐く人間が、初心者だったりする場合もあるが)

 

また「上級者」が直接ゲームに悪影響を与える事例が、いわゆる「初心者狩り」と呼ばれる手法だ。

これは、(新規アカウントを作りなおしてまで)ランクやレートを偽装し、初心者にターゲットを絞って一方的に勝利を重ねる行為を指す。彼らはどのゲームにも一定数存在しており、こちらは確実にゲーム初心者がゲームを離れる原因を作っている。

 

結論: マニアはゲームを潰すのか?

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今も昔も、よく「マニアがゲームを潰す」とか「あのゲームは○○が潰した」とか無責任に語られる事が多いが、果たしてゲームジャンルの衰退は誰に起因するものなのか、メーカーと初心者、上級者を対比して考えた。

まず、初心者であれ上級者であれ、チームプレイのあるゲームでは少なからず他者を不快する可能性が生まれるわけで、やはり同じ人間と共にゲームを遊んでいる配慮が両者に求められるだろう。

その一方で、「初心者」の影に隠れた「エゴイスト」であったり、「上級者」の影に隠れた「名人様」の存在を忘れるべきでない。よく人々は彼らを一緒くたにして語っているが、本当の「初心者」や「上級者」にとってとんだ迷惑な話になる。

また、昨今ではまるで人権活動家のように「初心者への配慮が~」とか「ガチすぎて~」とか、外野から叫ぶ人間がいるが、私には欺瞞にしか思えない。暴言を吐くのは初心者でも同じで、なまじ暴言に匹敵する程に酷いプレイだって存在する。最も、そういう人間がしれっと「外野」ヅラであれこれ語っているんだろうけど。

言動であれゲームプレイであれ、他者への配慮が問われるマルチプレーゲーム。だが一方で、自分がそれらを疎かにしては、他者からの配慮も期待できないのは事実だろう。

 

オマケ

マジで上級者が初心者にキレるとかあんの?ってアカウント作り直してまで脅迫されたので。