ゲーマー日日新聞

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チーターがゲームを壊すまで 『Apex Legends』の場合

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 『Apex Legends』は昨今のバトロワブームの中で一番の「アタリ」だと思います。かれこれ物色してきましたが、『Titanfall』で見せたRespawn Entertainmentの実力を垣間見えるようです。

arcadia11.hatenablog.com

 

 ところが、今このゲームは急速に死にかけてます。このまま放っておけば、多分死にます。

 

 その「病」が既にSNS等でも話題になっているチート、及び業者です。優れたゲームシステムとルール、バランスによって5000万ユーザーを集め、バトロワ界に新しい風を吹き込んだ傑作ゲームは、完全な外部的な要因によって死にかけています。

 

 え?でもチーターなんてどんなゲームにも大なり小なりいるんじゃないの?と思うかもしれません。

 

 では具体的に、どれだけ『Apex Legends』のチート及び業者がヤバいのか簡単に説明した上で、オンラインゲームにはつきものなハッキング問題について考えたいと思います。



傲岸不遜のチーター

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 まず当たり前ですが、チーターがヤバいです。チーターというのはゴキブリのようなもので、人間がゲームを楽しんでいる限り確実に侵入し卵を植え付けて増殖する害虫のため完全な撲滅は難しいのですが、にしてもヤバいです。

 

 具体的には、まず数が挙げられます。とにかく多いんです。10ゲーム遊んだら普通に2ゲームには遭遇します。それも明らかに「アウト」と断定できるもので、実際にこっそり使ってる人間を含めれば半分ぐらい遭遇してるかもしれません。

 

 そして次に、悪質なチートが本当に多いです。チートにも色々種類があり、FPSでは主に壁を透過するウォールハック(WH)、敵を自動で狙えるオートエイム(AA)、ゲーム内の移動速度や武器性能を直接弄るものまで、種々あるんですが、当然その「悪質さ」というのもあります。

 

 例えば極端な話、ウォールハックを使う相手なら正面で戦えば勝ち目はあります。相手は「こちらが来る」ことを予測しているため若干有利になれますが、最終的な撃ち合いは狙いの正確さ、所謂「エイム」が勝負を決めます。

 

 一方、オートエイムにはまず勝てません。人間には不可能な動きをして狙えるからです。どんなに上手いプレイヤーでも「敵を見つける→敵に狙いを定める→撃つ」というプロセスがありますが、AAを使っていると「見つける→撃つ」まで1秒とかからず全自動でやってくれるので勝てます。

 

 まして、ゲーム内の性能を弄る系の、本当に洒落にならないハックは当然勝てません。例えばウィングマン一発の威力を200にされたら一発で死にますし、空を飛んだり、何倍の速度で移動されたら無論勝てません。流石に空を飛んだチーターはみたことがありませんが、ゲームによってはいます。まだ銃の反動をなくすチートもあるんですが、正直これ使ってるクセェなって奴は結構います。

 

www.youtube.com

『MGS2』のフォーチュンみたいに弾薬を全部弾くチートとかある。小学生かよ。

 

 と、このようにチートにも「たちの悪さ」があるんです。先ほど説明したチートであれば、下から順にヤバいチート、人間には絶対勝てない悪質なチートです。そして『Apex Legends』にはその一番悪質なチーターがゴロゴロいます。オートエイムも散見します。

 

 少し話は変わりますが、何故チートに「たちの悪さ」があるのか、わざわざWH等の微妙なチートを使うのは善意なのかと思うかもしれませんが、無論チーターはゴキブリなので善意もクソもありません。

 

 コイツらがAAを使わずWHで妥協するのは、要するにバレるからです。あからさまなチートはすぐバレます。そして相手に疑われると通報され、通報されればアカウントを失うリスクが生まれるのです。だからチーターは仮にAAを使うにしても一瞬だけとか、WHだけ使うとかして、相手をあまりに一方的に虐殺しないようにします。

 

 そう、相手にバレると通報され、通報されると困るからチートを使わない抑止力があります。ところが『Apex Legends』には通報機能がありません。ないので、相手にチーターだとバレても全く困らず、当然ゴキブリ共は舐め腐って一番強いチートを存分に使ってきます。

 

 要するに、このゲームは舐められているのです。

 

