ゲーマー日日新聞

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【評価】『バトルフィールド1』『BF1』の感想やレビュー 圧倒的な戦場感

 

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※『BF1』は発売直後であり、本稿は筆者によるファースト・インプレッションとしてのレビューであることを予めご了承願いたい。

 

コンシューマ機に戦場を移した『バトルフィールド』

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まず本作へのレビューの前に、『バトルフィールド』シリーズを我々はどう捉えるべきか、その歴史を整理したい。

 

シリーズ初となる『Battlefield 1942』は2002年の発売。

当初はPC専用で、要求スペックも高かったものの、64人の同時対戦というスケールや、実際の戦場を再現した素晴らしいグラフィック(2002年水準では)と合わさり、瞬く間にPCゲーマーの多くを虜にした。

次いで、現代戦の『Battlefield 2』、未来戦の『Battlefield 2142』と順当に続編を発売し、ファンを獲得していった本シリーズは、2011年に大きな節目を迎える。

それは『Battlefield 3』の発売だった。ナンバリングとしては5年ぶりの新作、多くのゲーマーがそのビッグニュースに期待を寄せ、今まででは考えられないリアリティ溢れる映像に胸を躍らせた。

 

個人的に、この点が『BF』シリーズの歴史における、最も大きな「転回点」だと思う。

『BF3』は様々な点で核心的だった。優れたグラフィック、臨場感溢れるサウンドもさながら、最も大きな変更点として「コンシューマ機」とのマルチ展開があった。

 

端的に言って、この展開は明らかに『BF』ブランドを損なう程のダメージをもたらした。PCでなくコンシューマ機を中心に据えることで、様々な点で”カジュアルすぎる”変更をもたらしたためだ。

例えば、銃撃戦がとても退屈になった。従来まで『BF』はマップが広く、また人数も多いことを鑑みて、銃の性能が下げられていた。劣悪な反動と拡散値に対応しながら、近距離と遠距離で大きく立ち回りを変える必要があった。

しかし、『BF3』では『COD』さながら低反動・高精度の銃が使い放題で、遠距離からわけもわからないうちに倒されたり、近距離なら反射神経頼みの早撃ち対決に終始した。

単なるシステム面を見ても、マップの出来栄えの酷さは明らかに24人版の仕様に合わせたのは明らかで、武器はまだしも兵器までカスタマイズできることで、航空機はほとんど万能に活躍できた。

 

新規『BF』の岐路

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世間的な評価はともかく、当時頻繁に「CS機のマルチ展開による弊害・劣化」がPCファンの間で嘆かれていたこともあり、『3』に多くのファンが落胆したことは事実だと思う。

 

だが、そこからDICEは様々な点で『3』を磨き、新たな「BF」シリーズの歴史に取り組んだ。

『Battlefield 4』では司令官システム等旧作要素の復活や、進化した表現、遠近様々な戦闘が楽しめるマップの多様性を拡張するなど、

『3』の魅力をそのままに、従来の『BF』シリーズの醍醐味である「All-Out War」のあり方を振り返っている。

続く『Battlefield Hardline』は、外伝的な立ち位置であるものの、屋内におけるCQBや軽装甲のビークルなど、フラットな戦術から戦闘の楽しさを拡張したり、

新規『BF』の看板でありながら面白さが完全に立ち遅れていたキャンペーンモードについても、独自の魅力を獲得したといって良いだろう。

 

蘇った「戦場感」

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そしてこの『Battlefield 1』。原点『1942』を断ち切り、「新たな原点」としての名を冠する本作は、これらの歴史とノウハウを吸収した上で、「新規BF」の完成を遂げたと言える出来栄えではないだろうか。

 

何と言っても、この「戦争感」。All-Out Warを体現するかのような迫力、兵士になりきって死線をくぐりぬけるスリル。『Battlefield』唯一無二のゲームプレイが蘇った。

航空機、戦車、馬。ビークルは何でもあり。ロケーションはいずれも実在した戦場で、砂漠、密林、市街地まで、とことん死闘を楽しむ事ができる。

『3』でグラフィックが向上したはずなのに、何故か地味で味気ない戦場に飽きた諸兄もいるだろう。

『3』『4』『HL』で完全に欠落した「戦争感」は、とうとう『1』に立ち返った現在において、ようやく復活したのだ。

 

歪だったバランスも徹底的に見直された。時代相応のテクノロジーを使うことで、銃器も兵器も殺意は薄まった。

もう豆粒程の敵がアサルトライフルで瞬殺してきたり、命中精度100%の無誘導ロケットが地上兵器を塵にすることもない。

 

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とは言え、兵士の武装が弱体化したことで相対的に兵器が強力なものとなった。ビークルを交えた戦闘こそ『BF』の醍醐味と言えるので、受け入れるべき仕様かもしれない。

一方、兵器もただ強化されたわけでなく、これまで以上に複数人で運用すべき仕様となった点は評価すべきだろう。

例えば、今まで一人で対空・対地攻撃が出来た戦闘機は、基本的に操縦席と射撃席に別れ、一人で運用する限り他の戦闘機に無防備になってしまう弱点が生まれた。

その代わり、今までおまけだった2番席・3番席の機銃やロケットは大きく強化され、特に戦車は複数人で運用することで「陸の戦艦」としての威厳を取り戻した。

理由もなく兵士一人で相手にすれば、理不尽なまでに圧倒されること請け合いだが、そもそも複数人相手に一人で戦っていることを考えれば無理もない。

いかにビークルを交え、その上でチームワークを実行できるか。問われるはスキルより団結力なのである。

 

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塹壕でのCQBに備えよ

 

『4』で進化したマップデザインの多様性、特に屋内・屋外の使い分けは抜群だ。これまでの主力武器だったARが、SMGとライフルに大きく分離されたことも、この遠近交えた戦闘に一躍担っている。

また、先述した「戦場感」の表現・メカニクスは、DICEが開発した『SW:BF』のノウハウも大きく反映されていると言える。グラフィクスの進化もさながら、プレイヤーに対する様々なインセンティブや、巨大兵器の存在がそれを象徴している。

 

 

原点として

依然として、いくらかバランス調整や、マップの完成度、ルールの必要性、UIがまだまだ使いづらいなど、不満点こそあるものの、

『BF1』は「原点」を名乗るだけの資格を持った作品だと、現段階で言い切れる内容に仕上がっている。

 

最も評価すべきは、『BF』のあるべき姿を「戦場」における駆け引き・ドラマ・競技性に絞り、舞台を実際の戦場に設定した上で、ゲームプレイを進化させたことだと思う。

かつて『BF』は「お祭りゲー」と評された。その唯一無二の魅力は、単なるチームプレイ、リアルなミリタリー要素に収斂されず、

実際に戦場で戦っているようなダイナミックな体験と、そこに絶妙なバランスで落とし込まれたゲームプレイの競技性が織り成すものだったと私は考える。

その点で、本作『Battlefield 1』は、『3』や『4』の「現代BF」としての魅力を吸収しつつ、見事に原点回帰した名作だと言って良いだろう。

 

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