ゲーマー日日新聞

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『モンスターハンター:ワールド』徹底分析 果たして神ゲーとなるか?

 

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2017年度のE3において、恐らく日本ユーザーを最も震撼させたニュースは『モンスターハンター:ワールド』(以下『MHW』)の発表だろう。

『MHW』の発表により、ツイッターのトレンド入りし、世界中のメディアに拡散された。

ここでは、何故『MHW』がビッグニュースなのか、『MHW』はどのようなゲームになるのか、またその分析を基に『MHW』は「神ゲー」たりうるのか考えたい。

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何故『MHW』がビッグニュースなのか?

『モンスターハンター』シリーズに詳しくない方に向けて、まず『MHW』の発表の一体何がビッグニュースなのか説明したい。

そもそも、『モンスターハンター』シリーズの新作自体は何ら珍しくない。

今年3月に『モンスターハンター:ダブルクロス』、昨年には外伝となる『モンスターハンター:ストーリーズ』が発売され、このシリーズは毎年のように新作が出ている。

 

それでも『MHW』がビッグニュースとなったのは、大きく分けて3つ理由がある。

1つは『MHW』のハードだ。

『MHW』のハードは世界中でPS4、XBOXOne、PCと発表されており、これらは所謂「次世代ハード」である。

一方、ここ数年での『MH』シリーズの作品はいずれも、Nintendo 3DSで発表されたものばかりだった。

よって、『MHW』では従来シリーズと比較して高い技術力で構築されると期待できる。

 

2つは『MHW』のゲームプレイだ。

『MHW』ではタイトルの「ワールド」にある通り、シームレスかつ広大なオープンワールドが用いられる予定となっている。

これは、従来の広大なフィールドを8~12分割していたシリーズと比べても、技術的に画期的な進歩である。

更に、トレーラーからは、闇雲に武器を振り回すだけでなく、マップ上のオブジェクトを活用したり、巨大なモンスターから逃げ回ったりと、従来以上にリアリスティックなゲームプレイが可能となる。

 

3つは、『MHW』の上記の特徴から伺える、シリーズそのものの方向転換だ。

『モンスターハンター』シリーズは2004年に発売されて以来16作品も発表されてきたが、その過程は常に「コンテンツの追加」にあり、抜本的な変化はなかった。

あくまで2004年版『モンスターハンター』の上に、既存コンテンツのブラッシュアップと、武器、マップ、モンスター等の追加コンテンツによって「新作」が発表された。

一方、本作は「PS2」を遥かに上回るハード*1、オープンワールドという大きな技術的進歩、リアルを追求したゲームプレイと、13年の歴史において始めての「方向転換」が見られる。

即ち、カプコンは何らかの形で『モンスターハンター』をより大きな、別の形での展開を望んでいると想像でき、『MHW』の登場は抜本的なシリーズの在り方の変化、そしてカプコンの変化とも言えるのだ。

 

トレーラーを徹底分析

ここからは、トレーラーにおける要素を、静止画を通して分析していこうと思う。

 

1:新アクション 木を跨いで突入

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さっそく今までになかったアクションだ。

シームレスな移動を裏付けるアクションとも言える。

 

2:新エリア ジャングル?

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『MHW』初登場となる新エリアだ。既存の「樹海」を思わせる。

『4』より登場した高低差要素も見られる。

 

3:新モンスター 鳥竜系?ガブラス系?

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新モンスターだろうか。鳥竜系の小型モンスターが登場している。

ガブラスのように浮遊するのか?

 

4:復活アクション 水泳

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『3』『3G』に登場した水泳アクションが復活した。

 

5:新アクション 小型ボウガン

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小型ボウガン?を思わせる射出機を通して、木の実を落としている。

 

6:光蟲?

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虫の採取だろうか?

 

7:新モンスター:ランポス系? 新アクション:発火?

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ランポス系とおぼしき小型モンスターが確認できる。獰猛なトカゲのようだ。

またハンターは何かを発火させるアクションを行い、これによりトカゲを遠ざけている。

 

8:新アクション:ステルス?

 

草むらに隠れてモンスターをやり過ごしている。『アサシンクリード』で見られた光景だ。

『MHW』ではステルスプレイも可能か?

 

9:はちみつ採取?

