ゲーマー日日新聞

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【評価/感想/レビュー】『エースコンバット7』は紛れもなく正統エスコンだ。ただある一点を除いて。【エスコン7】

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空を飛んでるだけで楽しいゲーム

 

あのゲームのことか

ああ 知っている

話せば長い

そう古い話だ

知ってるか?

ゲームは3つに分けられる

新しさを求める奴

クラシックに生きる奴

流行を読める奴

この3つだ

あいつはーーー

 

『エースコンバット7』はバンダイナムコが開発する『エースコンバット』(以下『エスコン』)シリーズ最新作であり、ナンバリング付き『エスコン』の中では12年ぶりの作品となる。

前作からあまりに時間が経過したためにシリーズを知らないという方も多いかもしれないが、『エースコンバット』といえば、プレイステーションのハードを代表する空戦ゲームだった。(Xbox360の『6』など一部は別ハードで展開)

え?結局何をするゲームなのかって?そりゃ簡単。広大な空を飛んで、敵機や施設を破壊する。時折色々なミッションが含まれるが、大体そんな内容である。

元々、アーケードゲーム『エアーコンバット』の移植版として作られた本シリーズは、アーケードらしい硬派さを現在まで引き継いでいる。要するに、好きな軍用機で空を飛べるなら楽しいにきまっているだろ?という、ごくシンプルな理念に基づいて作られている。

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だが、やることがいくらシンプルでも、その奥深さは計り知れない。単純なルールだからこそ、研ぎ澄まされた戦略性があるのも、またアーケードらしい。

「空」という上下左右から敵を狙いまた狙われる空間を、「軍用機」という一筋縄では制御できない機械に乗り込んで戦うゲームプレイは、何百時間遊んでも飽きない魅力が詰まっている。

最初は狙ったコースをまっすぐ飛ぶことさえ叶わない状態から、やがてヨーやピッチを把握し、やがては敵機を次々と撃墜するエースパイロットになっていく。

空を飛翔し、敵を撃つ。ただそれだけのゲームプレイに特化し、余計なものを全て切り捨てたゲームプレイは、何かと親切になった現代のゲームと比べると、些か新鮮味さえ感じるだろう。

 

そして驚くことに、『エースコンバット7』は本当に何もこの部分が変わっていなかった・・・ということに、ファンは安心するべきだ。

全く同じなのである。ブリーフィングを行い、ハンガーで機体を整備し、空へ舞い上がり、敵機とドッグファイトをし、敵味方にヨイショされながら帰投する。すると休憩がてら世界観を説明するムービーが流れる。

時折バリエーションが変わるが、基本的にそれを延々と続けるのだ。今どきのゲームに慣れきったプレイヤーの精神は、たちどころに「PS2」のコントローラーを握っていた頃の記憶を思い出すだろう。『ACAH』のように、突然ヘリコプターの、それも輸送機のドアガンナーの役を唐突に無茶振りされることもない。

相も変わらず、空対空ミサイルは敵の尻からぶちこまないと当たらず、敵機とかすれば自機は一瞬で爆散し、最初のブリーフィングをしっかり聞いて「敵の対空レーダーを破壊するぞ」と言われたので対地用兵器を持ってきたら、全くブリーフィングでは聞いてなかった多数の敵戦闘機に襲撃され、なくなく機銃と通常ミサイルだけで対抗するのである。

あぁ、12年経過しても、本作は間違いなく『エースコンバット』なのだ。

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こういうカスタマイズ懐かしくない?

 

12年かけて作った飛行機と雲

ところで、その新作『エースコンバット7』の話をする前に、この広告をみていただきたい。

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これは、あるゲームショップで入手した『エースコンバット7』の宣伝用冊子なのだが、お気づきになられただろうか。

 

「<空の革新>」

「着氷、落雷、乱気流など特製のある雲を配置」

「ディテールへのこだわり」

「新たな武器と操作技術」

「近未来超兵器との闘い」

「機体のカスタマイズ」

「A-10C」「F-35C」「Su-35S」「MiG-29A」

 

これ、本当にゲームの広告か?

