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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

【評価】『ラチェット&クランク THE GAME』の感想やレビュー 正しきリメイク

ゲームレビュー

 

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ゲーム概要

米Insomniac Games開発の人気シリーズ『ラチェット&クランク』の最新作。本作は2002年発売の初代版を強くリスペクトした立ち位置。

『ラチェット&クランク』は『クラッシュバンディクー』のようなレベルを1つずつ攻略する、3Dアクションゲーム。攻撃や移動に使える個性豊かな「ガラメカ」を使い分けるのが特徴。

 

クラシックとしての『ラチェクラ』

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私が初めてプレイした『ラチェット&クランク』は、持て余し気味だったPS2で軽く遊べるゲームを探すついでで見つけたものだった。

全く期待しないで遊んだが、その魅力にすぐ惹きこまれた。明確に使い分ける意義のあるガラメカによる戦闘は全く飽きなかったし、火山から雪山まで描かれた世界観とコミカルな雰囲気は冒険していてワクワクする。

しかし、当時深く考えなかったものの、『ラチェクラ』は今で言うどのようなゲームだろうか。TPS、というにはエイムはある程度適当でいいし、アクションゲームとするなら、シューター要素も強い気がする。

ある意味、『ラチェクラ』は『スーパーマリオ64』から代々受け継がれてきた、「クラシック3Dアクション」としての最先端だったと思う。基本的に立体空間を移動し、冒険する面白さを尊重しながらも、個性豊かな「ガラメカ」で戦闘に大きく彩りを添えたのだ。

 

その点、『ラチェクラ』はその外見に相反して極めて”クラシック”だ。戦闘とアクション、パズルをバランスよく盛りつけているが、奇を衒うこともない。しかしゲームプレイは、シリーズを十年続けても飽きない程に完成されている。

まず戦闘面では、ショットガンやマシンガンのような使い勝手の良いガラメカから、グレネードを投擲するガラメカ、主人公を護衛する補助系のガラメカなど、選択肢は多岐に渡る。

素晴らしい点は、これらを使い分ける意義が明確にあることだ。マップが狭いならショットガン、広いならグレネード、敵が大群で押し寄せるなら弾薬の貴重なロケットランチャーに、補助系ガラメカを組み合わせるのもいい。

更に、ガラメカの切り替えは極めてスムーズで、積極的にガラメカ同士の「コンボ」を試そうと考えられる。

敵をダンスさせる「グルーヴドロン」と自爆ロボットを展開する「アクマンクラブ」の組み合わせは最高だし、「プラズマストライカー」の狙撃で数を減らし、近づいて「ピクセライザー」の散弾を浴びせれば弾薬を節約できる。

加えて、ガラメカは使っていてとても爽快だ。本作のグラフィック水準は現代では並だが、エフェクトの派手さやSEの爽快感は群を抜いており、とにかく色々なガラメカを使おうと思えてくる。

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「グルーヴドロン」のダンスモーションは敵ごとに存在する。こういう妙な作りこみも、クラシックらしい。

 

あえて今”リメイク”する意義とは

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とはいえ、今述べた『ラチェクラ』の魅力はシリーズ初代から通じるもので、十年以上シリーズを続けるのなら、相応の進化も求められるだろう。

その点においても、本作は”クラシック”だ。あくまで原点にあるコンセプトは一切いじることなく、”リメイク”という形式においても尚、ファンを魅了する進化を成し遂げた。

 

元々完成されたゲームプレイ面を、バランスや僅かな追加で抑えた一方、大きく進化したのがビジュアル面だ。

まず、本作の優れた点はコミカルタッチだが、色彩豊かで冒険心が唆られるSF的な世界観だ。主人公は宇宙船に乗り、各惑星(レベル)へ移動する。

火山の惑星、大都市の惑星、汚染された惑星、それぞれに特徴があり、また配置される敵やギミックも変更される。『バンジョーとカズーイの大冒険』に似た、シンプルだが丁寧な造りだ。

 

本作は現代作品にありがちなフォトリアルな映像を作る代わり、あくまでコミカルタッチな方向性で進化を遂げた。

既に映画版『ラチェット&クランク THE MOVIE』で見せた優れた3Dアニメーションをそのままゲーム内で実現し、冒険していて楽しくなるようなビジュアルを強化している。

画面内のあらゆるオブジェクト、敵や主人公、ガラメカから背景に至るまで、キビキビと躍動する様は圧巻だ。

丁寧なアニメーションの作りこみは言うまでもないが、ゲーム内に挿入されるムービーとほとんど変わらない水準でゲームが遊べるというのも、時代の変化を感じずにいられない。

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キャラクターが皆かわいい

 

総論

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課題点としては、やはり初代から大幅にボリューム自体が減った点と、ストーリーを強引に映画版に合わせた点が気になる。

初代はシリーズの中でも暗いが、その分主人公二人の成長が感慨深い作品だった。目先の悪と戦いながらも、その目標を理解するのは主人公二人だけで、ぶつかることも多かった。

一方、本作では映画と全く同じ造りにしたためか、新たな仲間も増え、苦戦したり成長する瞬間に乏しい。映画版のストーリーには満足だが、ゲーム版として焼き回す意義は感じられなかった。

惑星に関しても、数そのものが減った上、初代にあったようなグロテスクな部分もサッパリ消えてしまった。汚染されたオークソン、既に滅亡したオルタニスのような惑星は消え、同じ惑星でもポクタルやネビュラG34も大きく変更された。

これらの「負の面」は、先述した主人公らの成長と強く結びついていたし、ゲームの難易度的にも山場になっていたため、それらが消えた本作は遊んだあとに残る感情が薄い。

 

とは言え、総じて素晴らしい作品であることは間違いない。2002年からあったクラシックな「3Dアクション」として常に成長を続け、ハードゲーマーから子供のファンまで幅広い作品として完成されている。

とりわけ、PS4で展開する上でビジュアル面での、3Dアニメーションを駆使した著しい進化は、単に『ラチェクラ』に留まることなく、フォトリアルな映像に限界を感じる現代ゲームにおいて革命的というべきだ。

確かに、「初代」とはまた別の作品だ。しかしこれはファンのみならず、シンプルに「ゲームが遊びたい」と考えるゲーマーすべてにおすすめできる作品であることに違いはない。