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【評価】『ザ クルー2/The Crew 2』の感想レビュー レースはいいからドライブだけさせてくれ

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『The Crew 2』はフランスIvory Towerが開発し、Ubisoftがパブリッシングをした純フランス産レースゲームである。

舞台は北アメリカ大陸を縮小して再現したオープンワールドとなっていて、プレイヤーは様々なビークルに乗って、シームレスに縦横無尽にドライブすることが出来る。

そして、本作最大の目玉が、これまで車に限定されてきた移動手段に、バイク、飛行機、ボートが追加された点である。

プレイヤーはいつでもこれら陸海空のビークルを切り替え、自由に乗り回すことが出来る。ハイウェイがずっと続いていればスポーツカーでアクセルを全開にして飛ばせば良いし、ミシシッピ川を横断するためにはボートを使い、グレートキャニオンは飛行機で飛べば良い。

普段、遅刻寸前で慌てて通勤通学している時、「飛行機に今乗ることができれば」などとバカげた妄想を抱いたことはないだろうか。このゲームではそれが可能なのである。

 

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だが本来、乗り物とは移動するための手段である。であるからには、どれだけ移動しても飽きず、足りず、楽しませるだけの「道」が必要だ。だがその点に関してはご安心頂きたい、『The Crew 2』のオープンワールドは間違いなく一流である。

まず広い。これに関しては言うまでもないだろう。具体的には、南東のマイアミビーチから北西のシアトルまで、最速手段である飛行機で移動しても約40分ほどかかる広さ。車で行けば、最高級のスポーツカーでもこの2倍はかかるはずだ。

次に飽きない。本作はアメリカ全土を舞台としているだけに、どこに行っても何かしら観光名物があり、何より州の気候も様々ななので本当に飽きない。砂漠、森林、峡谷、沼地、都市、何でもござれだ。

おかげで、この作品は「ただ車を走らせているだけで楽しい度」でいえばかなりの上位だ。何といっても、広くて飽きないマップが良い。アメリカの豊かな気候を再現したマップだからこそ、航空機やボートに乗り換えようという気にもなる。

 

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だがもっとドライブを楽しむなら、やはり一緒に走ってくれる相方がいるに越したことはないだろう。そう、この作品は言うまでもなくオンライン対応、というかオンライン限定なのだ。

一人で淡々とドライブするのもまた乙だが、誰かとスポーツカーでツーリングなんてことは早々できるものではない。友達や恋人と何か会話しながらダラダラ遊べる点では、本作に大きな価値がある。案外、COOPゲームは忙しいものである。

 

 

 

……と、ここまで褒めてきたのだが、実は大切なことを言い忘れている。ドライブが楽しいとは言ったが、ドライブするための車や飛行機を購入する資金をどう調達するのか?ということを。

この点、『The Crew 2』はドライブゲーでなく、ガチガチのレースゲーム(+ハックアンドスラッシュ)だ。つまり、レースに勝って金と経験値をゲット、レベルを上げてショップのラインナップを充実し、金を溜めて高性能の車に乗れ!というゲームなのである。

もちろん、レースに勝たねば好きな車には乗れず、そもそもレースに勝つには早い車が必要不可欠というゲームバランスだ。一方、いくらドライブしても手に入るのはパーツぐらい。ただ適当に車を走るだけのプー太郎にモンスターマシンは手に入らないのである。

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多種多様なビークルが用意されている。だが乗るには大量のフォロワー(経験値)とお金が必要。

 

そしてこのレースが、前作から変わらず楽しくない。

前作より多少改善したといえ、車の挙動はおもちゃのようだし、UFOみたいな挙動をするAIは良くない。

が、何より酷いのがコース。オープンワールドを部分的に抜き出してるだけなので、とにかく没個性的で面白くない。難易度の高い急カーブの連続や、爽快に走り抜けるストレート等、デザイナーのセンスが試される技巧的なコースは皆無だ。

その上、何よりコースが極めてわかりにくい。ただ既存のマップを適当にほじくり出したコースな上、誘導するものは雑に置かれた看板と、やたら細かくて見づらいカーナビぐらいで、とにかくどこへ行けば良いのか分かりづらい。

顕著なのはオフロード、ボート、そして何より終盤に解放される長距離コースであり、リトライも妙なラグがあることも含め、レースがつまらないどころか極めてストレスフルな内容なのだ。

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道なりに進むと遠回りになるので、このマングローブを抜けねばならないのだが… どこを?

