ゲーマー日日新聞

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ゲームライターになるにはどうすれば良いか。商業も個人も体験した僕が色々説明します

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最近、こんな記事を読んだ。

www.redbull.comこの記事を書いた松井さんは、ALIENWARE ZONEの編集を担当している傍らで、ライターとしても活躍されるなど、幅広い活動で尊敬している方なだけに、「自分で動かないと仕事はない」とか「毎日文章を書くクセをつけよう」とか、実際ゲームライターを目指す方なら大変参考になる記事だった。

だけど、いくらか気になる点もある。まず、正直専業にするには相当過酷な仕事だが、この辺のリスクがかなり曖昧にされて専門学校を推奨されている点や、商業メディアを前提にしていて個人メディアについて指摘がないことは、若干不可解だった。

 

そんなわけで、自分なりに、商業と個人の違いを中心に、ゲームライターを目指す人に向けて自分なりに留意すべき点をまとめたい。

因みに、一応自分はブログを開設して間もない頃は商業メディアの中で働いていた経験もある。まぁ色々忙しくなると両立はさすがに厳しく、ブログに専念するようになったが。

ともかく、自分は両方のメディアを知ってるので客観的に比較できると思う。

 

 

個人メディアと商業メディアの違い

個人メディアの魅力

①:自由に掘り下げて書ける

②:実生活に合わせて書ける

③:稼いだ分は全部自分に還元される

まず何より大きなメリットは「①:自由に掘り下げて書ける」こと。商業メディアの場合、何よりPVを意識しなきゃいけないし、スポンサーの手前もあるし、炎上も怖い、という3条件をクリアできないと、そもそも記事が書けない。

無論メディアによっては自由なとこもあるが、まず編集から許可をもらって、そして編集にチェックしてもらって始めて原稿が通る。で、ぶっちゃけた話、編集の側で色々な政治があり、書いたのにボツって返ってくるとか理不尽な事も普通にある。

自分が本気で推したいと思った作品を推したり、分析や考察したいという作品も記事にしたり、時には問題だと思うことを問題だと糾弾できるのが、個人メディアの大きなメリットであり、また存在意義でもある。

昨今のゲンロン騒動で明るみになった、「商業メディアに出来ないこと」を出来るのが個人メディアなのだ。

 

次に、「②:実生活に合わせて書ける」点。読んで字のごとく、これは割と、学生生活や正社員のような人に向けた魅力かな。

商業メディアニュースにしろ、レビューにしろ、速報性が一番大切なので、書くべき内容もそこに絞られてくるし、記事によっては当然締切もある。あとこれは暗黙の了解だけど、やっぱり月に何本か書いてくれないとメディアとしても困る。

個人メディアではそういう事情は全くなく、書きたい時に書けば良いので、とにかく自分の生活に合ったスパンで続けられるのが大きなメリット。最悪更新が半年続かなくても何とかなる。

 

最後、「③:稼いだ分は全部自分に還元される」という点だけど、これは商業メディアと表裏一体のポイントなので、その辺は後述する。

ともかく、個人メディアで続ける限り、バズったらバズっただけ、知名度も報酬も自分の利益になる。

特に知名度は大きい。セルフブランディングを考えるなら、個人メディアは圧倒的に有利。逆にうっかり炎上した時、責任は全部自分で背負うことになるけど、面白いことに商業メディアの場合でもそれは変わらない。評判だけを気にするなら商業メディアは世知辛い。

 

商業メディアの魅力

①:取材しやすい

②:いくらかの特権を得られる

③:安定した報酬を得られる

一方、商業メディアにもメリットは色々ある。まず一番大きいのが「①:取材しやすい」という点。

例えば、ディベロッパーやパブリッシャーに取材する際、「個人ブログの××ですけど」と申し込むより、「ファミ通の××ですけど」と言った方が当たり前だけど話が通りやすい。仮にライターの名前が知られて無くても、会社を信頼してくれるからだ。

これにより、取材相手の協力なしで成立しないインタビュー記事等は、商業メディアでないとまず成立しない。内部でないとわからない話を聞きたい人は、商業を目指していこう。

 

次の「②:いくらかの特権を得られる」というのも、これに近いと思う。一番恩恵を感じるのがイベントの時。メディアは優先的に入場させてもらったり、記事を書くための場所を用意されたり、質疑応答のシートに案内されたりする。

加えて、やはり会社の信頼があるので、積極的に業界の人とのコネを作りやすく、稀に棚ぼた的に仕事を貰えることもあったり、未公開のデモにゴニョゴニョしてもらえたりする。また編集さんに取材目的だと言えば、旅費を貰えることもある。イベントに行きたいとか、業界にとにかく飛び込みたい人にはたまらないだろう。

ただ、①でも②でもそうだけど、いきなりインタビューやイベントレポート記事を書けるほど甘くない。これは松井さんも言ってたけど、信頼のない新人さんは基本的にニュース記事辺りからの下積みから。

