ゲーマー日日新聞

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ゲーマー日日新聞が決める2018年のベストゲームTOP5

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2018年は本当にゲームが楽しい年だった。

真面目に、ゲーマーやってて本気でよかったと思う。こうした傑作に真剣に向きあえたから。同時に記事書いてて良かったと思う。その情熱を思う存分ぶつけられたから。

そんな数々の傑作に優劣の順位を付けるのは非常に悩ましいのだが、やっぱりGOTYは年末恒例。比較することで見えてくるものもある。ということで以下の順位は完全にJ1N1個人の意見である旨を前提に、”最後まで”読んでいただければ幸い。

 

条件:

・2018年に発売された作品

・↑以外にも2018年に完成したアーリーアクセス作品/2018年に日本語版・日本語化MODが公開された作品を含む

・J1N1の完全な主観、だが推しには絶対の自信あり

 

5位:My Child Lebensborn

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ノルウェー現代史の暗部、「レーベンスボルン」における差別や弾圧を、そのままビデオゲームにおける体験に収めた作品。

斬新な点はプレイヤーが操作するのが「被害者」でなくその被害者を養子に迎えた「親」という点で、たとえゲームの中でも、間接的に自分の子供が苦しめられる事で、『My Child』は格段に他人の悪意をプレイヤーに伝達している。

だがなんと言っても、戦後の苦難を取材したドキュメンタリーに端を発する本作が持つ、「我々が知らないだけで、こんな残酷な事があったのだ」というジャーナリズム的な思想に立った訴求力に驚嘆せざるを得ない。VRだのesportsだの、ビデオゲームも色々な方向で進歩してきたが、今やビデオゲームは「メディア」としての価値も見出され、その代表作が本作なのである。

私も弊紙に「ゲームと政治」というテーマで連載記事を書いたが、『My Child Lebensborn』はまさにゲームが政治にも影響を及ぼすことを示す証左だ。若干ながら物足りなさというか、資料的な価値と物語的な手法で揺れた点が惜しいものの、この作品は現状明らかに過小評価されている。数年後には本作を踏襲したような作品がどっと増えるだろう。

 

4位:A Way Out

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面白いCOOPゲームは数あれど、常にあるジレンマを抱えている。それは「プレイヤー同士をあまり協力させない方が結果的に面白い」という課題だ。何故なら、他者と協力する必然性を作る上で必ずプレイヤーの自由や権利を制限する必然性があるため。

その結果、友だちと遊ぶゲームとは、せいぜい「同じ体験を共有する」程度で良いという認識が、昨今のMMOをプレイしていて感じる見解だ。

それらと対照的に、「強い協力」を求めるのが『Portal 2』や『Overcooked』だった。だがその上に、『A Way Out』は単にゲームのインタラクションのみならず、その物語や演出を含める「ナラティブ」のうちにさえ、相方となるプレイヤーの協力ありきの作品となっている。

『A Way Out』は物語の陳腐さやシステムの安直さが気になるものの、その誰もが想像できても具体化は出来なかった思想を、見事にゲームプレイとして完成させている点は圧巻。本作を契機に、ビデオゲームを通して誰かと体験を共有する作品は今後ますます進歩すると思われる。

 

3位:Kenshi

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この作品こそ、2018年の傑作と呼ぶべきだろう。もっとも開発は2006年に始まったのだが。

たった一人のゲームオタクが「自分が最高に遊びたいゲームを作ろう」を願って12年、そのほとんどを警備員のアルバイトと掛け持ちで開発してきた。チームは最終的に4人に増えたものの、その根気には感服せざるを得ない。

だが作品自体は決して自己満足的なものに終わっていない。古きよきCRPG的なシステムに、『Ultima Online』のようなMMOのスケールの大きさ、そして黒澤明の世界観へのリスペクトによって、本作はAAA級にも劣らないクオリティまで磨かれた。

そして何より、『Kenshi』最大の魅力は「生」への尊重と、「死」の執着にある。生きるために何をするか、それでも万策尽きた時、自分はいつどのように死ぬのか。

本作は単なる海外RPGのリスペクト等では収まりきらない、壮絶な凄みがある。それはまさに、真にゲームを愛するゲーマーによる無窮の努力がもたらした結晶に他ならない。

 

2位:モンスターハンターワールド

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例年なら間違いなくGOTY1位だと確信できる傑作。

私が『モンスターハンター』を愛する理由は、何をおいてもまず国内外における最高峰の「Melee-Combat Action」にある。それは近接武器による剣戟、接近しての回避・ガード・斬撃・打撃による駆け引きだ。そこに遠距離武器の奥深さも無論、他のゲームにない唯一の魅力である。

本作が発表された時、皆の絶賛とは裏腹に自分は不安を隠しきれなかった。いくらグラフィックが美しくなり、フィールドが広がっても、とどのつまりアクションが面白いかどうかが重要だ。万が一、凡百のAAA級アクションのような、あらゆる動作や方向が自動化された結果、単にボタン連打で戦闘が終わるようなことになれば、自分はカプコン本社に嘆願書を10万枚ぐらい書いて突撃するかもしれない。

だが、全ては杞憂だった。むしろ広大なフィールド、新たなモンスター、刷新された諸々のシステムやUIは、いずれもこのMelee-Combatを拡張するための布石に過ぎなかった。正しい方向に、正しいコマンドを入力し、正しく敵の攻撃を予見し、正しく防ぐ、至極の戦闘。やはり他のゲームでは、この死闘感の数十分の一さえ引き出せない。(最近ではフロムがいい線を攻めてるが)

ありがたいことに、本作をもってついに『モンスターハンター』という日本が誇る傑作アクションシリーズは国際的な評価を得ることになった。だがそれも、「遅すぎた」ぐらいだ。

