ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

ミラーマッチが発生しないからMOBAは流行した

f:id:arcadia11:20160830200937j:plain

かつて、サイト運営者として有名なとあるゲーマーが「ミラーマッチはつまらん!」とバッサリ切り捨てた時、私もそれに同意せざるを得なかった。*1

その人は加えて「ミラーマッチは自分にないスキルや戦法を効率よく学べる」などの利点を挙げた上で尚、相手の戦略に応じたダイナミックな展開や駆け引きに乏しく、地味な戦いになりがちと説明している。

このような考えは有名なカードゲーム、『MTG』でも議論されていて、やっぱり硬直化したゲームは退屈だと考えられがちだ。*2

 

では、その退屈なミラーマッチはどのような対人ゲームで発生しがちだろうか。基本的に、3vs3や5vs5のようなチーム戦の作品ならまず発生しないだろうし、逆に1vs1の真剣勝負だと珍しいことでもなくなる。

となると、やはりオンラインTCG、RTS、格闘ゲーム辺りに限られてくる。特に顕著なのがRTSで、かの『Starcraft 2』なんて勢力は3つしかない。*3これらの作品はいずれも高度なプレイヤースキルの掛け合いが求められ、その分スリルも高い。

ただ、ミラーマッチともなるとその緊張感は更に増す。ミラーマッチが嫌われる一番の要因は、ほんの僅かな実力差や知識差が勝負に出てくるからだ。一瞬も気が抜けない割に、お互いの動きが読みやすいから、労力に見合った興奮がない。

 

その点、MOBAはすごい。大手の『Dota 2』や『LoL』ともなればピックできるヒーローは100体以上。普通に遊んでればまず被らない。

しかも、先着でヒーローをピックする「Draft」がシステムとして組み込まれている点が興味深い。強くて楽しい人気ヒーローは先に取らやすく、不人気ヒーローは被りにくい分確実にピックできるメリットになる。

 

昨今では対人ゲームをe-Sportsとして捉え、多くのゲーマーが観戦を楽しむ文化が根付いている。この点においても、MOBAのような個性は重要で、各ヒーローの役割や戦略が「図」として理解し易い。

逆に、同じようなユニットを使って戦っても、当人たちの高度な駆け引きが視聴者まで伝わるとは限らない。ゲームがこの先多くの人間に受け入れられるには、視覚的な魅力が必要になると言えるだろう。

 

結局のところ、ミラーマッチは「わかりにくい」から嫌われている。平坦なゲームプレイよりも、ダイナミックなゲームプレイを。

細かな数値やバランスが求められがちな対戦ゲームだが、結局プレイヤーの興奮があってゲームプレイの面白さが支えられていることと、そこにビデオゲームとして工夫の余地が広がっていることに疑いの余地はない。

*1:ミラーマッチ:自分と同じか似たキャラクターや勢力同士での戦いのこと。

*2:翻訳:歴史に残る支配的なデッキ(後編)/ズヴィ・モーショウィッツ

*3:勢力内のユニット数やそれに応じた戦略は幅広いが