ゲーマー日日新聞

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ゲーム史に残すべき『CoD』最高のキャンペーンを決めるランキングTOP10

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『Call of Duty』とは戦争をテーマとしたFPSシリーズだ。

2003年から14年、ほぼ毎年新作を発売し続けている本シリーズは、『BO3』時点でシリーズ累計2億5000万本を発売。世界中のFPSファンを沸かせている長大シリーズと言えるだろう。

そして元よりシングルプレイメインのFPSとして始まった『COD』は、今に至るまで素晴らしいキャンペーンを作り続けてきた。その演出、技法、戦闘はいずれも、ゲーム史に残すべき名シーンばかりである。

その中でも、シリーズ中のキャンペーンから至極の10レベルをランキング形式で紹介する。

 

 

10位:Black Sky Take To The Sky(From 『COD:IW』)

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最初に紹介するのは、『CoD:IW』よりBlack Sky Take To The Skyだ。

Infinity Wardが送る『CoD:IW』の舞台は近未来の宇宙戦争。国家により太陽系が支配された時代における戦争で「地球軍=UNSA」に所属する兵士が主人公として、「火星軍=SDF」と戦う。(まんまジオンと連邦だよね)

そして目を見張るのがこのミッション。主人公は宇宙用戦闘機に乗り込み、SDFの宇宙艦隊と戦う。しかし突然現れるSDFの主力艦隊と、「オリンパス山」の名を冠する(火星にはオリンパスという巨大な山がある)旗艦、オリンパス超空母だ。

この『スター・ウォーズ』さながらの宇宙での空中戦も凄いのだが、現代のグラフィックで描かれるオリンパス空母のスケールの大きさは圧巻であり、宇宙を舞台としたゲームに相応しい迫力を楽しめる。

 

9位:NUMBERS(From『COD:BO』)

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9位は、冷戦における非正規戦争と、そこで二つの国家に振り回される主人公をドラマチックに描いた『COD:BO』よりNUMBERSだ。

ここでは、CIAの職員としてソ連が開発しているとされる化学兵器Nova6を追い、香港の九龍城に潜入し、ソ連軍スペツナズの襲撃をかわしつつ証人である科学者を確保する。

まず評価したいのが、この九龍城の描写。薄暗い通路から、ネオンで彩られたビル街まで、さながら押井守版『攻殻機動隊』よろしく、”怪しい”香港の街をとっくりと楽しませてくれる。

また、狭い室内における近接戦(CQB)と、建物と建物をまたいだ狙撃戦を組み合わせることによって、同じレベルでダイナミックに変化する戦闘を楽しめる点もグッドだ。

 

8位:Death from Above(From『COD4』)

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8位は初めて現代戦を描きシリーズ人気の嚆矢となった『COD4』よりDeath from Aboveをピックアップ。敵に包囲された英軍特殊部隊を助けるため、巨大ガンシップAC130で航空支援を行うという内容だ。

正直言って、まずゲーム的には全く面白くない。敵を見つけてクリックするだけの簡単な作業だからだし、敵もAC130に殆ど反撃することなく一方的に倒されていくからだ。

だがこのキャンペーンは極めて斬新だった。まず最新兵器の圧倒的な火力を存分にぶつけることに加え、IRカメラ(暗視カメラ)を通して一方的に爆撃することに、現代の戦争がいかに機械的なものであるか痛感させられる。

次回作『MW2』より『COD』は一気にエンタメ路線に傾くのだが、少なくとも本作まではちゃんとリアルな「戦争」を描いていたことを確信させる名キャンペーンと言えるだろう。

(個人的に、散々砲弾を撃っておきながら、「教会は撃つなよ」って文句をつけてくるのが皮肉効いてて好き)

 

7位:Traffic(from『COD:AW』)

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7位は未来戦におけるPMC社員が主人公となった『COD:AW』よりTraffic。テロ組織に拉致されたナイジェリア首相を奪い返すというミッションだ。

Trafficの醍醐味といえば、やはり終盤におけるハイウェイでのチェイスシーンだろう。走っている車の上から別の車に飛びつつ、前の首相が捕まったバンを追いかけるシーン。EXOスーツの性能を最大限活かす内容で、遊んでいても楽しい。

同時に映像の描写も凄まじいものがある。無数の種類の車が往来しているのは、一体どういう処理をしているのだろうか。背景もまた、都市からトンネルそして海へ景色がなめらかに変化するのも凄い。

