ゲーマー日日新聞

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LJL 2019春の決勝戦で、DFMファンボの僕が「敗北したUSG」に心から敬服した理由

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 『リーグ・オブ・レジェンド』というゲームには、プレイヤーが使えるチャンピオンが140体いる。

 

 『オーバーウォッチ』のヒーローは30体、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』のファイターは76体、『Dota 2』のヒーローが117体。無論、プレイアブルキャラクターの数がゲームの質を左右するわけではないが、それでも『LoL』の140という数字は印象的だ。(2019/04/29時点)

 

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とても”遊びきれない”チャンピオンがあなたを待つ

 

 こうした使えるキャラクターの多さは『LoL』の魅力であると同時に、『LoL』というゲームの硬派さにも繋がっている。

 

 『LoL』参戦している多種多様なチャンピオン、二挺拳銃を持つバウンティハンターの女、一瞬で体力を回復できる吸血鬼、報復に飢えた亡霊の漁師、普段かわいらしい小動物が一定の条件で進化する巨獣……。

 

 こうした個性豊かなチャンピオンを一体使いこなすだけでも相当量の練習が必要になる。故に、『LoL』プレイヤーは自分のロール、プレイスタイル、メタ環境、あるいはビジュアルによって、極めるべきチャンピオンを何体か決めて集中的に練習する。

 

 そうして、プレイヤーには個人差こそあれ、画面を視なくても自在に操作ができるような、相棒のようなチャンピオンを持つようになる。そして、このチャンピオンだけは他人よりもうまく使えるのだという自信も芽生え、チャンピオンに対して不確かな絆のような想いを抱くことさえある。どうしても勝ちたい場面、コイツを使えば絶対に勝てると確信できる、そんなが。

 

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 今月の4月13日(土)、渋谷のセンター街にある「ヨシモト∞ホール」で行われたLJL 2019 Spring Split Finalで行われたGame 3は、LJLの歴史に残るベストバウトだと筆者は断言する。

 

 それは勝者DFMの健闘によってではない。”敗者USG”の勝利への渇望と、その選手たちの渇望に応えたチャンピオンとの間にある絆によるものだ。

 

――――――――――

 

 Game 3の時点で、DFMは一方的に二度勝利し「DFM 2-0 USG」という数字がスクリーンに映し出されている。早くもUSGは一度も負けることが出来ない窮地に立たされていた。

(以下、選手敬称略)

 

 ここまで2連勝したDFMの戦法は、ずばりプロテクトEvi

 

 国内のLoLプレイヤー随一の実力を持つTopレーナーEviをチーム全体で支え、必然的にリソースが偏るMidとBotには機動力に長けた「リサンドラ」「ミスフォーチュン」「タムケンチ」辺りを配置し、ダメ押し気味にStealの「キンドレッド」でダメージを伸ばす。

 

 この作戦は完璧だった。何を隠そう、Eviは日本最強のTop lanerだから。DFMというチームはメンバーが稼いだゴールドや経験値をEviに「投資」し、Eviはそれを勝利という形で「還元」する。Eviはここまでチームの信頼を裏切らなかった。

 

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絶対強者、Evi

 

 それどころか、DFMにはtop以外にも国内最高級のプレイヤーが集まっている。Eviは言うに及ばず、他レーンもまったく隙がなかった。Botレーンで、Yutapon相手にKeymakerは勝てなかった。Jungleの中では、TussleはStealに翻弄され続けた。Midレーンでさえ、USGの主砲DasherはCerosを突破することができなかった。

 

 強かった。選手個人のハンドスキルでなく、チームとして強かった。連携面も精神面も完璧だった。ほんの一瞬でも選手が疲弊し、ほんの僅かでも隙が生まれようものなら、即座にチームで之を解決した。

 

 この時点で、会場のどの人間にも「30分後、USGの選手たちが突っ伏して、ニコニコ顔のDFMの面々がトロフィーを掲げる幻影」を視ただろう。だがUSG選手にそれは視えなかった。

 

 それどころか、明らかに先の2敗を勘定に入れていたのではないかと思える展開を、Game 3で見せたからだ。




 Game 3のスタートと共にドラフトが開始。『LoL』では試合を始める前に、両チームが相手に使わせないチャンピオン、自分たちが使うチャンピオンをそれぞれ選ぶ「ドラフト」というフェーズが入る。

