ゲーマー日日新聞

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10年代ブロガーがはてな村のおじさん達に思うこと

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最近、はてなの長老方が今の「はてな村」について衰退を嘆いたり、悲しんだり、いやいや頑張ってるよと言ったり議論する様子を見た。

 

orangestar.hatenadiary.jp

 

p-shirokuma.hatenadiary.com

 

いっぽう、わたしはしばらくnoteにいったきり、はてなに戻ってない。そんな自分が今更「はてな村」について触れるのは少し後ろめたいというか、上京して地元がいかに不便か話すような後ろめたさがあって嫌だったのだけど、あのyomoyomoさんにコールして文筆家とまで認めていただいたことが嬉しく、少し自分なりの「はてな村」観を話すべきかと思った。

 

yamdas.hatenablog.com

 

これまで見たところ、主たる「はてな村」の議論は、シロクマ先生、小島アジコさん、phaさんと、村から離れた・残ったどちらの立場にせよ、はてなブログがサービスを始める以前からずっと利用し続けている、いわば「長老」の皆様によるものだと思う。

 

一方で、わたしは2014年にブログを始めたまだペーペーの「若者」だ。なぜ若者が村から都会へ出ていってしまったのか、恩知らずなガキんちょの目線も一つ焚き木ぐらいには使えるだろう。

 

若者であり、移民でもあった 10年代ブロガーたち

 

わたしがはてなブログを始めたのは2014年。当時は暇な学生で、ゲームが大好きで、何より愛するゲーム系のテキストサイトが閉鎖したのがショックで、何とかゲームについて書きたい一心でこのゲーマー日日新聞を始めた。最初は『Call of Duty: Advanced Warfare』とPMCの関係性について書いていた気がする。

 

ただ原点がはてなブログなわけでなく、実は数ヶ月間、FC2ブログをやっていた。ただUIがとにかく使いづらく、今一番流行ってるブログサービスってなんぞや?と調べた結果、はてなに「移住した」。

 

だから、はてなダイアリーとか「はてな」らしいサービスやコミュニティとはほとんど接点がなく、純粋にブログサービスとして始めたのだが、10記事ぐらい書くと何かの記事が「はてなブックマーク」に多少登録され、アクセスが一桁増えるという経験をした。当時は何だかよくわからないが、読まれて嬉しいという程度で、「はてな村」という闇は知らなかった。

 

 

 

はてなブログをきっかけにブログを始めたのは自分の他にも結構いて、ヒトデさん歴ログさんトイアンナさん本しゃぶりさんかんそうさんしっきーさんは個人的によく読んでた。それとARuFaさん、ヨッピーさん、小野ほりでいさん等、オモコロ系で活躍する気鋭のライターも増えてた。

 

恐らく皆2011~2015年にブログを開始or移転し、年齢も20代の学生とか新社会人が中心だったと思う。自分はゲーム批評という僻地だったので他のブロガーさんと絡むことは少なかったけど、何となく「同期」へのゆるい連帯感みたいなものを感じていた。今振り返れば、「10年代ブロガー」という実質最後のブログブームの担い手だったのだろう。

 

この10年代ブロガーに共通するものは、他にも色々あって、良くも悪くもまずハングリーさ。既にはてなの大人たちで飽和している界隈に、10年代が殴り込むには何かしら武器が必要があった。投資、映画、料理、ユーモア、自分ならゲームと、読まれる・バズるコンテンツについて少なからず考え、特化して作れる人間が多かった。

 

「SEO」を意識され始めたのもちょうどこの頃で、企業がオウンドメディアを雲霞のごとくに量産するのに対し、ブログ側も収益化を真面目に見据えてる人が多かった。この辺は特に古いブロガーには嫌悪感があったと思うけど、なんせ皆若くて貧乏だったのは留意いただきたい。

 

逆に、「ブログで飯を食っていこう!」みたいな夢幻を追いかけたり、ヒトデさんみたいにマネーゲームとして割り切れる人も少なからずいた。しっきーさんが流行らせた「おすすめの漫画ベスト100」みたいな記事も増えて、自分もちゃっかり手を出したけど(クオリティに関しては保障するしむしろアンチテーゼだと思ってた)、その「しっきーメソッド」は未だにクソみたいなサイトに流用されてるから彼はすごい。

 

 

 

はてな村で若者が「ウケようとする」しんどさ

 

ただまぁ、「10年代ブロガー」なるものに共通するのは悲しい側面もあって、大抵はてな村の住人にいまいちウケが悪かった気がする。

 

既に述べた通り、はてなブログ最大の強みははてなブックマークを使った流入だ。はてなブックマーク上で注目されれば、GoogleやTwitterと別のルートでアクセスが見込める。ただし、必ずしも好意的に注目されるとは限らない。半分が賛同ならいい方で、大抵は「……それただのイチャモンじゃない?」みたいなコメントも多々ついた記憶がある。

 

それは多分、10年代ブロガーが比較的若く、フラットな価値観で、相応にハングリーでありながら、表面的なオタクらしさも少ないという傾向に対し、それを読む「はてな村」のユーザー層との間には年代を含め様々な溝があった。

 

はてなは老舗のウェブサービスなだけあり、ユーザーの年齢構成は30代が40%と一番多く、40代以上とあわせると67%、約7割が30以上という点で、明らかにSNSの中で最も高齢化が進んでいて、性別比も男性が75%と圧倒的。要するに、昔ながらのオタク気質なおじさんが一番多い。

