ゲーマー日日新聞

ゲームという文化を、レビュー、攻略、考察、オピニオン、産業論、海外記事の翻訳など、複数の視点で考えるブログ。

『アズールレーン』を遊んで日本の大手ソシャゲを見切った人々

 

 

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追記:現行のソシャゲと元ネタの『艦これ』について少し補足(2017/10/29)

タイトルを「『アズールレーン』を遊んで日本のソシャゲを見切った人々」から「大手ソシャゲを見切った人々」へと変更(2017/10/30)

 

『アズールレーン』を遊んでいる。

本作は元々中国のビリビリ動画が配信しているソーシャルゲームで、擬人化・美少女化された船舶が謎の勢力から人類を守るためにドンパチやる、というどこかで聞いたような設定。

その作品が、ここ数ヶ月で、SNSを中心に大きな話題となった。クオリティは高いものの、絵柄や設定は明らかに中国のオタク文化に近い本作が、人気を集めたのは大きな理由がある。

それは、極めてサービス運営が「健全」だということ。

 

さて、私は元々ソシャゲが苦手だった。

別段、「ソシャゲにゲーム性がない」とは言わないし、スマホで無性にコテコテの作業ゲーを遊びたいという気持ちもわかる。

ただあまりにも、日本のソシャゲの運営は腐っている。心底プレイヤーを馬鹿にしていると呆れた。 

『FGO』は正にそんなゲームの一本だ。私自身『Fate』が好きだったので始めたが、アレはダメだ。あのゲームは一種のディストピア、心理学者が一種の社会実験のために運営しているとすら思っている。

とにかくマゾい。まともな戦力となりうるSSR(☆5)は、1回300円のガチャから1%でしか排出されない。しかも1%の中で使える奴とゴミが混ざってて、1匹釣るのに数万は最低限必要になる。

いや、おかしいだろ。

何万も振り込んでようやく手に入れても、絶望的に面倒臭いスキル上げが始まり、これまた何千回とクエストを周回する。つまり時間と手間もガッツリ絞ってくる。それがこのゲームの一番基本的なプレイスタイルだ。

他にも色々触ったが、他者に意見を聞いても、『FGO』に限らず、日本のソシャゲはどれも似たり寄ったりなのだという。

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ゲーム自体はソシャゲにしては悪くない。別の記事でも書いたけど。

 

別に無課金でやらせろとは言うわけでない、面白ければ相応の金は払う。だけど、欲しいサーヴァント1人に何万払うのは当然、1人育てるのに何時間は当然、というのは「バカにしすぎだろ」と言うこと。

「このゲームの”微課金勢”の定義は、月2~3万から」と聞いたことがある。あのな、月数万払ったら駅前の並のジムぐらい利用できるぞ。言い方は悪いが、一般人なら「身の程を知れ」と言うだろう。

ソシャゲ自体を馬鹿にしてるわけでないが、所詮ソシャゲはソシャゲ。App Store、Google Playだけ見ても、それより妥当な値段で優良なアプリがあるのに、その「1回300円」の強気な価格はどこから出てくるんだよ。

「良識的なサービス」とまで言わないから、せめて「常識的なサービス」をしてくれ。

 

じゃあ『アズールレーン』は何が凄いの?と言うと、正にこの「相場」が極めてまともなところだ。

先程述べた日本のソシャゲガチャの相場が「1回300円、SSR1%」なら、『アズレン』は「1回120円、SSR7%」。1万円でも課金したら、およそ欲しいSSRは大抵揃う状態。私は現に5000円ほど課金してるが、未だに半分以上余っている。

うん、これなら妥当だろう。暇潰しでポチポチ遊ぶゲームに、数千円払えば十分、ガッツリやり込んで数万。まぁ常識的な範囲。しかも、低レアでもSSR同然の性能が揃ってて(他のソシャゲみたいなこじつけでなく)、普通に遊べば普通にキャラが成長する。余った時間で遊ぶだけでも、十分楽しめるよう作られていた。