 

 そこでUSGがチョイスしたのは「イレリア」「セジュアニ」「ナー」「スウェイン」「パイク」だった。このドラフト、異様と言う他なく、LJLのベテランキャスターであるeyes氏とrevol氏も困惑した様子だった。

 

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 『LoL』をあまり知らない人に向けて、何故このドラフトが異様なのか説明すると、まずUSGが選んだ5チャンピオン全てがこの決勝戦で初めて使うチャンピオンという点が異様である。

 

 ここまでのUSGは、いわゆる「メタ・チャンピオン」が主だった。つまり、性能や相性、環境から相対的に強いと考えられるチャンピオンを、優先的にUSGは取っていた。

 

 特にGame 2でUSGがピックした「リサンドラ」「ブラウム」は、世界的にも最優先で取るべきチャンピオンとして知られ(4月第1週時点で、両チャンピオン共にPick率世界一位)、そして、それら最優先チャンピオンを抑えてなおUSGは敗北した。先ほど述べたように、正面対決ではEviを中心としたDFMを、USGは押しとどめることができなかったのである。

 

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Game2の両チームドラフト。Game2のUSGの構成は現メタにおいてかなり理想的だった。

 一方、Game 3でUSGが取ったチャンピオンは今どのチームも使わないような、時代遅れのチャンピオンである。ただの観戦勢の筆者といえど、USGのドラフトは正気と思えなかった。特に、Bot「スウェイン」、Support「パイク」に対しては「珍しい」というより、「ナメプ」の誹謗さえ受けかねなかった。

 

 厳密にUSGがGame 3で使用したチャンピオンが、国際的にどれほど使われたかのデータは以下の通りである。(同時期patchの試合と比較)

レーン「チャンピオン名」……LJL以外の地域で使用された回数(※) (割合:LJL以外の地域で使用された回数×100/全ゲーム数)

※149ゲームとして試算

 

Game 3、DFM側の構成

Top「ブラッドミア」……11ゲーム使用(7%)

Jungle「レク=サイ」……35ゲーム使用(23%)

Mid「リサンドラ」……12ゲーム使用(8%)

Bot「ミス・フォーチュン」……3ゲーム使用(2%)

Support「ラカン」……7ゲーム使用(4%)

 

Game 3、USG側の構成

Top「ナー」……1ゲーム使用(0.6%)

Jungle「セジュアニ」……4ゲーム使用(2%)

Mid「イレリア」……1ゲーム使用(0.6%)

Bot「スウェイン」……0ゲーム使用(0%)

Support「パイク」……2ゲーム使用(1%)

 

因みにGame 2でUSG側の構成は以下の通り。

Top「ケネン」……21ゲーム使用(14%)

Jungle「リー・シン」……11ゲーム使用(7%)

Mid「リサンドラ」……12ゲーム使用(8%)

Bot「カイ=サ」……19ゲーム使用(13%)

Support「ブラウム」……41ゲーム使用(27%)

 

Source

 

 このように、USGが選んだチャンピオンの全員が、世界中どのチームもほとんど使っていない。Keymaker選手の使う「スウェイン」など使用率0%、他のチャンピオンもほぼ1%を切っている。1チャンピオンだけ特殊なピックをするならまだしも、全員が使用率1~2%のチャンピオンを使用する決勝戦など、LJLの歴史にもほぼ例がない。

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 Unsold Stuff Gaming(売れ残りゲーミング)の名にふさわしい、売れ残ったチャンピオンたち。対してDFM側からすれば、欲しいチャンピオンはほぼ抑えた状態。既に勝負はついたも同然に思えた。

 

 だが、この時長年に渡って日本の『LoL』シーンを、あるいはUSGの戦いを見てきたファンたちは、彼らがこのピックにどれだけの想いを託しているか既に気付いていただろう。

 

 そう、apaMENの「ナー」、Tussleの「セジュアニ」、Dasherの「イレリア」、Keymakerの「スウェイン」、そしてEntyの「パイク」。いずれも各選手の象徴的なチャンピオンであり、USGの苦しい戦いを逆転に導いたチャンピオンであり、長年使い続けその癖や特徴を完全に把握したチャンピオン。

 

