ゲーマー日日新聞

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「LJL 2017 Summer FINAL」感想 esportsの定義を全身で感じ取った6時間

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「esports」という単語、ゲーマーの方なら多くの方が一度は聞いたことがあると思う。

中々に強烈なワードである。ゲームはスポーツであり、公に認められるべき競技である。この言葉からは、こうしたヒリつくような主張を感じ取れる。

だからこそ、始めてこの言葉を聞いた方なら、蔑む気持ちが大なり小なり湧くと思う。何がスポーツだ。たかが数十年の歴史しかなく、子供が余興として遊ぶゲーム如きが、そんな大層なものかと。私も最初はそう思っていた。

だが、少しずつこうした認識は変わりつつある。他ならぬ私がそうなのだ。ゲームが果たしてスポーツになるかはともかく、ゲームが競技として確実に成長していくだろう。我々はこうした自体をどう受け止めるべきなのか。

 

2017 LJL finalを見届けた「ファンボ」の追憶

私は8月26日、幕張メッセにいた。

世界的に人気のあるMOBA『League of Legends』の国内リーグ「LJL」の決勝戦が開催されたからだ。

王者を守るのは2016年優勝チーム「Rampage」、そして挑むのは、常に2位という座に甘んじながらもリベンジの機を伺う「DetonatioN ForcusMe」。

 

13時に決戦の火蓋が切られてからは、常に熱狂の嵐だった。同じゲーム画面を見ていても「オフラインの空気」は別段に違う、というのは古き格ゲーの時代からそうだったが、この幕張メッセにおける「空気」は、間違いなく日本におけるゲーム競技において最大の「熱風」だったといえる。

第1試合、stealのEliseによる流星の如きgankで一気に勝負を決めたDFM。第2試合、第3試合では逆にTussleの驚異的なjungle controlに加えて完璧なdraftでRPGが王者としての威信を見せつけた。

そのままRPGが決めてしまうと思った第4試合では、DFMの誇るキャプテン”皇帝”cerosによる刺客Vel'kozが集団戦を圧倒。そして第5試合では、RPG最年長にしてLJLで最も評価されているDaraのluluがCarryを支え、RPGは王座を死守したのだった。

 

・・・こう説明しても、『LoL』をプレーしたことのない読者の方には、何が何やらサッパリだろう。

だがそれでいいのだ。『LoL』を長くプレーし続けてきたであろう我々観客の多くも、大して理解できていなかったのだから。この「熱風」に巻き込まれた者は冷静な判断を失っていた。一つ一つの小さな勝負に声を枯らせ、どんな小さな攻防にも両腕を震わせてサンダースティックを弾いた。

恐らく、esportsを説明するのに最も手っ取り早いのは、この会場に居合わせることであることは間違いない。「こんなにスゲェ試合が出来る奴らの”ゲーム”を、目の前で見ている」という興奮は、正しく全ての競技に通じる熱狂だったのだから。

 

ありがとうDFM

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写真手前がyutapon選手、その奥がceros選手、steal選手。

 

だが最も重要なものは、その熱狂の後に見出した、「歓喜」と「屈辱」だと、私は思う。

私は2年近くLJLを観戦してきて、一つのチームの虜になった。そのチームはDetonatioN Forcus Me。そう今回の決勝戦に出場しながらも、惜しくも敗退してしまったチームだ。

彼らは凄い。やはりLoLをプレーしない方には解せないと思うが、プレイヤー個人の技量、集団戦のコールに於いて、「日本一」だと確信させる何かを持っている。彼らの試合は見ていて本当に楽しいし、新しいゲームが始まる度にどんなプレーが展開されるのか期待させてくれる、「プロ」として最もプライドの高いチームだと評価している。だからこそ、はるばる今回も幕張まで訪れた。

 

だが結果は、敗北である。その結果に、選手のみならず、自分を含めた多くのDFMファンは悲嘆に暮れただろう。どれほど拮抗した試合が繰り広げられ、ゲーマーとして胸踊らせる時間を過ごせたとしても、自分たちが評価し応援する選手たちが、無念のまま舞台から降りる姿を見るのは本当に忍びないことである。

そしてこれこそが、「ただのゲームの試合」が「esports」として参加者を熱狂させる究極的な理由なのだと思う。単にゲームファンが交流のためにビール片手に試合を観戦するのではない。自分も選手たちの勇姿に感情移入し、仮に何の力になれないとわかっていても、彼らの勝利を願わずにいれないファンの「祈り」が、あの得も言われぬ熱狂を作り出していたのだ。

 

Rampage、GL&HF!

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esports、果たしてゲームは競技足り得るのかという疑問について、私は一概に答えることは出来ない。だが少なくとも、ゲームには他のスポーツと遜色ないだけの「可能性」があると、私は断言できる。

私はかれこれLJLを3回、目の当たりにしてきた。そして残念ながら、私の尊敬するDFMは全てあと一歩及ばず敗退してきた。もう半ばヤケクソになりながら観戦してるのだが、それでも彼らの勇姿を見るためなら、何度でも足を運ぼうと思える。我々は、会場に「ゲーム画面」ではなく、彼らの勝利を渇望して参加しているのだろう。

 

そして同時に、DFMであれRPGであれ、或いは他のチームであれ、彼らの勝利を心から「祈れる」ファンが一同に会し、彼らの栄光と屈辱に一喜一憂できる事は、本当に稀なことだと思う。これがesportsであり、これが「ゲーム」の新たな姿なのだと、一人でも多くの人間に伝えられたらと私は思わずにいられない。

そして、Worlds出場を決めたRampageに、願わくば勝利を。多くのファンと同じく、仮に自分が別チームのファンであれ、日本代表として世界で活躍する彼らの姿を見ることが、楽しみで仕方ない。

(個人的な話だが、rampageのtussle選手は最も尊敬する選手の一人だ。彼のjunglingには本当に華があるし、彼のlee sinを再び競技シーンで観たいものである。)

 

さて、正直なところ私は「esportsの定義」について具体的に説明しようとして、適切な言葉が浮かばなかった。あの熱狂を言葉で表現するにも限界があると判断したのだ。

だからこそ、自分の経験と感情に基づいたルポで、その一部でもその魅力が伝えようと記事を書いた。今回はあくまで『League of Legends』の経験となったが、他のゲームでも競技シーン(特に『Counter Strike』)の観戦自体も私の趣味だったし、オフラインの熱狂も様々なゲームで見受けられるだろう。

もし興味があれば、『LoL』に限らず、自分の興味のあるゲームのオフライン会場に飛び込んで欲しい。それは競技ゲームに限らず、TGSのようなイベントでも、また一つの「esports」を感じ取れるはずだ。

 

※記事内の画像は全てtwitter「LJL公式アカウント」のものを使用しています。全ての権利は合同会社ライアットゲームズに帰属します。