ゲーマー日日新聞

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『RDR2』発売直前だし、初代『RDR』が何故ここまで絶賛されたか知ってほしい

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今月26日、『レッド・デッド・リデンプション2』が発売される。

私は期待で満たされている。だがそれ以上に、不安が募る。まるで旧知の親友と何年か振りに会うように、もう一度この作品と向き合う覚悟が出来ていないのだ。

私のような例は希だろうが、皆口々に噂する前作『レッド・デッド・リデンプション』。この作品が何故傑作と評されるか、少し思い出話に耳を傾けて欲しい。

 

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このゲームをプレイしたのは、2010年の発売日。もちろん、この作品が稀代の傑作になると知っていて予約したとも。

……と言うことが出来ればよかったのだが、私が初めてこの作品を知った時は

「おい!いくらネタ切れとはいえ西部劇はねえだろ!」

というものだった。

私はこの頃、ゲームとは何かもよくわかってない頃合いだったことを皆さんにご理解して頂きたい。

まぁでも、実際反応は芳しくなかったと思う。2年前に発売された『GTAⅣ』は間違いなく傑作で次世代機の可能性をいち早く伝えたものの、いかんせんマップが狭すぎ、今度はあの3倍ぐらいの規模で『GTA』を遊びたいと思ってたものだ。

それが、ドン。西部劇。オーマイガー。どうして西部劇なんだロックスター。彼らは一度カプコンと『レッド・デッド・リボルバー』という作品を作ったものの、『GTA』という圧倒的ブランドに埋もれていたし、第一ゲーム業界において西部劇は色々と不吉なものなのだ。

 

 

だが一度この作品のディスクを読み込ませると、開始30分で私の心をつかんだ。NPCに誘われて馬に乗るチュートリアルだ。いつものように方向キーを倒す。

そうすると馬が躍動するように走り出した。パカラッパカラッ、何だこれは。牧場の騎乗体験しか馬の乗り心地を知らない自分でも、これが「動物に乗っている」感覚が伝わってくる。パカラッパカラッ。しなる筋肉、伝わる振動、そしてこの蹄の音!

ビデオゲームの騎乗体験なら、私はむしろ名騎手と呼んでもらって良い。私の中でそれまで最高の騎乗体験は『Mount & Blade』、その次に『ゼルダの伝説:時のオカリナ』だった。だがそれは「馬の形をした乗り物」だった。中身がモーター駆動式でも気付かなかっただろう。だが本作の、生き物に乗っている感覚。ビル街でスポーツカーを乗り回すのとは、全く違う喜びがそこにはあった。

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だが、そうした馬の素晴らしさに感動して間もなく、周囲を見回すとまた新たな喜びがあった。

周りには、何もなかった。建物も、洞窟も、城も、ダンジョンも、人さえも、眼の前に注意を引くものは何もなかった。

このニューオースティンと呼ばれる大地には、ただ、岩と砂とサボテンからなる、大地が広がっていた。大地は美しかった。黄昏に輝く地平線、仄かに舞う砂埃、わずかに揺らぐサボテン、陰影を顕にした積雲。ゲームを「遊ぶ」事と全く関係ない自然だけが、そこにはあった。

なにもないことに、これだけ安堵するとは思わなかった。同時にかすかな期待があった。周囲に本当の意味でなにもないわけではない。目を凝らすと、大地にはがあったのだ。

何もない世界なら、フライトシミュレーションで幾度となく体験したことがある。そこには自由があったが、同時に孤独であった。だがこの大地には、なにもないが、なにかがある場所へ通ずる道はあった。現状なにもないが、探せばなにかある。

最近のオープンワールドは忙しすぎる。20メートルも歩けばNPCにお使いを頼まれ、50メートルおきにダンジョンが点在する。ありえねえだろ!

この間隙だ。RDRにおけるこの間隙こそ、本作における「世界」の醍醐味だ。戦闘、探索、クエスト、あらゆるゲーム的な行動の間隙に、偶然見た景色が、歩んだ大地が、実は作中で最も印象深く記憶されるのだ。

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ストーリーはとても印象深かった。数々のウェスタンで見られるような、ガンマン、保安官、詐欺師、牧師、メキシコ兵、そして主人公マーストンの宿敵など、非常に個性的な登場人物。

サイドクエストにはどれもドラマがあり、そこには退屈さがなかった。スパイシーなユーモアと、ビビッドな感情に満ちている。平和なオープンワールドの探索をそこそこに、やがて超大国へと進化するであろうアメリカの脈動を感じ取れるような、情熱と野心に満ちた人物と触れ合える。

だが一方、メインクエストになればマーストン個人のブラックな復讐劇へと移る。かつて同胞であった者が、自分に命乞いをしたり、或いは尋常ならざる憎悪をぶつけてくる。それらを一様にマーストンは射殺していく。とても重苦しい作業だ。

「カウボーイが死ぬ時代」である20世紀初頭、それは無論マーストンも例外ではない。暴力によって権力を手にした者たちは、皆一様に転落するのが運命なのである。

作品の脚本家はマカロニ・ウェスタンと、それ以降の『ワイルドバンチ』や『許されざる者』から大きな影響を受けたという。『GTA』シリーズも映画からの影響は強いが、何せあれだけ西部劇を生み出したアメリカだ。その途方もなく豊かな土壌から、この優れたストーリーが生まれたかと思うと感慨深い。

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この作品は感動と喜びに満ちていた。馬と大地で地の果てまで走る事も出来るし、喜劇と悲劇ともつかない豊かな西部劇に没頭することも出来る。

だが本当に優れているのは、かつてアメリカという大国を育てた可能性と背徳の時代を描いた「西部劇」そのものの世界に、自分自身が没入できる点である。

最近は「なりきりゲーム」が増えた。救世の勇者になる、無頼の軍人になる、スパイダーマンやウィッチャーにさえなれる。だが『RDR』は「凄腕ガンマンになる」ゲームではない

たった一人の孤独な男を、ガンマンと定義させる、この国家、この大地、この世界そのものに「存在する」気分になれるゲームなのだ。自分が本当に20世紀初頭のアメリカにいるのではないか、そう思わせるゲームなのだ。

それは美しい大地、リアルな馬、優れた脚本だけでない。

マニアでもない限り半分も知らないだろう何十種類もの銃、何時間でも乗っていられるような煤だらけの蒸気機関車、ボロボロの街並みとそこに生きるNPC、アウトローと酒場で朝まで続けるポーカー、その全てのディティールにおいて本作は、現代におけるオープンワールドのタイトルさえも圧倒している。

本作はゲームメカニクスとして新しい部分はほとんどない。2010年当時ですら『Grand Theft Horse』とも揶揄される、古臭いゲームでさえある。だがこの世界そのものの実在感は、現代においても普遍にして唯一のもの。だからこそ本作は傑作なのである。

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さて、まだ『RDR』をプレイしたことのない方でも、我々ファンが何故『RDR2』に期待するのか、ご理解いただけたなら幸いだ。え?ご理解いただけた?

 

 

 

 

ならどっちも買って遊ぶんだよ!!

 

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