ゲーマー日日新聞

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【評価】『Days Gone/デイズゴーン』感想レビュー 以下のアンケートに5個以上当てはまった人は遊ばないでください

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突然ですが、ここでテストをします。ここに書かれた質問に同意した場合、「○」と脳内にご記入ください。

 

準備はよろしいでしょうか?では始めます。

1.ありふれたゲームデザインにはワクワクしない。

 

2.というか、もうオープンワールドは飽きた。

 

3.トレイラー詐欺は景表法違反だと思う。

 

4.あと、ゾンビにも飽きた。

 

5.目的地にたどり着いてから足跡や臭いの痕跡を探すミニゲームの何が面白いのかわからない。

 

6.そこまでグラフィックにこだわりはない。

 

7.雑なサブクエストを発見すると、それを達成するかゲームを売却するか小一時間悩む。

 

8.QTEをゲームに導入した製作者には、親兄弟を集めて指が切断されるまで無意味に△ボタンを連打する報復を与えたいと思っている。

 

これに当てはまった回数で、『Days Gone』をプレイするべきか否かわかります。

 

○が7個以上だった人……… 『Days Gone』とあなたが接触することは極めて危険です。社会保安上プレイしないでください。

 

○が5個以上だった人……… 高い心理的負荷が予想されます。健康上プレイされないことをオススメします。

 

○が3個以上だった人……… 『Days Gone』とあなたの相性は良好です。多少気になる部分はあるかもしれませんが。

 

○が1個もなかった人……… あなたは海外ゲームを遊んだことがないようですね。

 

それはそれとして

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 要するに、『Days Gone』はとにかく既視感に溢れるゲームだ。

 

 舞台はフリーカー(以下ゾンビ)が大量発生したアメリカのオレゴン州。ある程度パニックが落ち着いた頃からゲームが始まり、主人公ディーコンは自分の妻を亡くした喪失感に苦しみながら生活している。

 

 ……という流れは完全にNaughty Dogの名作『The Last of Us』だし。

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 オープンワールドで資源を集めつつ、時折サブクエストで足跡を辿ったり、敵のアジトを壊滅して自分のものにする。

 

 ……というゲームプレイは『Horizon: Zero Dawn』とか『Witcher 3』だし。

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 リソースが極貧状態故にあちこちの廃屋を巡るというのは『State of Decay』や『Dying Light』まんまだ。

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 かように、『Days Gone』は色々なゾンビ系ゲームの継ぎ接ぎで作られたようなゲームだ。ある程度海外ゲームを遊んだ経験のあるゲーマーなら、とにかく「あ、これどっかで見たぞ」という経験の連続。それが『Days Gone』である。

 

 海外の批評家が口を揃えて「退屈」と言ったのもこの辺に理由がある。そりゃそうだ。もう何回も繰り返し遊んだゲームを更に遊んでいるようなものだから。

 

継ぎ接ぎで作られた平均台を歩く

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 と、少なくとも最初の3時間ぐらい遊んだ時は自分もこのように感じていた。半端な継ぎ接ぎだらけのゲームだと。

 

 ところが遊ぶ程に、ただ強引に作品を継ぎ接ぎしたのではなく、必要な部分を随時補い、ゲームプレイとして洗練させているのだなと納得する部分がかなり多かった。様々な作品を引用しつつ、うまく「おいしい所」だけを取っているのである。

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 まず戦闘から考えよう。『Days Gone』は基本的にステルスと銃撃戦の組み合わせだ。最初はステルスで忍びつつ、バレたらバレたで銃撃戦に移行するなり、再び隠れてステルスに復帰するなどできる。

 

 『Far Cry 3』や『Crysis』以降、こうしたステルスと銃撃戦を組み合わせるような戦闘モデルが流行になりつつある。故にこれも「既視感」の原因だ。

 

 ところが本作の戦闘はもう少し考えて作られている。まずステルスと戦闘のバランスが非常に良い。ステルスは弾を一切消費しないというメリットがあるのだが、かといって戦闘になってすぐゲームをリセットしなければ程にステルス偏重でもなく、ディーコンは普通に銃撃戦も強い。

 

 というか、ディーコンがやたら強い。そこらのNAVY Sealsも真っ青な強さであり、当たり前のようにローリングして敵の銃弾を回避したり、バットのフルスイングでゾンビを3体蹴散らしたりできる。無理にステルスにこだわらずとも、戦闘もかなり快適に楽しめるわけだ。

 

 

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 また、ゾンビを倒せば経験値が手に入り、更に彼奴らの耳を集めてトレーダーに持っていけば換金まで出来る。こういったゲームにしては珍しく、ゾンビを倒すことに明確なリターンがある点も、オープンワールド的な構造とよく合っている。