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みんな大好き「はちみつ」を採取している光景か?或いははちみつを餌に蟲を採取しているのかもしれない。

 

10:新アクション ロープアクション

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『アンチャーテッド4』のようなロープアクションによって、マップを移動できるようだ。

 

11:新モンスター:恐竜? 新アクション:ギリースーツ?

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軍事用のギリースーツのような擬態によりモンスターから隠れている。先述のステルスアクションとも関係あるか。

新モンスターは獣足類の恐竜のような造形をしている。この「原始的」なモンスターの姿は、『MHW』における原点回帰の方向性を思わせる。

 

12:新アクション:ステルスアタック?

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高地から奇襲を仕掛けて、先程の獣足類のモンスターに飛び乗っている。

『4』の「乗り攻撃」を思わせるが、そのあとあっさり振り落とされている。

また、ステルス中にしか機能しないようだ。やはり目立たないプレイが求められるのだろうか。

 

13:環境によるトラップ?

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「乗り」中に落とされながらも、暴れたモンスターが樹木に衝突し、その樹木の木の枝に絡まってしまう。

更に振り落とされたハンターは、ロープアクションにより立て直し、再びモンスターに奇襲している。

「ディアブロスの角が壁に刺さる」ような環境を活かした戦い方が求められるか。

 

14:逃走

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奇襲を仕掛けたものの、獣足類のモンスターはピンピンしており、ハンターは細道を逃げ続けるしかない。

従来のように正面から戦うのでなく、あくまで環境を利用して戦う必要があるようだ。

 

15:小型爆弾?

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C4のような小型爆弾によって遠隔操作で岩を破壊し、モンスターの追撃をいなしている。

 

16:リオレイア降臨&仲間割れ?

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「陸戦女王」ことリオレイアの登場。ハンターを追撃する獣足類のモンスターを狙って攻撃している。

複数のモンスターと三つ巴の戦いが繰り広げられるのは『3』以来の要素だ。

 

17:照明弾、「3人のハンター」、ホルクのような友軍モンスター

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リオレイアが獣足類のモンスターを捕縛し、連れ去ろうとすると、ハンターは照明弾のようなものを空に撃つ。

するとカメラが引いて、タイトルと共に、3人のハンターが『MHF』におけるホルクのような鳥竜と共に集結する。

「マルチプレー要素」は確実だろう。また参加できるハンターが「4人」であることに変わりなさそうだ。

 

18:濁流とプレイヤーに仇する環境

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モンスターが登場すると環境が破壊され濁流が発生する。

その濁流にはモンスターもハンターも巻き込まれており、あくまで環境はプレイヤーにも平等に牙を剥くことが明らかとなった。

 

19:捕食要素と新モンスター

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草食竜とおぼしきモンスターをカエルのような、2番めの大型新モンスターが丸呑みしている。

既存要素の捕食と疲労は継続か。

 

20:ティラノサウルスのような新モンスター

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3番目の大型新モンスターであるティラノサウルスのようなモンスターが見られる。

一見、先程の獣足類のモンスターに近いが、頭が小さく口が大きい。体の大きさも倍近くある。間違いなく強敵となるだろう。

 

21:「速射」?

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ヘビィボウガンのような大きなボウガンが、既存要素の「速射」のようなアクションで、弾を連射している。

ヘビィでかつ動きながら速射できれば強力なアクションとなるだろうが、一方でモンスターにはほとんど通用していないように見える。

 

22:進化した肉焼きセット

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結局、『MHW』はどうなるのか?

ここまでの動画と、その分析を基に、『MHW』はどのような作品となるのだろうか。

まず、先述の通りゲームプレイから抜本的な変化が見られる。

 

これまでの、2004年版『モンスターハンター』をベースに増改築を13年続けてきた『MH』は、カプコン本来の持ち味である「硬派なアクションゲーム」体験を提供し続けてきた。

攻撃と回避、ガードを軸に、様々な武器やアイテム、スタイルでもって、多様なモンスターと戦う、「純粋なアクション体験」に特化したモンスターハンターシリーズだ。

『ストリートファイター』や『ロックマン』などゲーム史に残るアクションゲームを作り続けてきたカプコンのノウハウが存分に活用された、正しく「古典的なカプコンゲー」という位置づけである。

 

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一方、『MHW』は純粋なアクションゲームとしての駆け引き・戦略の代わりに、『Horizon: Zero Dawn』のような、「狩り」という体験そのものに特化したロールプレイ要素の強いゲームプレイを作ろうとしているように思える。

