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『レッド・デッド・リデンプション2』ストーリー解説・考察 前作との繋がりを考える【RDR2微ネタバレ】

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最近、『RDR2』を遊んでる友人に「実は前作『RDR』やってないせいで、ストーリー全くわからないんだよね」と聞かれる事が増えた。

なるほど、元々『RDR2』はストーリーが難解な上に、物語自体が前作の前日譚なために、その辺を理解していないとあまり楽しめないと思う。

そこで、今回は前作と本作との繋がりを、特に主人公のギャング団から考えていこうと思う。

そのため、前作のネタバレは多分に含まれるが、『RDR2』のネタバレはなるべく避けた。ご注意頂ければ幸い。

 

 

まず前作のあらすじは?

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前作『RDR』のあらすじを軽く説明すると、大体このような話になる。

舞台は第一次世界大戦直前の1910年。元ギャングのジョン・マーストンは連邦捜査官に家族を人質に取られ、自分が元々所属していたギャング「ファン・デル・リンデ団」の仲間たちを始末するように命令される。

彼はまず米南部のに潜むビル・ウィリアムソンの元へ向かうが、返り討ちにされてしまう。辛うじて一命をとりとめたマーストンは、まずコネクションを作るために、牧場の娘、村の保安官、トレジャーハンター、アイリッシュの武器商人などの依頼を受け、彼らとビルの砦を襲撃する。

だが、タッチの差でビルはメキシコに逃亡。同じギャング団だったハビエル・エスクイラに助けを求める。ハビエルはメキシコの独裁政権の将軍に取り入っていたが、マーストンは反乱軍を助けてメキシコの独裁政権を打開し、ハビエルとビルを始末する。

その後、マーストンはファン・デル・リンデ団のボスだったダッチを追い、米中部へ戻る。ダッチは新たにネイティブアメリカンを集めて反政府組織を作っていたが、これまでの仲間と協力しダッチを襲撃、追い詰められた彼は崖から飛び降りて自殺する。

ようやく連邦捜査官から家族が解放され、新たな土地で畑を耕しながら生活するマーストン。だが連邦政府にアウトローを生かす気はサラサラ無く、米軍によって牧場は襲撃されマーストンは家族を守って銃殺される。

そして3年後、息子のジャック・マーストンは母親を看取ると、かつて父親を殺した2人の連邦捜査官の元へ赴き、彼らに「贖罪」させることで、物語は結末を迎える。

 

このように、前作の物語は専ら復讐劇であった。

製作者はこの物語を後期西部劇の傑作『ワイルドバンチ』(サム・ペキンパー監督)や『許されざる者』(クリント・イーストウッド監督)から強く影響を受けたと話す。

迫りくる「文明化」の中で消されていく数々の概念と共に、ただアウトローを正当化するのでなく、己の過去と向き合い「贖罪(Redemption)」を遂げる。こうした時代の狭間で生きる人間を色濃く描く西部劇が、『RDR』なのだ。

 

ジョン・マーストンという男は基本的に善人であり、他人の頼みを断ることが出来ない。だが底知れぬ過去があり、それ故に、かつて仲間だったという人間たちを裏切り、消していく。

だが逆に言えば、マーストンに取ってファン・デル・リンデ団がどれほど大切なものだったのか。マーストンは彼らから何を奪っていったのか、それは前作だけではわからなかった。

前作で既にギャング団は解体されており、ビルも、ハビエルも、ダッチも、全員が落ちぶれてしまった。彼らはどういう人間で、何故彼らは転落したのか、何故ジョンは彼らを仲間として大切に想っていたのか、それを知るのが今作『RDR2』の物語なのである。 

 

登場人物

では実際に『RDR』と『RDR2』の両方に登場した人物にはどのような変化があるのか見てみよう。(主に物語に強く関係するファン・デル・リンデ団中心で、ゲスト出演的なNPCまで網羅出来ていない点は予めご了承願いたい。)

 

ジョン・マーストン

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1899年

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21年後

 

言わずと知れた前作の主人公。

独特のハスキーボイスが特徴で、素は善良で小市民的であり他者をホイホイ助けるが、いざ仕事の事となると極めて残忍な性格をむき出しに、かつての仲間であっても容赦なく始末する。

前作では連邦捜査官に家族を人質に取られ、元ギャング団を特定し殺害するよう命令される。ビル、ハビエル、ダッチを始末するが、最終的に裏切った連邦捜査官と米陸軍に射殺される。

今作ではファン・デル・リンデ団の中核メンバーだが、主人公のアーサーを含めた仲間の半数近くに嫌われている。過去に一度ギャング団を抜けようとしたらしく、裏切りの気配を既に勘付かれたため。

本人はギャング団の中でも現実主義者であり、ダッチの理想に限界があることを早期から悟っていたと考えられる。

 

ジャック・マーストン

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1899年

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25年後

 

ジョンの息子であり、前作の最終的な主人公。

ジョンと妻であるアビゲイルの間の息子であり、ジョンが誰よりも気にかけていた存在。ファン・デル・リンデ団のキャンプにも姿を見せ、ギャングたちには家族のように可愛がられた。