 

その上、本作は更に問題がある。それは、実はこの作品のレースはドライビングテクニックでなく、車の性能が殆どだという点だ。強いパーツ、強い車。それらを揃えなければ土俵にも立てない、事実上のRPGかハクスラなのである。

では、その強い車や強いパーツを手に入れるにはどうすれば良いか。実は本作において、同じ難易度なら入手するパーツや賞金に変化がなく、かつレース種目によってそれぞれ大変高価なマシンを用意する必要があるので、簡単なコースを何十周も走るのが最適解となる。

こうなると、いよいよドライブやオープンワールドとは何だったのかという内容だ。一番効率の良いコースを、何度も繰り返し走って賞金とパーツを集める……。一方でドライブする事には何の利益もなく、好きな乗り物で走ろうと思えば膨大な費用がかかるので、結局出来の悪いレースを何周も回らざるを得なくなる。

 

結局のところ、この作品をプレイして感じたことは、「最高の素材を使って素人のシェフが調理しした料理」という印象だ。

素材に関しては文句なく最高級である。広大で美しいマップが存在し、多種多様な車も揃っており、更にボートや飛行機にまで乗れて、友達も招待できる。ただドライブするだけなら最高のゲームと絶賛しただろう。

だが、単にドライブするだけで得られる金や経験値は少ない。結局「ドライブ」をゲームの中核にあるゲームプレイに結び付けられず、代わりに雑な「レース」を用意することになった点が、本作を微妙な評価に貶めている大きな原因だ。

狭いコースで同じレースを何周もしていると、一体何のためのオープンワールドなのかとIvoryに問い詰めたくなってくる。

 

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一方、オープンワールドとドライブを活かしながらゲーム的な面白さに結びつけた作品は、結構多い。

最も代表的な例はセガの名作『クレイジータクシー』だろう。これは一本道を走るだけだったレースゲームを、街のタクシー屋でも同じことが出来ると再現した作品だ。オープンワールドを活かした様々なルートや、タクシーという興味深い設定を利用することで、高い評価を得た。

或いは、『Burnout Paradise』という作品も好例だ。街中を走る他の車を即座にハイジャックできる機能や、そこらのNPCを体当たりでふっとばして金や経験値を稼ぐシステムは、見事にオープンワールドに合致していた。

他にも、『Euro Track Simulator 2』や『Test Drive Unlimited』など偉大な先輩は数多く存在するが、『The Crew 2』は続編でもあるし先輩から何かしら学んでも良かっただろう。

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レースにコダワリながらも、一方でオープンワールドの自由な遊び方を尊重した『Burnout Paradise』

 

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色々指摘しだが、『2』の新たな要素「LIVE TRACK」は素晴らしい。これはゲームプレイ中に時間を止めて写真を撮影できる、他のゲームでいう「フォトモード」なのだが、本作のそれは、まるでビデオのように数分前まで時間を遡って写真を撮影できるのだ。

これにより、ほんの一瞬しかないシャッターチャンスを誰でもモノに出来るし、この美しいマップと自慢のマシンを、思う存分撮影してインスタにアップ出来るというわけだ。

更に、マップを走っていると、その地のランドマークや野生動物を撮影するミッションが発生するのも面白い。

これはかなり楽しく、あまり写真に興味のない方でも作り込まれたマップを注意深く観察するきっかけにもなるし、現代のソーシャルメディアを上手くゲームシステムに取り込んでいる。もちろん、実際にゲットした写真はスクリーンショットとして媒体に保存される。

だが実際の所、このモードにハマっても、写真の被写体にしたいマシンを買うために、結局またレースを何周もするという……いやもうこの話は辞めよう。

 

 

 

正直、惜しい作品だとは思うが、実際の所遊んでいて十分に楽しい。長期に渡る開発期間と大量の資金もあり、何度も言うように本作は素材としては豪華で、ただドライブしている分には名作と十分言える程の作品だ。

万人に薦めることは出来ないが、ただドライブがしたい人や、車のみならずボートや航空機にも感心のある人、同じゲームプレイの繰り返しが苦ではない人にはオススメできる作品だ。

 

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