だが仕方がない。これがエースコンバットなのである。

綺麗な雲、細かい背景、ひたすらリアルな軍用機、それに新しい敵や兵器。それだけで、十分に『エースコンバット』であるし、それ以上このゲームには不要なのである。

だから、この時点で何一つ興味がない。まして、「え?リアルな軍用機に乗れることの何がそんな楽しいの?架空の飛行機じゃダメなの?」とか思ってる人は、多分あんまり楽しめないのがこのゲームだ。

 

と、そんな開発陣が特にプッシュしているのが雲の表現。そして遠景の美しさと、広大な空がセットになったことで、迫力満点のフライトを楽しめる点。これに関しては、いやはや圧巻と言う他ない。

今回導入された「Unreal Engine 4」の表現力もさながら、しかしただアセットをこねくりまわして作れるような「空」では到底ないのは、誰の目から見ても明らかであろう。特に厚い雲を上昇して突き抜けたときに見える、広がる雲海と太陽の光は、筆舌に尽くしがたい美術である。もとより、『エースコンバット4』からも「雲の表現」を見て制作に踏み切ったと言われるほど、雲にこだわり続けてきた本シリーズなだけはある。

もう一つ、大きく『6』から大きく進化したのが遠景描写。特に昔は貼り付けた絵のようだった地表が、今作では「え?何のためにここまで作ってるの?」というレベルに、街や道路まで一つ一つ作っているのだから、もうここまでくると変態レベルである。

とはいえ、この色々な天候はビジュアル的に美しいもののゲームとして面白いかと聞かれれば、ぶっちゃけ微妙だ。

まだ風や雲はリアルなフライトシミュレーターと考えれば理解できる。しかし、定期的に機体の電子機器が使えなくなる雷やレーダー無効の砂嵐は、完全にゲームに制約をかけるだけで戦略性とは程遠い。

というか、あからさまに「古いゲーム」のような縛り方で、逆に没入感を削いでいる。本作は全体的に、リアルなシミュレーターにしたいのか、難しいアーケードゲームにしたいのかが曖昧で、その曖昧さがレベルデザインに悪影響を与えているように感じた。

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また『エスコン』といえば外せないのが、男の子はみんな大好き(だよな?)リアルな飛行機だろう。今作でも、Su-33、MiG-29、Su-34など、たかだか8000円払うだけで愛する祖国の飛行機に乗り放題だ。(同志、チョイスが偏ってないか、だと?)

当然ながら、今作の飛行機もディティールだけなら前作と比べるまでもない。一体どういうツテで調べているのか知らないが、ボルトの一本、かすり傷の一つまで見えるほど細かく作っているのは圧巻だ。

そしてなんと言っても嬉しいのがコックピット。コックピット視点自体は『4』から存在したが、今作『7』のコックピットは凄い。計器はぐるぐる回転してるし、ボタンやレバーが既に何十回と出撃したように少し古ぼけているのだから、軍事オタクは喜ぶに違いない。

というか、軍事「シミュレーター」『ARMA』シリーズにも十分匹敵するクオリティときたから、いよいよ『エースコンバット』はゲームというよりシミュレーターではないのか?と思えてきた。(いや、あながち間違いでもないか)

だが、さすがにディティールにこだわった結果なのか、登場機体が少ないのは個人的に残念。F-117とかB-1とか、変態飛行機にもっと乗りたかった。あと欧州機をもうちょっと・・・!そう、トーネードIDSとかトーネードADVとか!

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架空戦記としての魅力を失った『エスコン』

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ここまでの「硬派な飛行機ゲーム」としての側面だけ考慮すれば、『エスコン7』は紛れもなく良作だ。いくつか不満点はあるといえ、現代でむしろこれだけ尖った、それでいて飽きないフライトシューターをよくぞ蘇らせてくれたと思う。

だがそもそも、ただ飛行機を操縦するだけのシンプルなゲームプレイで、『エスコン』シリーズはナンバリングだけでも7本、シリーズ累計で10本以上も、どうして続けられたのか?

『エスコン』にはフライトシューティング以外にも、もう一つ大きな魅力があった。それが架空戦記のストーリーテリングである。

 

もとより『エースコンバット』シリーズは「ストレンジリアル」と呼ばれる我々の地球と限りなく似た架空の世界を舞台とした、架空の世界観を描いてきた。

その中でも、大国同士の陰謀が渦巻く政治や、その結果産み落とされた超兵器、それによって生じる戦争の惨禍などを描く、SFミリタリーとしての太い物語が『エースコンバット』には存在しており、そうした架空でありながらリアリティある世界での戦争に参加することで、実際に自分がエースパイロットになったような気分にさせてくれるのである。