 彼らはRiotの寵愛を受けた「メタ・チャンピオン」ではないかもしれない。だがUSGの選手が共に戦い続けた「フェイバリット・チャンピオン」だった。

 

 USGは彼らに全てを託した。弱体化につぐ弱体化で、日の目を見なくなっていた売れ残りチャンピオンたち。だがUSGにとって、自分たちが最後の一戦、半年間に費やした全てを託すに値する、彼らは最高の「相棒」だったのだ。

 

――――――――――

 

 このようにUSGのドラフトがいかに特殊だったか踏まえた上で、実際の試合の展開を見てみよう。

 

 ゲーム開始。既に2本先取し、優勝にリーチをかけたDFMの勢いはすさまじく、試合が始まっているにも関わらず、会場およびコメントにもDFMがこのまま勝ち切るであろうと達観した空気が漂っていた。

 

 しかし、その空気が変わるのは、意外なほど早かった。ゲーム開始から4分40秒、DFMのStealが使う「レク=サイ」がUSG側のジャングルへ侵攻した時、USGのサポートEnty「パイク」の対応は早かった。USGのTussle「セジュアニ」と共に、逃げようとする「レク=サイ」の背中に「パイク」が自分の銛をひっかけ、そのまま倒したのである。

 

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 だが観戦する我々にとって意外だったのは、TussleがEntyの「パイク」にキルを譲ったことだった。『LoL』では敵を倒すとゴールドが手に入り、より高価な装備を購入できる。つまり、装備の質が反映されやすいセジュアニがキルを取るものだと考えられた。それでもUSGはEntyに400ゴールドを譲った。

 

 そして「パイク」が買ったアイテムが「モビリティブーツ」だった。「モビリティブーツ」は移動速度を115も増やす。通常の「ブーツ」が25、更に高価なブーツでも45~55増やすことと比較すれば、「モビリティブーツ」の性能は圧倒的だ。

(ただし、その分移動速度以外のボーナスはなく、戦闘中の速度は増えない。)

 

 この「モビリティブーツを履いたパイク」によって、序盤に強い構成を選んだDFMの目論見は次々と潰されていく。DFM側が選んだ「リサンドラ」や「ラカン」は高い機動力でマップ中に仕掛けることができるが、モビリティブーツを履いた「パイク」はそれよりも早い。DFMが仕掛ける前にむしろUSGが仕掛け続け、USGは一方的にキルとオブジェクトを奪い続けた。

 

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Entyはそれこそ沈んだ地底人の如く、その移動速度でどこにでも現れた。

 

 これがUSGの戦略だった。DFMが最強のTopであるEviにすべて投資するなら、USGは最強のSupportであるEntyに投資すればいい。そしてEntyの「パイク」は、その呪われた銛でTussleから受け取った400Gを、チーム全体で何千ゴールドにも増やすという、”敏腕トレーダー”ぶりを発揮する。

 

 試合の流れは大きくUSGに傾いた。コメントでもEntyへの称賛が止まらない。だが一方、その裏で本当にチームを支えているのはKeymakerの「スウェイン」だったと筆者は記憶している。

 

 Botレーンはキャリーとサポート2人で戦うレーンだ。Entyの「パイク」が味方を救っている間、LJL最強のBot DuoであろうYutaponとGaengの2人をたった1人で相手にしたのは、KeymakerをUSG参加当初から使い続けた「スウェイン」である。「パイク」は表で、「スウェイン」は裏で、USGの流れを大きく変えていた。

 

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USG加入前からKeymakerはスウェインを愛用し続けた。鴉を愛する孤高の独裁者を。

 

 そんな「USGコール」が鳴りやまない会場で、DFMメンバーの瞳が全く曇っていないことを、DFMのファンの我々は確信していた。Top、Mid、Bot、各レーンの防衛塔が破壊され、戦線を下げる中でもDFMは常に隙を狙っていた。特にYutaponが使う「ミス・フォーチュン」はマークスマンにも関わらず、apaMENの「ナー」に二度も奇襲を成功させている。(16:00、21:00前後)

 

 今年のYutaponは強い。例年、間違いなく日本で最も強いLoLプレイヤーの一人に数えられる彼だが、今年ついにゲーミングハウスでの共同生活を始めてから、その実力は桁を一つ超えた。

