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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

なぜソシャゲに15万使う人間がいるのか

 

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注:くだらないエッセイな上、ソーシャルゲームの高額なガチャを何度も利用された方には、不快に取れる表記があります。

 

私は、とある面白い動画を見つけた。

www.nicovideo.jp

「ふぅ」という、普段『ダークソウル』のようなハードな作品を愛するゲーマーが、ソシャゲにどっぷりハマった挙句、15万近くぶち込んで目当ての女の子をゲットする動画だ。

最初は戸惑いがちだった彼が、ゲーム感覚で一回3000円のガチャを回し始めるなど、ソシャゲプレイヤーの鬼気迫る様子をリアルに捉えている。

ところが、トンチンカンなコメントがよく見かけた。例えば

「絵1枚如きに15万wwwwwww」

とか

「その金で風俗行けばいいのに・・・」

といったコメントだ。

 

気持ちはわからないでもない。正直、私個人の意見でもソシャゲの、それも一回のイベントで数万溶かす人間は、ちょっと頭おかしいと思う。

しかし、大人な目線で考えるならば、我々は「何故15万溶かせるのか?」と、何の生産性もない、個人の趣向ですよで解決する疑問を抱くべきでない。

「絵1枚に15万溶かしてくれる顧客を、どうやって見つけたのか?」と考えるべきだろう。

 

私の友人には、ソシャゲに課金している人もいて、彼曰く「ソシャゲにハマる奴は、仕事のストレスを発散したい奴」と言っていた。

では、仕事がキツい、所謂ブラック企業に務める人間が何故ソシャゲにハマるのだろうか。それは「仕事が忙しすぎて、他の趣味が出来るほど、時間も体力もないから」である。

 

これは一般的なビデオゲームと比較するとわかりやすい。今時、8000円出せば最高のグラフィックスで『COD』が遊べる時代だ。

だが、『COD』を楽しむのに必要なのは、8000円だけだろうか?キャンペーンをクリアするには最低5~6時間は必要だし、疲れてる頭では最高のグラフィックスも2Dドットも変わらない。

つまり、『COD』を楽しむのに必要なコストは、8000円(金)+5時間(時間)+画面がチカチカしても疲れない持久力(体力)の3点セットなわけだ。

果たして、ゲームに大して興味があるわけでなく、毎日疲れてぶっ倒れそうになってる大人に、「支払えるコスト」と言えるだろうか。

 

これは例えだが、この世のあらゆる娯楽において、本当に「金」だけで楽しめる娯楽は少ない。金と時間、プラスアルファを揃えて、我々は始めて幸福を手に入れる。

 

「ソシャゲに金出すなら、風俗にでも」というコメントにしても、この点では不合理だ。既に通いつめてるオッサンならともかく、始めて一人で風俗に行くには、結構度胸がいるものだろう。

もし私に15万あったら、恐らく海外旅行にでも行くだろうが、これも万人向けでない。

まず有給を取り、それなりの知識を付けてから、言葉の通じない外人と喋るのだ。家に引きこもってスマホをポチポチやるのとは訳が違う。

或いは、5万だけでも友達とスキー旅行が楽しめる。が、それには気兼ねなく旅行できる友達が必要で、恐らくそんな友達は5万円よりよほど価値があるだろう・・・。

 

話をソシャゲに戻そう。

一方、ソシャゲに必要なものは何だろう。親しい友達も、特殊なスキルも、膨大な時間も、体力も、勇気も、全て不要で、基本的に金さえあれば良い。(時間については、下手すると海外旅行より吸い取られるが、遊ぶ時間とスケジュールは全部自分次第なので)

こう考えると、ソシャゲは特定の人にとっては、実はコスパが優れた娯楽と言えるのだ。

時間もなく、意欲もなく、友達もない。決して非難しているわけでないが、こうした方々が一定いるのも事実で、ソシャゲの”重要”顧客とは彼らなのである。(当然だが、ソシャゲのプレイヤー層もバラバラで、暇つぶし程度に楽しんで無課金から微課金という人もいる。ここでは廃課金する一部のプレイヤーを重要顧客とする)

 

むしろ興味深いことは、各ソシャゲビジネスがどうやってこんな優良顧客を見つけ出したのかという点だ。

1回のガチャで10万落とす人間が、プレイヤーの何%いるか知らないが、彼ら数人だけでも普通のプレイヤー100人が生み出す利益に匹敵するだろう。

加えて、用意する商品は・・・その・・・”安価”で用意できる。それを10万で買ってくれるのだ。しかも、景品の複製にコストがかからないから、仮に運良くすぐに手に入っても、カジノのような損がない。

こんないいかm・・・優良顧客を発掘し、一大ビジネスとした業界の手腕はすごい。

昔、オレオレ詐欺が流行った頃を思い出す。「高齢者は健康的な不安からどんな低所得層でも一定の貯蓄を用意する」。この「優良顧客の習性」をいち早く見つけた狩人が、莫大な利益を得たのだ。

「金ならあるが、それ以外ない」そんな座敷童子みたいな潜在的顧客が、この現代日本には無数にいることを突き止めたソシャゲ業界は、さしずめ現代のインディー・ジョーンズであろう。