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ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

【評価】『MHXX/ダブルクロス』の感想やレビュー これまでのG級続編と比較して最高作

 

最初に断っておくと、本作は『MHXX』の評価に加え、巷における『MHXX』批判への指摘と、『MH』シリーズの続編の在り方についても述べている。

それは、『MH』シリーズにおける評価が著しく歪んでいる現状と、その原因として長く続きすぎた『MH』シリーズが、従来のゲームのビジネスモデルと大きく異なる点が挙げられるからだ。

よって、記事の後半にある私の意見も含めて、『MHXX』の評価を考えてくださると幸いである。

 

概ね良好な続編

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www.youtube.com

モンスターを狩り、集めた素材で武具を揃え、より強力なモンスターを狩る。

国内外で凄まじい人気を誇るアクションゲーム、『モンスターハンター』はもはやカプコン最大のブランドと言えるだろう。

13年間の間に15本の新作が生まれ、恐らくこれほど長大なゲームブランドはそうないと思われる。

 

本作『MHXX』では、前作『MHX』をベースに、さらなるやり込みコンテンツであるG級を中心として、更にボリュームが追加されていった。

ざっくり挙げると、モンスターにはバルファルクと伝説級モンスター、6種以上の二つ名、ラオを含めた過去モンスターが加わり、ハンター側には2種類のスタイル、各武器1種類ずつの狩技、ニャンターの刷新、そして2つのフィールド、防具合成や猟虫交換といった新機能、全体的に調整されたUI等である。

では、基礎的なゲームプレイについては既に語り尽くされているので、こうした追加要素に絞って評価してみよう。

 

まず追加されたモンスターはどれも文句なしに面白い。看板モンスターのバルファルクは、ビジュアル的にもゲームプレイ的にも派手かつ新鮮。追加された二つ名に関しても、ほぼ別モンスターとして遊べる程よく出来てる。

更に最後に登場する「ラスボス系」モンスターについても、これまで面倒なだけのものが多かったが、ギミックと直接的な戦闘を上手く交え、悪くない。

 

ハンター側に追加されたスタイルと狩技はどれも面白い。特に抜刀せず戦うブレイブは、全スタイルの中で一番面白い。物凄く癖が強いが、扱えれば別物の立ち回りが出来る、G級に相応しいコンテンツだ。

対象的に、追加狩技は単純に使い勝手が良い。『X』では余りに「産廃」扱いされる性能の狩技が多かったが、本作でグッと自由度が増した。

 

ただし、欠点もいくつかある。まず、防具合成は不要だったと思う。見た目と性能をどう釣り合わせるかは『MH』の醍醐味だと思うが、これでは凡百のMMOと変わりない。

そしてある防具があまりに強すぎる。単に良スキルが多いのでなく、他の全防具を一切否定するような装備であり、真面目に頭おかしいとしか思えない。しかも簡単に作れてしまう。

また、既存のコンテンツを全く修正しない点も問題だ。特に段差による見辛い・動きづらい・狭いの『4』時代のフィールドは散々批判されているのに、未だに続投するのは明らかに制作陣の馴れ合いが見て取れる。

 

結論を述べれば、要は「いつも通りのG級続編」といった感じだ。狩り足りないハンターのため、純粋にコンテンツを上乗せした続編。

これはマンネリと言うより、「追加要素の量はナンバリングより少ないが、質は良い」という意味である。

追加モンスターは少ないが、その分「ナルガクルガ」のように長く愛されるモンスターになるだろうし、ナンバリングで追加武器(スタイル)をばら撒いて、G級で調整するのもいつも通りだ。

アクションの駆け引き、友達と遊ぶ連携、装備を構築する戦略、いずれも長く遊べるだけの魅力がある、申し分ない続編だと言える。

 

「DLCレベルの続編」なのか?

まぁ正直、これが結論なら記事を書くほどのこともない、月並みな論評になってしまうので、もう少し深入りして、巷の批評と比較して本作を捉えてみよう。

まず、巷における本作の評価は軒並み低い。Amazonレビューは現状約500件の2.4で、4gamer読者評価も60点未満である。

そしてその酷評の最たる例が、「ボリュームが少ない、焼きまわしだ」というもの。では実際どうなのか、検証してみた。

 

結論から言って、本作は少なくともシリーズ上の「G級続編」の中では「最も追加要素の多い続編の一つ」だと言える。

歴代シリーズと比較してみよう。概ね、歴代の「G級続編」における追加要素は、概ねこのようになっている。(当然ベタ移植は基本除外している)

  • 『MHG』=双剣・亜種・訓練所
  • 『MHP2G』=ナルガ&ウカム・樹海(移植)・オトモアイルー
  • 『MH3G』=ブラキ&ミラオス・爆破属性
  • 『MH4G』=セルレギ&ゴグマジ・ドンドルマ(移植)・極限状態(笑)
  • 『MHXX』=バルファルク&???&2つ名・遺群嶺・新スタイル&新狩技・複数の便利機能

このように、従来は2種類のモンスター+αと1つの追加要素に留まるものが、『MHXX』では新規要素、復活要素共に倍以上のボリュームがあるのである。(それでも完全新規には劣るボリュームだが)

以上から、『XX』よりも『G』『P2G』の方が「DLCのように薄っぺらい続編」であることは明らかだ。

移植なしで、新モンスター、新フィールド、更に新武器以上に戦略が深まる新スタイル新狩技を全て揃え、加えてUI調整バランス調整したのは、『XX』が唯一だ。

 