(厳密には『Apex Legends』のアンチチートプログラムである「Easy-anti-cheat」のフォーラムから通報できます。ウヨウヨ湧いてるチーターと交戦する度にSSを撮ってここに書き込む労力があれば、ですが。)

https://www.easy.ac/en-us/support/apexlegends/contact/report/

 

 何度も言いますが完全にチーターや業者を撲滅することは出来ません。飲食店であればゴキブリの一匹や二匹は侵入するでしょう。だからこそ、こまめに殺虫剤等で死滅させれば大事には至りません。

 

 ですが『Apex Legends』には殺虫剤がないのです。そしてゴキブリが食い荒らしたい栄養、即ち善良な一般プレイヤーは5000万人(公式発表)います。そりゃ、床一面ゴキブリだらけになりますよ。

 

 一応公式も定期的にチーターを処分しているようです。ですがこの爆発的なブームと共に増えたチーターを一掃するのは難しく、結局ユーザーに通報させるか、より強力なチート対策を実装しないと間に合いません。どうして通報機能を予め用意しなかったのか、理解に苦しみます。

 

(※ゲーム内通報機能の実装が決まりました)

チームを破壊するBot業者

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 実はチート以上に厄介な存在、それがコイツです。チートの取引に用いる割符の類らしいんですが、ゲームが始まった瞬間PTに向けてこのコードを連投した挙句、抜けます。ちなみに中身は人間でなくbotです。

 

追記:

  だそうです。

 

 おお、抜けるんだ。じゃ別に良くない?と思うかもしれません。

 

 ところがコイツがいたパーティのほかメンバーのことを考えてみてください。このゲームは基本3人1組で戦うチーム型バトロワです。3人のうち1人抜けたら、単純に戦力も3分の1減。まして序盤なら致命傷です。

 

 チートを拡散するだけでも重罪なんですが、その上単に同居したパーティを途中抜けで萎えさせることで、チーター程の瞬間火力はないですが継続火力によって確実に『Apex Legends』の寿命を縮めています。

 

 またチーターと異なり、なまじbotなんで数がめちゃくちゃ多いです。2人や1人でゲームに参加しようものなら、10戦中7戦はコイツらが来ます。ひどい時は1人で参加した時にbot2人に囲まれた時もあります。異世界ハーレムか。

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(『Apex Legends』で業者botに遭遇する確立は150%。1人遭遇してまた1人遭遇する確立が50%の意味。)

究極の二次被害、途中抜け

 まぁ仮になんですが、めちゃくちゃ幸運で一切チートにも業者にも出会ったことがない、というプレイヤーもいるかもしれません。ところがそんなプレイヤーでもこのゴキブリ共がもたらす災厄から逃れることは出来ません。

 

 単純な話です。もしゲームを始めて仲間に「DeDDw-2332224」みたいなコードを10回ぐれい連投する奴が来たら?もしゲームを始めて前回のチャンピオンに「sdjidasjidsa」みたいな名前でレベル10なのに500キルぐらいする期待のホープがいたら?

 

 抜けます。普通、抜けます。

 

 チートや業者が一時被害なら、途中抜けは最も致命的な二次被害です。なんせ人が文字通り抜けます。人が消えるとゲームが成立しません。

 

 このゲームは60人で始めるゲームです。当たり前ですがマップからアイテムのスポーン率まで全部60人を前提として設計されてます。それが50人、40人となればどんどん歪んでいく。戦闘する機会が減り、3分隊以上の戦いが減り、お互いのケツをこっそり彫り合うストーカーバトロワになります。

 

 そうでなくとも、自分がチート業者と同じチームだった場合。自分が確実に不利な条件で始まるわけですから、途中抜けせざるを得ません。そうするといつまでもゲームを遊べないわけです。

 

 あまりに多くのチートや業者が蔓延った結果、もはやゲームそれ自体が原型を崩しつつある。それが今の『Apex Legends』なんです。

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まだ降りてないのに、半分になりました

 

『Apex Legends』のチート騒動から学ぶべきこと

 ようやくRespawn Entertainmentもこの問題を把握し、チーターの処罰及びチーターの通報機能の拡充を発表しました。

 

https://www.reddit.com/r/apexlegends/comments/ay5hh2/live_balance_update_live_on_all_platforms_lets/ehyej3g/