 

6位:No Russian(from『COD:MW2』)

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6位は『COD:MW2』よりNo Russian。テロリスト実行部隊に潜伏した米兵として、ロシア空港で民間人を殺しまくるという、とんでもない暴力的な内容で話題となったレベルだ。(「津波☆ボーン」からの「殺せロシア人だ(ただし殺すとゲームオーバー)」という雑過ぎる日本語訳も国内では話題になった。)

で、これも8位のDeath from Aboveと同じく、ゲーム的には殆ど面白い部分はない。敵の大半は無力な民間人だし(後半から特殊部隊が投入されるが)、仲間が強すぎて特に困る要素はないはずだ。

しかし、耳に残るBGMと悲鳴、血みどろの床、消えずに残る死体など、テロの暴力性を物語る上でこれ以上無い演出を見せたNo Russianはやはり印象深い。『MW2』からエンタメ要素の強まった『COD』だが、同時に現代テロの恐怖を描く作品でもあった。

 

5位:Blowtorch&Corkscrew(from『COD:WAW』)

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5位にはTreyarchの2作目である『COD:WAW』よりBlowtorch&Corkscrewを。第二次世界大戦の沖縄戦における掃討作戦を再現したステージだ。

まず個人的に『WAW』はかなり好きな作品だ。WW2が舞台というだけでテンションが上がるが、何よりTreyarchの泥臭い演出が戦場の絶望感と見事にマッチしていて、個人的に同スタジオの最高傑作だと思う。

そしてこの「B&C」も実に良く出来ている。雨の降る夜の沖縄で、どこに潜んでいるともわからない日本兵を、片っ端から火炎放射であぶり出す。同じ日本人として同情を禁じ得ないが、それ以上に戦場の陰鬱さを味わう上で、これ以上のステージはないと思う。

改めて思うが、やっぱりこの戦争は狂ってた。

 

4位:Rangers lead the way(From『COD2』)

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4位には第二次世界大戦を舞台とした『COD2』から、米軍キャンペーンの一章であるRangers lead the wayをチョイス。

内容は史実にもあるヒュルトゲンの森の戦いにおける400高地の激戦を再現したもの。高地に陣取るドイツ軍基地(所謂、ジークフリート線)は重武装化された上に、濃霧により爆撃機の支援もなく米軍は多大な被害を出した戦いだ。

当然、ゲーム自体も史実と同様に難しい。内容としてはドイツ軍により陣地化された山を、麓から登山するように攻略していくのだが、高地からの射撃は当然ながら強烈であり、これをスモークグレネードでいなしつつ、常に緊張感のある戦いを強いられる。

こうした「高低差を活かした戦い」は現実の野戦においても極めて重要なのだが、何故かFPSでは珍しいシチュエーションだ。本作は史実の熾烈さを再現しつつ、こうした銃撃戦の根源的な面白さも実現しており、正直純粋なゲームとしての面白さなら『COD』や『COD2』の方が今のものより圧倒的に優れている。

 

3位:英軍キャンペーン(from『COD』)

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3位は初代『COD』より英軍キャンペーン全編を紹介したい。

先程も述べたが、正直シチュエーションの多様さ、武器の使い分け、弾薬やヘルスの調整、これらを含め純粋な撃ち合いの楽しさでは「先輩」にあたる『COD』が全て凌駕している。逆に言うと、『COD』は新作が出るに連れて根本的な部分はどんどん雑になっているとも思う。

中でも、初代『COD』の完成度は白眉だ。本作では自動回復は存在せず、負傷したならマップに落ちているヘルスパックで回復するしかない。ベテランモードではヘルスパックすら存在しない始末だ。

しかし、それでも何とか攻略出来るのが初代『COD』の凄い所である。もしプレイヤーが極めれば、敵の攻撃をギリギリで掻い潜りつつ処理し、1ダメージも受けずにクリア出来るよう調整されているそうで、このバランス調整には当時プレイした誰もが圧倒されたものだ。

で、中でも楽しいのが英軍キャンペーン。特殊部隊の一員としてドイツ軍戦艦ティルピッツに潜入したり、ダムを爆破したり、鉄橋をドイツ軍から防衛したり、色々なシチュエーションを楽しめる。

こうした娯楽的な演出と、ゲームの奥深さを両立した唯一の作品こそ初代『COD』なのである。

 