更に注目すべきは、前作『X』自体の出来だ。

これまで本シリーズは、続編を出す度に、モンスターや武器を削り、「G級続編」で復活と銘打つという、とんでもないケチな方法でボリュームを水増ししてきたが、

それを反省したのか、『X』では新ナンバリングの中ではほぼ全ての要素を続投しつつ、スタイルや狩技、5種類の新モンスターと、これまでと比較にならないボリュームで制作された。

つまり元々妥協のない『X』に加え、それに上乗せする形で『XX』は更にコンテンツを充実させた。そういう意味で、二重に『XX』は従来のG級作品を上回ったと言えるだろう。

 

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あぁ、『MH4G』は本当に悪夢のようなゲームだった。

 

よって、「『XX』はDLCのようにボリュームが少ない」という批評は正しいと言えない。少なくとも高く評価された『P2G』より明らかに開発陣の努力が見られる。

往々にしてこういう批判をする人間は、枕詞に「昔はよかったが」とつけるが、それこそただの懐古であることはおわかりだろう。

作品への評価なら、あなたが大好きな『P2G』の時点でそう批判すべきだし、こうしたビジネスを展開するMHシリーズ全てを糾弾すべきだ。

更に突っ込むなら、この画像にあるようなモンスターが強すぎる&理不尽すぎる傾向は、明らかに『2』か、少なくとも『3』の時点であり、『XX』で書き殴るのは間違いだろう。

特定の装備が強すぎるという批判には呆れるしかない。防具はともかく特定の「武器種」が強すぎる時代が『MHG』から『4G』まで長く続き、『X』でようやく落ち着いたというのに。

更に言えば『MHF』『MH4G』のようなエンドコンテンツの薄い本作で、あえて強スキルを揃える理由もないと思うが。

 

まとめよう。要するに、本作に寄せられる大半の批判は、「『MH』シリーズ全体に飽きた旧来のファンが、懐古を多いに含んだ愚痴を最新作にぶつけているだけ」である。

無論、後述するように本作にも欠点は多い。だが正直、あらゆるゲーム批評のコンテクストにおいても、『MH』シリーズの批評は極めて歪んでいる。

殆どの評価が、論理性に欠け、完全にシリーズと混同され、『MHXX』という一本のゲームとして評価されていない。

当然シリーズ作品である以上、そのテクストの中で評価されるべきだが、もう『最近のモンハン』と『MHXX』の識別も満足にされてない評価が余りに多い、というのが私の率直な意見である。

 

あるべき『モンスターハンター』の続編の在り方とは

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ここまで言及してきた上で、改めて、いちハンターとして『モンスターハンター』の続編の在り方、その評価について論じていきたい。

まず、始めて『MHXX』に触れたプレイヤー、或いは、G級続編全てに不満を抱いたプレイヤーが、ボリュームが少ないと感じるのは同意できる。

純粋に、フルプライス払って遊ぶゲームとしては、確かにコスパは良くない。一から作る新作にボリュームや新規性で勝てず、よって私も『XX』を含めたG級続編全てに「傑作」と評するだけの作品はなかった。少なくとも90点以上の作品はなかったと思う。

 

それでも、『モンスターハンター』を、他の大作を放置してでも、私が遊び続ける理由は確かにある。

紛れもなく、アクションゲームとしては極上の作品である。「車庫入れ」「起き攻め」を始めとした不満はあれど、中途半端なARPGは無論のこと、純粋なアクションと比較しても、『MH』に比類する作品は現代では殆ど無いと断言する。

良いアクションゲームとは何か。対峙するモンスター、自分が動かすハンター、それぞれがどんな行動を、どんなタイミングで取るのか。反射神経を尖らせ、戦略を張り巡らせ、己のスキルをリアルタイムで展開するゲームのことだ。

これほど純粋なゲームは現代では極めて稀である。シューターにおける『DOOM』、ストラテジーにおける『Warcraft』、パズルゲームにおける『テトリス』、シムにおける『Sim City』・・・。これら同様のピュアさが、ゲーマーの挑戦を迎え入れる懐の深さが、本シリーズにはある。

遊ぶ内容はいつも同じに見えるかもしれないが、遊ぶ程に発見があり、自分の成長を確かめられる程の「質」が、本作を支えている。モンスターの肉を切り落とすだけで楽しいアクションは本作ぐらいのものだ。

追加要素も同じだ。単なるモンスター一体についても、多様なアクションと調整がなされ、単に1時間遊べば概ねマスターできる凡百の「ボス」とは比較にならない。

そして最後に、マルチプレーとして、複数の人間と連携することでこうした「純粋なゲームプレイ」は完成する。共にモンスターを狩る達成感は色褪せることなく、純粋さ故に敬遠しがちな初心者も上手く取り込めるのだから。

 

これらを踏まえ、『モンスターハンター』の続編として、一見DLCのように少ない、だがアクションとしての質を維持しつつ、その多様性を純粋に上乗せするような続編はあって良いと思う。

そして、本作『MHXX』はそう言った目線において、従来の「G級続編」の中で最高クラスの質・量を実現し、狩りに飢えたハンターたちを満たしてくれている。

他の傑作と言われる新規大作とまで評価しないが、純粋に一本のゲームとして良作と言い切る安定した作品だと評価する。

 

私自身、「DLCのような続編」あまり好きでない。開発費の高騰に伴い、リソースを使いまわしただけの続編は増えつつある。だが少なくとも、本シリーズは「使い回し」で浮いたリソースを、その質を向上させるだけ費やしているのも確かだ。

そして現に、『P2G』や『P3』は概ね好評だったのだ。あの頃のファンよもう一度とは言わないが、過去に少なくともその純粋さを評価された以上、本作もまた「歪んだ懐古」抜きに、他のゲームと同様、一本のシリーズ中のゲームとしてフェアに評価すべきではないか。