 

 ではこのニュースを楽観的に捉え、ひとまずチートや業者は見なくなるだろうという前提に立った上で、我々はこの『Apex Legends』のチート騒動から何を学べるのでしょうか。

1つ、チートには早急な対策が必要

 ゴキブリ共の強みはなんと言っても早いことです。あの害虫は隙間があれば一瞬で入り込んで増殖します。現に『Apex Legends』はリリースから1ヶ月と経たずゲームが崩壊寸前になりました。

 

 どんなゲームであってもチート対策は徹底しておくべきです。『Apex Legends』の場合は通報機能があまりに貧弱でした。これはなくてはならないでしょう。

2つ、問題共有の重要さ

 『Apex Legends』のチート問題は主にSNSと、配信者のDr.Disrespect氏などによって広まりました。そうした声が集まることで、ようやく公式が声明を出したという経緯があります。

 

 オンラインゲームは往々にしてアップデートにより完成されていくものです。それにはユーザーの声が必須であり、論理的な議論が重要になります。特に企業にとって不利益となるものを(日本の)大手ゲームメディアは報道したがりません。

 

 よって、コミュニティレベルでの問題共有は積極的に行うべきだと思います。無論、根拠のない誹謗中傷は避けるべきですが、作品の欠点をしっかりと周知させることが公式を動かします。

 

3つ、チートがゲームを殺すこと

 筆者個人の考えですが、チーターと遭遇することで正直『Apex Legends』に対するモチベは大きく下がりました。今後チーターが減っても、始めたばかりの頃の猿のようなモチベを取り戻すことはないでしょう。本当に残念です。

 

 何度も言うように『Apex Legends』は傑作であり、5000万ユーザー突破は素直に素晴らしい結果だと思います。しかしどんな傑作も、チーターなり業者が絡めば勝ち負けに価値がなくなり、すべてが文字通り「所詮ゲーム」という価値観に帰します。

 

 仮にチーターと遭遇しなくても、撃ち負けた時に「あれはチーターだったかもしれない」という疑念が浮かぶかもしれないのです。チートは間違いなくゲームを殺し、チーター及び業者はゲーム開発者に甚大な不利益をもたらしています。

 

 実際にその中国人が発言したのかわかりませんが、こんな言葉がTwitterで流れていました。

 

 

 こいつを殺したいと思った人は、多分人間として正常です。

 

 何故社会が人を刑務所に拘束したり、或いは死刑にできるのか考えたら、そりゃこういう奴がいるからですね。己の欲望のために、無数の人間の権利と利益を犠牲にしても良い、そう本気で考える民族なり国家が地球上に実際存在するわけです。ウシジマくんの椚みたいにしたろか。

 

(ちなみにオンラインゲーム上でチートを使う行為は日本では犯罪です。犯罪じゃない国があるらしいが。)

https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/cyber/notes/cheat.html

 

 

 こんなもん、ゲーマーの方に今更言うまでもないことですが、チートはゲームを殺しますし、いかなる理由があれチーターを絶対に許容してはなりません。

 

 チートがあればプレイヤーが辞めて、プレイヤーが辞めればゲームが破綻し、ゲームが破綻すれば会社は次のゲームを作らず、会社が動かなければゲーム業界に金が落ちません。

 

 チーターは人類悪です。世の中いろんな犯罪者には情状酌量の余地がありますが、少なくともチーターにはありません。そいつが本当に何気ない悪戯心で、プロアクションリプレイで最強のポケモンを作るような無邪気さでチートをしてようが、このゴキブリを本来生かす理由はありません。

 

   これまで無数のゲームがチーターに殺されました。バトロワをはやらせた『PUBG』もこいつに半殺しにされてます。次の世代のPCゲームも、この教訓を学んでくれたらと思います。

余談:

どうしてもチーターに出会いたくない人はCS版で遊べば良いと思います。ただ十中八九、CS版にはマウサーという、これはこれで問題が蔓延っているんでその辺は覚悟しといてください。

 

あとPC版はこういう対策方法があるらしいです。と言っても、日本鯖の餌が減ったら確実にシンガポール鯖にチーターが押し寄せてくるでしょうが。

 

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