ゲーマー日日新聞

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【評価】友達と大自然で銃とナイフで冒険したいなら『Far Cry 5』を買え【レビュー】

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『ゼルダBotW』後のオープンワールドはどう生き延びるか

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昨年発売された『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』はオープンワールドを題材にしたゲームの水準を一気に引き上げた。

広い世界でどんな遊び方を提供するか。あの作品にはその問いに対する答えが無数にあった。オープンワールドには秩序があり、リアリティがあり、多様性があり、それはどうしても「オープンワールドでなければならない」という必然性があったのだ。

この傑作の後塵を拝することとなってしまったオープンワールドの作品に、同情を禁じ得ないというのは、何ら過大評価ではないはずだ。今までは「ただ広く、美しく、量があれば良い」というだけで一定の評価を得られた作品が、一転して「過去」の作品として足蹴にされる、2018年からはそういう時代になったのだ。

 

「虚像」から「実像」へ。ーリアリティある世界

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本作では、『3』『4』『Primal』までの進歩が牛歩に思えるほど、様々な改良点が見受けられる。

まずオープンワールドのディティールが一気に上がった。これまでの『FARCRY』の世界は、何の歴史も背景も感じさせない薄っぺらなものだったのが、今ではちゃんと「モンタナ州」として実感できる程に細かな作り込みが感じられる。これは『Watch_Dogs』や『Assasin's creed』でのノウハウを活かしたものだろう。

 

こうしたディティールへの拘りによって、本作では実際にモンタナ州でハンティングし、釣りをし、カルト教団共を抹殺するという行為に、一定の没入感を与えている。今作ではただ目的もなく車を走らせているだけでも楽しめる程だ。

 

もう一つ大きな改良点は、とにかくヌルかった過去作より『FARCRY 2』のシビアさがある程度は帰ってきて、多少なりとも攻略する面白さが甦った点だ。

まず本作では、ゲームを進める上でのリソースが「お金」「経験値(PERKポイント)」「ゲーム進行度(レジスタンスポイント)」の3つに分かれており、遊ぶクエストによりどれが入手できるかハッキリしているので、大変遊びやすい。

例えば、メインクエストを進めれば強力な武器や乗り物が解除されるが、金がなければ買えないし、経験値を溜めないと後半の強力な敵に太刀打ち出来ない。なので定期的にサブクエストやプレッパーの宝で寄り道する必要性が生まれるのだ。

更に、最初から主人公がランボー並に強かった前作と異なり、今作では初期は何もかも貧弱で、要求される金や経験値も多いので、ちゃんとキャラクターを育てて攻略する面白さが残っている。それも単に難しいだけでなく、入手できる武器や乗り物は前作の比ではないので、探索へのモチベーションも尽きない。

 

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最後に、『FARCRY 5』最大の進歩と言えるのが、NPCを連れ回せる「ガンフォーハイアー」システムだろう。

『MGSV:TPP』のバディシステム然り、最近では高度なAIを備えたNPCと共にオープンワールドを駆ける事自体珍しくもない時代になったが(とんでもない時代だ!)、『FC5』のは従来のものと一線を画す出来だ。

まずNPCたちは基本的にピッタリ主人公についてくる上、適切な配置や攻撃順まで決められ、またNPCたちは狙われるとあっさりダウンするので、『Ghost Recon』のように戦術的な戦いが出来る。

またNPCのバリエーションも豊富で、ただ地上で戦うだけでなく、戦闘機やヘリに特化したNPCに航空支援してもらうとか(AIなのに人間の動きを完全に再現できるのがスゴイ)、犬や熊といった動物まで使役できるなど、とにかく優秀なAIと共闘という点では進化を感じさせてくれた。

 

とは言え気になる点もいくつかあった。まずバグが多すぎる点。進行不可能になるものが5回ぐらいあったが、さすがにバグチェックしなさすぎだ(巻き戻しで全部なんとかなったが)。またストーリー上で強制される室内戦はやはりつまらない。初代『FARCRY』からの悪しき伝統だと思う。

後ストーリーに関してはシリーズ共通の微妙な感じ。色々おいしいところはあるが、ゲームプレイを強制的に中断させる演出に加えパターン化されるので総合的には楽しみにくい。

 

今回のFARCRYはいつもの3倍賑やかだ

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しかし、こうした進歩した『FARCRY』をプレイしても、一人で遊ぶ分には『ゼルダBotW』後の作品として「古いゲーム」だと感じずにいられなかった。いくら進歩しようが原盤が6年前のゲームであることは否定できない。

だがCOOPモード。この存在が『FARCRY 5』を唯一のものに変えた。

 

本作にはプレイヤー2人までのCOOPモードがあり、『4』と異なりゲーム内要素のほぼ全てにアクセス出来る。つまり街に訪れ、クエストを受注し、敵を倒して報酬を得るという流れがオンラインでもシームレスに出来るということだ。

この点には『Ghost Recon: Wildlands』のノウハウが活かされていることは間違いない。だがボリビアに比べ、モンタナの地は遥かにテーマパークとしては優秀で、単にカルトを蹴散らすも良し、乗り物に乗ってレースしたり、釣りや鹿狩りに赴くことも出来る。

そして勿論、戦闘においてもCOOPならではの楽しみ方は多数ある。2人で上手く挟み撃ちにしたり、1人は後方で狙撃しながら1人は近接攻撃で潜入したり、何なら2人でヘリに乗り込んで襲撃することも出来る。2人で舌舐めずりしながらカルトを翻弄する戦略を考えるだけでも至上のひとときが過ごせるだろう。

加えて、ここには先述したガンフォーハイアーも投入可能。悪魔みたいな人間2人と、その悪魔に操られたAI1人の合計3人で、モンタナでの殺戮ショーを思う存分楽しむことが出来る。

 

「ポストゼルダ」のオープンワールドに相応しい出来

先述したように、現代のオープンワールドを舞台としたゲームはいずれも『ゼルダBotW』の興奮さめやらぬ中、自分たちにはどういう「空間の使い方」を提示できるのか、プレイヤーに問われ続けている。

そんな中、古くは2004年からオープンワールドでの遊び方を提示し続けてきた『FARCRY』は革新的な応えを出した。それがCOOPだ。

本作は他のオンラインタイトルと比べても、圧倒的に「箱庭の中で遊んでいる感覚」が強い。つまり、自分はゲームの中では全能の存在で、敵やフィールドをどう扱うかも自由という万能感が、協力プレイ中でも一切失われないのである。

加えて、元々『FARCRY』にあった「ゲリラ戦FPS」としてステルスと銃撃戦をミックスしたゲーム性が、抜群にCOOPプレイと相性が良い。変化し続ける戦いの中でこそ、2人の連携が試されるからだ。

 

それになんと言っても、2人でプロペラ機で遊覧し、偶然見つけた美しい湖で思う存分釣りが出来たなら、それだけでつまらないわけがないのだ。