ゲーマー日日新聞

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【評価】『ドールズフロントライン』感想レビュー【ドルフロ】

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艦これそのまんまなガワ部分

『ドールズフロントライン』、本国では『少女前線』と題される本作は中国のソーシャルゲーム。あの厳しい市場で、既に2年運営されているだけに、高い人気が伺える。

さて、実際に遊んでみると、うんこれは・・・2013年に運営を開始した国産のソシャゲ、『艦これ』である。私は横須賀で提督をしていた友人に誘われ、かろうじてラバウルに滑り込んだ身だが、結構遊んでたので割と覚えている。

具体的にどう艦これなのか、それぞれUIを見てもらえればわかりやすいだろう。

 

まず、このゲームは1つ5名の「人形」で部隊を作り、色々なステージに挑んでいく。

その人形を作る際の所謂「ガチャ」は、4種のリソースを任意の量だけ投入するものだったり、余った人形を支援に回したり、人形が負傷した時には修復させて時間がかかる等、あの作品をプレイした人なら幾度となくデジャヴを体験するだろう。

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一方、世界観や物語も「銃器が擬人化する」設定は似ているが、中身は「人間的な感情に欠けた人形」という点で、若干異なってくる。ソシャゲの割には「セクシーさ」もそこまで強調されてない。(服は破けるけど)

物語もある種、「この戦いは所詮作り物だ」みたいなメタな雰囲気がチラついていて、これはどちらかというと『アズールレーン』に近い感じ。あくまで兵士として刹那的な描写が多く、かわいい女の子目当てで始めるとアレとなってしまうかも。

(ただちょっと翻訳で棒読みっぽくなってるのがいただけない)

ひょっとしてこの女の子たち、元は一家惨殺事件などで重傷を負った少女が、公社と名乗る組織によって義体化された存在なのではなかろうか。

 SDはかわいい

 

ゲームプレイは個性的かつシビア

さて、ここまで述べた通り、この作品はかなりの面で日本のソシャゲ『艦これ』を意識している。ところが、遊ぶに連れて独自の解釈や改良を加えて言ったことがわかる。

先述したややドライな世界観や物語もそうだが、ゲームプレイにおいては顕著だった。

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まず、この作品における「戦闘」は、すごろくのようなマップを移動して、道中にいる敵を倒しつつ、最奥にいるボスに勝利すればクリアという、ルール自体はやはり『艦これ』そのままの代物。

ところが、本作ではプレイヤーの自由に動かす事が可能で、羅針盤のような運要素がほぼない。加えて、本作にはターン終了時にいたマス目を「占領」することが可能で、これによって様々な恩恵を受けられる。

もう一つ面白いのは、自分のターンが終わると相手ターンに移り、敵もこちら側に攻めてくる点だ。敵も要所を「占領」しようと動くので、それを未然に防いだり、友軍と合流して包囲したりできる。

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マップで敵に接触すると当然戦闘が始まるのだが、ここでも『艦これ』から何捻りかされている。

まず陣形だ。艦これでは5択から選ぶものだったが、今回は9マスの箇所に5人の人形を配置する形式を取っている。

各人形には付近のマスの人形を強化する能力が備わっている。また現実では射程の短い拳銃やSMGは、自分の後方を強化。射程の長い各ライフルは前方を強化するので、陣形は自然と現実の銃撃戦に近いものになる。

これが案外面白く、個々の性能だけでなく相性も考慮しながら、前衛にダメージを受けさせて後衛に柔らかい人形を置く等、色々と工夫の余地がある。

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もう一つ面白い要素として、本作は複数の部隊を戦場に投入することができる点が挙げられる。自前で編成した部隊はもちろん、NPCの部隊、そしてフレンドの部隊も投入できる。

NPC/フレンド部隊は行動ポイントを使わずに行動できるが、勝手に動く上に経験値も得えられない、要は頼もしいボディーガードだ。自前の部隊は行動ポイントを使うが、自分で動かす事ができる。

ともかく、この複数の部隊を動かして敵を包囲したり、効率よく掃除するのは結構頭を使う。同時に複数のタスクをこなし、上手く敵を殲滅出来た時は、さながらファイアーエムブレムで上手く行った時のような快感がある。

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もう一つ、本作は育成要素も特徴的だ。

この作品、ガチャを引いて高レアな人形を当て、戦闘を重ねてレベルを上げ、ダブった人形は合成して強化できる、と育成の基礎部分は他のソシャゲと共通している。

ところが、そのバランスがかなり歪で、ダブりを重ねる「編制拡大」と、余った人形を素材に強化する「人形強化」の恩恵がめちゃくちゃ大きく、相対的に他のソシャゲよりはレアリティの重要度は減ってくる。一般には2凸の星2>>>>無凸の星5とも。

そう聞くと、ダブり前提の課金ゲーのように思えるが、実際は「コア」というアイテムで代用可能だし、何より数だけは出る低レアの重要度がグッと上がる点も踏まえ、多様な育成を楽しめるのだ。

例えば、せっかく出た高レアを運用したいなら、コアを一点集中で使えば無課金者でも最強の人形を作れるし、スマートに組織レベルで運用したければ大量の低レアを育てて満遍なくコアをばらまけば良い。

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編制拡大をすると、なんと人形の数が増える。つまり体力も火力も2倍ということ。そりゃ強いわ。

 

硬派なソシャゲ 果たして求められる水準か?

ここまで概ね、私自身は本作を高く評価している。確かに、若干UIがごちゃごちゃしてるとか、ブリーフィングやターン変更時の演出がくどい等はあるにせよ、全体的によく練られた作品だ。

無論、『艦これ』という偉大な先輩あっての作品だが、ちゃんとあの作品が評価されていた部分を丁寧に引き継いで、微妙だった部分を上手く昇華させているのだから、不満もない。

全体的に高品質であり、またソシャゲの中では戦略性も鑑みられており、硬派だがよく出来た作品だと思う。

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しかし、それがソシャゲとして「良い作品」なのかは、私にも判断しかねる。

確かに本作は色々とシビアだ。性的な表現も控え目で、物語も中々暗雲立ち込めており、ゲーム自体も序盤から普通にプレイヤーを殺しに来る。これが、Steamで1000円~2000円で売られているゲームなら、私は手放しで評価しただろう。

だが実際、本作はソシャゲである。大陸で2年サービスを継続するというのは、尋常ならざることだが、ガチャを回しておっぱいが飛び出た女の子が出れば世は事もなし、という我が国のソシャゲ市場で、果たして本作はどこまで戦えるのか。

加えて、「難しいソシャゲ」というと、それだけ金銭的な手段で回避させようという思惑が見れなくもない。当面は普通に楽しめるが、いざイベントが来た時、そして不穏な「大型製造」のスロットが実装された時が不安だ。

私は好きな作品だが、賛否分かれそうな作品である。

 

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