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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

世界を敵に回したいあなたに薦める6本のゲーム

 

当記事には『FF13』『ダークソウル』『Fallout 4』『Red Dead Redemption』『The Last of Us』『Undertale』のネタバレがあります。目次を利用ください。

 

僕はね、正義の味方になりたかったんだ

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我々がゲームの世界に投影する自己は、およそ「正義の味方」である。

人を救い、善を尊び、正義に貢献する。およそ正義とは、具体的な生命であったり、ありふれた思想信条に基づくものである。

しかし、ゲームが様々な表現を求める上で、その「正義の味方」に背くことを教唆し、プレイヤーも思わずそうしてしまう、そんな作品も生まれてきた。

本記事では、こうした悪魔的な魅力を持つ作品と、そこに描かれる悲しき物語を、比較的新しいゲームの中から6本紹介しよう。

当然ながら大きなネタバレがあるので、未プレイの方は目次を利用して閲覧して欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Final Fnatasy XIII

「それが、私達の、人間の使命だ!」

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結論から言うと、『FF13』のストーリーは、素晴らしいものだった。

神に非ざる神「ファルシ」、英雄という建前の奴隷「ルシ」、ユートピアのようなディストピア「コクーン」、美しき魔界「グラン=パルス」。

「パルスのルシが~」のコピペから、本作における固有名詞を、徒に理解を困難にさせるだけと考える人もいるが、私にとってこれら固有名詞こそ、本作のエッセンスだ。

あらゆるファンタジーとリアルが交錯する奇妙な世界、そこで真剣に、苦しみつつ、生き延びようとする主人公たち。

彼らは「ルシ」である。ルシとはファルシにより宣託を受けた存在であり、無尽蔵の力を手に入れる。それ故、人々はルシを畏れる。

一般人の力量で、ルシとしての力と使命に振り回される主人公たち。しかし、彼らはやがて集い、集うことで神でも人間でもない、「ルシ」としての筋を通す。

それは正しく彼らの叛撃であり、「正義の味方」に準ずることを良しとしなかった彼らは、神々への攻勢を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダークソウル

「英雄気取りの大馬鹿が、随分多いと見える」

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全ての『ダークソウル』に共通する物語だが、個人的には最もわかりやすい『1』を主題に言及したい。

本作には主に2つの結末があり、主人公が身を文字通り「火」に焚べるか、「火」を奪い闇の世界の王となる。後者は、「正義の味方」とは正反対のバッドエンドに思えるが、実際それは悪行なのだろうか?

主人公が目覚めたのは「北の不死院」。世界には「不死の病」が蔓延し、太陽が陰ると、そこからデーモンたちが呼び起こされた。

主人公もその罹患者の一人だったのだろう。不死人となった人間は、遠き不死院に収容され、死ぬことも脱出することもままならず、人間としての理性が焼き切れるまで投獄される。

主人公は地獄以上の苦しみを不死院で味わい、そして同じく、数多くの人間が拷問や人体実験に投じられた。同時に殺し合い、奪い合った。「不死の病」という大災害の前に、人々はかくも醜い行動に移った。その面影は、物語を進める度に明らかになる。

果たして、こんな醜い世界を、救う必要があるのか?その盟主たる王グウィンは答える言葉を持たない。彼は燃え盛る剣を振るい、主人公に挑むばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

The Last of Us

「誓って」

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極上の作品である。もはや語るべき術は私にないが、このテーマを扱うなら、あえて言及せねばなるまい。

突如発生したパンデミックと、それによって娘を失った主人公ジョエル。完全に「己」のためだけに傭兵めいた生き方を貫くその男は、積荷としてエリーという娘を受け取る。

積荷を運べ。それが数万人の未来を救う。ジョエルは正義に興味はなく、ただ己のために生きる。何故エリーが人々を救うのか、それはエリーそのものが抗体だったからだ。

エリーを研究施設まで運ぶことは至難の技だった。暴漢に襲われ、廃墟を歩き、ゾンビを避ける。こうした旅の中で芽生えるエリーとの絆と、人間性の恢復の描写は本当に美しい。

彼は旅を経て「正義の味方」になれた。娘を救えなかったが、エリーを運ぶことで、たくさんの人々の生命を救えるのだ。エリーは犠牲となるが、エリー本人も覚悟の上である。

だが。男は銃を手に、ゲーム内で最高クラスの警備を突破し、たくさんの「正義の味方」を惨殺し、エリーを奪還する。驚くことに、プレイヤーには一切の選択肢も前触れもなく、ただジョエルの意思のまま殺すしかない。

ジョエルはこの瞬間、世界と我々さえ敵に回したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Undertale

「あんたは、良い事や悪い事のためじゃなく、できると思うからやるだけだ」

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「誰も殺さずに済むRPG」。本作は一人も傷付けず、そしてその先に、救えなかった未来を切り開くことで、所謂トゥルーエンドを迎えることが出来る。

だが、その逆、全員を殺すことが出来たら。その先には、何が待ち受けているのだろうか?