特に、現実の世界を舞台としたエスコン『ACAH』をプレイした時に筆者は気付いたのだが、本物の米軍のパイロットとして活躍しても、我々はあまり没入感を感じられない。何故なら、無数の戦闘機同士がぶつかった第二次世界大戦の時代ならまだしも、どう考えても、現代の米軍に敵を何十機と落とすようなエースパイロットはまず存在するわけないからだ。(いたとしても、相手は大半がコイン機に搭乗した素人だろう。)

その上、ギリギリSFだと感じるリアルな世界を舞台に、『エスコン』はあえて主人公の顔や声をなくし、主人公=プレイヤーという構造を用いながら、実際に自分が戦争に参加しており、自分が英雄として歴史さえ動かしているのだという感覚を与えてきた。

こうした『エスコン』独自の極めて秀逸なストーリーテリングこそ、このハードでシンプルなゲームを、シリーズ累計1000万本を超えるまで愛させるための「フェロモン」だったのである。

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『エースコンバット』における地球

 

ところが、問題の本作はこうした魅力が欠けていると筆者は感じた。

確かに、本作もシリーズおなじみのストレンジリアルの地球で大国同士の戦争に参加する。にもかかわらず、シリーズの名物だった実際に自分が戦争に参加している、今自分が歴史を変えているという感覚がない。

その理由として、まずプレイヤーが懲罰部隊にいるからという理由が考えられる。訳あって主人公は正規の軍務から解かれ懲罰部隊に参加するが、そもそも懲罰部隊が戦争の最前線にいるはずもなく、ミッションの内容も戦争の中心から離れたところで進んでいく。

また合間合間に挟まれる定番のムービーにも魅力を感じない。敵国の老兵と自国のメカニックの目線で交互にゲームの裏側が語られるのだが、今ひとつフワッとした話が多く、特に女性メカニックのくどい台詞はわざとらしすぎて白けてくる。いや、中二病全開の言い回しは『エスコン』名物なのだが、やはり戦争や政治と関係ない所で、延々と自分語りしているので鼻についてしまう。(同じ脚本家のためか、まんま『ブラックラグーン』みたいな言い回し。)

これまでのエスコンが、架空戦記として政治・社会・戦争にフォーカスした物語を、主人公=プレイヤーの構造で落とし込んできたのに対し、『7』では新たな角度から物語を展開しようとはしているが、主人公(プレイヤー)の存在があまり絡まない寂しさと比べて、新しい価値を提示できていると感じなかった。

今までが英雄を描いてきたのだから、今作は地道な兵士として戦おうという話かとも思ったが、根本的なシステムは空で無双する『エスコン』なわけだし。

 

とまぁ、物語部分に色々不満はあるのだが、実はシナリオ後半になるとこうしたフラストレーションが伏線だったような展開があり、そこまで行けばグッと楽しくなっていく。

だが、根本的に序盤中盤が退屈なことは否めないし、何よりも、物語の起伏が、物語を読み続けさせる推進力が欠けているのは事実で、それは実際もったいないと感じた。

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結論としては、エースコンバットファンは無論、ミリタリーやフライトシューターに興味があるなら楽しめる作品だと思う。根底における「エースコンバット」のDNAを、今作は間違いなく引き継いでいる。

だが、12年の間が空いて、今新しい若者に受け入れられる程の魅力があるかといえば、否だ。『4』や『5』はいくら険しくとも、優れた架空戦記のナラティブによって乗り越えようと思わせられたが、今作はそちらにあまり期待できない。

本作をプレイして、想像以上に自分の中では『エスコン』はフライトSTGとして以上に、架空戦記を楽しむゲームだったのだと実感した。これは続編から突然B級映画のような物語になってガッカリした、『Splinter Cell』や『Ghost Recon』シリーズなどのトム・クランシー原作ゲームでも感じたことだ。

 

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追記:エースコンバットが賛否両論な理由(01/21)

本作『エースコンバット7』はかなり評価が割れた作品だと思う。だからといって自分の評価を変えるわけでないが、そもそも何故評価が割れたのか少し考えた。

 

まず前提として、『エースコンバット7』は過去作と比べてやや難しい。追加された天候・雲要素がほとんどプレイヤーの不利になるものだからだ。これが、ストレスの原因にしかならないという不満という声があった。

