ゲーマー日日新聞

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2分で読める映画批評 スティーブン・スピルバーグ『BFG』

 

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「2分で読める映画批評」は、最近記事が長めになりがちな当紙において、よりコンパクトで読みやすい文章を提供するためのカリキュラムも兼ね、流行の映画をすごく雑に紹介するコラムです。

 

あまりに純粋、だが進歩的

ディズニー×スピルバーグということで、米国では相応のプロモーション費用を投じて売り出された本作、正直評判は芳しくない。

理由はあまりに純粋すぎるから。

原作は童話であり、映画化の上で原作を強く尊重したため、本作はあまりに純粋すぎ、悪く言えば退屈すぎる、そう受け止められた。

優しき巨人と出会った少女。孤児院から連れ去られ、巨人の国へ。

巨人は既に年老いており、同じ巨人たちに虐められている。少女は巨人を励まし、人間の力を借りて巨人と戦う・・・。

 

似たような設定の『ET』では、明確に現存する社会と戦ったことや、突然悲劇が訪れるなど、ダイナミックな展開、感情を揺さぶる展開があった。

一方本作『BFG』はどこまでも幻想的で、善意に溢れた物語のように思える。

だが注意深く観察すると、巨人たちは既に人間の国へ侵攻していること、BFGと過去に出会った少年は殺害されたことなどが隠喩され、本当に優しいだけの物語ではない。

 

実際に設定だけを見れば、かなり悲劇的といってもいい。

少女は運よく巨人に出会ったわけでなく、運悪く誘拐され、恐ろしい国へ閉じ込められた。

だがそこで意欲的に巨人と語り合い、彼の優しさもそれに答える。

 

本作が素晴らしい点は、あくまで平等な点。

巨人も少女も、彼らはそれぞれ強みはあれど、少女には力が、巨人には勇気がない。

彼らはそれを補い、目の前の「敵」から勝利を掴む。実は武闘派な物語である。

「夢」を集めたBFGの家など、本作はアニメーション・CGも凄まじい拘りがある。

設定そのものはファンタジーだが、ちゃんと巨人と生活するとこうなるだろうという、リアリティを重視した世界観。

そのギャップが本作の「幻想的な英雄譚」たるアイデンティティだ。

 

『ET』はその点、少年一人の勇気にフォーカスを当てた物語だった。

異邦人と向き合った時、少年はどのような勇気を発揮できるか。ある意味、安心感のある話だ。

運命的な出会いとは、自分を護って受け入れてくれる騎士との出会いでなく、一緒に困難と立ち向かえるドン・キホーテとの出会いではないか。

本作がイマイチという人の多くは、恐らく「巨人」に一方的な愛情と強さを示す母性を期待していたのかもしれない。