もちろん、ここもメディア次第だと思うけど、基本的に実力と信頼が伴って始めて面白い記事を書かせて貰えると覚悟すべし。

 

次に「③:安定した報酬を得られる」というメリットは、先述した通り、個人メディアの「③:稼いだ分は全部自分に還元される」と表裏一体のメリット。

基本的に商業メディアは最初にある程度原稿料が決まってて、PVにそこまで影響されない(場合によってはボーナスorクビだけど)。故に、知名度がなくても安定した収入も得られて、かつ会社の看板があるので素人でも読んでもらえる。

逆に、個人メディアの収入はほぼ100%自分の努力次第なので、極めて不安定。少なくとも始めて3ヶ月~半年は無収入だし誰も読まないので、そこがかなーり大変。だけど一度軌道に乗ると、増加した報酬も信頼も全部自分のものと。

 

結局、どうするべきか

柔軟にやるべし。とりあえず、始めるにあたって大したコストもかからないのだから、商業も個人も両方やればいい。

 

だが、くれぐれも若いうちから全力で突っ込める程に成熟した業界じゃないことを忘れないで欲しい。ゲームライターは楽しいけど厳しい。不安定な上に収入も少ない。ハッキリ言って全く割に合わない仕事だ。

まず、学生時代にバイトとして軽く触ったり、個人ブログを始めたりして、本気でどうしてもやりたい、毎日一本でも多くゲームについて語りたいと思うなら、ある程度成功してから専業を目指すべき。

それまでは、絶対に他のキャリアを見つけること。松井さんは専門学校を推してたけど、その学費があるなら、俺は普通の大学に行って色んな事を勉強した方が良いと思う。

そもそも、ゲームライターとは「目指す職業」ではない。ゲームライターとは、プロゲーマー並に不明瞭な定義の職業だ。とにかく記事を色々書いてるうちに、結果的にゲームライターになっているのだと思う。

 

焦る必要はない。スポーツ選手と違ってゲームライターは若くないと無理とか、そんな制約もまったくない。極論、40代からでも始められる。

元『ゲーム批評』編集長の小野憲史さんも、この仕事の良さは誰でも参入できるからと話していた。そして「誰でも出来る」ということは、自分の仕事がいつでも他人に取って代わりかねない、極めて残酷な現実でもある。

実際、ライターってダイエットみたいなものだと思うんですよ。いつ初めても、いつ止めても良いし、それで誰が困るわけでもない。参入障壁がものすごく低いので、どんどん新しい人が入ってくる一方で、続かずに止めていく人もたくさんいる。だからこそ、自分なりに目標や目的意識をもって、こつこつと積み上げていかないと、続けられないんでしょうね。

ゲームライターになるには? – ゲームライターコミュニティ

 

ゲームライターは、ゲームの魅力や可能性について人に伝えられる、唯一無二の素晴らしい仕事だ。

だがそれは、専業でなければならない訳ではない。極端な話、Twitterで淡々と呟いてるだけでもその役割は出来るし、片手間でブログを運営したり商業メディアに寄稿したりは出来る。

そもそもゲームライターを目指す人がどれだけいるのかは知らないが、まず自分が出来るところから始めて欲しい。

 

具体的なヒント

最後に、それでもゲームライターになるんだという方に向けて具体的なアドバイスを。

 

必要なスキル:

・文章力

1500字の記事を苦もなく書ける程度。文章力を磨くには、記事を書く、本を読む、秀逸な文章を複写する(ただし記事にしたらパクリ)等。後日また記事にする。

 

・コミュニケーション能力

現代に生きる日本人にとって最強兵器。取材相手へ媚び、編集者に媚び、読者にも媚びる、全方位に土下座しよう。

 

・ゲームへの知識

ゲームライターにとっての弾薬。ジャンルやハードに囚われず、一本でも多く遊ぶべし。そしてニュースも可能な限り徘徊して集めるべし。

 

・ネタへの嗅覚

特ダネへの嗅覚なくして、優秀な記者にはなれない。

 

あると便利なスキル(記事の幅が広がる):

・英語力

ゲームを遊ぶにも、文章を読むにも、幅を広げるにはまずこれ。

 

・ゲームをサクサク攻略できる実力

特にesportsで書くなら。cupheadの1面で積まないのが理想。

 

・一般教養

専門より大学を勧める理由。ライターはネタ>>>文章力。ネタがあるほどゲームを語る幅も広がる。

 

・ゲーム業界での経験

あるなら最強。現場での経験があり、会社の名前も出せればなお良し。

 

これらのスキルを半分以上持っているなら、今すぐにでも記事を書こう。グズグズしていられない。理想はブログで色々実験してみることだが、募集しているなら商業メディアもよいし、気軽な所ではnote等もある。

とにかく誰でも手ぶらで始められて、いつやめてもいいのが、この業界のいいところ。そして上達のためには、とにかく記事を書くのが最短。本気でライターを目指したいなら、身近な人に相談してみるのもいいと思います。