一方で、これに対して「空を飛ぶことの恐怖を描いた作品だ」という反論もある。雲を含めた天候の追加はリアリティの追求であると。

思えば、大抵のゲームはこの二律背反に苦しめられてきた。リアリティを追求することでの、現実の仮体験としてのビデオゲーム。娯楽性を追求することでの、遊びの仮体験としてのビデオゲーム。どちらに寄せるかの塩梅はゲーム次第だ。

 

『エースコンバット』シリーズは実にこの塩梅が上手かったと思う。ここでは「硬派なアーケードゲーム」と主軸に置いたが、これはあくまで12年ぶりのタイトルとなる本作を紹介する上で、弊紙の若い読者にも改めて『エスコン』を紹介する上での適切な文脈と判断したため。

自分自身、『IL-2』はもとより昔は『DCS world』(の特に『A-10』)や『Microsoft Flight Simulator X』にハマったが、それらに比べれば『エスコン』はラジコンを操作するほどに簡単だ(そもそもゲームであってシミュでないし)。正直『Battlefield』シリーズの航空機の方が操縦は難しいだろう。

とはいえ、フライトSTG自体ハードルが高い。誰もが義務教育で航空力学を学ぶわけでもなく、ヨーやピッチも理論で理解しても実践に活かすのは困難だ。

だからこそ『エスコン』は凄い。シリーズ累計1000万本を記録し、『4』『5』『ZERO』はPS2の不動の名作。決してメジャーと言えない題材ながら、架空戦記としてのストーリーテリングや慣れれば一人で何機も撃破できるカジュアルさで、数多の中高生をフライトの魅力へ誘った。

 

問題は本作『7』である。少なくとも、個人的には物語という推進力がやや落ちたことで、少なくとも初心者が1から『エスコン』を楽しむことはやや難しくなったと考える。

その上で、天候の変化は適切だったのか。個人的にはここが大変微妙なラインだったと思う。

新たな天候の仕様は、プレイヤーに不利しかもたらさない。これは我々のような既プレイ勢にすればちょうどよい調整でも、新規プレイヤーからすれば慣れない操縦に加え「リアリティ」を押し付けられれば、難しいと感じるのは当然だ。

その上で、本作の大半を占める無人機との味気ない闘いや、複雑な地形、レーダーのかいくぐりまで加わってくるので、尚更である。

確かに天候の変化はリアルなフライト体験になると思うし、個人的には難易度もそこまで高いと感じない。だがゲームプレイとして楽しかったかといえば、否。『XCOM 2』の時間制限が批判されたように、制約だけ増えていくゲームデザインは難しさ以上に面白さに欠けるし、敵が制約を受けないと公平さに欠ける。

 

また、『エースコンバット』の評価を難しくしているのは、比較となる他の作品が変わってしまったことにあるだろう。

『エースコンバット4』が発売されたPS2時代では、『アーマードコア』のようなマシンを間接的に操作するシビアなゲームは珍しくなかった。対して20年近く経過した現在、ビデオゲームの流行は大きく変化し、操作方法が簡略化・自動化されたカジュアルなゲームが増えた。

だからこそ、新たにプレイする層に向けた一定の配慮は必要だったと思う。それどころか、本作『7』は部分的に『4』時代より複雑化しているので、そりゃ初心者は置いてきぼりを食らってしまう。

かといって、『ACAH2』を作れと言ってるわけでない。同じPS2時代のハードなアクションゲーム『モンスターハンターワールド』は、海外向けに煩雑化した部分を削除し、序盤は簡単な難易度カーブや練習モードを設けつつ、本質的な部分ではファンも納得の手応えあるアクションを実現した。

 

ともあれ、多少ネガティブな言及が増えたが『AC7』が自分を満足させてくれたことは事実だ。少なくとも『ACAH』のような方向性よりはずっといい。

だが手放しで評価するのもまた、些かマニアの懐古ではないかと感じる。『AC7』をプレイしてこのシリーズが袋小路に入ったと感じたのもまた事実だ。物語も、ゲームデザインも、次世代のフライトSTGの行く末がまだ見えてこない。

特に今後はPC版の発売に伴って、まだ『エスコン』に触れない層も入ってくるだろうし、そのときは更に評価が割れるかもしれない。だが何にせよ、フライトSTGの魅力を語り継いでくれたProject Acesには感謝するし、ここから新たなフライトSTGが生まれれば僥倖だと思う。

つまり『Birds of steel 2』をだな・・・。