 

1位:Red Dead Redemption 2

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本作が何故2018年で最も優れた作品と言えるのか、それは後日投稿予定のRDR2批評及び考察の有料記事を読んでいただければ全てご理解いただけるはず……というダイレクトマーケティングはともかく。

Rockstarの頑固さにまず賛辞を送るべきだろう。去年の『ゼルダの伝説BotW』は言うに及ばず、元々『GTA』シリーズの十八番だったオープンワールドは既に業界のデファクトスタンダードと化し、その上で様々な工夫や発明を各社が練っている中、Rockstarは何一つ顔色を変えず、図々しくも「いつもの手法」……要は目的地まで運転して敵を射殺して帰投するだけのゲーム性を貫いたのだ。

だが無論そこには勝算があった。自分たちの手法は17年前から常に正解だったという確たる自信があった。実際私がプレイしてみて、本当に彼らの手法が正解だと認めざるを得なかったのだから笑えない。

詳細は寄稿する批評を読んでいただきたいが、要するに『RDR2』は「アーサー」という一人の男の物語だ。それは同時に、「ファンデリンギャング」という疑似家族と、オープンワールドに描かれる疑似アメリカの神話でもある。

こうしてアメリカという世界と、アーサーという個人が、そして銃撃戦に特化したゲームプレイが極限まで「ねじれ」の関係で結ばれていく。そのダイナミクスを、徹底的に詳細まで構築した世界観と、一切の妥協のない脚本と演技が成立させる。

このゲームは決して「上手いゲーム」ではない。だがそれこそRockstarの思惑通りなのだろう。少なくともここで描かれる人間も、組織も、世界も、誰もが「上手い」人間などいないのだから。

 

note.mu

批評書きました。(2018年12月30日)

 

結論

あのね、いくら何でも2018年のゲーム面白すぎ。

2016年も2017年も、「今年はこんなに恵まれたなら、来年はきっと不作だろう」と不安を抱いてはいたが……、一体どうなってるんだ。人生がゲームを遊んでるだけで終わりそうなんだが。

まったく、何が「PCや据置機のゲームはモバイルゲームに潰される」だ。10年前にそう判断したNHKの記者に今のゲーム市場を見せつけてやりたい。

記事にも書いたが、今やモバイル・据置・PC・VRあらゆるデバイスが潤っている他、大作・インディー・esportsとにかくどこもかしこも成長しすぎである。ゲームの洪水に溺れるのもまた本望ではあるのだが、まぁさすがに2019年はゆっくり積みゲーを消化できるはず……。

 

ん?

 

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それにしてもここ10年で、2018年こそ最良のゲーム年だったと思う。

いやいや、2017年が」と思う方もいるかもしれない。だが私がゲームに今ほどハマる以前、小説や映画や音楽でずっと自分が一貫して求めてきた好みが、今年はどストライクだったのである。

その好みとは「人間」を描く作品だ。真剣に人間を描いてほしい。私は人間が見たい。社会では決して見れない人間の内側、むしろ大多数の人間は持ち合わせることさえない人間の境地、私は人間が、人間が見たい、人間をインタラクティブなメディアで味わいたい、そう願って電子ゲームの砂漠の中を放浪してきたとさえ言える。

無論ヒューマンドラマが全てではない。私が今回上げた『モンスターハンターワールド』は愚にもつかない物語だったがそんなものは全くどうでもよく、とにかく極上の戦闘が味わえればよかったのだし。『Rim World』も前回のGOTYにあげていなければ、今頃ここにランクインしていただろう。

が、グラフィックが美しくなり、演出が豪華になり、システムやUIが刷新されて進歩し続けてきた「ビデオゲーム」というカルチャーに唯一足りないもの、それは人間だったと言えるのではないか。*1

真剣に描かれた人間。ある種、世間的に「文学」と呼ばれる何かだが、それは決して小説のみならずテキストのない民族音楽にさえそれは宿る普遍的なテーマだ。無論ゲームにも通用すると私はそう確信している。今年はそうしたゲームを何本も遊べた。しかもそれが評価され、今後の潮流になろうとしている、こんな幸福なことが他にあるだろうか。

 

 

 

 

ではこの辺で、皆さんよいお年を!

 

 

………

 

 

 

 

……………

 

 

 

 

 

番外:『Doki Doki Literature Club !』

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まぁ弊紙を読んでもらったり、つまらないTwitterをフォローしていただいてる方なら大抵予想通りだと思うが、この作品は紛れもなく今年で一番面白かった。番外というポジションは、正直自分すら推し量ることが出来ない程の傑作だから、という意図。(まぁほぼ1年夢中になって記事を書いても尚、結局ハッキリ理解できてないのが良い証拠。)

じゃ、何がそんな面白いの?という話に当然なるはず。それを説明せずに「でも『DDLC』は最高なんです!」というのはちょっと無責任だろう。

 

というわけで………

 

正真正銘、最後の『DDLC』記事にして、未だ一度も書いていなかった「『DDLC』批評」を近日公開予定。

私事ながら最近、弊紙で書いたゲーム批評が100本を超えて、ようやくこの作品の批評を書けるかなと。ほぼ1年近く遊び続けたADVって生涯で初めてなんだけど、それに対する返礼も籠めたゲーマー日日新聞最大の記事を書きたいと思う。

 

「本物のゲーム批評」とやらを御覧に入れよう(ΦωΦ)フフフ…

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終わんのかこれ

 

(あと◯◯が足りない!という人へ、6位以下のGOTYはまた別に記事書きます!)

*1:いや、勿論JRPGやADVがすごい良い線いってはいるんだけどね。その中でも『The Last of Us』や『クロノトリガー』、『Stein's; Gate』、『Half-Life』等の一部傑作は紛れもない一流だ。