あえてトレーラーでフィーチャーした、恐竜のようなモンスター、採取や洞窟探索の要素、そしてモンスターを「ステルス」で回避してリソースの消費を避けるといったリアリスティックな要素からも、初代『MH』を彷彿させる。

これは、正しく『モンスターハンター』の原点回帰だ。初代『モンスターハンター』は今より遥かに出来るアクションが少なくバランスもメチャクチャで、純粋なアクションゲームとしては評価が低いかもしれない。

一方で、ココット村に住み、日夜モンスター相手に死闘を繰り広げる、「なりきり体験」は凄まじく、現に世界観や背景は殆ど初代で完成しているほどである。

『MHW』は恐らくこの時代へ戻ろうとしている。ゲームとしての戦略的な面白さ以上に、ハンターとしての生活を体験する面白さを味わえるゲームではないか

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また、オープンワールドやリアリティといった文脈からは、海外ゲームの影響も多々見られる。

そもそも、海外でオープンワールドというシステムが流行したのは、『TES』や『GTA』など、戦略性こそ評価が低いものの、実際に自分がその世界の中に住んでいるような感覚とリアリティが評価されたためである。

初代モンスターハンターが目指したリアリティあるハンティング生活が、オープンワールド等の海外ゲームのノウハウと技術によって再び実現する。こうした流れは、正に『ゼルダの伝説BOtW』や『FF15』を惹起させる。

 

しかし、まだ発売されてない中で安易に「神ゲー」と評するのは、疑問がある。

まず、既存の『モンスターハンター』シリーズも十分に完成され、評価されたゲームであるという点だ。

確かに、13年間ひたすら増改築だけでシリーズを維持してきただけにマンネリを感じる点はあるが、逆に言えばそれだけ完成され、また磨かれてきた素晴らしいゲームプレイだということだ。

現代でこれほど「純粋なアクションゲーム」も珍しい。一つの武器で戦い続け、一つのモンスターと対峙する程に、自身の実力は向上し、より簡単かつスマートにモンスターを狩ることが出来る。

逆に、無闇に既存のシリーズを叩き初代を賛美する人間ほど、まともに『モンスターハンター』をやりこんでいる印象は薄い。むしろ、たまたま『P2G』辺りを遊んで、単に思い出補正だけでシリーズを叩いている人間の多いこと。*2

 

一方で、『MHW』は険しいスタートとなる。

既存の要素も大量に流用されているだろうが、リアリティを重視したゲームプレイに加え、ステルスやロープアクションは従来とは真逆のアプローチであり、そのノウハウは一から築く必要がある。

原点回帰といっても、初代『MH』が手放しに褒められる作品とも言えない。採取や釣りは最初こそ楽しいが、モンスターと戦うことに比べて、こうしたゲームプレイは何の戦略も達成感もない。

あえて磨き上げられた既存のコンテンツを捨て、原点に立ち返る。これは極めて困難な挑戦だ。

ただ原点回帰するだけでは、非合理的にプレイヤーのフラストレーションをつのらせ、結果的に冷めさせてしまうだろう。『MHW』では十分なバランス取りが必要となる。

無論、初代『MH』はまごうことなき傑作だし、私はPS2時代の『MH』も好きだ。だからといって、極端に新作をけなして初代を持ち上げ、その延長で『MHW』も持ち上げるのは、あまり建設的とは思えない。

 

個人的な意見では、無論『モンスターハンター:ワールド』は本当に楽しみな作品だ。

本編とはガラッと変わったゲームプレイとなるだろうが、既に『MH』はRPGという外伝『モンスターハンターストーリーズ』でも素晴らしい作品を残しているし、辻本氏や藤岡氏らカプコンの開発陣の実力からも安心できる。

arcadia11.hatenablog.com

『MHW』は、モンスターハンターシリーズの持つ2つの魅力、即ち「充実した世界観」と「磨かれたアクション性」の両方を引き継いでくれると期待していいはずだ。

それでも、天井知らずに期待が高まるのも懸念がある。思い出補正とは別に、あくまで既存シリーズと方向転換した上での作品であることを理解して、じっくり待っておくぐらいが、ファンにとっては丁度いいのだと思う。そもそも本作は『MH5』ではないのだ。

 

*1:一応「WiiU」でも発売されたが、俄然として「PS3」以上の性能を活用していなかった

*2:無論、最新作『MHXX』にも修正すべきと思う問題はあるが