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【評価】『アサシンクリード オリジンズ』の感想やレビュー 良くも悪くも原点回帰

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初代『アサシンクリード』を遊んだ時のことを覚えているだろうか?

リアルに再現された12世紀末のイェルサレムを、パルクールを駆使して主人公が走り回るトレーラーが公開された時は、それはもう誰もが「これがフランス製GTAか!」と感銘を受けたものだ。

が、あの公開トレーラーを観て、実際に買った人たちはすぐに”後悔”(デデッ)することになった。もう酷い。バグは挙動だらけ、パルクールはやたら詰まる、何より訳の分からない現代編パートで雰囲気ぶち壊し。当初買った二度とUBIのゲームとトレーラーは信頼しないと誓ったものだ。

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それから10年を経て発売された『アサシンクリード:オリジンズ』(以下『オリジン』)は、ある意味この初代にあった、チャレンジ精神と失敗をそっくり受け継いで原点回帰したと言って良いだろう。まさに「オリジン(原点)」なのだ。

舞台は崩落寸前の古代エジプト。プトレマイオス朝に蔓延る腐敗した役人たち「結社」を、彼らにより息子を謀殺された主人公「バエク」が暗殺していくところから、物語が始まる。

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まず何より素晴らしいのが、舞台となる古代エジプトのオープンワールドである。従来までの舞台は、ローマとかイスタンブールといった「都市」だった。だが今作では、古代エジプトという「国」丸ごと一つが舞台となるのだ。*1

これは凄まじい。かの大図書館や大灯台が現存するアレクサンドリア、古代の神々が護る旧都メンフィス、ローマ帝国の栄光キュレネ、そして言わずもがな、三代ピラミッドが鎮座するギザ。丹念に再現されたそれらを全てプレイヤーは訪れることが出来る。

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単に広い、というだけでない。「国」一つというスケール、それこそが最も、本作のエクスペリエンスを向上させている。今まで、どんなに写実的で美麗な街並で、実際に観光している気分になっても、そこに常に「見えない壁」があった。それこそ「観光」から「ゲーム」に振り戻されてしまう壁でもある。

だが、本作は首都アレクサンドリアから外に出ても、すべてを飲み込むサハラ砂漠がある、すべてを受け入れるナイル川がある。これが何より、本当に自分が古代エジプトにタイムスリップしているような迫力と没入感を与えてくれるのだ。

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更に徹底した時代考証と、最新の映像技術で再現された古代エジプトの姿が、この広大なオープンワールドに説得力を加えている。アレクサンドリア図書館、ファロス灯台、大ピラミッド、アビドスの神殿。既に失われたであろう世界を冒険できるのは、正しくゲームならではの体験だ。

フィールドの細かい部分を中注視しても、ヘレニズム文化(ギリシアとエジプトの混合文化)の影響がある都市では建物はギリシア風になっていたり、同じ砂漠でも岩砂漠、白砂漠など細かく描かれていて、全く飽きることはない。

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ギリシアも楽しめるなんてお得だね

 

技術の進歩にも驚かされる。家の土壁、床のタペストリー、壺の一つ一つですら圧倒的なディティールで描かれ、更にケペシュなどの太古の武器のアニメーション、砂漠を歩く時の砂塵や淀んだナイル川の波などのエフェクトすらリアリティに溢れている。

本作で舞台となるプトレマイオス朝は、古代エジプト最後の王朝だ。実はこの時点で、既にピラミッドが建立された時代から2000年以上経過しており、滅びゆく神代の儚さを噛み締めながら旅が出来る。これは正に、AAA級だからこそ実現した、至高の体験と言えるだろう。

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 こんなに広いのに、細かく見てもこのディティール。

 

ゲーム的な面でも、大きな変化を取り入れている。従来までのアクション+ステルスというゲーム性に、RPG要素が大々的に加えられた。

これまでも、店で装備を購入する、スキルを習得するなど、RPG要素はあったものの、今回からは明確に敵味方、装備にもステータスが用意され、レベルやステータスが戦闘の勝敗に直結するようになった。

