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【評価】『COD WW2/ワールドウォー2』の感想やレビュー CODは振り返らない

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(2017/11/6)マルチプレイヤーについて追記

 

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『Call of Duty』シリーズも長いもので、初代発売から14年、それからほぼ毎年新作が発売される、超ベストセラーシリーズとなった。

その中でも、初代から『3』までが第二次大戦、『4』から『Ghost』までが現代、『AW』から『IW』までが未来と、作品を経る毎に舞台は未来へ展開していった。

このように背景となる時代が移り変わった理由は、早い話ネタ切れだ。舞台を現代からSFへ変更することは賛否別れたが、そもそも現代戦はビジュアル的にもゲーム的にも枯渇していた。

とは言え、その未来戦すら3作続き、批判も増えた。そこでファンの意見を汲み取るように、舞台を第2次大戦へ戻したのが本作『COD:WW2』である。開発陣も「原点回帰」を銘打ち、期待をもたせた。

 

出汁を取ってスープだけ捨てたようなキャンペーン

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10年ぶりに再現された第二次世界大戦の迫力は凄まじい。テクスチャ、エフェクト、アニメーション、何もかも別次元の技術で構築され、等身大で戦場を体験できる。MG42に釘付けにされる恐怖もあれば、M4中戦車がかつてない程頼りに感じることもある。

特に最序盤のノルマンディー上陸作戦は圧巻である。WW2を舞台とした『1』『2』『WAW』いずれにも、こういう上陸艇を使ったシーンはあったが、あれが全部玩具のように感じるほどだ。

こうした技術力の向上は、これまでの未来戦より遥かに恩恵を感じる。現代戦、未来戦共に、主人公は大抵特殊部隊であって、小規模な戦闘しか起きない。数百人がぶつかり合う前線でこそ、リアルな戦場の描写は際立つ。

 

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丸々1ステージ使ったこのスパイステージで何がしたかったのか

 

が、そうも言ってられるのも序盤だけである。このゲーム何もかも中途半端なのだ。

序盤にリアルな戦場を描いたかと思えば、中盤からはB級映画のようなスパイ作戦が始まり、一人の兵卒の目線で戦場の恐怖を感じたかと思えば、主人公が心底どうでもいい(かつ面白くない)身の上話をムービーで垂れ流す。

あまつさえ、FPSのはずが、唐突にステルスが始まったり、スパイモードが始まったり、ほぼ1ステージに1回は何ら必然性を感じないQTEが挟まったりと、しっかりテンポだけ乱してくれる。乱すな。

何より寂しいのがステージ構成。本作のキャンペーンはアメリカ軍が主役の西部戦線だけで、おなじみのソ連軍やイギリス軍はどこにもいない。心底眠い。言っちゃ悪いが、1944年からの「勝ち確」の戦争だけしても「WW2」を感じない。

まだこれで、『バンド・オブ・ブラザース』のようなリアルな方向性で統一するなら理解できる。だが、本作では例のミニゲームはあるわ、長いムービーを挟むわで、ひたすらに中途半端で統一感がない。

「原点回帰」を期待した、初期のファンなら、まず肩透かしを食らうに違いない。これのどこが「原点」なんだよと。

 

 

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そこらの兵卒に襲われてボタンを連打することの何が楽しいのかわからない

 

要するに、これまでの『COD』を片っ端から鍋に入れた結果なのだと思う。

初代CODはあくまで「一兵士の体験」だったのが『4』から「ヒーローの無双」に変わったなら、本作ではその真逆の視点を交互に挟む。地味なリアル路線なはずが、荒唐無稽なエンタメ路線も残す。その結果がこの中途半端な「キメラ」なのだ。

一言で言って「シリーズの各『COD』の出汁を取ったはいいが、間違えてスープを捨てて干からびたCODだけ残った」ようなゲームである。

 

CODは振り返らない

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正直、このゲームを遊んで、ああ、もう『COD』は戻れないんだなと、感傷に浸った。

今の開発陣に実力がなかったわけではないと思う。本作を作ったSledgehammerの『AW』は、キャンペーン部分は素晴らしく、未来戦のスケールやケヴィン・スペイシーを全面に出したストーリーも満点だった。そんな彼らでも、完成した『WW2』は目指していた「原点回帰」に程遠かったのだ。

彼らなりに、今求められる『COD』を盛り込もうとした結果、こんな中途半端なキメラになった。ある意味、コンテンツの限界というか、時代の流れなのではないか。

 

 

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未来戦という舞台で、PMCやテロリズムを舞台に、ケヴィン・スペイシーを絡めた濃厚なストーリーを展開した『AW』

 

老害臭い話になるが、『COD』の原点はPCゲームにあった。

ある程度ゲーム好きが遊ぶ、娯楽性に富んだ硬派なFPS。それが『4』を境にコンシューマ層に大ヒットし、よりカジュアルに幅広い人間に向けた要素が増えた。今作でいう、QTEやステルスシーン、過剰なムービー、コテコテのヒューマンドラマがそれに当たる。

