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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

【評価】『COD:BO3/ブラックオプス3』の感想やレビュー 拡張された『COD』メソッド

 

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ゲーム概要

Treyarch開発の、人気FPSシリーズ『Call of Duty』の最新作。本シリーズは派手な演出のキャンペーンと、中毒性の高いカジュアルなマルチプレー、そしてCOOP可能なゾンビモードの三本柱がウリ。

最新作となる本作『BO3』では、舞台を2025年から更なる未来へ移し、オーグメントで圧倒的力を手にしたスーパーソルジャー同士がぶつかる紛争を描く。

(※本稿の感想はマルチプレーのみに留める)

 

「現代」を捨て去ったCoD

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本作も随分と長いシリーズになりつつあるが、その歴史の中で確かに大きな変化を迎えつつある。

それは、「現代」の放棄だ。

かつて、『Call of Duty』は第二次世界大戦を舞台とした映画から強い影響を受けた作品だった。

それが『CoD4』『CoD:MW2』では現代戦「Modern Warfare」へ移り、『CoD:BO2』で、更に「現代戦」から「未来戦」へと移行した、。本作も、その延長線上に生まれたということである。

 

さて、ここで言う「現代」「未来」とは、果たして単なるデザイン性の差異だけだろうか。私はそうは思えない。むしろこの「未来」にこそ、『CoD』が目指す「革新」があるのだから。

例えば、「未来」へ移行する上でゲーム性が大きく変化した。

従来の『CoD』は、当時流行していた「FPS」の面白さをそのままに、コンシューマ機のカジュアルなユーザーでも楽しめるよう、独特のゲーム性を確立している。

第一に、プレイヤーが武器やパークを改造する、RPGのようなカスタム要素。そして第二に、短時間のリスポーンと高性能な武器により実現する、ハイテンポかつカジュアルな戦闘だ。

そこで、「未来」を舞台とする『CoD』は更に「味付け」を加える。『CoD:AW』ではブーストジャンプによって更なる機動性を与え、レーザー銃など特殊な操作を必要する武器が増えたのだ。

 

そこで本作、『CoD:BO3』はより大胆な変化を加えていく。

まず、前作のブーストジャンプによる機動力を、「ウォールラン」や「泳ぎ」などの新フィーチャーにより更に拡張し、プレイヤーはより大胆な動きが出来るようになったこと。

そして次に、『LoL』等で知られるMOBA系の「ヒーロー」をそのまま輸入したようなシステム、「スペシャリスト」。これにより、プレイヤーは従来の武器やperkに加え、操作できるキャラクターさえ変更できるようになった。

このように、『COD:BO3』は従来の『COD』に代表される様々なメソッド、「カスタマイズの多様さ」や「テンポの速さ」に、更なる「革新」をもたらし、従来の「CODメソッド」を拡張しようと試みた。

それは当然、本作をプレイする中でも実感できるものであり、古き『CoD』を愛するファンも当然、本シリーズを「浅い」と見限ったゲーマーにさえ、一度触れる価値のあるものとなっている。

 

いかに「未来」を落としこむか

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本作は『AW』から引き続き、様々な新要素を導入しているものの、それらが違和感なく合致している点が素晴らしい。

とりわけ、ジャンプにスライディングと、移動に関しては大きな変更があったものの、こちらは極めて快適で、遊んでいて不備がない。

 

何より、『AW』のブーストジャンプは、移動よりむしろ、高所にキャンプするための手段や、一時的な回避に用いられることが多く、従来の『CoD』にあったテンポを逆に潰してしまっていた。

その点、『BO3』に関するあらゆる「移動」は、より合理的にポジションや立ち回りについて考えさせるものとなっている。

何故なら、本作における移動、つまりウォールランなどは、使用する毎に大きく移動してしまう。これによりプレイヤーは積極的にマップを走り回り、一箇所に立ち止まらせないように作られている。

 

同じ理由で、本作のマップがしっかりと新要素に対応している点は嬉しい。

平均的なマップの広さはちょうど、『CoD:Ghost』と『BO2』の間といったところで、裏取りできるルートもあるが、すぐ戦闘に参加もできるといった塩梅であり、時折ウォールランを駆使して立ち回りを変えようという気持ちにさせてくれる。

何より新鮮だったのは、マップがとにかく立体的な点だ。マップ全体が一種の「階層」になっており、より広いエリアを見渡せる高い場所は、当然ながら激戦区になるだろう。

これにより、高所の奪い合いと、地下の水面下の戦いが、先述した「新たな移動方法」に加わって、より戦術的な立ち回りを意識させるのだ。

 