虐殺ルートの始まりである。丹念にザコ敵を絶滅させ、徐々に力であるEXP(EXcution-Point)を蓄える主人公。最終的には、本編ラスボスのフラウィーをも瞬殺し、真の悪魔として君臨する。

だが最後に待ち受けていたのは、本来助言を与えるばかりだったサンズだった。彼は悪魔となった主人公を迎撃し、全てに決着を付けるため、最後の生き残りとして主人公と対峙する。

別次元の強さ、「世界の正体」であるsaveとloadまで駆使し、主人公を撃滅せんとする。そこまでして、彼が憤る理由は、多くのプレイヤーが予想しなかったことだろう。

彼は結局、主人公の殺戮に憤っていたわけでなかった。彼は、「主人公」でなく、色々なエンディングを楽しみ、興味本位で世界を滅ぼしたり救ったりする、「プレイヤー」そのものへ憤っていたのだ。

「お前には、全てリセットされる気持ちなんてわからない」。単にメタ的にプレイヤーの凶行を批判する作品は多かったが、そのメタ視点に加え、ゲームと物語そのものへの狂気的な愛情を批判する作品が、今まであっただろうか。

この罪は、地獄の業火でも償われるものではないだろうに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Fallout4

「ありがとう、父さん」「ありがとう、母さん」

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『Fallout』と言えば、多様なクエストと分岐のあるメインストーリーが魅力だが、ここではメインクエストの一つ、「インスティチュート」ルートに言及する。

目の前で謎の組織インスティチュートにより「息子」を奪われた父/母である主人公は、崩落したボストンを嗅ぎ回り、ついにインスティチュート本部である工科大学に潜入する。

だが潜入先で待っていた組織の主は、他ならぬ「息子」ショーンだった。実は拉致されて数十年経過しており、その間に彼は組織の在り方に共感し、それどころかリーダーになったという。

最も憎むべき敵が、最も愛する息子だったことに愕然とする主人公。そこで息子は一つ提案する。よければ「父さん/母さんも協力してくれないか」と。

インスティチュートは人造人間を作り、人類のためといえ、科学のために犠牲を厭わない組織。本来なら「敵」であり、手を貸す理由はない。

だがそもそも、何故「息子」は主人公を解放したのか。最近拉致されたように見せかけたのか。

彼の口から語られる答えは、自分の親が本当に探してくれるか知りたくなったという、極めて純粋な愛情への渇望だった。

数十年ぶりの再会、既に自分より老齢となった息子。話し方もぎこちないが、無情の「甘え」を主人公に見せ、主人公を信頼して一切の報酬を躊躇しない息子。

新たな親子として、家族として、何をするべきなのか。その結末は、主人公の手に委ねられている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

RED DEAD REDEMPTION

いつかこの土地も素敵な場所になるさ

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やはり、世界はあなたを許さなかった。

悪逆の限りを尽くしたアウトロー。仮に妻子が生まれ、彼らを守るために自らの手を仲間の血で汚そうと、マーストンは決して許されるべきでなかったのだ。

全ての仕事を終えて楽しんだ、束の間の家族との平穏は、ここで終わりだ。自分の牧場は既にアメリカ陸軍の一個大隊に包囲され、やがて総攻撃を仕掛けるだろう。

生かすつもりなどない。あなたは「最後に滅ぼされるべき敵、THE LAST ENEMY THAT SHALL BE DESTROYED」であり、祖国の兵士を何人殺そうとも、世界を敵に回したあなたに待つのは、ゲームオーバーだけだ。

あなたのような逆賊には、この血と臓物で汚れた救済、レッド・デッド・リデンプションこそ相応しい。だが、あなたはこの救済を、心の奥底で予感していたのではなかったか。

それでも、自分の家族ぐらいは守ることが出来るかもしれない。後は全てを、彼らに託そう。