 

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Yutaponは本物の天才であると同時に、恐ろしいほどに勝利へ貪欲である。

 

 加えて、USGの構成には弱点もあった。まずKeymakerの「スウェイン」はEntyなしでもYutaponとGaengの2人を同時に相手できるほど戦闘は強いが、Yutaponの「ミスフォーチュン」と違ってオブジェクトへのダメージがかなり低い。そしてDasherの「イレリア」は、DFMのハードCCへの対策としてスペル「クレンズ」を握っていたが、代わりにCerosの「リサンドラ」はスペル「テレポート」によって先に動くことができた。

 

 こうしたUSGの弱点をDFMは的確に見抜き、既に育ったDasherやEntyらとの直接対決を避けつつ有利を築くことができた。どんな絶望的な状況でも活路を見いだせる、DFMのタフさが垣間見える立ち回りだ。

 

(CC=行動妨害系の状態異常

「クレンズ」=スタンなどの行動不能を即時解除できるスペル

「テレポート」=どんな距離でも数秒の詠唱で移動できるスペル。相手だけが持っていると一時的に人数差を作られてしまう)

 

 とはいえ試合開始から22分時点、それまで何とか持ちこたえてきたDFMだったが、ここで4キル奪われる致命的ともいえる打撃を受ける。

 

 USG Dasherの使う「イレリア」。Entyの援護によってコツコツとキルを集め、「トリニティフォース」と「ガーディアンエンジェル」を購入した彼女は正に天下無双の存在であり、Dasherのハンドスキルと相まってDFMはなすすべなく蹂躙される。

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まさに無双

 

 それでもDFMも食いつく。剣が折れても、牙で喰らいつく。DFM Gaengの使う「ラカン」は一瞬のスキを見逃さず相手を捕まえ、DFMが2キルとバロンナッシャー(※)を確保する。Entyに負けてたまるか、そんな意地が伝わるエンゲージだ。

 

 だがそれに対し、再びDasherの「イレリア」が4人連続で倒す無双を見せる。USGも絶対に負けられないという勢いで何度もDFMを追い詰める。

 



 一進一退、お互い致命傷を避けながらも、満身創痍になりつつあった試合開始から33分時点のバロンピット前。個人的に、この試合屈指の集団戦が発生した。

 

 まずDFMがバロンを攻撃し、USGを誘い出す形で攻防が始まる。視界はDFM側が優位で、USG側のジャングルを照らし出しており、USGは視界のないリバーブッシュか、DFM側ジャングルのルートから攻撃を開始する。

 

 だが、「リサンドラ」「ラカン」「ブラッドミア」「ミスフォーチュン」といった範囲攻撃に富んだチャンピオンが揃うDFMにとって、閉所に固まるUSGは格好の的。戦いは巧みに視界を管理したDFMがリードを握る。

 

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USGは閉所から侵攻するが、AoEの豊富なDFMにとってそれは格好の的だった。

 

 仕掛けたのはDFM Eviの「ブラッドミア」。大きなダメージを与える「呪血の渦」を2人に当て、思わずUSG側は後退しようとする。しかし、USGが通らされた獣道は細く狭い。必然的にUSGのメンバーは縦列で一人ずつ川へ進ことになる。

 

 そこへ、Cerosの「リサンドラ」が仕掛けた。スキルを全使用して敵を分断し、更にGaengの「ラカン」が舞い敵を行動不能にしたところ、Yutaponの「ミスフォーチュン」の弾幕が狭い通路に降り注ぐ。その結果、これまで暴れ続けたUSG Dasherの「イレリア」が落とされてしまう。徹底した視界管理でUSGを小道へ誘導し、そこをDFMが迎え撃つ誘導作戦は見事に成功した。

 

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 これでUSGもついに敗退だろう、そう誰もが考えた時、一人だけ微動だにせずチャンスを伺う小さな獣がいた。apaMENの使う「ナー」だ。

 

 「イレリア」が斃れ、更に次点で火力を出せるKeymakerの「スウェイン」が陥落した瞬間、巨獣へ進化した「ナー」はスペル「フラッシュ」を使って敵陣へ飛び込み、必殺技「ナー!」でDFMの主力4人を壁に叩きつけ、昏倒状態となったところにEntyの「パイク」の必殺技「水底の急襲」が全てを八つ裂きにした。