2位:Vorkuta(from『COD:BO』)

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2位には皆大好き『COD:BO』から2度めの選出となるVorkutaだ。ここではソ連軍の捕虜となった主人公メイソンが、ソ連の同胞であるレズノフと共に、強制収容所で反乱を起こして脱出するエピソードが繰り広げられる。

まず、『COD:BO』が最も評価されている点は、極めてダイナミックに個人的なドラマを『COD』のストーリーに乗せている点だ。今までの『COD』の主人公はあくまで国家の手足である兵士として、国家に大義を与えられ戦う木偶だった。*1

本作は違う。主人公は一応CIA職員なのだが、その主人公が同じアメリカ人に尋問されるところからゲームが始まる。この大国間の戦争でメイソンという個人を浮き彫りにし、その背後には、レズノフという親友がいたことが鍵となっていく。本作は最初から等身大の人間を描いた初の『COD』なのである。

Vorkutaはアメリカにとって些末な出来事でも、メイソン個人にとっては重要な契機だった。レズノフという親友と出会い、救われ、彼を失った。それがメイソンを兵士という軛から断った。それをプレイヤーにも伝えるためにも、Vorkutaは情熱的に、感動的でなければならない。

その試みを見事成功させている。もしVorkutaを脱出したプレイヤーなら、真の友はアメリカでなくレズノフであり、彼のためなら何でもすべきだと考えてしまうのだから。

 

1位:All Ghillied Up(from『COD4』)

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というわけで、1位はやっぱりこのゲーム『COD4』よりAll Ghillied Up。多分『COD』で一番有名なキャンペーンだろう。

粗筋としては、ウクライナのプリピャチ廃墟で取引をしているテロリストを、英国特殊部隊の隊員として暗殺するというもの。

数百名の兵士と装甲車が徘徊するテリトリーを2人で潜入する、という緊迫したシチュエーションながら、その演出は『COD』はおろかゲーム史に残る迫真の出来。

今見ても、伏せて装甲車をやり過ごすシーンはタマヒュンだし、鬱蒼としたプリピャチはまるで不思議の国のようで、マクミラン大尉はかわいい。何よりも、本当に自分が特殊部隊として潜入しているかのような、FPSを活用した没入感は至極の一言である。

 

中でも個人的に評価したい点は、このゲームは完全にスクリプト(台本通り)に沿って動いているのに、全くそんな実感が沸かない点である。

現代のゲームは基本的に、スクリプトによって演出を盛り上げるとプレイヤーの選択肢が狭まるし、逆にプレイヤーの選択肢を増やすと表現は地味で単調になってしまう、というジレンマに陥りやすい。

このAll Ghillied Upは『COD4』の中でも極めてスクリプトに忠実なレベルだ。少しでも指示された事以外をするとゲームオーバーになる。こうなると、いかに迫真の演出があろうと、プレイヤーは自分の思った通りに操作できず、やらされている感を拭えなくなってしまう。

だが、そもそもプレイヤーが「余計なこと」をしようとしなければどうだろうか。本レベルの何が凄いかと言うと、余りにも没入感が強すぎて「自分が祖国に忠実な特殊部隊員である」と思い込み、そんな悪知恵を働かなくなる点である。もしスクリプト通りにしか動けないなら、最初からスクリプトに気付かせなければ良い。

このレベルは極めて誘導が上手く、プレイヤーは自分がSASの射手であることに何の疑いも持たず、マクミラン大尉の指示を決して裏切ろうとしないだろう。

何故そんな事が可能か。色々な工夫はあるのだが、例えばマクミラン大尉の台詞をとっても「姿勢を低く、ゆっくりだ。ギリーがあれば連中にはバレない」と言うように、軍事用語を混ぜながらわかりやすく指示することで、プレイヤーに没入感を維持しつつ的確な行動を取るように誘導している。

 

All Ghillied Upは正しくゲーム史でも語り継ぐべき最高のレベルだ。ここには、スクリプトによる演出を重視したゲームの可能性が広げられつつある現代において、学ぶべき点が無数に存在する。

そうでなくとも、「ステンバーイ…ステンバーイ…」という訛りまくった大尉の語録が国内外で大量のミームへ派生しただけでも、十分価値があると言えるだろう。(このステンバーイの台詞は海外でも鉄板)

 

*1:『MW2』のラストでちょっと変わるけど