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また使用する武器やスコアストリークに関しても、面白さはそのままに快適さが増している。

世界観を完全に「未来」と割りきっているためか、登場する銃はほとんどがユニークなものであり、

「やたらとレートの高いSMG」や「隙は大きいが威力がデカイSR」のように、同じカテゴリーの中でも使い分ける必要性がしっかりと出ている点は評価できる。

同じく、スコアストリークに関しても、低レートのものは使いやすく、高レートのものは派手なものへとクッキリ分かれた点は嬉しい。

従来の作品では、低レートか高レートに強力なものが寄り過ぎて、「突撃してでもキルを奪ってストリークを連発する」「キャンプしてでもデスを避ける」のような、偏ったプレイスタイルになりがちだったためだ。

 

いずれにせよ、本作は追加された要素がどれも、カジュアルかつハイテンポな従来までの『CoD』のゲーム性に、相反することなく落とし込まれており、これが本作の面白さを安定させていると言って良い。

 

課題:世界観と個性

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ザックリと遊んでいる限り、本作は従来の『CoD』の中で特に遊びやすく、オススメできるものであることは確かだ。

しかしながら、いくらかの課題も残っている。

 

まず第一に、新要素の1つである「スペシャリスト」だ。

これは先述した通り、MOBAや格闘ゲームにあるような、複数のキャラクターの中から一人選んで操作する、というもので、従来の『CoD』にあった「平凡な兵士」という設定から大きく変更されたものだった。

しかしこの要素、あまり面白くない。まず何より、「スペシャリスト」によってゲーム性はほとんど変わらない。

 

例えば、MOBAなら、選んだキャラにより、体力、移動速度、攻撃力、そして当然スキルは、全く異なるものであり、プレイヤーはキャラの個性をどこまで引き延ばすかが試される。

一方で、本作は選んだスペシャリストによって立ち回りが変わることは全くといってない。キャラを選んだところで、変化するのは数分に一度の、一種の必殺技ぐらいのもので、結局することは正確なAIMで敵を撃つことに変わらない。

ここまでなら課題と言う程のものでもないが、実はこの「スペシャリスト」の能力はどれも極めて強力なものが揃っている。グレネードランチャーを連射したり、瞬間移動したりできる。だからこそ、決して無視できるものでもなく、敵側の能力に翻弄され、妙に理不尽な戦いを強いられる。

 

結局のところ、格ゲーやMOBAにおける「キャラ」の選択が、キャラ毎の「弱み」と「強み」というリスクリターンを考慮し、駆け引きが生じるからこそ楽しめる一方で、

本作におけるスペシャリストは、どこまでも「強み(リターン)」ばかりを得るものであり、単にプレイヤーの火力をいたずらに底上げしてるに過ぎないため、純粋にFPS、或いは『CoD』を遊びたいプレイヤーにとって、苛立つものとなるだろう。

 

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また全体的なデザインにおいて、少し個性が欠けていて面白みがない点が、従来通りTryarch作品の課題として残っている。

まず世界観であるが、それまでの『COD』が現実の軍隊や名所を舞台として印象づけたのに対し、本作の『COD』が提示する架空の国家、軍隊、銃器といったものは、どれも一様に平凡で、印象に残りづらい。

具体的に言うなら、ひとつ「未来」という記号で統一されすぎているのがあるだろう。デジタル、オーグメント、二足歩行ロボット、こういったイメージによって、トータルのデザインは「軍隊風」と「SF風」の間で揺れ動き、「『COD』のような何か」に留まっている。

前作『AW』も、この2つで揺れ動いた感はあったものの、新世代機をフルに活かしたグラフィックとエンジンのおかげで、まだ新鮮な気分で遊べただけに、『BO3』は尚更頑張って欲しい。

 

この点はゲーム性の面においても同じく、全体的なマップのデザインは、新要素を活かしていて好印象だが、それぞれのマップの個性が今ひとつ薄く、妙にできの悪いマップ(露骨に左右対称だったり、構造を複雑にしたり)が残っている点が気になってしまう。

Tryarchは年々実力をつけているのは明らかだが、同社の出す『CoD』は特にマップのクオリティが著しく低く(『BO』は楽しめたけど)、せっかくの優れたゲームバランスが惜しまれる。

 

いくらかの欠点が残るが、少なくともここ数年の『CoD』で最も遊びやすいであろう本作は、前作までの反省点をしっかりと取り入れ、同時に従来の『CoD』の面白さを維持していた。

もっと遊ぶほどにまた感想も増えていくと思うので、その時は改めて再評価という形で記事にさせて欲しい。