 

 この瞬間、観戦していたプレイヤーはわが目を疑う。USGはBotにマークスマンを置かず、代わりにMidの「イレリア」にリソースを集めた。逆に言えば、「イレリア」が死ぬだけでUSGの構成は機能しないはずだった。そんな一般論は、apaMENとEnty、USG創立以来ずっと戦い続けた2人の機転と連携で粉砕されたのである。

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このプレーには相手チームのEviさえも配信で称賛していた。

 

 私はこれまで『LoL』プレイヤーとして無数の「名集団戦」を見てきた。だがこの集団戦はその中でも5本の指に入るものだと思う。

 

 DFMは完全な下準備をして集団戦に望んだ。視界の確保から全員の布陣まで、これほど追い詰められながら、これほど冷静に逆転への布石を打つDFMの成長にも心が動かされるのだが、そんな限界をUSGを支え続けたapaMENおよびEntyの、ナーとパイクがひっくり返すあの一瞬。

 

 あれはただapaMENが上手いという理由では説明しきれない。Entyの反応が良かったでは理屈が通らない。

 

 apaMENという男の勝利への強い意志。そして彼の「ナー」に対する絶対の信頼。その2つが従来であれば絶対に成立し得ない逆転を起こした。

 

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apaMENの意地

 

 3年半「売れ残りゲーミング」の一員として戦い続けた2人の絆と、その2人が託したナーとパイクという彼らが愛したチャンピオンとの絆、その2つの絆が全ての常識をひっくり返した、そんな集団戦だったと思う。

 

(無論この集団戦は彼ら2人のものでなく、DasherとTussleが集めたフォーカス、そして最後死ぬ直前にUltを3人に当てたKeymakerの存在も大きい。)

 

 
――――――――――

 

 結局、試合はDFMが勝利した。

 

 エルダードラゴン前、Yutaponの「ミスフォーチュン」が持つ「別の敵ユニットを攻撃する毎にADが増える」というパッシブを活用するため、「USGの陣形のど真ん中でUSGを一人ずつ撃ちまくる」という訳のわからないハンドスキルと判断で、自分のガーディアンエンジェルすら落とさずUSG全員射殺した。

 

(本来、ミスフォーチュンのようなマークスマンはひ弱なため、味方の後ろで戦うのが基本。まして誰かをフォーカスせず全員に一発ずつAAを当てる判断は、ダメージ計算を完璧に行える自信がなければ到底不可能。)

 

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集団戦が始まった瞬間、Yutaponは「勝ち確ゥ!」と声高に叫んだという。

 

 これが、私がLJL 2019 Spring Split FinalのGame 3で”視た”全てである。

 

 結果だけ見れば、USGは一勝も出来ず負けた。試合を見ない人には、「DFM 3-0 USG」という数字しか目に映らなかったと思う。確かにそれは事実であり、今更「USGはよく健闘したのだから、もっと評価してほしい」などと恩着せがましく言う気はない。万一、USGのプレイヤーがそれを読んだら、それこそ抗議するだろう。

 

 だが、選手の彼らが何を考えていても、私にとってこの「USGの敗北」は、「USGの勝利」でさえあった。DFMファンボである自分が、まさか相手チームであるUSGのパフォーマンスにここまで心を動かされると思ってもみなかったからだ。DFMの試合運びも本当に素晴らしいものだったが、それよりUSGに私は目を奪われた。

 

 売れ残り同然であるチャンピオンたちに賭ける勇気、試合の随所で見せる選手たちの意地、何より最後のapaMENとEntyのコンビネーション、USGというチームはこんなにも強くなっていたのかと、彼らが歩んできた3年半の成長に胸が熱くなった。

 

 そしてこの試合は、『LoL』という無数のチャンピオンが眠る、傑作ゲームだからこそ実現した試合でもあるのだから。どうだろう、この機に『LoL』をプレイし、あなたが本当に信頼に足る相棒を探してみるのは。


(え?そーゆーお前はどのチャンピオンに入れ込んでるんだよって?それはまた別の機会にお話しようじゃないか。何、そう遠くない頃に話すさ。)

 

*1:例外的に、イレリアはPICK率が低い一方でBAN率も高く、プロシーンでの評価も高い