 

 レベルアップといえば、大体こういったオープンワールド系のゲームのスキル成長要素は、「確実にリターンがあるが地味すぎるステータスアップ」と「派手だが趣味すぎて使いみちのないスキル」だと相場が決まっているが、『Days Gone』に限ってはそうではない。

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 エイム中にスローモーションになるとか、敵からクロスボウのボルトを回収できるようになるとか、あぁこれがほしい、あれもほしいとなるスキルが目白押しで、経験値を渇望するようになる。そして経験値を望めばゾンビを狩りに行く。だがスキルを取らねば勝てない程のディーコンは貧弱ではないから、別にメインストーリーだけ進めても問題はない。



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 あと素晴らしいのは、本作の目玉要素でもあるバイクだ。

 

 本作で移動する時にはバイクが必須だ。走ればスタミナを消費するし、ゾンビに襲われるリスクもある。その点、ある程度快適に、それでいて安全なオレゴン生活を送る上でバイクはなくてはならない存在なのである。

 

 とはいえ、バイクにも一つ明確な欠点がある。なんとバイクはガソリンがなければ動かないのだ(ナ、ナンダッテー)。ゲームを遊んでいると車がガソリンで動くという事実を忘れかけているので驚きだが、とにかくディーコンのバイクはガソリンが必要で、そのためには定期的にガソリンスタンドや、敵アジトからガソリンを盗まなくてはならない。

 

 このバランスは非常に良好で、ガソリンの概念によって「マップを移動している」という実感を得られやすい一方、オープンワールドを活かした寄り道をうまく誘導できている。ただそれだけでは面倒なだけなので、バイクをアップグレードしてより多くのガソリンを入れたり、ファストトラベルができる拠点を見つけることで、後半ではこのガソリンによる制約が少しずつ解消されていく。

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 総じて、この『Days Gone』は新規性こそないものの、バランスが極めて良い。

 

 そこそこストレスを感じる程度の緊張感がありながら、プレイヤーがコントローラーを投げない程度には主人公が頑丈で、報酬もあるゲームバランス。

 

 現代では無数の「オープンワールド+RPG」なゲームが量産されているのだが、基本的に「やっててストレスを感じる程度に厳しい」か「ヌルすぎて遊び気力もなくす」という程度に、かなり適当なバランスで放置された作品が多い。所謂レベルデザインなども考慮せず、とりあえずダンジョンとマップとクエストを作ったから、後は自由に遊んでねと言わんばかりの雑さだ。

 

 その点、『Days Gone』はこのごくありふれたゲームプレイに対して、改めてどうすれば面白くなるか再考した上で作っている。海外ゲームをよく遊ぶゲーマーほど、『Days Gone』に既視感を覚えるだろうが、同時に遊ぶ程にこの作品がいかに平均台の中心をまっすぐ歩いているかおわかりいただけるだろう。

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若く、脆く、だが強い男の物語 

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 個人的に、『Days Gone』最大の魅力は物語なのではないかと思う。

 

 主人公ディーコンは、自分の妻を亡くした状態でゲームを始める。元からバイカーで、日本でいうヤンキーのような彼は、精神的に成熟しているとは言い難い。怒るとすぐ行動に移してしまうし、本当に重要な事柄からは目を背けてしまう。

 

 これも海外批評家には散々「主人公に成長がない」と酷く罵られていたが、いい加減まずそういった海外ヒーローモノの王道を全てのゲームに押し付ける考えをやめるべきだ。ヤク中のボンクラ、何もできない学生、そういった存在が物語の主人公になることは、文学の世界でも映画の世界でも何ら珍しくない。

 

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 とはいえ、ディーコンがこのような存在になったのには理由がある。オープニングでゾンビが大量発生し、それから約2年後の現在に至るまでの空白期間、そこにディーコンという人間が形作られた経験が秘められており、それは物語を進め、過去の自分を知る人間と出会う度にプレイヤーへ明らかとなる。

 

 こういった時系列を少し入り込ませた作りは、昨今では『Red Dead Redemption 2』が秀逸だったが、ただ『Days Gone』はあれほど本格的な作りではなく、終盤になると比較的わかりやすい展開に戻ってくるので、物語にそこまで興味がないゲーマーでも共感しやすいだろう。

 

 ネタバレになるので多くは語れないのだが、とにかくここにも『Days Gone』のバランスの良さを垣間見ることができる。人間的にペラペラなわけではなく、そこに歴史と人格がちゃんと反映された登場人物に加え、しかし物語は終盤になると明確な目標に向かって加速していくという塩梅なのである。

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このゲーム、サラッと子供のゾンビ出てくるんだけど、結構キツイんだよなぁ

 

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