 

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まして、その中で発信力が強い「村長」ともなると(はてなスターを一身に受け、記事のブックマークを代表するような存在)、必然的にキャリアの長いおじさんがより増える。で、彼ら長老の機嫌や同意を取れない記事は、大抵ブクマ上で酷評されがちで、つまりわたしたちの記事と食い合わせが悪かったのである。

 

特に自分がブログでやりたいことは、既にウェブや書籍で語り尽くされたクラシックなビデオゲームに対し、多様化していく0年代以降のビデオゲームの批評だったので、特にはてな村の人々に好かれる理由はなかっただろう。特別炎上を経験したことはなく、何度か評価もしていただけてるが、TwitterやFacebookと比べても明らかに一番厳しい意見を頂戴していた。

 

これは私だけでなく、10年代のブロガーは少なからず好かれてはいなかったと思う。歴ログさんぐらい特化すれば別だけど、料理ブログのはらぺこグリズリーさんの「美味しい煮玉子の作り方」という記事ですら「容器じゃなくジップロック使え」とか「煮てねえじゃん」とか面倒臭いブクマがついてて笑った記憶がある。

 

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特に大ぴらに戦ってたのがやっぱりしっきーさんで。彼の面白いところは、サブカルから政治、ネットカルチャーまで手広くズカズカ入っていく弾の多さで、一方そんな「生意気さ」がしばしばはてな村の反感を買っていた気がする。

 

 

 

10年代ブロガーの離脱とホモソーシャルらしさの敬遠

 

はてなブログが過疎っていくことに対して、歴戦のブロガーpha氏はこんなコメントをしている。

 

今はちょっと長い文章を書く人はnoteを選ぶ人が多そう。なんかシンプルでテキスト向きっぽいし、課金もできるし。しかしそこにははてなみたいなコミュニティ感はないな、と思う。はてなのブログとブックマークが入り混じって独自のコミュニティを作っていたあの感じが稀有なものだったのだろう。

 

結局みんなキャッキャウフフしたかっただけなのか - phaの日記

 

シロクマ先生も「だけどphaさん、もし、俺らがオンラインの、無料の、すべての人に公開された領域に書かなくなったら、そりゃあいったい何者なんですか。」なんて言ったり、わたしを紹介してくれたyomoyomoさんも「はてな葬送の儀」と言ったり、もちろん全部がそうじゃないにしろ、暗にnoteへ移った人間を小銭で魂を売った恩知らずな奴らという嘆きというか、失望が、少なからずあると思う。

 

だけどね、それは違う。まずぼくら10年代ブロガーの多くは、あなたがたの「キャッキャウフフ」して作った「コミュニティ」に拒絶されたんだよ。(もちろん、シロクマ先生を含めた長老も手荒い歓迎を何度も受けただろうが)

 

その結果、多くはブログを辞めたり、noteに移ったり、はてなを続けるにしても内輪でコミュニティを固めるなどしてしまった。中には、歴ログさんや本しゃぶりさんのように、この村に認められた人がいたかもしれない。けど、それは彼らの努力もさながら、「村」に合うか合わないか、理屈より生理的なものがあったんじゃんかろうかと思う。

 

はてな村のすごく厭なところは、ただ「嫌いだ」と言えばいいだけのことを、面白くもねえネットミームに置き換えたり、理論武装して論点をずらすなどして、村のホモソーシャルな空気のあいだで主観の感情のまま糾弾したことだ。

 

しかもTwitterやFacebookのリプライと違って、ブックマークは一方的につけられるだけでブロガーは反論ができず、無理に反論しようものなら袋叩きにされる。第一、こっちはネットバトルをしにブログを書いてるわけじゃない。

 

あえて、今更はてな村をどうこうしろとは思わない。そういうサービスなんだから、各々が好きに使えばいいと思う。けど、はてな村の一体感とかキャッキャウフフはあくまで内側の感覚であって、外からみればインスマスみたいな怖い港町で、比較的若い書き手がそこに定住しない理由はお金以外にもあるでしょうという話。

 

ただ、今の自分ははてな村なくては存在しないのは事実だ。

 

思えば、どんな読者や編集者よりも厳しいのが、はてな村だった。中には恣意的な指摘もあったが、知見ある村のオタクたちの指摘からは学びが多く、何よりブクマの緊張感がそのまま文章を書く責任感に繋がったと思う。村は陰険で排他的だったが、だからこそ修行の場所としてはうってつけだった。

 

そして当然、ちゃんと読んで、評価してくれる人も村にはたくさんいた。YouTubeやGoogleがアルゴリズムで機械的に導線を作るのに対し、人から人へ伝わるはてな村では、ちゃんと記事を読んで評価する人が一番多かったと思うし、はてな村の厳しさこそコンテンツの品質担保に役立っていた。そんな場所だからこそ、PVが伸びた時の喜びはひとしおだった。

 

何であれ、全部ひっくるめて自分はこの村で育った。思い返せば自分もひどく生意気なガキンチョだったが、そんなガキにゲンコツを振るうおっさんも今じゃ珍しい。自分はnoteでやるべきことも見つかったので当分戻らないだろう。けどまぁ、そっちも元気でやっていてほしい。