ゲーマー日日新聞

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『FGO』2部/2章「無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング」の率直なネタバレ感想

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※ネタバレあり

※ザックリ殴り書き

 

ネタバレ回避のために石を割りながら一気に攻略。「ある一箇所」を除いては初見で令呪もなく突破できたので、ロシア同様1.5部辺りと比べると今回も楽だったと思う。

割とスッパリ文句も言ってますが、あくまで個人の意見であり、称賛する意見を否定する意図はありません。あと以前書いたFGOのガチャへの問題指摘も特に変わりません。

 

良かった点

・ラグナロクの終わらなかった北欧

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まず良かったのが、今回舞台となる北欧。つい先日『God of War』で全身浴びるように楽しめた北欧神話の舞台に、今度はFateで上陸できる事を喜ばしく思う。

実際、北欧神話は創作物には大変便利であり、色々な解釈混ざっても特に怒られないし、戦神多めバトル多めでエンターテインメントにもってこい、といのが中世から続く人類側の認識である。

その上、今回の舞台は「異聞帯」、本来歪んだがために切り離されるべき歴史である。では何が歪んだのかといえば、ラグナロクが中途半端なまま終わらなかった舞台だというのだ。これは中々ワクワクさせてくれる設定じゃないか。

GoWでついぞ会うことのなかったヨトゥン共がそこらに跋扈しており、3000年もの時が止まったような、狭苦しい北欧が舞台となる。少なくとも、物語の掴みとしては及第点だ。

 

・ブリュンヒルデ救済ありがとうございます

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北欧が舞台となれば、本家から出張してくるのは当然ながらブリュンヒルデ。うっかり”困ってしまう”と、手のつけられない事になるヤンデレランサー、本職は戦乙女。

「ランサーは薄幸」の例に違わず、作中では『蒼銀』でも『FGO』でもかなり残念な扱いを受けてきたのがこのワルキューレ。特に『FGO』では長らくピックアップされず、強化もされず(最近めちゃくちゃ強くなった)、黒幕に操られて噛ませ犬にされるなど、とことん不遇の目にあっていた。

それがこの逆転劇はどうだ。最早2部2章はブリュンヒルデの壮大な幕間だったのではないかという優遇。主人公の主力に選抜され、妹と決着を付け、シグルドを肩を並べて巨人と戦い、果てはモーション改修だと。あれ?もう別物じゃない?何にせよ、ブリュンヒルデマスターの皆さんは辛苦に耐えた約1年半を思い返し涙を流しただろう。

何よりね、まさか本当にシグルドと夫婦漫才できるとはね!シグルドもまぁ話が話なだけに影が薄いんだけど、2人揃ってイチャコラしながら最終決戦する場面は素直に最高ですって感じ。

いや、実際ブリュンヒルデは良い鯖だと思うんですよ。戦乙女としての天性に従って生きながら人間性を得て英霊に至った経緯って、ある種英霊における別視点であって。云々。

 

・ギャグ役ヒロイン役主人公役こなす所長

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いやー、いい。ゴルドルフ所長すごくいい。

ただのギャグキャラかと思いきや、所長としての苦悩を抱えつつ、Fate世界の魔術師的な目線を差し込みつつ、超人と化したぐだとマシュの代わりに一般人ポジションも抱え、憎まれ役まで買って出る、超有能おじさんに成長しておる。

特に、これは後述する問題点と表裏一体なんだけど、寡黙である主人公(ぐだ)と、それに伴うサーヴァントであるマシュに対して、ゴルドルフはちゃんと独立した「社外取締役」ポジションで色々突っ込んだり応援したり、そして何より、2人を除いて冒険を通じて成長する唯一のキャラクターなんだよ。

なまじ、2章は1章と異なって純然たる「敵」との戦いでなく、だからこそ味方陣営にこうした外部の目線があるって、凄く大事だと思う。今回はゴルドルフ所長の台詞で、結構グッとくる場面は多かった。しかもヒロイン属性まで付いてるよこのオッサン。

 

・才能の代償と決別 魔術師としてのオフェリア

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あと、前回同様にクリプタ―が凄く良い。ロシアのカドックは自分の自信のなさを、主人公に対抗したりアナスタシアに檄を飛ばされる中で身につけ、成長していく「敵」だったんだけど。

オフェリアの場合は自信がないわけでなく、天賦の才能を持つ魔術師として、幼少期のトラウマと、偶然引き入れてしまったスルトへの畏怖が、人間的な弱さになっているんだけど。どちらもナポレオンという英霊を介して克服していくと。

で、それが魔術師の才の象徴である「魔眼」との決別ってのが良いなぁと。これは結構、型月ワールド全体にも通ずるテーマであって、魔術師は素養が全て故にそれに振り回される中、このオフェリアの決意は中々沁みるものがあった。

前回のサーヴァントガチャは恵まれたけど王ガチャに恵まれなかったカドックくんと、見事に相反するようなオフェリアちゃんだけど。何だかんだスルトもオフェリアに対する愛があったんだよなぁ。この辺のすれ違いもFateお決まりなんだけど、良かったと思う。

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良くなかった点

・持て余し気味だったナポレオン

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割と好きな人物なんですよ、ナポレオン。いや実際、近代史においては、軍事的にも政治的にも極めて大きな影響を与えている、まぁ超大物なんで今回の扱いは「もったいないなぁ」とひたすら思った次第で。

