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モンスターハンターのフルフルの話

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『モンスターハンター:ワールド』のオープンβ、凄い良かったですね。期待以上の出来になってて、ファンとして色々こみ上げてくるものがあります。

私は一応シリーズ網羅する程の『モンハン』ファンなんですけど、その中で一番思い入れがあるモンスターは何かというと、フルフルなんです。

 

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ちょっと意外に思われるかもしれないですね。

皆が好きなモンスターというと、見た目も装備もかっこいい王道のリオレウス、初心者の登竜門として愛されるイャンクック、特殊ギミックや誰もが知る名曲で印象深いラオシャンロン、あと始めて遊んだシリーズの看板モンスターですかね。

それでもフルフルを挙げた理由は、基本的にイャンクックに似てます。つまり、このゲームの面白さを最初に教えてくれた「先生」だったからです。

 

私のモンハンデビューは『MHP2nd』。厳密には『MHG』からですが、ソロだと面白さが全くわからず(当時ゲーム自体に興味がない)、まともに遊び始めたのが『P2』になります。そこでハマって遡って遊んでいったんですけど。

今でも覚えてるんですが、発売日に並んで『P2』を買って、そのまま友達の家に直行しましたね。

画面分割でなく協力してゲームをするって体験が新鮮で、友達と適当にワチャワチャしてるだけで楽しかったのを覚えています。とは言え、4人も集まっていたので、どんなモンスターも袋叩きにして倒せました。

で、そこから家に帰った時の話です。当時は普段ゲーム自体遊ばなかったんですが、皆で遊んだのが面白すぎたので、せっかくだし村長クエスト(1人用クエスト)でもするかと意気込みました。

 

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そこで詰まったのがフルフルです。

フルフルは村長☆3クエストのキークエストで、☆3にはイャンクックやダイミョウザザミ、ガノトトスらが揃っていましたが、どれも大して苦労せず倒せました。特にイャンクックは「先生」と当時から友達に言われてて、戦々恐々としてたんですが、実際は片手剣を振り回してたらあっさり倒れて、拍子抜けもいいとこでした。(村長クエストは全体的に体力低いし)

ところが、フルフルは余裕で10分以内に3乙しました。何だこいつ、クソつええぞと。当時の私は戦慄しました。

フルフルの何が強いのか。それは、フルフルはカウンタープレイを得意とするために、絶対にゴリ押しでは倒せないモンスターだったからです。

当時のフルフルの主なモーションは以下の通りでした。(屋外の場合)

  1. 咆哮
  2. 突進
  3. 飛びかかり
  4. 噛みつき
  5. 尻尾回転
  6. 体内放電
  7. 電撃ブレス

 

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中でも厄介なのが、全身から電撃を発する「体内放電」。これはフルフルの周囲360度が射程範囲になるため、攻撃を「避ける」のではなく「離れる」必要があります。

これこそ、フルフル最大の特徴でしょう。これまでのイャンクックのような飛竜なら、近づいて攻撃→敵の攻撃を避ける→また攻撃と、回避さえできれば絶え間なく攻撃できます。

が、フルフルの体内放電は全方位が範囲、どれだけ回避に自信があっても絶対に避けられない。フルフルはそんな数多くの自信満々の新米ハンターを容赦なく、体内放電によって迎撃してきました。

これが、当時ゲーム経験の浅い私にとって衝撃でした。ゲームなんて反射神経が全てと思い込んでいましたが、「攻める」「引く」の戦略的な判断によって攻略する対象もあるのだと。それを理解する過程で10回以上は死んでいましたが。

 

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更に言えば、フルフルには更なる強力な武器があります。それはギャアアアアアアアアアアアウォオーーーーンと、げに恐ろしい声が印象深い「咆哮」です。

実は、当時咆哮を始めて使うモンスターが、このフルフルでした。*1同じ☆3のイャンクックは鳥竜種、ガノトトスは魚竜種、そしてフルフルは初の飛竜種なわけです。初の飛竜との戦い。そして飛竜の特権が咆哮なわけで、厄介な攻撃ですが胸が高まりました。

更には、フルフルは電撃ブレスによって麻痺攻撃も可能。咆哮と麻痺の状態異常から、飛びかかり等のコンボを繋げ、確実にハンターを仕留める力があります。これは、一撃であっても致命傷になりうることを意味し、大変緊張感のある戦いが出来たわけです。

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とは言え、決してフルフルは無敵の飛竜ではありません。実はその分、弱点も多かったのです。

まず、体内放電という攻撃。これは太刀や双剣のようなガード不可能の武器では極めて強力なカウンター攻撃ですが、同じくカウンターを得意とするガード主体のランス、ガンランスでは容易に防げますし、そもそも近づかないボウガンでは、放電中は完全な的です。

そして咆哮。コレに関しても、スキル「高級耳栓」さえあれば、むしろ咆哮中は完全な攻撃チャンスになりますし、ガード武器なら咆哮を防ぐことも出来ます。

そして何より、フルフル最大の弱みは、「目が見えない」ことです。フルフルは普段、洞窟で過ごす故に盲目の飛竜です。故に反応が他飛竜より明らかに鈍く、火力は高いが、隙は大きい。先に述べた「攻める」「引く」の判断が出来れば、確実にダメージが通ったわけです。

 

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またフルフルの優れている点はビジュアルですね。白いブヨブヨの皮、見えない目と横に割けた口、恐ろしい咆哮、とにかく謎が多い割に、一目で「異形」とわかる造形。間違いなく危険、強キャラです。

一方、ブヨブヨの皮は自身を電撃から護る絶縁体であるなど、細かな設定で律儀に世界観を補完するのもモンスターハンター。倒してからは、なるほどなと納得できます。

 

 

 

このように、今思い返すと、フルフルがいかによく出来た「先生」だったかわかります。

まず、手数でゴリ押ししようとするハンターを、体内放電で軽くあしらいつつ「攻める」「引く」という駆け引きを理解させ、また咆哮という強力無比な特権で、ハンターにスキルの重要さを伝えました。

その上で、ガード可能な武器や遠距離攻撃できる武器に「変える」という選択肢を作り、盲目の弱点を突いて合理的に立ち回る余裕をもたせる、プレイヤー側の「反撃」を許す自由もあった。

これは、GDC2013でDan Taylor氏が語った理想的なレベルデザインにもぴったり当てはまります。特に「言葉に依存しない」「やり方までは伝えるな」「驚きを与えよ」「プレーヤーに自由を与える」「感情を呼び覚ませ」「ゲームメカニクスを駆動する」辺りですかね。

【GDC 2013】発表! 「良いレベルデザインの10の原則」 - GAME Watch

 

 

 

さて、紆余曲折を経てフルフルを倒した後は、殆ど苦もなく村長クエスト自体をクリアしました。それほど、フルフルにはこのゲームの基礎が詰まっていたわけです。

結局、そこからモンスターハンターにドハマリして、今でもファンなわけですが、やっぱり初期のモンスターは出来が良いのが多い。イャンクック、リオレイア、ディアブロス等は、特にお気に入りです。

待望の新作 『モンスターハンターワールド』は2018年1月20日発売ですが、カッコイイ新作モンスターと同じぐらい、こうした初心者向けの「先生」は必要だと改めて思います。そして願わくば、この白くて卑猥な飛竜と、再び相まみえたい。ぜひ期待したいところですね。

 

 

*1:厳密にはティガレックスがいるけど