別に、それ自体は良かった。売れたコンテンツが、より売れる層のため変化する。少し寂しいが自然な流れだった。問題はそういったマジョリティにアプローチした結果、原型すら留めなくなっていき、マジョリティにさえ見捨てられた時だ。

ネタが切れ、舞台を未来に移した。が、その奇策も3作続いて尚、ファンを納得させられなかった。前作『COD:IW』のトレーラーは、youtubeで4000万再生されながら、362万という前代未聞の低評価を受けているのが、その証拠だ。

その紆余曲折を抱えたまま「原点回帰」出来るはずもなかった。あの頃、PCでアヘアヘ言いながらTDMをしていた連中にゲームを売っていた頃とは違う。世界中の期待を背負い、子供から大人まで納得させるゲームを作る。その重圧の末の原点回帰は弱気すぎたのではないか。

 

無論、『1』から遊んだファンとして、また第二次世界大戦に関心ある者として第二次世界大戦を舞台とした『COD』が出た事は心底嬉しかった。だが、実際に遊んでみて感じたことは、これは「原点回帰」でなく「原点逃避」だということ。

現代戦もだめ、未来戦もだめ、じゃあ大戦編ならいける・・・わけがない。増えすぎたプレイヤーに需要に答えるには、既存の流れを振り切る大勝負か、大衆を黙らせる圧倒的なクオリティしかない。

仮に原点回帰するなら、何故初代『COD』が評価されたかを徹底して見つめ直すべきだった。不要なQTEやミニゲームはなく、主人公に無駄な人格もなく、淡々と戦場をライフルと共に生き抜くゲームプレイ。その真面目さが評価されたのだ。

『COD』は振り返らない。4000万のファンの期待を背負って、AAA級ゲームとしての格の違いを、また来年の冬に見たいと願う。

 

追記:マルチプレイヤーについて

個人的に、『COD』の本質はキャンペーンだと思うし、一番楽しみにしていた部分でもあるので、そこに絞って批評を書いたが、せっかくなのでマルチプレイヤーについても追記する。

 

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結論から言って、マルチ部分は面白かった。ここ数作で最高の作品だと思う。

良かったと感じる点は2つ。まずは師団システム。これは従来のカスタムロードアウトに相当するシステムだが、今回では自由度をあえて減らすことで、以前よりバランスブロークンな組み合わせが減り、より個性的でバランスの取れたシステムになった。

具体的には、まず5つの師団、歩兵、空挺、機甲、山岳、遠征から一つ選ぶ。これは従来のパークに相当する部分で、一つの師団に4つのパーク+アタッチメントがセットで固定されていると考えて欲しい。

ここから、相性の良い武器やパークも必然的に絞れてくるので、最終的にプレイヤーは武器や細かなアタッチメントのみ自由に選ぶことが出来る。

これは一見、狭っ苦しいように感じるが、英断だったと思う。まず、今まで自由にパークも武器も選び放題だった結果、ほとんど決まりきったパークと武器の組み合わせに収束した。これは組み合わせの余地が狭いだけでなく、強すぎる組み合わせによってバランスを取ることが難しかった。

師団システムにより、あくまでARは中距離、SMGは近距離で戦うよう、プレイスタイルを拘束した一方、より武器の特性を活かした強烈なパークが増えたことで、プレイスタイルの幅も広がったと言える。

 

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もう一つの優れた点は、新たなゲームモード「WAR」。これは一言で言って、『オーバーウォッチ』のゲームモードを思い浮かべれば良い。攻撃と防衛のチームに分かれ、3~4つのセクションに分かれたマップで、ペイロードやデモリッションのような、様々なルールで遊ぶモードだ。

これまでの『COD』のオブジェクトモードが退屈だった理由は、まずマップがランダムなことだ。ほぼ全てのマップを、TDM、ドミネーション、S&D全てで共有することで、マップの個性が薄く、オブジェクトを軽視するプレイヤーが多かった。

今回の「WAR」では3つの専用マップが用意されているので、これまでより遥かにオブジェクトを意識して戦えるよう調整されている。また、色々なルールが展開されるので、ずっと遊んでいて飽きも来ない。

何より、今作でせっかく第二次世界大戦に里帰りした理由を見せられたのは大きい。今までの『COD』は、現代戦だろうが未来戦だろうが、やってくることはほぼ同じで、作品毎の個性が出せなかった。

無論、「WAR」にもバランスの不備やマップ数が少なすぎるという不満はあるが、今後は積極的に採用して欲しいモードだ。

 

全体的にも、第2次世界大戦の雰囲気を上手く表現できている。人間がピョンピョン飛ぶこともなくなっただけで嬉しい人もいるだろう。特に『OW』を全面的にリスペクトした「WAR」では、K/D/Aが表示されない仕様まで引き継いでるのは嬉しかった。

総じてマルチプレイヤーに関しては、ここ数作で最も面白い作品に仕上がったと思う。今回は久々に何時間も没頭して遊べた。