ジョンがギャングを抜け、連邦捜査官の仕事を追えた後、牧場にて彼と僅かながら生活をともにする。その間、狩りの方法や、銃の扱い方等を彼から教わる。やや自信過剰で、独断で熊狩りに向かうが返り討ちにあい、父親に救われる。

だがジョンが連邦捜査官に裏切られると、彼はジャックを身を挺して守る。3年後にジャックは父親の仇討ちのため引退した捜査官であるエドガー・ロスの元を訪れ、彼と決闘し殺害する。因みに、この時彼の妻を含めた家族全員を殺害できる。

 

ビル・ウィリアムソン

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1899年

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21年後

 

ファン・デル・リンデ団の実質的なナンバー2。ダッチの右腕であり、頭脳は弱く癇癪持ちなためトラブルを常に起こすが、こと戦闘において高い実力を発揮し、信頼を置かれていた。

元陸軍兵士であり、性格は極めて粗野で残忍。その原因は、南北戦争における一種のPTSDとも考えられる。『1』でも『2』でもあらゆる犯罪に手を染め、仲間からも恐れられている。

前作では、ダッチの発狂によりギャング団を離脱し、フォート・マーサーという砦で自分のギャング団を組織する。ジョンの接近を知ったビルは、何度か彼や彼の仲間を襲撃するが、最終的に砦はジョンに破壊され、ビルは命からがらメキシコに逃亡する。

メキシコではハビエルと共に独裁政権の庇護を受けるが、革命軍に取り入ったジョンにより再び追い詰められ、処刑される。

 

ハビエル・スクイラ

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1899年

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21年後

 

ファン・デル・リンデ団の古参メンバー。比較的、穏健派であり仲間想いな性格故に、ギャングにおける信頼は大きい。

元メキシコ革命軍の兵士であり、父親もそうであった。大義のために戦っていたが、ある時を境に賞金稼ぎになり、最終的にはダッチの思想に賛同して現ギャング団に加わる。

前作では、組織の空中分解に伴ってメキシコ独裁政権の将軍に取り入り、将軍の懐刀として活動する。ビルと異なりハビエルはジョンを「兄弟」と信じ関係修復を持ちかけたが、家族を人質に取られている以上ジョンは戦う他なく、どの選択肢であれ、最終的にハビエルはジョンにより殺される。

今作では彼のギャング団への献身が特に強調され、捕虜となった仲間を救出するよう呼びかけるなど、彼が本当にギャングを家族のように想っていたことが伺える。

 

ダッチ・ファン・デル・リンデ

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1899年

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21年後

 

ファン・デル・リンデ団におけるボスであり、優れた知性、達者な射撃、冷酷だが仲間想いな性格、それらから生ずるカリスマにより、曲者ぞろいのギャング団を支配している。

 

ダッチの過去は殆ど判明していない。明らかになっているのは、コルム・オドリスコールとホセア・マシューズらと今のギャング団を作り、コルムとは離別し、代わりに幼少期のアーサーやジョンらを仲間に引き入れ育てた事だ。

ダッチは自分のギャングとしての行動に「大義」を抱えており、政府や法による支配から逃れた自由な土地を作るための行動だと信じている。故に不要な殺害や、強姦などは許容せず、自分たちは「義賊」であり、かつてのアメリカに理想を抱く一方、当時規制が少なかった資本家による収奪を憎み、貧しい者を救うべきだと考えている。

だが時に冷酷であり、特にお互いがお互いの肉親を殺したコルムには、とてつもない復讐心を抱き、彼の部下には一切容赦せず、感情的に拷問することさえある。また、自らの家族を傷つけた者は例外なくどこまでも追い詰めようとする。

 

しかしながら、ダッチは自分たちの理想が既に無理かあり、ギャングやフロンティアはやがて駆逐される運命にあると理解している。だが現実的な道を選べず、ファミリーを危険に晒す自分に苛立つ。その矛盾に彼は耐えられず発狂し、ギャング団は空中分解してしまう。

野心と理想、知性と暴力、寛容さと冷酷さ、こうしたいくつもの矛盾こそ彼の人格であり、カリスマである。それは彼が「文明化」を拒絶しながらも、最新の自動拳銃を愛用していたことからも窺える。

最終的に彼は政府により弾圧されたネイティブアメリカンから武装組織を作り、山中に立てこもる。しかしジョンと米軍に追い詰められ、「Our time is passed, John.(我々の時代は終わったのだよ、ジョン)」と言い残し、自ら崖から飛び降りて死亡する。

 

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いかがだっただろうか。何十人もの登場人物に、隠された複雑な過去、心理を読み取らせようとする物語など、中々わかりにくい物語なのだが、前作の事情を踏まえた上で楽しんでもらえれば幸いだ。

実際、本作のストーリーはとてもよく出来ていると思う。消えゆくアウトローの悲哀という点は前作とそう変わらないが、完全に追い詰められる一歩手前で、ちゃんとギャング団として成立しており、その上でギャング団という組織の中で、互いを家族のように思いやり、しかし上手く行かず対立するなど、ビデオゲームの中でも稀なクオリティだと思う。

もしよければ、ロックスターが参考にしたであろう西部劇の名作も見てみるのはどうだろうか。映画としても極めて評価された、質の高い作品が揃っている。

ストーリー全部クリア出来たら総論としてまた考察記事書きたいなぁ

 

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