この変更のメリットは、従来『AC』が最も力を注いできた「オープンワールドにおける観光」が、ゲーム性に結びつく点だ。

つまり、今までは観光を楽しんでいても、それがメインクエストを攻略する事に一切役立たなかったのだが、今回からは旅先で金やEXPを稼ぎ、それをプレイヤーのステータスに還元することで、「観光」にゲーム的なメリットが付与されたのだ。これは合理的な変更と言えよう。

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が、本作のRPG要素はただ乗っけただけ、と言う感じで、全く掘り下げられていない。

まず、RPG要素がシビアすぎる。大体レベル差が3つくとまともに戦う事が出来ない割に、サブクエスト以外で手に入るEXPがあまりに乏しく、とにかく面倒。その上、RPG要素と引き換えに、アクション部分やステルス部分が大きく退化しており、クエスト攻略自体が退屈になった。

何より残念なことは、この稚拙なRPG要素が『AC』の醍醐味である観光をスポイルしていること。エリアによって要求レベルは跳ね上がり、ちょっと野盗に撫でられただけで即死してしまうので、クエストや探索もままならないし、気楽に観光すら出来なくなっている。『TES』シリーズのように、現在レベルにスケールして敵のレベルを変えるとか出来なかったのか。

ともかく、方向性は喜ばしいのだが、全く掘り下げられていないので残念な結果になったように思える。本作に限らず、最近は適当に「アクションRPG要素」をくっつけた作品が多いのだが、これは本当に辞めてほしい。

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こうした要素に加え、明らかに酷いと感じる変化も山ほどあった。

まず操作キーの変化。例えば、R1で弱攻撃、R2で強攻撃、そして△でステルスキルという初期設定なのだが、普通一番押しづらい位置の△キーとか、Yキーは、武器変更とかメニューとかに当てるものじゃないのか? また、馬に乗るためには△キーなのだが、降りるためには「□キー長押し」である。乗るためにチョイ押し、降りるために長押し …格ゲーのコンボか?*2

更にUIも酷い。まずメニュー画面では、何故か方向キーではなくスティックを使って選択しなければならず、それだけでも常人の発想とは思えないが、加えて初期のセンシが文鎮のように重く、装備を選択するのが億劫で仕方ない。

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訳の分からない数字やアイコンが多い割に、具体的に何がどう違うのかハッキリしないUI。

 

 

www.youtube.com

 

このように、酷いところは本当に現代ゲームと思えないほど酷い。特にUI、操作性、ストーリーに関しては、「あぁ、10年前の洋ゲーってこういうのよくあったな、特にUBI製」と、懐かしんだ程には酷かった。

が、それでもこのゲームは「2017年の中でも良作」と言えるだけの魅力はある。何と言っても、「都市」から「国」へ飛躍し、圧倒的なリアリティで構築された、オープンワールドのスケールは、あの『GTAV』さえ超えたと感じさせるモノだったからだ。

あぁ、久々にゲームで地図を開いてワクワクした。地図でいうこの場所は、実際にはどうなっているんだろう。時代の進歩と積み重なった経験で忘れていた、あの期待を、あの躍動を、私はこのゲームで取り戻したのだ。

地平線の彼方、はるか遠くに見えた大ピラミッドに、ラクダと三日三晩かけて実際に辿り着いた感動は、絶対にこのゲームでなければ味わえなかった。これこそゲームだから得られる喜びだと確信した。その冒険に同じく胸を膨らませられる者なら、絶対にこのゲームを買うべきだ。

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Good:

・空前絶後のオープンワールド

・専門家による徹底した時代考証

・RPGと観光を結びつける発想

 

Bad:

・発想は良かったが全く掘り下げられなかったアクションRPG

・悲惨な操作性

・悲惨なUI

・悲惨なストーリー

 

Conclusion:

本作を評価する鍵は、ビデオゲームで旅を楽しめる冒険心の有無に掛かっている。明らかにゲームとして欠陥が残る作品だが、2017年で最も時代の躍進を感じさせた作品の一つであることに違いはない。そして間違いなく、『アサシンクリード』はより良い方向へ向かっている。

 

 

*1:厳密にはエジプト全土のうち都市部と遺跡群を含めた半分ほど

*2:その上、コンシューマ版では詳細なconfig設定も不可能で、辛うじて2つ用意されているプリセットのもう片方を使って急場を凌いだ。