いや、悪くなかったよ。ちゃんと「万民の期待に答えるぜ」って姿勢、これ近代の英霊ならではの発想なんだけど、ちゃんと反映されててね。(民主主義の胎盤から生まれた皇帝だからねこの人)無論その責任も自覚しとる。

ただなぁ、ドフトエフスキーの『罪と罰』で、ラスコーリニコフが殺人を肯定する根拠が「ナポレオンはもっと殺したのに英雄視されているから」とあったように、本当にこの人物、見る視点によってどうとでも映る人間で、物語として最高の逸材なんだよね。

というか、最早「フランス第一帝政」自体が異聞帯にそのまんま使えるレベルに面白い材料だと思う次第で。民主主義の狂乱と、ナショナリズムの加熱化とか、もう頭おかしくなる要素しかない。エッフェル塔とか空想樹に使えそうだし。(嘘)

まぁともかく、ナポレオンは凄く勿体ないなと思う。確かに、スルトに宝具ぶつけてオフェリアを救う場面(これフロイト的に解釈すると…)は良かったんだけど、結局これは「ナポレオン」でする必要はあったのかと。他の北欧神話の英雄じゃダメだったのかと。それこそ、名前がこっそり出てたバルドルとか。

 

・魅力が搾り取られた主人公とマシュ

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今回のぐだは正直酷かった。行動も発言も頭をかしげてしかないし、そこに対してマシュがイエスマンになってしまうんで、ついていけない。ゴルドルフ所長やオフェリアが魅力的なだけに尚更。

というか、結局1章とは何だったのかとひたすら思う。多少は「異聞帯を切り取ること」の意味を考えたのかなと思いきや、結局その場のノリだけで蛮族をぶち殺していってるんだから始末に負えない。お前は『GTAⅣ』のニコ・ベリックか。

というか、1章でこの辺の答え出したんとちゃうんかと。カドック戦の時、カドックは主人公が異聞帯を滅ぼす覚悟が出来ないと知って殺そうとした。けどパツシィに「幸福な世界があると教えてしまった失敗を絶対に許さない」と迫られて、戦うことを決めるわけでしょ。

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それが綺麗サッパリなかったことになっとる。1章は答えを先延ばしにしたんでなく、今すぐ答えを出さなきゃ死ぬぞ(これは殺し合いだぞ)という状態で、戦う覚悟を決めた。けどでも主人公は未だに「・・・・・・・」を連呼しながら、強鯖をバリバリ勧誘して異聞帯を轢き殺す。なんじゃこりゃ。

或いは、ぐだは独善的な殺戮者としてピカロにされたのかもしれない。徹底的にクズにしたいのかもしれない。けど、それもうゴルドルフ所長でよくねとなるし、何より1章跨いで1mmも進んでないのはこっちも結構疲れる。むしろ戻ったまである。

言うまでもなく原作のFateにおいて、「正義」というのは、苦いもので答えのないものだけど、極めて大きなテーマであって。Fateである以上、ここを雑に扱うのは許されんでしょう。

 

・構成強制はやめてください

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これは物語と関係ないんですけど、下総国でも思ったけどマジで構成強制は辞めて欲しい。これがマズい理由は色々あり、1つ:構成を練る楽しさが減る、2つ:サポに依存する初心者が死ぬ、3つ:仲間に殺意が湧く、という話。

特に問題は2つ目。このゲームの「ファン」が主張する「無課金でも遊べる低レアでも頑張れ」という理屈が辛うじて通るのはサポート欄のおかげだけど、それを強制で台無しにしてるんだよねこのシステム。

人権鯖やら種火やら聖杯やら礼装が余ってる上級者はともかく、無課金~微課金勢からしたら地獄でしかないよこれ。ってかオダチェンでケツに引っ込めるだけだし。意味ねえ(笑)

その上、せっかくストーリーで盛り上がってる中、少しずつ愛着湧いてたサーヴァントが、どうあがいても足引っ張ってるわけで。いや確かにバフで強化されてるけど、相性等倍だし礼装ないし、お前なんで来たのと。

まぁ、マシュが弱くなったのはギリギリ理解できる。けど、サポート固定だけはマジで勘弁してくれ。面倒臭いだけ。没入感してる人はちゃんと土着サポート選ぶから!な!

因みに我が貧乏カルデアはヘラさんに何とか頑張ってもらいました。ほんまありがとうな。

 

総論

少なくとも1章のアナスタシアとか、或いは1.5部の新宿みたいな、気づいたら朝になるまで読んでいられるような面白さではなかったけど、全体でみてそこまで酷くなかったと思う。最低限、北欧神話に興味があれば楽しめる部類かと。(興味がありすぎると逆に怒りそうだけど)

新規サーヴァントが少なく、かつやっつけ仕事で出されたイリヤやナポレオンの前には、目の前で札束を燃やされたような気分にはなるのだが、少なくともシグルドやスカジ、ブリュンヒルデ、そしてオフェリアという主軸は良かったと思う。

ただ今後の課題が見えるストーリーでもあった。結局、DWはぐだをどうしたいのか。そしてぐだの間抜けな台詞を何とかならないのか。構成強制はガチャから遠ざけるだけだと気づくのか。

次回もタイトルからして中々そそられるので、楽しみに待っていよう。あと3周年期待してます塩川さん。