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扶桑社/久住昌之、谷口ジロー

ゲームとしてもよく出来ている。キャラクターは経験値、装備、スキルの主に3種で強さが決まるが、経験値が確実なのに対し装備は運要素が強い。課金要素はガチャから買い切り型の着せ替え、各種リソースまで充実している。明らかに元ネタとなった『艦これ』と比べても、手動でシューティングゲームのように遊べる工夫もある。

こんな具合に、ガチ勢からエンジョイ勢まで、幅広いプレイヤーの遊び方を尊重している点が素晴らしい。普通に遊ぶ分には時間も金もそこそこで十分、やり込みたいなら追加でドンドンつぎ込んでくれよと。

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キューブ1個=60円 更に凸には「ブリ」という汎用キャラでおk 余ったレアは8~20枚でSSRと交換と至れり尽くせり

 

私を含めて、『アズールレーン』にハマった人の多くは、既存のソシャゲに疲れたり失望したという人も少なくない。実際、今の日本のソシャゲは控え目に言って異常だし、そんなアコギな商売が乱立している日本の様子を見ると、ガラパゴス化してることも考えうる。(無論、海外のソシャゲも容赦ないのは多いが)

実際、『アズールレーン』は国内でサービスを開始して間もないので、今後どうなるかはわからない。ひょっとすると、残念な末路を辿る可能性はある。アプリは長期的な目線も必要だからだ。

だが間違いなく快調なスタートを切った。常識的なサービスで幅広いプレイヤーを獲得し、既存のソシャゲから汲み取ったノウハウでゲームプレイの質もソシャゲの中では高い。

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ゲームは2Dシューティング。オート操作も可能だが、手動の方が少し有利になれる。

 

重要なことは、『アズレン』がどうなるかではなく、先程も述べた「良識的」とまでいかなくとも「常識的なサービス」を、日本のアプリ業界の上位で受け入れられることだと思う。

ゲームなんだから慈善事業が当たり前とは言わないが、大したペイのないゲーム一本に何万何十万と出すのがスタンダードというのは、外から見れば明らかに異様だし、それが出来ないユーザーを排除するかのような過酷なバランスも、またマトモなサービスとも思えない。

そんなサービスを、射幸心や自己顕示欲で辛うじて誤魔化すのは限界がある。

一方で、そんなイカれたサービスが、ソシャゲというアプリの形態にそっくり当てはめられてしまっている。だけど、最初に述べたように、ソシャゲ自体は悪いわけでなく、むしろ現代のスマートフォンありきのライフスタイルに合った、合理的なゲームだ。優れたタイトルだっていくつもある。*1

そこで、この妥当なサービスを展開した『アズールレーン』が、日本のソシャゲ業界に新たな風を呼び込めたなら幸いだ。

無論、良質なソシャゲは星の数ほどあるが、この極めて「日本的」なゲームが今大きな話題となっていることは、今までにない朗報だと私は思う。

 

追記:色々な意見を踏まえて

 思わず膝を打った。

 

あーなるほどねぇ。「そういうエンターテインメント」だと考えれば、むしろ理不尽な方が楽しいわけで。少ない種銭なら使い潰せって感じの、一種のポトラッチに近いのかな。

言っちゃ悪いけど、お金を有益に使うって難しい。頭も能力も時間もいる。それがなくて追い詰められた人たちが、こういう理不尽なギャンブルに興じるのもわかる。

逆に、ここでマトモな思考であるはずの「中国人」は、無論日本でも大多数なわけで。ただただ残念な気持ちになるね。

 

 

 

最後に、「『FGO』を批判した上で『FGO』のユーザー自体批判する意図はない」と言ったところで、当然FGOユーザーからすれば気分悪いことは当然だと思うので、この点については申し訳ないと思う。

ただ、その可能性を考慮した上でも、各種サービス形態はズレてるし、現に各メディアで、各種貧困や家庭問題と絡めて社会問題視されてる現状がある。規制も入る可能性がある。『アズレン』はその現状への一種の解答にも思えたし、そもそも『アズレン』の良し悪しよりも、その「問題」を言及したい意図があって、この記事を書いたことを追記しておく。

 

 

 

 

*1:スーパーマリオランはよく出来てたよね